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2018-01-31 16:11
2339 ら特集山梨弁護士会④(0)
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山梨県弁護士会
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憲法記念日~施行61周年~を迎えて
この5月3日(憲法記念日)をもって憲法施行61周年を迎えました。そこで、憲法に関して、私が学んできたことと最近考えていることを述べさせて頂 きます(この「会長談話」は、常議員会の承認を得た「会長声明」と異なり、山梨県弁護士会としての意見ではなく、個人的な見解です。)
1.憲法とは何か~法律と何が違うのか~
法律は、国家権力(現代のわが国では国会)が定め、国民に対し、義務を課したり、権利を制限したりするものです(他の効果を定める法律もありますが)。これに対し、憲法は、国民が定め、国家権力に対し、義務を課したり、権力を制限したりするものです。
それゆえ、まず、憲法99条で「この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」と定められているのは、国民ではなく、「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員」なのです。また、憲法が尊重されず、「その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為」が定められたりしても、「その効力を有しない。」(憲法98条)のです。
すなわち、私たち国民一人一人は、小さな存在で、国家は、法律を定めることで、何でも自由にできそうですが、その国家の権力を縛り、国民の基本的人権を保障しているのが、憲法です。
2.憲法9条1項は国家の何を禁止しているか
憲法9条1項は、「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」と定めています。
この「武力の行使」の禁止に関し、「他国による武力の行使」への参加に至らない協力(輸送、補給、医療等)について、国(政府)の解釈は、その「他国による武力の行使と一体となるようなもの」は、自らも「武力の行使」を行ったとの評価を受けるもので、憲法上許されないが、一体とならないものは、許されるという解釈(いわゆる一体化理論)です。
3.憲法は平和的生存権を保障しているか
また、憲法前文には、「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。」とあります。
そして、「憲法前文が上記のとおり『平和のうちに生存する権利』を明言している上に、憲法9条が国の行為の側から客観的制度として戦争放棄や戦力不保持を規定し、さらに、人格権を規定する憲法13条をはじめ、憲法第3章が個別的な基本的人権を規定していることからすれば、平和的生存権は、憲法上の法的な権利として認められるべき」(下記名古屋高裁判決)であると考えます。
4.イラクにおける航空自衛隊空輸活動についての4月の名古屋高裁判決
イラクにおける航空自衛隊による多国籍軍の武装兵員空輸活動について、いわゆる自衛隊イラク派遣差止訴訟において、名古屋高等裁判所の平成20年4月17日の判決は、次のような画期的判断を示しました。
•「武力行使」禁止に関して
まず、バグダッドはイラク特措法にいう「戦闘地域」に該当するとした上で、「航空自衛隊の空輸活動のうち、少なくとも多国籍軍の武装兵員をバグダッドへ空輸するものについては、…他国による武力行使と一体化した行動であって、自らも武力の行使を行ったと評価を受けざるを得ない行動であるということができる。」「よって、現在イラクにおいて行われている航空自衛隊の空輸活動は、政府と同じ憲法解釈に立ち、イラク特措法を合憲とした場合であっても、武力行使を禁止したイラク特措法2条2項、活動地域を非戦闘地域に限定した同条3項に違反し、かつ、憲法9条1項に違反する活動を含んでいる」という判断を示しま した。
•平和的生存権に関して
「平和的生存権は、現代において憲法の保障する基本的人権が平和の基盤なしには存立し得ないことからして、全ての基本的人権の基礎にあってその享有を可能ならしめる基底的権利である」として、前記3項のとおり、「憲法上の法的な権利」とした上で、「裁判所に対してその保護・救済を求め法的強制措置の発動を請求し得るという意味における具体的権利性が肯定される場合がある」という判断を示しました(ただし、差し止め請求については、不適法却下とされ、また、損害賠償請求については、本件派遣によって具体的権利としての平和的生存権が侵害されたとまでは認められず、損害賠償請求で認められる程度の被侵害利益がいまだ生じているとはいえず、棄却されました)。
