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2016-04-24 03:56 0 comments

652 京都在特会街頭宣伝差し止め等請求事件②(0)

引用元 

第4 争点に関する原告の主張の要旨
【争点1(被告在特会の当事者能力)について】
1 組織の運営に関する規約が存在し,構成員の変更にもかかわらず団体そのものが存続し,組織の意思決定の方法,組織の代表の方法,組織の財産の管理方法が決められている団体は,民事訴訟法29条の「法人でない社団」に該当し,民事訴訟における当事者能力を付与される。
2 被告在特会は,その規約(会則)によれば,団体としての目的が存在し,会員の総会における議決権についての定めを有し,役員等の機関が設置されており,寄付金による運営及び会計年度についての定めも有する。
また,被告在特会は,自己名義の預金口座を管理しており,さらに,被告在特会のウェブサイトには,500円から10万円の寄付金をクレジットカードにより決済することが可能な仕組が設置され,被告在特会はこの仕組を利用して,ウェブサイトの閲覧者に対して広く寄付を呼びかけている。これらの事実に照らせば,被告在特会が民事訴訟法29条の「法人でない社団」に該当することは明らかである。
【争点2(本件示威活動の不法行為該当性 不法行為該当性 不法行為該当性)について】
1 原告の人格権(民族教育実施権)を侵害していること
(1) 原告は,民族教育事業を実施することを目的とする学校法人であり,以下に述べるとおり,児童らの民族教育を受ける権利(自らの属する民族の言葉によってその文化及び歴史を学ぶことにより,一個の人間として成長及び発達し,自己の人格を完成及び実現する教育を受ける権利)を実質的に保障するために極めて重要な意義を持つ「民族教育を実施する権利」(以下「民族教育実施権」という。)を有している。
(2) 憲法上の保障
憲法第三章による基本的人権の保障は,権利の性質上日本国民のみを対象としていると解されるものを除き,我が国に在留する外国人に対しても等しく及び,内国法人の権利についても,性質上可能な限り,憲法上の保障が及び得るところ,教育を実施する自由は,後記のとおりの民族教育権に対する
 国際人権法上の保障とあいまって,人格的生存に不可欠な権利として憲法13条により保障される。その中でも社会の中の民族的な少数集団(以下,単に「少数集団」という)の民族教育に関しては,後記のとおり,民族的自我の確立に不可欠であることから,厚い保護が与えられなければならない。また,この権利は,教育を受ける権利の自由的側面として,憲法26条によっても同様に保障される。
(3) 国際人権法上の保障
「教育に対する権利」(right to education)は,世界人権宣言26条1項,「経済的,社会的及び文化的権利に関する国際規約」(いわゆるB規約である。以下「社会権規約」という。)13条1項,「児童の権利に関する条約」(以下「子どもの権利条約」という。)28条1項で明文規定されている普遍的人権の一つである。
 この権利は,人権行使の前提条件であると同時に,他の人権を強化し,実質化する機能を備えており,その意味で,種々の人権の中でも最も基礎的かつ重要な権利の一つと位置づけられている。教育は人格の全面的発達及び人間の尊厳の確立に不可欠であり,教育に対する権利の承認と保障なしには自らの人権を認識することも十分に行使することもできないからである。
 また,社会権規約13条3項及び4項,子どもの権利条約29条2項の各規定をも踏まえれば,少数集団が私立学校を設立及び維持して,母語教育及び民族教育を行う権利を有することは明らかである。
 したがって,外国人学校及び民族学校の民族教育実施権は,普遍的人権としての「教育に対する権利」の一部として,国際人権法上も保障されているというべきである。
(4) 少数集団の権利としての民族教育
