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2328 どんたく岐阜弁護士会⑦(0)

引用元 

どんたく
平成29年7月11日「テロ等準備罪」法案の成立に抗議する会長声明
ttp://www.gifuben.org/oshirase/seimei/seimei170711.html
1.平成29年6月15日、「テロ等準備罪」を創設する組織犯罪処罰法の改正案について、参議院本会議での採決を強行し、同法案を可決・成立させた。
2.「テロ等準備罪」については、衆議院での議論によっても、処罰範囲は曖昧なままであり、不明確な点が多々残されたにもかかわらず、採決が強行された。
参議院においては、より慎重に審議し、国民の理解を深める必要があった。そうであるのに、法務委員会での採決を省略するという異例の手続をとり、参議院本会議での採決を強行した。
これら両院の姿勢は、憲法が規定する国権の最高機関であり国民の代表機関であることを放棄するに等しい。
3.これまでの当会会長声明の中で繰り返し述べてきたように、「テロ等準備罪」は適用要件が極めて曖昧であり、結果的に捜査対象範囲が格段に拡がる危険性がある。とりもなおさず、捜査機関による監視が日常化し市民のプライバシーが侵害されるおそれがあり、また、憲法が保障する思想・信条の自由、表現の自由、集会・結社の自由などの人権が侵害され、これらの権利行使に対する強い萎縮効果が生じるおそれがある。
これらの懸念を払拭するに足る国会の審議が尽くされず、国民に十分な説明がされないまま法案が成立するに至った。
4.当会は、基本的人権擁護の立場から、憲法が保障する人権が侵害される危険性のある「テロ等準備罪」の成立に強く反対し、かつ抗議し続けるものである。
2017年(平成29年)7月11日  岐阜県弁護士会
会長 浅井直美

 

平成29年6月9日衆議院における「テロ等準備罪」の採決の強行に抗議する会長声明
http://www.gifuben.org/oshirase/seimei/seimei170609.htmlhttp://www.gifuben.org/oshirase/seimei/seimei170609.html
1.衆議院は、「テロ等準備罪」を創設する組織犯罪処罰法の改正案について採決を強行し、同法案は平成29年5月23日に衆議院を通過した。
2.政府は、「テロ等準備罪」について、テロ等防止には国際組織犯罪防止条約の批准が必要で、条約批准に向けて立法措置が必要と説明してきた。しかし、当該条約は、金銭的利益その他の物質的利益を得るために犯罪を行うマフィアのような犯罪組織による犯罪防止・措置について国際協力を推進するものである。テロ等対策のために本条約を批准し、条約批准のため立法措置を講じる必要性についての審議が充分行われていない。
3.また政府は、主体を組織的犯罪集団に限定したから一般人は捜査の対象外と説明するが、市民団体のような合法的組織の活動でも組織的犯罪集団のそれと疑われることがあれば、一般人に捜査が及ぶ懸念が残る。
加えて政府は、「テロ等準備罪」は、犯罪の計画行為に加え準備行為が行われて初めて処罰対象とするもので、共謀罪ではないと説明する。
しかし、準備行為には法益侵害の危険性がない行為も含まれ、政府の説明では、例えばATMでの現金の引き出しも準備行為にあたるという。このような法益侵害の危険性のない行為まで準備行為に該当するのであれば、実質的には「テロ等準備罪」は共謀そのものを処罰対象とすることに他ならない。
このように、政府の説明によってもなお「テロ等準備罪」は適用要件が極めて曖昧であり、結果的に捜査の対象範囲が格段に拡がる危険がある。とりもなおさず、捜査機関による監視が日常化するおそれがあり、憲法が保障する思想・信条の自由、表現の自由、集会・結社の自由などの人権が侵害され、これらの権利行使に強い萎縮効果が生じかねない。
4.以上のように、「テロ等準備罪」はその目的や処罰の範囲などに未だ不明な点が多々あり、憲法の保障する人権が侵害される懸念がある。衆議院では、30時間の審議を経たとして採決が強行されたが、充分な議論が尽くされておらず、市民の不安や懸念が払拭されたとは言い難い。
当会は、弁護士法が規定する基本的人権擁護の立場から、人権が侵害されるおそれが高い「テロ等準備罪」の成立に強く反対するものであり、先般の衆議院における採決の強行についても強く抗議する。
2017年(平成29年)6月9日
岐阜県弁護士会 会長 浅井直美

平成29年3月13日「テロ等準備罪」上程の閣議決定に反対する会長声明
ttp://www.gifuben.org/oshirase/seimei/seimei170313.html
1.政府は、共謀罪と趣旨が同じ「テロ等準備罪」を創設する組織犯罪処罰法の改正案を国会へ上程する閣議決定を、今月の下旬にも行うとしている。
2.政府は、国連越境組織犯罪防止条約を批准するために「テロ等準備罪」を創設する必要があるという。しかし、当該条約は、金銭的利益その他の物質的利益を得るために犯罪行為を行うことを目的とするマフィアのような犯罪組織が行う犯罪行為の防止・措置についての国際協力を推進するものであり、そもそもテロ防止のためのものではない。我が国は既にハイジャック防止のためのハーグ条約やシージャック防止条約、プラスチック爆弾防止条約などのテロ防止のための13の条約を締結し、国内法も整備されている。また、重大犯罪については、予備罪や準備罪、共謀罪、陰謀罪などが既に処罰対象とされている。
このように、政府が理由に挙げている条約はそもそもテロ防止のための条約ではなく、我が国は既にテロ防止のための条約を締結して国内法を整備し、テロ等の重大犯罪については共謀罪等を処罰対象としている。このように既にテロ対策は十分に整っていることから「テロ防止のため」という政府の説明は、主権者たる国民に誤解を与えるものであり、適切ではない。
3.政府は、対象犯罪を当初の676から277に減らすという。しかしながら、対象となる犯罪の数が少なければよいという問題ではない。2016年(平成28年)12月5日付の当会会長声明でも述べたように、そもそも「テロ等準備罪」は適用要件が極めて曖昧であり、処罰範囲が無限に拡大する危険性がある。「テロ等準備罪」の処罰可能性が無限に広がってしまえば、憲法が保障する思想・信条の自由や表現の自由、集会・結社の自由などの人権が侵害され、これらの権利行使に対する強い萎縮効果が生じるというほかない。これは自由な政治的言論を基礎とする民主主義国家の基盤を揺るがしかねない。
4.以上のように、民主主義国家の基盤を揺るがしかねない「テロ等準備罪」の創設を国会へ上程する閣議決定をすることについて、当会は、改めて強く反対するものである。
2017年(平成29年)3月13日
岐阜県弁護士会 会長 畑良平