5.憲法と政治問題(日本弁護士連合会の主張など)
折しも、この5月1日で,アメリカのブッシュ大統領がイラクでの主要な戦闘の終結を宣言してから、満5年が経過しました。しかし、イラクでは、戦闘が絶えず、米英軍は,その後もイラクに駐留し続けています。そして、その戦死者は、米軍だけで4000名を超えました。
アメリカの憲法には、わが憲法9条のような規定はありません。したがって、アメリカでは、軍隊をイラクへ派遣することも国家が自由にできることであり、イラクから撤退をするか否かも、純粋な政治問題です。
しかし、わが国には、憲法9条があります。したがって、自衛隊をイラクへ派遣することができるか否かは、純粋な政治問題ではなく、憲法の問題です。
それゆえ、日本弁護士連合会は、自衛隊をイラクへ派遣することを目的とするイラク特措法について、これが国際紛争を解決するための武力行使および他国領土における武力行使を禁じた憲法に違反するおそれが極めて大きいものであることにより反対であると主張してきてきました。そのうえで、自衛隊の派遣先がイラク特措法が禁じる「戦闘地域」であることも指摘し、繰り返しイラクからの撤退を求めてきました。したがってまた、日本弁護士連合会は、上記名古屋高裁判決に ついて、会長声明で、高く評価すると共に、政府に対し、判決の趣旨を十分に考慮して自衛隊のイラクへの派遣を直ちに中止し、全面撤退を行うことを強く求めているのです。
2008年5月3日
山梨県弁護士会会長 石川 善一

「犯罪被害者等による少年審判の傍聴」に反対する会長声明
平成20年2月13日、法制審議会は、原則非公開である少年審判で被害者や遺族の傍聴を認めることを内容とする少年法改正要綱を法務大臣に答申した。
当会は、一定の重大な犯罪類型に限定するとはいえ、犯罪被害者等による少年審判の傍聴を認める規定を創設すべきではないと考え、改正要綱には反対する。その理由は、以下の通りである。
少年は、成長発達の途上にあり、精神的に未成熟である。犯罪被害者等が審判を傍聴することになれば、少年は精神的に萎縮し、審判廷でありのままに心情を語ったり、事実関係の食い違いを指摘することが困難になる。
少年審判は事件発生から短期間で開かれるため、被害者等にとって事件から受けた心理的な衝撃がいまだ大きく、少年も事件を起こした精神的動揺が収まっていない。この点、改正要綱は、傍聴できる場合を一定の重大事件に限定している。しかし、そのような重大事件であればなおさら、被害者等の衝撃は大きく、自ずと加害少年に対する視線は厳しくなる。少年の精神的動揺も尋常ではない。そのため被害者等による傍聴は、少年に多大な緊張や過度の心理的圧迫をもたらし少年を精神的に萎縮させてしまうおそれが大きい。これにより、少年の弁解が封じ込められ、誤った事実認定のおそれすら生じてしまう。
また、被害者等が傍聴している状況においては、少年や保護者、あるいは審判官や家庭裁判所調査官が少年の生育歴や家族関係の問題など、プライバシーに深く関わる事項について、率直に陳述し、これを取り上げることがはばかられることになりかねない。
重大事件であるほど、少年の生育歴や家族関係の問題性は根深いのが通常である。ところが、少年審判でのやりとりが、表面的に現れた事情だけに基づく形式的なものに流れてしまうと、少年の再非行を防止し成長の支援をはかるために必要な問題を十分に取り上げることができなくなるおそれがある。
さらに、被害者等が少年審判を傍聴すれば、家庭裁判所としては被害者等の存在を意識し、少年への責任追及に重きを置かざるを得なくなる。現在のように、家庭裁判所が、少年の言い分にも耳を傾けながら、その内面に働きかけていき、その上で、厳しく少年の問題性を指摘し、事件への反省を深めさせ、更生への意欲 を固めさせていくといった審判の営みは極めて困難となる。他方、少年の側からしても、被害者等が傍聴する審判では、心情の安定が保たれず、家庭裁判所からの教育的働きかけもその内面に届かないということになりかねない。これでは、少年審判のケースワーク機能が、著しく減退することになる。
犯罪被害者の知る権利は、尊重されるべきである。しかし、少年審判を直接傍聴させることは弊害があまりにも大きい。今なすべきことは、関係機関が、記録の 閲覧・謄写等すでにある規定を被害者等が活用する支援体制を整備し、あわせて、犯罪被害者に対する経済的、精神的支援制度を早期に充実させることにあると考える。
2008年2月27日
山梨県弁護士会会長 小澤 義彦