外国人学校及び民族学校が実施する母語教育及び民族教育は,普遍的人権としての「教育に対する権利」の一部であると同時に,民族的,宗教的,言語的少数集団に属する人々の持つ権利であるといえる。つまり,全ての人に平等に保障されるべき人権としてだけではなく,少数集団に特有な権利として二重に保護されるべき権利なのである。 「市民的及び政治的権利に関する国際規約」(いわゆるA規約である。以下「自由権規約」という。)27条は,「種族的,宗教的又は言語的少数民族が存在する国において,当該少数民族に属する者は,その集団の他の構成員とともに自己の文化を享有し,自己の宗教を信仰しかつ実践し又は自己の言語を使用する権利を否定されない」と規定しており,ここから少数集団に属する者の持つ権利としての民族教育権が導き出される。
 少数集団に付与される諸権利の中心は,少数集団に属する個人が,自由に,しかもいかなる形態の差別もなしに,私的かつ公的に,集団の他の構成員とともに,自己の言語を使用し,文化を享有し,宗教を信仰及び実践する権利であり,この権利は個人に帰属するが,集団の存続と社会的及び経済的地位の向上,集団的特性の保持に関わる権利である以上,当然,集団的に行使することが認められる。
 そして,子どもにとって,差別も制約も受けずに自由に母語が使用できること,学習によって母語の能力を伸張できる環境と条件を提供されることは,自分の帰属集団への自信と誇りを持って生きることに直結しており,母語教育及び民族教育は,少数集団が自我を維持して存続するために不可欠な営みであり,母語教育及び民族教育を行う権利は,少数集団の権利の重要な構成要素である。このことは,子どもの権利条約29条1項c及び30条の規律に照らしても明らかである。
(5) 日本国内における在日朝鮮人に対する民族教育の重要性
民族教育は,全ての民族にとって必須のものであり,現に,我が国においても,海外に在留する日本人の子どものために,学校教育法に規定する学校における教育に準じた教育を実施することを主たる目的として,在外教育施設(日本人学校,補習授業校,私立在外教育施設)が設置されており,日本の主権の及ばない外国においても,日本人の子どもたちが,日本国民にふさわしい教育を受けやすくするための教育事業が広く行われている。 我が国における歴史的経緯を踏まえれば,日本国内における在日朝鮮人に対する民族教育は,特別な意義を有する。
(6) 上記のとおり,原告の民族教育実施権は,個々の在日朝鮮人の人格形成にとって必要不可欠なものであり,人格権としての法的保護が与えられる。被告らは,本件示威活動によって,原告の民族教育実施権を侵害したのである。
 しかも,被告らは,示威活動①②では,平日の学校教育の実施の時間帯において,多数人により本件学校付近に赴き,拡声器を用いるなどして示威活動を行うことにより,原告の授業を妨害し,また,当初予定していた授業内容を変更せざるを得なくしたのである。
2 人種差別を煽動する言動であったこと
(1) 被告らの本件示威活動での発言は,在日朝鮮人という少数集団を対象とし,当該少数集団に対する憎悪や敵対意識を強調し,当該少数民族に対する差別
的意識を周囲に表明するというもの-いわゆる「ヘイトスピーチ」-である。
(2) 「ヘイトスピーチ」は,平等の理念を否定し,少数集団に対する憎悪を煽り立て,少数集団に属する人々の自尊心や民族的自我を傷付け,少数集団に対する深刻な被害をもたらすものであって,日本も批准している「あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約」(以下「人種差別撤廃条約」という)が禁止している「人種差別」に該当する。
(3) 被告らの「ヘイトスピーチ」は,原告が民族教育事業の目的の中核とし,原告の存在意義というべき自尊感情,自己肯定感に対して直接の攻撃を行ったものであり,これらの発言内容は,その攻撃的な表現態様ともあいまって,長年にわたる民族教育の効果の蓄積を,一瞬にして消失させかねない悪質な侵害行為であり,原告の民族教育実施権に対する違法な侵害と評価すべきである。
3 名誉及び信用を毀損していること
被告らは,本件示威活動において,別表甲の番号1ないし28のとおり,公然と虚偽の事実を摘示したり,在日朝鮮人を侮辱する発言(番号12及び19については文字表現)を繰り返した上,本件示威活動の映像を公開した(以下,別表甲に記載の発言又は文字表現については,同表の番号により「番号1の発言」などという。番号1から28までの発言及び文字表現を総称して「本件発言」という)。