平成28年12月5日「テロ等組織犯罪準備罪」の創設に反対する会長声明
ttp://www.gifuben.org/oshirase/seimei/seimei161205-2.html
1.政府は、いわゆる共謀罪を「テロ等組織犯罪準備罪」と名称を改めてとりまとめ、次期通常国会に提出する旨報じられている。
2.共謀罪は、何ら実行行為がなくとも、共謀が成立しただけで処罰するというものであり、共謀そのものを実行行為とする。しかし、現行刑法は法益の保護を目的とするものであり、法益侵害ないしその可能性がなければ原則として刑罰の対象としていない。すなわち、現行刑法は刑罰の対象を既遂に限定し、一部の犯罪のみを例外的に未遂で処罰し、さらに一部の重大犯罪のみを予備で処罰するという体系をとっている。共謀罪は、法益侵害の可能性がない共謀段階でも処罰するというものであり、現行刑法の原則に大きく反するものである。
3.かかる理由から、共謀罪は、2003年、2004年、2005年の3回にわたって国会に法案が提出されたが、強い反対の声のもといずれも廃案になった。当会も2006年4月20日に、反対する会長声明を発出した。
4.今般、政府は適用対象を「組織的犯罪集団」と限定し、その定義について「目的が4年以上の懲役・禁錮の罪を実行することにある団体」とした。また、犯罪の「遂行を2人以上で計画した者」を処罰することとし、その処罰にあたっては、計画をした誰かが「犯罪の実行のための資金又は物品の取得その他の準備行為が行われたとき」という要件を付した。このように、今般の「テロ等組織犯罪準備罪」は従前廃案となった共謀罪より適用範囲が限定されているようにも思える。しかし、「組織的犯罪集団」や「準備行為」の定義・概念はあいまいであり、適用範囲が限定されたとは言い難い。とりわけ「準備行為」については、「その他の準備行為」という包括的な文言が付されており、きわめて些細な準備行為であっても含まれる余地がある以上、結局は、合意のみで処罰が可能という共謀罪の危険性を何ら限定していない。このようなあいまいな共謀罪が成立してしまうと、政治的な発言や相談、会議等が広く捜査の対象とされる可能性があり、憲法が保障する思想・信条の自由や表現の自由、集会・結社の自由などの人権が侵害され、またこれらの権利行使に対する強い萎縮効果が生じかねない。
このような現行刑法の原則に違反し、憲法が保障する人権を侵害する危険性をはらむ「テロ等組織犯罪準備罪」の創設について、当会は強く反対するものである。
2016年(平成28年)12月5日
岐阜県弁護士会 会長 畑良平

平成28年10月4日憲法に緊急事態条項を創設することに反対する会長声明
ttp://www.gifuben.org/oshirase/seimei/seimei161004.html
1、2012年(平成24年)4月に自民党が公表した日本国憲法改正草案(以下「自民党改憲草案」という。)には、緊急事態条項(第98,99条)が盛り込まれている。しかし、以下に述べるように、かかる緊急事態条項は、立憲主義の趣旨に反するものである。
2.自民党改憲草案の緊急事態条項は、いわば行政に立法権を付与するものであり、国民主権・議会制民主主義・権力分立という憲法秩序が停止されることにより、政府への権力の集中と強化をもたらし、その結果、権力の濫用により国民の自由や権利が侵害される危険性が高い。加えて、緊急事態条項があるために、裁判所の違憲立法審査権による統制が機能しないおそれも生じる。そもそも、国民の権利・自由に対する最大の侵害者は国家である。それゆえ、近代国家における憲法は、国家権力を制限して国民の権利・自由を守ることを目的として存在する(立憲主義)これに対し、緊急事態条項は、国家権力から国民の基本的人権を擁護するための憲法秩序を一時停止させる権限を国家権力自身に与えるものであり、立憲主義を破壊する大きな危険性を孕んでいる。事実、ワイマール憲法下においてヒトラーに独裁政権を許した例や大日本帝国憲法における緊急勅令等の例のように、緊急事態条項は、国家権力を担う者により濫用されてきた歴史がある。日本国憲法は、このような歴史を踏まえ、あえて緊急事態条項を設けなかったのである(憲法制定議会議事録参照)。
3.緊急事態条項の創設に関し、安倍首相は2011年3月に発生した東日本大震災や本年4月に発生した熊本地震に言及している。しかし、日本の災害法制においては、大規模災害時の対処のために必要にして十分な整備が既になされている。たとえば、内閣総理大臣は、災害緊急事態を布告し、生活必需物資等の授受の制限、価格統制等を決定できる(災害対策基本法)ほか、必要に応じて地方公共団体等にも指示ができる(大規模地震対策特別措置法)。都道府県知事及び市町村長に対する強制権の付与も規定されている(災害救助法、災害対策基本法)。
4.以上のように、自民党改憲草案の緊急事態条項は、災害対策等を口実に立憲主義の根幹を変容させ、その濫用による国民の権利や自由を不当に奪う危険性がある。
よって、当会は、憲法に緊急事態条項を創設することに強く反対するものである。
2016年(平成28年)10月4日
岐阜県弁護士会 会長 畑良平