理想と現実(会長挨拶に代えて)
私たちは、多かれ少なかれ、あるべき理想あるいは望ましい理想と現実のはざまの中で生きていかざるをえない。
少年時代、そして青年に達する頃までは、理想を追い求めて生きてきたが、世の中の現実をだんだん知るにしたがって、理想はあとずさりを余儀なくされ、理想は少しずつ失われていく。それはいわば大人になることを意味する。
日本国憲法9条の歩んだ道も私たちの人生に似ているように思う。
9条は、第2次世界大戦で、国民とアジアの多くの人々の命が失われたことへの反省の中で、おそらくは世界の理想の憲法として誕生した。内容はまさに 青年の理想そのものである。憲法前文は日本の安全について「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して我らの安全と平和を維持する」とし、さらに9条で 「陸海空軍、その他一切の戦力はこれを保持しない」と宣言した。
2つ合わせて読めば、日本は、軍隊を持たないことを公約し、自国の安全につき、「世界の人々の心」という、不確かで、常に揺れ動き、安定のない、もっとも頼りにできないかもしれない存在に自分の身を託し、丸裸での平和宣言したとも言える。
それから60年、人生がそうであるように、9条もあるいはそこに内包された理想は、世界の現実の中で変化することを余儀なくされてきた。
日本は、9条成立時、まったく、戦力を持たないことを宣言したはずだが、それからわずか4年の後、朝鮮半島で起きた軍事的衝突を契機に、警察予備 隊、保安隊、自衛隊と名前を変えながら、今は世界でも有数の戦力を持つに至っている。名前をどう変えようが、今の自衛隊が戦争遂行能力を持った、つまり軍 事力を持った部隊、軍隊であることは疑いのないところだと考える。私たちはこのことをどう考えれば良いのか。私が、学生時代憲法を学んだ30年前は、ほとんどの憲法学者が自衛隊は憲法に違反する、と述べていた。それならば自衛隊は廃止すべきなのか。しかし、現在の世界情勢の中で、諸国民の公正と信義だけに頼って自国の安全を確保するのは少し危うい気がする。国際社会の現実の前では、憲法前文は空想的すぎると批判されるのも理解できる。
では、自衛隊を正面から認め、さらに世界各地で平和のために自衛隊による武力行使も認める方向での憲法改正をすべきなのか。自衛隊の存在だけを認めるなら現行憲法の解釈でも可能であるからあえて改正の必要はない。したがって、現在の改正論議は、自衛隊の存在を認めることにとどまらず、海外での武力行 使さえ容認できる方向での論議と考えて良いと思われる。これは、日本の海外での戦争への荷担を認めかねない方向での論議である。
このことがたくさんの命を犠牲にして成り立った憲法の精神に合致するのか。
戦争は平和の最大の敵であり、人権にとって最強の敵である。戦争のあるところに平和も人権もない。
憲法改正という道がどこにつながっていくのか。
私は、最初に理想と現実ということを述べたが、人生とは違い、憲法は理想を追い求め続けてもいいのではないかとも思う。誰かが理想を追わなければ、いつまでたっても世界が平和にならないような気がする。
武力による平和の確保という道は、イラクの現実を見ても成功しないものではないのか。復讐の連鎖だけが残される。
理想は現実の前に時に後退を余儀なくされるが、世界の平和については理想を追い続けてもいいのではないか。
今、それができるのは日本しかない。60年追い求めてきた日本の平和への道。人生なら大人になった年月が過ぎたが、平和への長い長い道を考えれば、まだ憲法は青年期にあると呼んでよいと考える。
理想を失うにはまだ少し早すぎる。
理想を失うとき、人は老い、理想を失った国家は衰退する。
憲法は改正せずに、武力によらない紛争解決への道、平和への道を達成するという理想を、もう少し追い求め続けることが、多くの犠牲者を出し、世界で唯一の原爆の被害者を出した日本だからできる、日本の責任だと思うがどうだろうか。
いずれにしても難しい問題である。いろいろな観点からさらにこの問題を考え続けたいと思う。
(注:この談話は、2007年11月10日のシンポの挨拶文と同じです)
2007年11月10日
山梨県弁護士会会長 小澤 義彦

会務は他人(ひと)の為成らず
1 山梨県弁護士会の歴史と役割
山梨県弁護士会は、明治26年にその前身である甲府地方裁判所所属弁護士会として発足し、昭和30年に山梨県弁護士会と名称を改め、その歴史は本年で114年目、山梨県弁護士会となって52年目を迎えます。
この間、弁護士会と私たちの先輩弁護士が常に目指したことは、人権の擁護と社会正義の実現でした。時に、在野の一角として権力と対峙し、また、社会的弱者の救済に助力してきたのも私たちの先輩弁護士が行ってきたことであり、今も連綿として続いていることです。