 本件発言により,原告の関係者,児童,保護者らが耐え難い屈辱や苦痛を味わったのはもちろんであるが,本件発言は,法人としての名誉や信用といった原告の社会的評価を著しく低下させるものであった。
4 名誉毀損としての違法性又は責任が阻却されないこと
(1) 名誉毀損は,公共の利害に関する事実に関し,専ら公益を図る目的で行われた場合,摘示事実が真実であることが証明されたときは違法性がないとされ,あるいは,摘示事実を真実と信じるにつき相当な理由があるときは過失がないとされ,いずれの場合も不法行為が成立しない。しかし,本件発言は,以下のとおり,公益目的に出たものとはいえないし,摘示事実も真実ではなく,またそう信じるにつき相当な理由もない。
(2) 表現行為が専ら公益を図る目的に出たものかどうかは,その表現方法や事実調査の程度なども判断資料とされ,表現方法が不相当なことは,公益目的を欠くことを推認される事情となる。また,意見・論評による名誉毀損行為についても,それが人身攻撃に及ぶなど論評としての域を逸脱したものである場合は不法行為責任を免れない。
 本件発言は,憎悪,反感,敵意,在日朝鮮人に対する差別意識が露骨であり,本件映像公開を通じて,不特定多数人の感情的な反応を引き出し,差別に対する共感や支持を得る目的で企図されたものである。本件学校が本件公園を不法占拠しているとの事実の指摘は,上記目的を達成するための道具として使われたにすぎない。本件示威活動における発言は,公益目的に出たものとは到底いえない。 (3) 番号1,12,13,19,24及び28の発言は,本件学校が本件公園を50年間にわたり不法占拠してきた事実を摘示するが,その摘示事実は真実ではない。
 本件学校は,昭和38年の京都市及び○○町自治連合会との協議を踏まえて本件公園を体育の授業や部活動で使用するほか,運動会及び本件学校の創立記念式典の会場として使用していた。ところが,京都市の担当者が,平成21年6月頃,本件学校を訪れ,サッカーゴール及び朝礼台の撤去を求めたため,本件学校は,同年7月10日,京都市に対し,平成22年1月31日にサッカーゴール及び朝礼台を撤去するとの提案を行い,京都市もこれを承諾していたのである。本件学校は,京都市からの撤去申入れを無視して本件学校にサッカーゴール等を設置し続けていたわけではない。
 そして,被告らが上記摘示事実に関連して行った調査は,近隣住民及び近隣工事現場の警備員からの聴き取り,市役所職員との面談,本件公園の下見といった程度であり,摘示事実を真実と認めるに足りる相当な理由があるとは到底いえない。
(4) 番号2及び14の発言は,本件学校の土地を原告が侵奪した旨の事実を摘示している。また,番号3ないし5,16,25及び26の発言は,本件学校が北朝鮮によるスパイや日本人拉致事件の犯人を養成する機関であるとの事実,あるいは,本件学校が在日本朝鮮人総聯合会(以下「朝鮮総連」という)と一体であるとの事実を摘示している。しかし,これら摘示事実は何ら真実ではなく,またそう信じる相当な理由もない。
【争点3(本件映像公開の不法行為該当性 不法行為該当性 不法行為該当性)について】
1 本件映像公開は,不特定多数人に対し,臨場感をもって,原告が攻撃される様子を見せるという行為である。本件学校の関係者や児童を汚い言葉で攻撃する行為は,すなわち原告に対する攻撃であり,攻撃の標的とされた本件学校の関係者や児童の名誉や自尊心を傷つけることは,すなわち原告に対する権利侵害である。
 本件映像公開は,本件示威活動がいかなるものであったかを認識しながら,敢えてその様子を不特定多数人に見せようとするもので,それ自体が重大な違法性を有するのである。
 また,被告Fが,一旦,ある映像をインターネット上で配信可能な状態に置いてしまうと,たとえ被告Fが当該映像の配信を止めたとしても,映像データを保存した閲覧者が,独自に当該映像をインターネット上で配信可能な状態にすることが可能となる。
 そのため,本件映像公開により,原告は,半永久的に,汚い言葉で被告らから攻撃されている様子を公開され続ける危険に曝されたのでる。このような特殊な効果にも思いを致すなら,本件映像公開の違法性は一層顕著なものとなる。