平成28年2月8日消費者庁・国民生活センター・消費者委員会の地方移転に反対する会長声明
ttp://www.gifuben.org/oshirase/seimei/seimei160208.html
政府は、「まち・ひと・しごと創生本部」に「政府関係機関移転に関する有識者会議」(以下「有識者会議」という)を設置し、本年3月には基本方針を決定することとしている。その中で、徳島県からの提案を受け、消費者庁の全部(内閣府消費者委員会を含む)と国民生活センターの全部を同県に移転することが検討されている。
しかし、当会は、以下の理由により、消費者庁、国民生活センター及び消費者委員会の地方移転に反対する。
1.はじめに
政府関係機関を地方に移転する取り組み自体は、地方の活性化等に資する場合もあると思われ、当会としては、そのような取り組みの全てに反対するものではない。
しかし、地方移転によって政府関係機関が果たすべき機能が大きく損なわれることになってはならないから、地方移転にあたっては、その機関の果たすべき機能を個別に検討をした上での、慎重な検証が不可欠となる。
この点、有識者会議も、道府県からの地方移転に関する提案のうち、「官邸と一体となり緊急対応を行う等の政府の危機管理業務を担う機関」や「中央省庁と日常的に一体として業務を行う機関」に係る提案、「現在地から移転した場合に機能の維持が極めて困難となる提案」などについては、移転させないとの方向性を示している。
2.消費者庁の地方移転について
消費者庁は、中国産冷凍餃子への毒物混入事件や相次ぐ食品表示偽装問題など重大な消費者問題の発生を受けて、従来の各省庁縦割りの仕組みを解消して消費者行政を一元化し、安全安心な市場の確保を図るため、政府全体の消費者行政を推進する司令塔の役割を担うべき組織として、平成21年9月創設されたものである。
消費者問題は国民生活のあらゆる場面に関わる問題であり、消費者庁は、政府全体の消費者行政にかかる消費者基本計画の策定、消費者被害の発生・拡大の防止を図るための消費者安全法に基づく他省庁が所管する法律の権限の発動の働きかけ、所管法・所管大臣がないいわゆる隙間事案への対応や施策実施、法改正作業のための関連省庁・内閣法制局・国会議員との協議・調整など、日常的に他のほぼ全ての政府関係機関と連携し一体となって業務を行っている。
大規模な食品被害など消費者の安全を脅かす事態に対しては、官邸および関係省庁との迅速な連絡協議によって様々な緊急対応を行うなど政府の危機管理業務を担うことが求められるが、2013年(平成25年)暮れに発覚した冷凍食品への農薬混入事件に対する消費者庁による他省庁との密な連携に基づく迅速な対応は記憶に新しいところである。
このように消費者庁は他の政府関係機関と一体的に業務を行うことが必要不可欠な機関であることは明らかであり、とりわけ、消費者庁がその司令塔としての実践的な役割を果たすためには、関係省庁との日常的な会議等の実施、法改正作業を迅速かつ頻繁に行うための法案立案作業に関する協議、衆参議員で開催される特別委員会への出席、各政党で行われる調査会、勉強会への出席等の国会対応等が不可欠であり、関係省庁に近接して設置されていることが望ましい。他の政府関係機関が東京に集中している現状において、地方に移転することになれば、通信機器の発達した現在においても、その本来果たすべき重要な機能を低下させ、我が国の消費者行政全体の後退による国民の日常生活の安全が脅かされるのみならず、緊急事態への対応の遅れによって国民の生命身体への危険を拡大させる事態を招きかねない。
3.国民生活センターの地方移転について
国民生活センターは、全国の消費生活相談情報を集約・分析し、一般消費者や地方自治体に情報を発信するだけでなく、消費者庁や消費者委員会や各省庁の消費者関連法制度の不備や見直しの問題提起や立法事実となる資料提供を行うなど、消費者庁ほか関連省庁との密接な連携により、政府全体の消費者行政を推進する機能を果たすことが求められているのであって、これを切り離して地方移転することは消費者行政全体の機能の低下をもたらすことは明らかである。
4.消費者委員会の地方移転について
消費者委員会は、消費者庁等からの諮問事項を審議するほか、各種の消費者問題について、自ら調査・審議を行い、消費者庁を含む関係省庁の消費者行政全般に対して意見表明を行っている。このような監視機能を十分に実現するためには、各省庁、関連事業者、事業者団体等との間の密接なアクセスが不可欠である。
消費者委員会の地方移転が、消費者委員会の機能の低下をもたらすことは明らかである。
5.結論
以上のとおり、消費者庁、国民生活センター及び消費者委員会が地方へ移転することは、これら機関の機能の低下をもたらすものであり、当会は、消費者庁、国民生活センター及び消費者委員会の地方移転に反対する。
2016年(平成28年)2月8日  岐阜県弁護士会
会長 森裕之