正しい者が正しく扱われる社会こそ、私たちが目指す社会だと考えます。正しい者が、弱いが故に、あるいは少数者であるために不当に扱われたり、不平等に扱われ、あるいは虐げられてはならない、これが正義であり、人権擁護であると私は考えます。
弁護士の活動は、時に極悪人の弁護であったり、少数者の擁護であるため、なぜあんな悪い奴を擁護するんだ、とか、世間知らずであるとか、常識を知らない、な どと非難されることもままあります。しかし、これらの者を擁護し、代わりに発言できる者は、弁護士であり、弁護士こそがなすべきことと考えております。弁 護士がこのようなことに発言しなくなったら、社会は暗黒の世界に入っていくと思います。暴力や力の強い者が幅をきかせる社会だけにはしてはならないと考え ます。また、多数意見が常に正しいとも限りません。多数意見が感情に流されて誤った行動をしようとするとき、これを止めるのも弁護士の役割と考えます。
弁護士は、明日の楽しい旅行を皆が考えているときに、事故が起きたらどうしようとか、迷子が出たらどうしようとか、お金が不足したらどうするんだ、と か、暗いこと、悪い事態、問題点ばかり考えているところがあります。しかし、このような人が存在するからこそ、いざと言うときに皆がパニックにならなくて すむし、緊急の事態にも冷静に対応できることになります。弁護士のとかく暗くなりがちな発言は、明るい世の中を作るために必要不可欠と理解していただけれ ば幸いです。
弁護士の仕事は何かを生産することはありませんが、社会が安心して円滑に活動していくために不可欠な仕事です。この弁護士の活動を支えていくのが弁護士会の活動でもあります。
2 無償の会務活動こそが個々の弁護士活動の源泉となる
弁護士会では、1年間に延べ250回前後の委員会が開催されています。ほとんど毎日昼食時間あるいは夕方の時間帯に委員会が開かれ、会員である 弁護士は、複数の委員会の委員を掛け持ち、委員会で決定された個々の会の活動(会務と言います)を行います。人権救済の申立があれば現地の確認や申立人の 面会に行きます。法教育委員会では、未来を担う子供達のために県内の小学校・中学校・高校に出かけて出前授業を行っています。刑事弁護センターは、日々あ るべき刑事事件の弁護活動を研究し、子供の権利委員会は、未成年者の処遇をめぐる問題を取り扱い、民事暴力被害者救済センターは、暴力団に悩まされる人々 の救済活動を行うなど、多くの場面で弁護士が活動しています。私は、いろいろな団体に所属してきましたが、こんなにまじめに議論し行動する団体を他に知り ません。
この活動を私たち弁護士会は、誰の援助も受けず行っています。活動の資金は私たち会員が会費を払って維持しています。
この無償の行動に支えられた会の活動こそが弁護士が社会の信頼を得ている根源の一つだと考えます。弁護士会と弁護士に寄せられた信頼の上に私たちの個々 の弁護士活動も成り立っております。「弁護士さんの言うことだったら聞こうじゃないか」、この言葉を社会から言ってもらうことこそが私たちが守らなければ ならない事柄です。弁護士会はこの社会からの信頼を今後も得ていかなければなりません。個々の会員の皆様は、会務をこなすことは大変でしょうが、どうかそ れは、市民のためになると同時に私たち自身のためになると信じてがんばっていただきたいと思います。
3 司法への信頼を得なければ私たちの発展もない
近年の司法の世界は大改革が行われています。昨年業務を開始した日本司法支援センターへの協力、2009年に開始される裁判員制度の円滑な実 現に向けての活動、国費による被疑者弁護の拡大、法科大学院の設置と大幅な法曹人口の拡大など、弁護士会を取り巻く状況はめまぐるしいものがあり、その対 応に追われていることも事実です。これも弁護士会をあげて取り組んでいかなければならないことです。ことに裁判員制度は、司法に一般の方々が本格的に参加 する初めての制度と言ってもよく、国民主権、司法への国民参加の実現のためにも、法曹界をあげて成功させなければならない制度と考えます。個々の事件で は、時に検察官と戦うことは当然です。それは真実発見のためにどうしても必要なことだからです。しかし、制度としての裁判員裁判は法曹三者が協力して成功 させなければなりません。アメリカの陪審制度も参加したほとんどの人が「参加して良かった」との感想を持っていると聞いております。日本でもきっと参加した人は参加して良かったと述べると思いますし、また、そのような制度に育てなければなりません。これは裁判所・検察庁・弁護士会だけでなく、司法に関わる すべての人に課せられた大きな責任だと考えます。国民の司法への信頼を失ってしまっては、法治国家は成り立ちません。