2 被告Fは,映像を動画サイトに投稿する際,映像の題名及び説明文を自ら編集している。これらの題名及び説明文は,映像を検索され易くし,より多くの
閲覧者を呼び込む効果を持つ。すなわち,被告Fは,単に映像を投稿して配信可能な状態に置いたというだけでなく,題名及び説明文の編集を付加することで,原告が被告らから攻撃される様子がより広範囲で公開されるよう仕向けたのであって,被告Fの編集行為は,それ自体でも重大なその違法性を有する。
【争点4(本件示威活動の共同不法行為性 共同不法行為性 共同不法行為性)について】
1 本件示威活動は,それぞれに参加した被告らによって行われた一体の不法行為であり,被告らは,民法719条に基づき,共同不法行為責任を負う。以下,これを明示的に争う被告F,被告H及び被告Gについて述べる。
2 被告Fについて
(1) 被告Fは,本件示威活動の人種差別的な示威活動の様子を撮影した上,インターネットを通じて,その映像を不特定多数人に見せているのであり,被告Fと被告在特会らは客観的に関連共同して原告に損害を与えている。
被告Fが映像を公開する行為は,被告在特会が支持者を増やし,資金を獲得するという活動方法の重要な一部を構成しているのであって,それ自体が,被告Fとその他の被告らが共謀して活動していることをはっきりと示すものであり,相互の主観的な関連共同性を認めることができる。
(2) 他方,被告らも被告Fに対し,被告らの仲間として対応している。被告Eは,示威活動①において,被告Fに対し「F’さん。F’さん」「こいつ,こいつ,F’さんこいつ」と呼びかけ,本件学校関係者の撮影を指示し,被告Fは,指示に応じて,上記関係者の面貌を撮影しているほか,示威活動①の終了後,被告Fは,他の参加者と共に参加者の車に乗りこみ,八幡文化センターへと同道し,移動の状況も撮影している。これらの事実は,被告らが,被告Fを仲間として扱っていることにほかならない。
(3) また,被告Cは,示威活動②において,拡声器を用いて「あの,12月の4日,あの動画が公開されてからというものは,この活動の流れというものは,一段と加速したと思うんですよ。やっぱり,この勢いを消してはだめです。さらにさらに加速して,一気に持っていけるように,寄りきれるように,私たち力を合わせて頑張っていこうじゃないですか」と演説している。
(4) これらの事実によれば,被告在特会や主権会の名で示威活動を行う者たちが,映像の公開が示威活動を行う上で重要なことであり,撮影及び公開を行う被告Fが,示威活動においての重要な役割を担う人物であると認識していることが明らかである。したがって,被告Fとその他の被告らは,互いに意思を通じ,示威活動における役割分担を行っていたということができるのである。
(5) 被告Fは,平成22年12月30日付朝日新聞朝刊の取材に対し,被告在特会の示威活動の撮影を行っている理由として「行く度に喜ばれ,必要とされたから」と述べており,被告F自身,示威活動に参加する被告らとの主観面での結びつきを認めている。
(6) したがって,被告Fと他の被告らは,客観的にも主観的にも関連共同しているものであり,被告Fは,他の被告らと共同不法行為責任を負う。
3 被告Hについて
被告Hは,示威活動②③に参加したが,これ以前にも被告在特会の示威活動に参加しており,示威活動②の時点で他の被告とは既に知り合いであった。被告在特会や主権会の会員でないにせよ,被告Hは,他の被告らと人的つながりがあった。また,被告Hは,被告在特会の主義主張を支持し,これに同調する考え方を持っていた。
 被告Hは,示威活動②③において,ただ単に示威活動の列に加わって歩き,主導者に従って気勢を上げていた参加者ではなく,拡声器を通じて様々な発言をし,参加者に気勢を上げることを主導していたのであって,他の被告らと共謀し,積極的・主導的に示威活動に加わっていたというべきである。したがって,被告Hは,示威活動②③につき,他の被告らと共同不法行為責任を負う。
4 被告Gについて
被告Gは,示威活動②③に参加したが,被告在特会の執行役員の一人であり,また,副会長として被告在特会の地方支部運営者の任命や解任を行っており,関西支部に送られてくるメールをチェックし得る立場にもあった。