平成27年12月17日夫婦同姓の強制及び再婚禁止期間についての最高裁判所大法廷判決を受けて民法における差別的規定の改正を求める会長声明
ttp://www.gifuben.org/oshirase/seimei/seimei151217.html
最高裁判所大法廷(寺田逸郎裁判長)は、昨日、夫婦同姓を強制する民放第750条について「合憲」とし、同条は憲法第13条、憲法14条1項及び憲法24条に違反しておらず、立法措置をとらない立法不作為も違法の評価を受けるものではないと判示した。一方、女性のみに6ヶ月の再婚禁止期間を定める民法第733条については、立法不作為の違法は認めなかったものの、100日を超える再婚禁止期間を設けた部分について「違憲」とし、同条は憲法第14条1項及び憲法24条2項に違反しているとした。
民法第733条の再婚禁止期間のうち100日を超える部分を違憲であるとした点については、再婚期間の短縮につながるもので評価し得るが、父子関係を確定するための医療や科学技術が発達した今日においては女性の婚姻の制約となる再婚禁止期間の撤廃まで踏み込むべきであった。民法第750条について合憲とした判断及び民法第733条について立法不作為の違法を認めなかった点は、判断を誤ったものである。
民法第750条が定める夫婦同姓の強制は、憲法第13条及び同第24条第2項が保障する個人の尊厳、同第24条第1項及び同第13条が保障する婚姻の自由、同第14条1項及び同第24条第2項が保障する平等権並びに女性差別撤廃条約第16条第1項(b)の規定が保障する「自由かつ完全な合意のみにより婚姻をする同一の権利」及び同項(g)の規定が保障する「夫及び妻の同一の個人的権利(姓及び職業を選択する権利を含む。)」を侵害するものである。
今回の最高裁判決でも、女性裁判官全員を含む5人の裁判官が、民法第750条について、憲法24条に違反するとした。岡部喜代子裁判官の意見によれば、「多くの女性が姓の変更による不利益を避けるため事実婚を選んでいる。不合理な要件を課しており婚姻の自由を制約するもの」とし、別姓を全く認めないことに合理性がなく、違憲であるとしている。多数意見でも、選択的夫婦別姓に合理性がないと断ずるものでなく国会で論ぜられ判断されるべきとした。
法制審議会は、1996年、「民法の一部を改正する法律案要綱」を総会で決定し、男女とも婚姻適齢を満18歳とすること、女性の再婚禁止期間の短縮及び選択的夫婦別姓制度の導入を答申した。また、国連の自由権規約委員会は婚姻年齢に男女の差を設ける民法第731条及び女性のみに再婚禁止期間を定める民法第733条について、女性差別撤廃委員会はこれらの規定に加えて夫婦同姓を強制する民法第750条について、日本政府に対し重ねて改正するよう勧告を行ってきた。法制審議会の答申から19年、女性差別撤廃条約の批准から30年が経つにもかかわらず、国会は上記各規定を放置してきたものである。
当会は、国に対し、今回の判決で違憲とされた民法733条はもちろんのこと、法制審議会にて改正が答申され国連の各委員会から勧告がされている民法第731条(婚姻適齢)及び同750条についても、速やかに改正することを強く求める。
2015年(平成27年)12月17日
岐阜県弁護士会 会長 森裕之

平成28年1月20日司法修習生に対する給付型の経済的支援を求める会長声明
ttp://www.gifuben.org/oshirase/seimei/seimei160120.html
司法制度は、社会に法の支配を行き渡らせ、市民の権利を実現するための社会的インフラであり、司法修習は、この司法制度を担う人材を育成する制度である。
したがって、有為な人材の確保が不可欠であり、経済的な理由で法曹となることを断念することがないよう公費をもって養成することが重要である。
わが国では、こうした司法修習制度の重要性に鑑み、終戦直後から司法修習生に対して給与が支払われてきたが、2011年11月から給費制が廃止され、修習資金を貸与する制度(貸与制)に変更された。
近時、法曹を目指す者は、年々減少の一途をたどっているが、この原因の一つとして経済的な理由が指摘されている。すなわち、司法修習生には、修習以前から、大学や法科大学院における資金を必要として奨学金などの債務を負っている者も多く、修習資金を合わせた債務額が極めて多額に上る者も少なくない。こうした実情のため、従前の制度であれば、法曹を目指していた有為な人材が、経済的な負担を慮り、法曹を目指すことを断念しているというものである。
この事態を憂い、日本弁護士連合会をはじめとする多くの団体や個人らが、司法修習生に給付型の経済的支援を設けるための活動を行い、国会議員からも、この活動に対する賛同のメッセージが寄せられるようになった。
こうした中で、先日、国会議員からの賛同メッセージの総数が、衆参両院の合計議員数717名の過半数である359名を超えた。このことは、国民の代表者である国会議員の過半数が給付型の制度が必要であるということを認めたもので、非常に大きな意義を有するものである。
岐阜県では、昨年10月8日、県議会において、「法曹人口政策の早期見直し及び法曹養成制度の抜本的な見直しを求める意見書」を全会一致で可決承認している。この意見書には、司法修習生の修習のための資金が貸与制になったことから、有為な人材が法曹への道を断念せざるを得ない状況が生じており、住民に対する法的サービスの質的悪化が強く懸念される状況に至っていることが触れられている。
いまや国及び地方の双方から、有為な人材が安心して法曹を目指すことができるよう給付型の制度を設けることが求められているのである。
したがって、当会は、司法修習の意義を踏まえ、有為の人材が安心して法曹を目指せるよう早急に司法修習生に対する給付型の制度の創設を求めるものである。