これから、この1年山梨県弁護士会の歴史に恥じないよう努力する所存です。是非皆様のお力添えをお願い申し上げます。
2007年6月5日
山梨県弁護士会会長 小澤 義彦

「ゲートキーパー立法」に反対する会長声明
山梨県弁護士会は、不動産の売買等一定の取引に関し「疑わしい取引」を警察庁に報告する義務を弁護士に課するゲートキーパー立法に反対する。
1.弁護士に対するゲートキーパー制度は、犯罪収益やテロ資金の移動に利用されうる金融取引に関し、代理人や助言者としてその執行に関与する弁護士を取引の門番(gatekeeper)と位置づけ、犯罪収益の洗浄(マネー・ロンダリング)やテロ資金の移動を見張らせ、そのような疑いのある取引の報告をさせる等の規制をすることにより、これらの犯罪行為を抑制しようとする制度である。
2.2003年6月、FATF(国際的なテロ資金対策に係る取組みである「金融活動作業部会」の略称)は、マネー・ロンダリング及びテロ資金対策を目的として、従前から規制の対象としていた金融機関に加え、弁護士等に対しても不動産の売買等一定の取引に関し「疑わしい取引」を金融情報機関(FIU)に報告する義務を課すことを勧告した。
これを受けて、政府の国際組織犯罪等・国際テロ対策推進本部は、2004年12月、「テロの未然防止に関する行動計画」を策定し、その中でFATF勧告の完全実施を決定した。
そして、2005年11月17日、政府は、FATF勧告実施のための法律整備の一環として、金融情報機関(FIU)を金融庁から警察庁に移管することを決定した。
3.しかし、弁護士に対するゲートキーパー制度は、市民の弁護士に対する信頼や弁護士自治を侵害するものであり到底容認できない。
弁護士は、国家権力との対抗の中で市民の人権を擁護することを職責としており、職業的秘密の原則は、このような職業の本質に根ざすものである。政府又は政治権力から独立していること (弁護士自治)は、弁護士が人権を擁護し、社会正義を実現するための基盤なのである。守秘義務は、この基盤を支える義務であり、国民の弁護士制度・司法制度への信頼の基礎となっている。このことから、弁護士は、職務上知りえた秘密を保持する権利を有し、依頼者に対しては高度な守秘義務を負っている。これは、市民の側からすると、秘密のうちに弁護士と相談することができる権利を保障されているということにほかならない。しかし、「疑い」だけで弁護士が依頼者の秘密を「密告」しなければならないとしたら、依頼者は安心してすべての事実を弁護士に告げることはできないし、弁護士が依頼者に対して法律を遵守するための適切な助言をすることもできない。ゲートキーパー制度は、国民の弁護士制度・司法制度への信頼の基礎を崩壊させてしまう危険性がある。
4.特に、金融情報機関(FIU)が金融庁から警察庁へ移管され、警察庁に対し報告を義務づける制度は、弁護士・弁護士会の存立基盤である国家権力からの独立性を危うくし、弁護士・弁護士会に対する国民の信頼を損ねるものであり、弁護士制度の根幹をゆるがすものである。
5.ゲートキーパー立法は、弁護士制度ひいては司法制度そのものに対する国民の信頼を根底から覆すものであり、国民にとって余りにも失われるものが大きいと言わざるを得ず、到底容認できない。
ここに、当会は、国民の理解を得ながら、日弁連とともに反対運動を展開して行くことを決意する。
2006年2月24日
山梨県弁護士会会長 田中 正志

代用監獄の廃止を求める決議
1.警察署内に設置されている留置場は、本来被疑者を司法当局に引致するまでの間一時的に留め置く場所であり、被疑者を勾留すべき施設ではない。
被疑者を勾留すべき施設は捜査当局から独立した施設でなければならず、被疑者の勾留を捜査に利用することがあってはならないことは、国際人権規約委員会などの国際機関によっても確認され、かつ国際人権規約にも明記されているとおり、近代刑事司法の大原則である。
2.そうした大原則に逆行し、代用監獄を恒久化させる内容の「拘禁二法」案が1982(昭和57)年4月、国会に提出された。
日弁連は全力でこの法案を廃案とするための運動に取り組み、当会においても他会に先駆けて臨時総会を開催したうえで廃案にするための総会決議を採択し、市民集会を開催し、駅頭宣伝活動、弁護士デモ等の反対運動を続けてきた。こうした国民運動の力によって同法案は1983(昭和58)年11月に廃案となった。
その後も1987(昭和62)年4月、1991(平成3)年4月に提出された第2次、第3次拘禁二法案も同様に廃案とされた。
警察庁、法務省は三度廃案とされた事実を重く受け止め、虚偽自白の温床となってきた代用監獄の存続を断念し、被疑者の勾留場所を拘置所とするための施策を考えるべきであった。