 被告Gは,示威活動②では,拡声器を使用して気勢を上げるよう主導し,示威活動②③において,被告在特会の幹部としての役割を果たしていたものであり,その責任は,他の被告らと比べて何ら軽いものではない。したがって,被告Gは,示威活動②③につき,他の被告らと共同不法行為責任を負う。
【争点5(被告在特会及び被告Bの使用者責任)について】
1 被告在特会の使用者責任
被告在特会は,「在日韓国人・朝鮮人問題を広く一般に提起し,在日を特権的に扱う,いわゆる在日特権を無くす」ための活動を行う社団であり,設立から今日に至るまで,在日朝鮮人その他の外国人を敵視攻撃する示威活動を繰り返している。 本件示威活動においては,いずれも被告在特会の名称を記した幟が掲げられ,拡声器を通じて「在日特権を許さない市民の会」と名乗った上で,在日朝鮮人に対する激しい攻撃が行われているから,本件示威活動が被告在特会の業務として行われたことが明らかである。
 示威活動①においては当時被告在特会の京都支部長であった被告A及び大阪支部長であった被告Dが,示威活動②においては被告A,被告D及び副会長であった被告Gが,Y公園発の示威活動においては被告A及び被告Gが,四条での示威活動においては被告Dが,それぞれ原告に対する不法行為を行っているが,これらの者は,いずれも,被告在特会の会則に基づき,被告在特会の指揮監督を受ける立場にあった者であった。
 したがって,被告在特会の会員であった被告らが共同不法行為責任を負う行動に関し,被告在特会も民法715条に基づき同じ賠償責任を負う。
2 被告Bの使用者責任
被告Bは,自ら参加した示威活動②③について原告に対する直接の不法行為責任を負うとともに,本件示威活動について,使用者責任をも負う。
 被告Bは,「現在の日本は,シナ・中共,朝鮮などの内政干渉に屈服し続け今に至り,その惨憺たる現状は述べるまでもない」という独自の問題意識を掲げ,「中共」「朝鮮」「反日」「虐日」勢力と戦い,「保守運動の行儀の良さと訣別し,行動で以って自らの理念と言論を証明」する方針の下で,「定例街宣,時局に応じたデモ行進等具体的な実践を重視する活動」を主権会の名義で行う者である。
 示威活動①では,主権会の名称を記した幟が掲げられた上,被告Cが拡声器を通じて「私たちは,主権回復を目指す会…今日はこの公園を我々日本人の手に取り戻すための行動を起こしているんです」「これは侵略行為なんです,北朝鮮による」と発言しており,示威活動①は主権会の事業として行われている。
 また,四条での示威活動は,被告在特会のホームページ上で主権会の関西支部の主催で行われる旨が告知されたにもかかわらず,被告Bはこれに異議を述べず,示威活動③につき,他の被告らとの共謀に基づき,人員の配置を決めたものである。
 主権会の関西支部幹事であった被告A,同支部事務局長であった被告E及び同支部長であった被告Cは,本件示威活動において,それぞれ原告に対する不法行為を行っているが,これらの者は,被告Bの指揮監督を受ける立場にあった。このことは,被告Bが,平成22年5月3日付けで,被告A及び被告Eを含む主権会の会員4名の除名処分を行っていることからも明らかである。
 したがって,主権会の会員であった被告らが共同不法行為責任を負う行動に関し,主権会(すなわち被告B)も民法715条に基づき同じ賠償責任を負う。
【争点6(原告の損害)に関する当事者の主張】
1 示威活動①で壊されたスピーカーの損害 4万7040円
被告らは,平成21年12月4日,本件公園に設置された原告所有のスピーカー及びコントロールパネルの配線コードをニッパーで切断して損壊した。この損壊行為による損害(修補費用)は4万7040円である。
2 示威活動①の直後のビラ配布費用 670円
「朝鮮学校を支える会・京滋」は,平成21年12月22日,京都会館において「朝鮮学校への攻撃を許さない!12・22緊急集会」を開催し,原告は,緊急集会の案内ビラを児童らの保護者134名に配布したが,その作成配布に670円(保護者1名当たり5円)を要した。
3 示威活動②の際の課外授業・課外保育の費用 11万5430円
本件学校は,示威活動②による児童への被害を未然に防止するため,平成22年1月14日の授業の予定を変更し,校外での課外授業及び課外保育を行うこととした。