平成27年9月14日安全保障関連法案の参議院での採決に反対する会長声明
ttp://www.gifuben.org/oshirase/seimei/seimei150914.htnl
与党は、安全保障関連法案(以下「法案」という。)に関する採決を、平成27年7月16日に衆議院本会議において強行した。法案は参議院に送られ、現在、参議院において審議が行われている。
報道によれば、政府・与党は、平成27年9月17日にも参議院特別委員会で採決を強行し、その後本会議でも採決を強行しようとしているとのことである。
当会は、立憲主義と恒久平和主義を守る観点から、平成27年5月の定期総会において、上記法案に反対し廃案を求める決議を行い、その後も、街頭での広報や市民向け学習会の開催などによって法案の廃案を求める活動を行ってきた。
この法案に対しては、日本弁護士連合会及び全国の全ての弁護士会も、当会と同様の立場で反対し廃案を求めている。
そして、衆議院本会議での議決後も、歴代の首相経験者や内閣法制局長官経験者、さらには元最高裁判所長官までもが法案の違憲性を指摘し、憲法学者の圧倒的多数も法案は違憲であるとの見解に立っている。加えて、国民の反対の声は、日に日に高まっており、8月30日には国会前に12万人もの国民が集まって反対集会及びパレードが行われた。これに呼応して日本全国各地でも反対集会やパレードが行われ、総参加人数は全国で100万人とも報道された。このように、多くの国民がこの法案に反対している。
そして、最近の世論調査(NNNが9月4日から6日に実施)においては、今国会で成立させることを良いと思わないとの割合が、前月より7.8ポイント増えて65.6%となったと報道されている。
参議院での審議中において、このような世論調査の結果が示されていることは、参議院本会議における採決に対し、法案に反対するとの民意が明確に示されているのである。
このような民意が示されたのは、言うまでもなく、法案が、憲法の定める恒久平和主義や立憲主義に反すること、そして、そのことへの国民の理解がより進んだからである。
参議院は、再度の審議を行うことで軽率な判断や過誤を回避することが期待されている。そうであれば、まさに参議院は、今こそ良識の府としての存在理由を発揮すべきである。参議院は採決の強行という衆議院の重大な過誤を回避し、法案に反対する国民の声を忠実に反映すべきである。
したがって、当会は、参議院が、特別委員会及び参議院本会議で法案の採決を行わないよう強く求める。
2015年(平成27年)9月14日
岐阜県弁護士会 会長 森裕之

平成27年10月13日安全保障関連法案の参議院での強行採決に抗議する会長声明
ttp://www.gifuben.org/oshirase/seimei/seimei151013.html
政府・与党は、2015年(平成27年)9月19日未明、安全保障関連法案(以下「法案」という。)を参議院で強行採決した。
当会は、参議院での採決に先立つ平成27年9月14日、参議院での法案の採決に反対する会長声明を発表しており、今般、参議院で強行採決がなされたことに強く抗議するものである。
これまで、当会は、今回の法案に対し、立憲主義と恒久平和主義を守る観点から、平成27年5月25日の定期総会において法案に反対し廃案を求める決議を行い、衆議院において法案の採決が強行された際は、
これに強く抗議する会長声明を発表(平成27年7月27日)してきた。
この法案に対しては、法案の内容が、憲法前文及び憲法9条の恒久平和主義に反するものであること、また、憲法改正の手続きをへることなく、一内閣が、歴代内閣において継承してきた憲法9条の解釈を変更して集団的自衛権の行使を容認し、それに基づき法案が作成されたことが立憲主義に反するなど、多くの点で違憲性が指摘されており、歴代の首相経験者や内閣法制局長官経験者、さらには元最高裁判所長官までもが法案の違憲性を指摘し、憲法学者の圧倒的多数も法案は違憲であるとの見解に立っている。
加えて、法案に対する民意は、参議院での採決前にNNNが実施した世論調査では、今国会での成立に65.6%が反対しており、参議院での法案成立後に朝日新聞が実施した緊急の世論調査(電話)でも、51%が法案に反対しているなど、法案の成立に反対する民意が多数を占めており、国民主権の見地から、法案は成立すべきものでないことは明らかである。
しかしながら、政府・与党は、国会内の議席数をたのみに、参議院においても強行採決を行ったものであり、これは、憲法の基本原則である、平和主義、立憲主義、国民主権を否定する暴挙というべきである。
したがって、当会は、法案の強行採決に強く抗議し、安保関連法制の廃止を強く求めるものである。
2015年(平成27年)10月13日
岐阜県弁護士会 会長 森裕之