3.しかるに、今般、代用監獄を恒久化するための法案が通常国会に提出されようとしている。しかも今回の法案には代用監獄の存続を是とする有識者会議の意見が付されている。情勢は極めて緊迫していると言わざるを得ないものである。
警察庁舎の建て替え等によって留置場の内容が近代化されたとしても、捜査側の手元に身柄を留めるという代用監獄の本質にはいささかの変化もないのである。
昨年9月に再審開始が決定された布川事件(1967年8月に発生した強盗殺人事件、自白のみを唯一の直接証拠として二名の被告人に無期懲役が言い渡されていた事件)、真犯人が見つかって窃盗罪等が無罪となった宇和島誤認逮捕事件など代用監獄が虚偽自白の温床となり、えん罪を生んでいる例は現在においても枚挙にいとまがないのである。
当会は、代用監獄の存続を是とするあらゆる立法に反対し、代用監獄の廃止を強く求めるものである。
2006年2月24日

共謀罪の新設に反対する会長声明
衆議院解散により一旦廃案となっていた「犯罪の国際化並びに情報処理の高度化に対処するための 刑法等の一部を改正する法律案」は、昨年10月4日付けで第163回国会(特別会)に再度上程された後、 継続審議となっていたので、本日、第164回国会(常会)が召集されたことにより、この国会で審議されることとなった。
この法案の中には「共謀罪」の新設が規定されている。
「共謀罪」は、団体の活動として当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を共謀した者は、 5年以下の懲役または禁固もしくは、2年以下の懲役または禁固に処するというものである 。
共謀罪は、「国際的な犯罪の防止に関する国際連合条約」(以下「条約」という。)の批准のための国内法を整備するために上程されたものであるが、条約は、国際的テロ行為を防止することを目的としたものであり、第3条において「性質上越境的なもの」との限定が加えられているのに対し、国会で審議される共謀罪については、かかる要件が欠けているため、他の600以上の国内犯罪にも適用される虞がある。
また、「犯罪の共謀を行った者の一部が実行に着手した場合にのみ、他の共謀者にも犯罪が成立する。」という共謀共同正犯理論が我が国の確立した判例理論である。
しかし、共謀罪は、実行の着手、予備行為さえも不要とし、犯罪実行の意思の合致のみで処罰が可能となり、共謀共同正犯理論に反するだけでなく、株式会社、NPO、宗教法人等あらゆる団体の活動が処罰対象となり、刑法の自由保障機能を形骸化させ、思想・良心の自由、表現の自由、結社の自由といった基本的人権が侵害される虞もある。
条約第5条第1項には、「国内法上求められるときは、その合意の参加者一人による当該行為の内容を推進するための行為を伴い又は組織的な犯罪集団が関与するもの」と規定されているが、共謀罪においては、まったくこの点が欠落しており、条約批准に便乗して国家による個人のプライバシーへの干渉を強化しようとするものである。
以上のように、共謀罪は、明確性の原則、自由保障機能といった刑法の大原則に反し、その適用範囲、処罰対象が必要以上に拡大された結果、国民の基本的人権に対して重大な影響を与えるものであって、当会としては、これに断固反対の意思を表明するものである。
2006年1月20日
山梨県弁護士会会長 田中 正志

5月度会長談話
会長に就任して1ヶ月が経過しました。今回は会長の1ヶ月をご紹介します。
各会の会長は、日本弁護士連合会(通称:日弁連といいます)の理事に選任されます。
また、山梨県弁護士会の会長は、関東弁護士会連合会(通称:関弁連といいます)の理事にも選任されます。
従いまして、山梨県弁護士会の会長は、山梨県弁護士会の会務を担当するとともに、関弁連の理事会と日弁連の理事会に出席し、その運営方針等を決定します。
4月は、新執行部が就任したばかりですので、行事が盛りだくさんです。
4月4日
会長・副会長が就任のあいさつ回り
裁判所、検察庁、県、甲府市など関連各団体を回りました。
5日
関弁連理事会
理事長ほか、就任のあいさつ回り
最高裁、東京高裁、東京地裁、最高検、東京高検、東京地検などの関連団体を回りました。
6日
委員会(司法改革センター)
7日
弁護士会への受け入れ文書の確認・検討
委員会(消費者委員会、日本司法支援センター委員会)
9日
常議員会 *弁護士会の運営等の審議・決定機関です。
市民講座・無料法律相談会
12日
委員会(法律扶助運営委員会)
13日
弁護士会への受け入れ文書の確認・検討
弁護士会全員昼食会(会務報告)
14日
委員会(法律相談委員会、総務委員会)
15日
日弁連理事会
16日