 低学年については琵琶湖博物館(入場無料)において,高学年については国立民族学博物館(1名当たり入場料90円)において課外授業を行うことになり,原告は,2台の観光バスのチャーター費用10万5000円,高速道路通行料4900円(高学年のみ),国立民族学博物館の入場料(54名が参加)の入場料4860円,保護者134名への連絡文書の作成配布費用670円(保護者1名当たり5円)の支出を余儀なくされた(支出の合計は11万5430円)。
4 無形損害のうち民族教育実施権の侵害に関する被害内容
(1) 本件は,民族性の象徴ともいえる本件学校に対して民族的憎悪がぶつけられ,これによって民族教育業務が妨害されたという事件である。民族教育業務への妨害は,経済的損失が問題となる場面ではなく,人格的な価値が評価対象となるのであり,これは金銭損害の立証を観念し得ないものであるから,無形損害として把握されなければならない。
(2) 無形損害の評価にあたっては,憲法的価値を重視すべきところ,前記主張のとおり,原告の民族教育実施権は憲法上・条約上の保護を受ける権利である。また,前記のとおり,被告らによる本件示威活動における発言は「ヘイトスピーチ」に該当するところ,人種差別撤廃条約が,締約国は立法を含むあらゆる方法により人種差別を禁止し終了させるべきであると規定し(2条1項d),その重要な実現手段として,人種差別の扇動等に対する法律による処罰(4条a,b)に加え,裁判所における効果的な保護と救済を定めている(6条)ことからすれば,本件において原告の被った無形損害についての賠償額の算定にあたっては,本件活動が人種差別撤廃条約で禁止された人種差別であることを考慮して高額の賠償額を算定すべきである。
(3) さらに,本件示威活動は,人種的憎悪を動機として組織的かつ集団的に行われ,被告らの生活圏とは無関係の本件学校及び本件公園までわざわざ出向くという能動性を有し,計画的かつ反復継続的に行われたものであり,しかも,過激さの演出のためにあえて違法性の高い行為に及んだという点で,人種差別行為の中でも,人種差別撤廃条約4条において犯罪として取り締まるべきとされている極めて悪質な類型に該当する。
(4) これに加えて,被告らは,不特定多数の公衆に対する大規模な「ヘイトスピーチ」を行っており,これにより差別意識の広範な伝播が生じており,被害者が受けた恐怖及び不安は飛躍的に大きなものとなっている。
 実際にも,本件学校の教職員らは,本件示威活動によって様々な対応を余儀なくされた。示威活動①の予告を認知した平成21年11月19日から平成23年3月24日までの延べ対応時間数だけでも,別表乙のとおり,765.5時間を下ることはなく,莫大な負担を強いられたものである。
5 無形損害のうち名誉毀損による被害内容
(1) 原告は,終戦直後の時期以来,日本社会の根強い差別意識の中で,日本政府からの直接の排斥,弾圧,敵視すらも受けながらも,確固たる信念と熱意のもと,在日朝鮮人の子どもたちのために惜しみない努力を結集し,これに応えて数多くの児童たちが校内外で活躍し,卒業生が日本社会と世界に貢献した結果,何十年もの長期間をかけて,高い社会的評価を培ってきた。高い社会的評価を維持し続けることは,入学児童の募集のため極めて重要なことであるし,本件学校に通う児童らが健全な民族意識を培う上でも大切である。
(2) 残念ながら日本社会においては,今日においてもなお,在日朝鮮人に対する差別意識が広く存しているところ,被告らによる本件活動は,日本社会の差別意識を喚起し扇動するものであったし,原告の名誉及び信用を大きく損なうものであった。インターネットを通じた映像の公開により,本件示威活動における差別的発言が日本社会に広く撒き散らされたため,損なわれた名誉及び信用を原状に回復するには,想像を絶する困難を伴う。
(3) 被告らは,在日朝鮮人等を卑下する差別意識の扇動を目的として活動してきた団体等であり,社会的評価が損なわれた場合の損害の大きさを熟知した上で本件活動に及んでいるから,高額の賠償を課しても酷とはいえないし,むしろ被害の深刻さに照らし,ある程度の高額の賠償が課せられるのでなければ,正義及び公平の理念が没却されることになる。
(以下略)

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