平成26年10月14日「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」(いわゆる「カジノ解禁推進法案」)に反対する会長声明
ttp://www.gifuben.org/oshirase/seimei/seimei
1.はじめに
先の通常国会から継続審議となっている「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」(以下、「カジノ解禁推進法案」という。)の審議が、臨時国会で月内にも再開されると報道されている。
カジノ解禁推進法案は、その目的を、「特定複合観光施設区域の整備の推進が、観光及び地域経済の振興に寄与するとともに、財政の改善に資するものであることに鑑み、特定複合観光施設地域の整備に関する基本理念及び基本方針その他の基本となる事項を定めるとともに、特定複合観光施設区域整備推進本部を設置することにより、これを総合的及び集約的に行うこと」と定めている(第1条)。
また、第2条において、「特定複合観光施設」を「カジノ施設及び会議場施設、レクリエーション施設、展示施設、宿泊施設その他の観光の振興に寄与すると認められる施設が一体となっている施設(いわゆる「IR方式」である。)であって、民間事業者が設置及び運営をするもの」、「特定複合観光施設区域」を「特定複合観光施設を設置することができる区域として、地方公共団体の申請に基づき国の認定を受けた区域」と定義している。
さらに、「国際競争力の高い魅力ある滞在型観光を実現し、地域経済の振興に寄与するとともに、適切な国の監視及び管理の下で運営される健全なカジノ施設の収益が社会に還元されることを基本」とし(第3条)、内閣に、特定複合観光施設区域整備推進本部(本部長 内閣総理大臣)を設置し、「総合的かつ集中的に、必要な法律案及び政令案の立案」を行う(第14条及び第15条)とするものである。
このように、カジノ解禁推進法案は、刑法第185条及び第186条で処罰の対象とされている「賭博」に該当するカジノについて、一定の条件の下に設置を認めるために必要な措置を講じるとするものである。
しかし、以下の問題点から、本法案を容認することはできない。
2.カジノ解禁推進法案の問題点
(1)暴力団対策上の問題
2007年6月に策定された「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」や、2011年10月までに全都道府県で施行された暴力団排除条例に基づき、官民一体となった暴排活動が進められた結果、暴力団の資金源は逼迫しつつある。このような暴力団がカジノへの関与に強い意欲を持つことは、容易に想定される。この点、カジノ営業を行う事業主体からは暴力団を排除するための制度が整備されるとのことであるが、事業主体として参入し得なくても、事業主体に対する出資や従業員の送り込み、事業主体からの委託先・下請への参入等は十分可能である。カジノ利用者をターゲットとしたヤミ金融を典型とする、顧客とカジノとの間の「媒介者」としての関与等、周辺領域での資金獲得活動に参入することも可能である。しかも、これら資金獲得活動を行うに際しては、暴力団員が直接関与する必要がなく、その周辺者、共生者、元暴力団員等を通じて関与することが十分可能であり、これら業務を通じて獲得した資金が暴力団の有力な資金源となり得る。近時、暴力団による金員の要求は巧妙化し、支払いの態様は多様化していることからも分かるように、その支払事実を捕捉することは必ずしも容易ではない。
(2)マネー・ローンダリング対策上の問題
我が国も加盟している、マネー・ローンダリング対策・テロ資金供与対策の政府間会合であるFATF(Financial Action Task Force:金融活動作業部会)の勧告において、カジノ事業者はマネー・ローンダリングに利用されるおそれの高い非金融業者として指定されている。
我が国にカジノを設けた場合、仮にカジノ事業者に対して、犯罪による収益の移転の防止に関する法律に基づく、取引時確認、記録の作成・保存、疑わしい取引の届出を求めたとしても、こうしたマネー・ローンダリングを完全に防ぐことができるとは考えられない。
(3)ギャンブル依存症の拡大
ギャンブル依存症は、慢性、進行性、難治性で、放置すれば自殺に至ることもあるという極めて重篤な疾患である。一方、カジノは利益を上げるために多数の賭博客を得ようとするのは当然であり、カジノ設置によってギャンブル依存症の患者が増加することは避けられない。
(4)多重債務問題再燃の危険性
賭博には必ず敗者が存在する。破産調査の結果によると、破産した者のうちギャンブルが原因と見られる者が5%程度にのぼる。
2006年の貸金業法改正等、官民一体となって取り組まれてきた一連の多重債務者対策によって、この間、多重債務者が激減し、結果として、破産者等の経済的に破綻する者、また、経済的理由によって自殺する者も減少してきた。カジノの合法化は、これら一連の対策に逆行して、多重債務者を再び増やす結果をもたらす可能性がある。
(5)合法的賭博が拡大することによる青少年の健全育成への悪影響も軽視できない。とりわけ、「IR方式」は、家族で出かける先に賭博場が存在する方式であるから、青少年らが賭博に対する抵抗感を喪失したまま成長することになりかねない。
3.まとめ
以上のとおり、刑法で禁止されている賭博行為を行うカジノを推進する本法案は、上記のような様々な弊害をもたらすものであるから、当会は、これに反対する立場を表明するとともに、その速やかな廃案を求めるものである。
2014年(平成26年)10月14日
岐阜県弁護士会 会長 仲松正人