日弁連理事会
19日
弁護士会への受け入れ文書の確認・検討
委員会(法教育委員会)
21日
委員会(日本司法支援センター委員会、広報委員会)
25日
委員会(修習委員会)
26日
関弁連理事会
関弁連役員披露宴
27日
弁護士会への受け入れ文書の確認・検討
委員会(子どもの権利委員会)
山梨県弁護士会役員披露宴
28日
委員会(図書コンピューター委員会、刑事弁護センター)
会長談話発表
これらの行事をこなすほか、5月の行事の計画・準備、活動方針に基づいた会務の計画・実行などを日々行っています。
4月5日に関弁連理事として就任のあいさつ回りをしたときは、最高裁長官、最高検検事総長など各団体の長に対応していただき、感激すると同時に自らの立場の重さを実感しました。
4月9日の市民法律講座・無料法律相談会は、本年度第1回目です。
遺言の日(4月15日)を記念して、また、高齢者・障害者支援センターを平成17年3月に設立したことを記念して、遺言、相続に関連した市民法律講座と無料法律相談会を開催しました。
市民法律講座の講師は、花輪仁志弁護士が担当しました。相続、遺言、遺留分などを具体的な事例を交えて説明がなされました。
やさしく、穏やかな語り口調で、参加者からは分かりやすく、勉強になったとの感想が聞かれました。
また、多くの質問がなされ、講師と参加者、参加者間においても一体感があった講座でした。
市民法律講座と無料法律相談を同日に連続して開催するという初の試みで、両方とも参加した方も多く、法律知識が得られ、また具体的な問題の解決もはかれたと好評でした。
当日は晴天で、春爛漫、桜も満開で、信玄公祭りが行われるところであり、絶好の行楽日和であったにもかかわらず、市民法律講座に26名、法律相談会に17件の参加がありました。
4月27日の山梨県弁護士会役員披露宴は、甲府地方裁判所所長、甲府地方検察庁検事正ほか県内の関連各団体の代表や関係者をご招待し、山梨県弁護士会の会長・副会長・監事の役員を披露するものです。ここでは会長が本年度の活動方針などをあいさつをします。弁護士会の活動を理解していただく大切な機会と言えます。毎日、会務に追われ、過ぎてみればアッという間の1ヶ月でした。毎日が分刻みのスケジュールで、睡眠時間を削ってなんとかこなしているという感じです。5月の山梨県弁護士会の市民向け予定5月14日に第2回市民法律講座・無料法律相談会を弁護士会館において開催します。 午後1時30分から永嶋実弁護士による「少年犯罪の現状と少年法」の講座があります。 午後3時からは弁護士10名による無料法律相談を実施します。ぜひ、ご参加ください。
2005年5月13日
山梨県弁護士会会長 田中 正志

除名処分についての会長声明
当会は、会員関一に対し除名を命ずる旨の平成17年1月24日付当会懲戒委員会議決を受け、同年2月10日その旨処分を決定し、同月17日同会員に対して書面をもって告知しました。
当会の規程によりますと、懲戒処分は告知の書面(懲戒書)の到達をもって効力を発しますので、平成17年2月17日をもって同会員は弁護士資格を喪失しました。
同会員の行為は、弁護士法第1条第2項に定める職務に関する誠実義務に違背することはもちろん、何よりも破産管財人の社会的信頼を損ない、かつ同会員が当会会長を務めた者であることから当会はもとより弁護士全体の信用を大きく失墜させたものであって、同会員の責任は極めて重大であると判断し、懲戒処分中最も重い除名を選択したものであります。
今後は、明後日甲府地方裁判所において第1回が開かれます同会員の公判を見守りながら、その動機、具体的な行為、態様等公判で明らかにされる事実を見極め、二度と再びこのようなことが起こらないよう会を挙げて検討してまいる所存です。
2005年2月21日
山梨県弁護士会会長 水上 浩一

司法修習生の給費制堅持を求める声明
当会は、2003年(平成15年)10月4日、「司法修習生の給費制維持を求める会長声明」を発した。
しかるに、司法制度改革推進本部法曹養成検討会は、本年6月15日、給費制に代えて平成18年度から貸与制を導入するとの取りまとめを行った。極めて遺憾なものと言わざるを得ない。
戦後、国民主権の下、新しく発足した司法制度の中で、司法修習制度は、法曹養成の一元化を実現するとともに、給費制を採用し、単なる職業人ではなく、国民の権利擁護、法の支配の実現を実践するプロフェッションたる法曹を養成してきた。司法修習を終えた弁護士は、裁判官や検察官と同様、基本的人権の擁護と社会正義の実現の担い手として高い公共性と公益性を国民から期待され、この期待に応えるべく、職務上のみならず公益活動など多くの分野で絶え間ない努力を重ねている。