平成26年6月17日改めて集団的自衛権の行使容認に強く反対する会長声明
ttp://www.gifuben.org/oshirase/seimei/seimei140617.html
1.これまで政府は、一貫して、憲法第9条の下における自衛権の行使については、厳格な要件を課してきた。即ち、①我が国に対する急迫不正の侵害(武力攻撃)があり、➁これを排除するために他の適当な手段がない場合に、➂必要最小限度の実力行使に限って許容されると説明されてきた。そして、集団的自衛権の行使は、「自」衛権の名によるものの、武力攻撃を受けた「他」国を防衛するために軍事力を行使することを意味するから、憲法が許容する上記①の我が国防衛の範囲を超え憲法上許されないとしてきた。
しかし、安倍政権は集団的自衛権の行使容認等に向けて、2013年12月に国家安全保障会議(日本版NSC)を設置した上、自衛隊を質・量共に強化し、その活動範囲を広げる等、軍事力による国際紛争への対処の方向性を強く打ち出し、従来の政府解釈の自衛権行使要件の緩和を視野に入れて「国家安全保障戦略」、「平成26年度以降に係る防衛計画の大綱」及び「中期防衛力整備計画(平成26年度~平成30年度)」を閣議決定した。
そして、いよいよ安倍政権は、国民の反対にもかかわらず、安倍晋三首相の私的懇談会である「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)の報告を受け、秋にも予定されている日米ガイドラインの改定に間に合わせるため、憲法解釈を変更する閣議決定を急いでいる。
憲法解釈変更による集団的自衛権の行使容認に対しては、これまで連立与党内部においても、公明党が慎重な態度を維持してきた。これに対し、安倍政権は与党協議の場において個別事例を突きつけ、集団的自衛権行使が容認される事例を一つでも認めさせようと試み、直近の報道によれば同党は今にも同意しかねないとのことである。
2.いうまでもなく、集団的自衛権の行使の可否は、憲法の基本原理の一つである平和主義に深く関わる。
従来の政府解釈が自衛権の行使に厳格な要件を課して来た理由は、平和主義の下では我が国の防衛でない限り実力行使を容認できないからであったと評価できる。換言すれば、それは解釈で可能な限界において個別的自衛権の行使を認めるものであった。要するに、安倍政権の解釈変更は、たとえ集団的自衛権の行使に「限定」が付されようとも、上記①我が国の防衛という要件を外すものであり、その限界を踏み越えることが明らかである。
このような基本原理に関わる変更を、しかも従来の解釈による限界を越えるにもかかわらず、国民の意思を直接問う手続を経ることもなく、一内閣の判断で行うことは、憲法を最高法規とし、その改正に厳格な要件を課し(憲法第96条)、国務大臣等の公務員に憲法尊重擁護義務を課することによって(憲法第98条第1項及び第99条)、権力に縛りをかけた立憲主義という近代憲法の存在理由を根本から否定するものである。
立憲主義は、全ての人々が個人として尊重されるために憲法が国家権力を制限して人権を保障するというものであり、近代自由主義国家が共有するものであって、その趣旨は、個人尊重と人権保障にある。したがって、立憲主義の否定は、これらの価値を否定することにつながり、到底容認することができない。
3.さらに現在の情勢の下で指摘すべきは、集団的自衛権の行使に「限定」を付することが、実質的にも戦争に対する歯止めにならないことである。
まず、我が国が現実に集団的自衛権を行使して他国と共同で軍事行動を開始し、戦闘態勢に入った後に、「限定」を理由とする戦線離脱は、現実的には不可能と予想される。
また、開戦理由が他国に対する攻撃である場合、戦争がどのように収束するかは、その他国と敵対組織との交戦状態に左右され、我が国が自主的に決定することは困難である。その結果、戦線が拡大し、日本本土が戦場と化する危険性すら否定できない。
加えて、ひとたび「限定」された場面で行使を容認すれば、我が国が敵対組織による軍事攻撃の標的にならざるを得ないことは明らかである。それをアリの一穴として、類似する場面でも容認するべきとの論理がまかり通り、ときの政権によって行使容認の場面が次々と増やされていく可能性が高い。
このように「限定」が「限定」たり得ないことは容易に想像できることである。
4.そもそも、憲法は、前文及び第9条において徹底した恒久平和主義を実現しようとするものであって、これらは世界に誇りうる先駆的意義を有する。
この恒久平和主義の下における外交・防衛政策は、本来、あくまでも平和的方法による国際的な安全保障の実現でなければならない。そして、世界各国が相互に密接な経済的依存関係を有する今日、それらの関係を破壊する軍事的方法ではなく、平和的方法による地域的な共通の安全保障を追及することこそが現実的かつ効果的である。
これに対し、集団的自衛権の行使を容認する先には、自衛隊と米軍がグローバルに一体化する軍事的方法による「防衛」しか存在しない。安倍政権はそれを積極的平和主義と呼ぶが、憲法の下ではその名に値しないことは明らかである。のみならず、それは米軍に従属した一体的軍事行動を帰結し、我が国固有の領土領海の防衛に止まらず、実態は米軍の世界戦略に協力する「防衛」行動を強いられる結果となりかねない。
したがって、集団的自衛権の行使は、憲法の有する先駆的意義を踏みにじり、国民を現実的かつ効果的な外交・防衛政策から遠ざけ、むしろ米軍の補完戦力として戦争に駆り立てる結果を招くものであり、これ自体、容認すべきものではない。
5.以上より、岐阜県弁護士会は、安倍政権が憲法解釈の変更によって集団的自衛権の行使を容認しようとすることに対し、たとえそれに見かけ上の「限定」が付されようとも、立憲主義及び徹底した恒久平和主義に反するものとして、強く反対する。
既に、当会は、2013年(平成25年)12月12日に「集団的自衛権の行使容認に反対する会長声明」を発し、安倍政権が憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認は立憲主義及び徹底した恒久平和主義に反するものとして反対したが、この間の安倍政権の暴走というべき国会無視、国民無視の動きに対し、改めて、強く反対を表明するものである。
2014年(平成26年)6月17日
岐阜県弁護士会 会長 仲松正人