給費制を廃止することは、国民に最も身近な法曹である弁護士に対する公共性と公益性の期待を放棄することになりかねない。この点は貸与制によって代替することができないものであり、これによって生じる国家的、社会的損失は極めて大きいものがある。
また、貸与制によって司法修習生の修習専念義務が確保できるかも問題である。貸与金は基本的には返還しなければならないから、司法修習生が将来の返還債務の履行を考えたとき、果たして修習期間中安んじて修習に専念できるか疑問だからである。
法曹養成制度が変わり、法科大学院での修学に多大な経済的負担を要するようになった。これに加えて司法修習中の貸与金を返還しなければならないとすれば、経済的な弱者は法曹への道を閉ざされることにもなりかねない。少なくとも、法曹としての出発が多額の債務を負担してのものとなる場合が多くなると考えられ、修習生がその軽減のために弁護士に課せられた社会的公共的使命よりも、より待遇の良い法律事務所を事務所選択の基準としていくことも予想される。そのような事態は司法の利用者たる市民・国民にとって決して歓迎すべきものではない。さりとて、その対策として一定の範囲で貸与金の返還免除措置を導入することは、導入の条件・方法如何では任官者に対する返還免除に繋がり、法曹における官と民の二分化を招来するものであって到底認めることはできない。
国には司法制度改革を実現するために必要な財政上の措置を講じることが義務づけられているのであって、財政的事情から司法修習生の給費制を廃止することは本末転倒である。
よって、山梨県弁護士会は、あらためて給費制の廃止に強く反対するものである。
2004年8月10日
山梨県弁護士会会長 水上 浩一

自衛隊のイラク派遣の中止を求める会長声明
当会は、自衛隊のイラク派遣に強く反対し、政府に対し、既に派遣された自衛隊の即時撤退と今後の派遣中止を求める。
確かに、イラクの現状を見ると、国際的復興・人道支援が必要とされ、求められていることは十分理解しうるものであるが、同支援は国連を中心とした枠組みのもとで、非軍事的な分野・手段で行われるべきであり、かつ、イラク国民が真に期待し要望するものでなければならない。
今回の自衛隊のイラク派遣は、国連のPKO活動に対する協力としてなされるものではなく、国連の要請もイラクの同意も存しない。イラクでの自衛隊の活動は、米英による侵攻の戦後処理としての占領行政に対する協力にほかならない。しかも、この米英によるイラク侵攻は、国連憲章に反するとの指摘の中で、イラクの保有する大量破壊兵器等の危険性排除を理由として開始されたものであるにもかかわらず、大量破壊兵器等は発見されておらず、米英の主張した正当性も失われ、その国際法上の違法性が明らかになりつつある。
今回の自衛隊イラク派遣の根拠であるイラク特措法の基本原則は、「自衛隊等の対応措置は非戦闘地域において実施し、武力による威嚇または武力行使にあたるものであってはならない」というものである。しかし、現在イラクでは、全土で連日のように、米兵等の軍事関係者のみならず国際機関職員や外交官さらには一般市民にまで攻撃が加えられ、多数の死傷者が出ている。米軍も認めるとおり、「イラクは戦争状態にあり、その全土が戦闘地域」であり、安全な「非戦闘地域」などが存在しないことは明らかであって、今回の自衛隊のイラク派遣は、イラク特措法にも違反するものである。また、そもそもこのイラク特措法は、イラクにおける自衛隊の武力行使を容認することにつながるものであり、国際紛争を解決するための武力行使および他国領土における武力行使を禁じた憲法に違反するおそれが極めて大きい。
自衛隊のイラク派遣は、上記のとおり米英の占領行政に対する協力としての性格をも担うものといえ、そのため、派遣された自衛隊が、米英軍の協力者として攻撃目標となり、戦闘に巻き込まれて武器を使用する事態が起きることは回避できない状況にある。これは、自衛隊員に死傷者が出るだけでなく場合によってはイラク国民にまで危害を及ぼす事態となることを重く受け止めるべきである。「テロに屈してはならない」「汗を流す必要がある」との掛け声のもとに、若い自衛隊員の尊い生命が犠牲とされること、また自衛隊の武力行使によりイラク国民に犠牲者を出すことは、決して容認できない。今回の自衛隊派遣は、イラク特措法が懸念した事態を引き起こし、憲法が禁止している自衛隊による武力行使という事態を招く危険性を強く有するものである。
よって、当会は、自衛隊のイラク派遣に強く反対し、政府に対し、既に派遣された自衛隊の即時撤退と今後の派遣中止を求めるものである。
2004年2月27日
山梨県弁護士会会長 深澤 一郎

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