平成27年5月18日労働者派遣法「改正」法案及び、労働時間法制「改正」法案に反対する会長声明
ttp://www.gifuben.org/oshirase/seimei/seimei150518.html
1.政府は、本年3月13日、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護に関する法律等の一部を改正する法律案」(以下「派遣法改正法案」という。)を、さらに本年4月3日、「労働基準法等の一部を改正する法律案」(以下「労働時間法制改正法案」という。)を、それぞれ国会に上程した。
しかし、当会は、上記各法案には、以下に述べるとおり重大な問題があることから改正に反対であり、各改正法案は廃案とすべきである。
2.派遣法改正法案について
(1)派遣法改正法案は、昨年3月に国会に上程されたものの、世論の反対の中で、条文の記載の誤りや衆議院解散などもあり、2度廃案となったものである。
今回の法案は、従前の法案に対する「派遣労働者を派遣のまま固定化し、常用代替防止の目的を損なうものである」という国民の批判を受けて、運用において「派遣就業は臨時的かつ一時的なものであることを原則とするとの考え方を考慮する」旨の規定を加えたが、法案そのものの本質には何ら変更はない。
(2)本法案は、①専門26業務の区別規制を廃止して、➁無期雇用の派遣労働者であれば期間制限を撤廃し、➂有期雇用の派遣労働者については、派遣労働者個人単位では同一の組織単位の派遣先への派遣可能期間は3年を上限とするが、派遣先単位では3年ごとに事業所における従業員の過半数を組織する労働組合若しくは過半数を代表する者(以下「過半数組合等」と言う。)の意見を聴取すれば、派遣労働者を入れ替えることで3年経過後も継続して労働者派遣を受け入れることができるとする。
しかし、上記の制度は、以下に述べる通り妥当ではない。
そもそも、使用者が労働者を雇用する場合は直接雇用が原則であるべきことは、労働基準法が中間搾取を禁止するとともに、職業安定法も労働者供給事業を禁止していることから、明らかである。したがって、労働者派遣を認めるとしても、専門業務に対象を限定し、かつ、臨時的・一時的なものとして、常用代替を防止することが基本的な理念とされるべきである。
ところが、本法案は、無期雇用の派遣労働者であれば直接雇用されることなく期間制限のない派遣を強いられる。
次に、有期雇用の派遣労働者の場合は、派遣先企業は過半数組合等からの意見聴取をするだけで派遣労働者の受け入れを継続することができる。たとえ過半数組合等が反対しても、派遣を受け入れる理由を説明するだけでよいため、3年の制限なく実質的には永続的に派遣労働を受け入れることができる。
また、企業内の部署さえ変更すれば、同一の有期雇用派遣労働者を継続して受け入れることもできる。こうして、永続的な派遣労働の利用を可能にする。
このように、本法案は、常用代替防止という基本理念に真っ向から反している。
(3)本法案は、上記に加えて、有期雇用の派遣労働者に対する雇用安定化措置として、3年の上限に達した際に、派遣元は、①派遣先への直接雇用の依頼、➁新たな就業機会(派遣先)の提供、➂派遣元での派遣労働者以外の労働者としての無期雇用、➃教育訓練その他の安定した雇用の継続が確実に図られると認められる措置、のいずれかを講ずるとしている。
しかし、①は実効性が乏しく、➁も他の派遣先が存在し、かつ労働条件が維持されなければ十分な措置とはなりえない。さらに、➂派遣元は労働者派遣によって利益を上げるのであり、派遣労働者以外の労働者としての無期雇用は派遣元にとって利益はなく実現可能性は低い。➃も実効性はない。
しかも、上記の安定化措置は、派遣元に対して、いずれの措置も講じない場合であっても当該派遣労働者に対する損害賠償義務その他の私法的効果の付与や罰則規定がないことから、実効性は乏しいものである。
したがって、本法案の規定する雇用安定化措置は、いずれも極めて不十分であるといわねばならない。
さらに、派遣期間経過後の派遣先からの派遣労働者に対する直接雇用申込の義務は、募集情報の周知義務に変えられる。申込の義務の場合は、派遣先が直接雇用を申し込めば、当該派遣労働者がこれに応ずるだけで雇用契約が成立するが、募集情報の周知は、当該派遣労働者に対し直接雇用を申し込むことにはならないのであるから、当該労働者が応募しても派遣先が承諾しなければ雇用契約は成立しない。明らかな後退である。また、現在定められている違法派遣を継続している場合には直接雇用を申し込んだとみなす規定は、前述の有期雇用派遣労働者の継続利用制度によって違法状態が生じることはおよそ考えられなくなるのであり、適用場面は失われ、骨抜きになってしまう。
(4)以上のように、この派遣法改正法案は、常用代替防止の原則を事実上放棄し、不安定雇用の典型である派遣労働を固定化させるものである。そして、これによって、派遣労働をはじめとする非正規雇用労働者の増大や正規雇用労働者の非正規化をもたらし、格差と貧困を拡大することにつながるものである。
よって、当会は、派遣法改正法案は到底容認できず、改正には強く反対するものであり、本法案の廃案を求める。
3.労働時間法制改正法案について
(1)本法案は、「特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル制度)」を創設し、高度専門的知識を要する業務において、年収が平均給与額の3倍の額を相当程度上回る等の要件を満たす労働者については、労働基準法で定める労働時間並びに時間外、休日及び深夜の割増賃金等に関する規定を適用しないものとしている。
しかしながら、法案には、成果に応じて賃金が決まるということは何ら規定されておらず、成果が上がれば賃金が増えることを保障するものではない。
また、裁量労働制と異なり、時間配分を労働者にゆだねることは規定されておらず、成果を上げるという名目で、際限の無い長時間労働を強いることが可能である。
さらに、健康確保措置として、①始業から24時間以内に省令で定める休憩時間を確保し、かつ深夜労働の回数を省令で定める回数以内とすること、➁健康管理時間(事業場内外で労働した時間)を1ヶ月又は3ヶ月について省令で定める時間内とすること、➂1年間を通じて104日以上、かつ4週間を通じて4日以上の休日を確保すること、のいずれか一つを採ればよいとするが、このうちの一つさえ採ればいいのであるから、例えば①を採っても365日の連続勤務が許容されるし、➁を採ってもその時間内であれば休憩・休日なく働かせることが可能となり、➂を採っても休日以外は24時間働かせることも可能となるなど、長時間労働の抑制と健康確保の実効性はない。
加えて、これまでの経済界の意見表明や安倍首相をはじめとする閣僚の国会答弁、さらに、今般、マスコミで報じられている塩崎厚生労働大臣の経営者向け会合における「とりあえず通す」発言などからすれば、一旦この制度が導入されれば年収要件や対象労働者の要件が緩和され、拡大していく可能性が否定できない。
(2)労働時間法制改正案は、企画業務型裁量労働制について、PDCAサイクル業務や課題解決型提案営業まで対象業務を拡大する。しかし、前者については、現場で業務管理をする労働者全てが対象となりかねないし、後者についても企画・提案等しない営業などは現実には存しないことからほぼ全ての営業職が対象となりかねない。また、適用にあたっての年収要件もなく、若年労働者も広く対象となりうる。
裁量労働制は、労働の量や期限は使用者によって決定されるため、命じられた労働が過大である場合、労働者は事実上長時間労働を強いられ、しかも設定された労働時間以上働いても時間外手当は支払われない。
現在でも、裁量労働制の適用を受けている労働者の多くが、業務量をこなすために設定された時間を超えて労働している実態がある。
(3)このように、本法案は、長時間労働に対する時間外手当の支払い義務を無くし、長時間労働を事実上拡大させるものである。
なお、本法案は、上記制度の創設や見直しと同時に、働き過ぎ防止のための法制度の整備を本法案の目的として掲げている。しかし、本法案には、労働時間の量的上限規制や休息時間(勤務間インターバル)規制のように、直接的に長時間労働を抑止するための実効的な法制度は定められていない。我が国では、正規雇用労働者の年間実労働時間は2030時間であり、他の先進国と比較して異常に長い。そして、過労死の労災請求件数は784件、精神障害に関する労災の請求件数は
1409件(いずれも2014年度)と依然として高水準で推移している。労働者の生命や健康、ワークライフバランス保持、過労自殺及び過労死防止の観点からは、長時間労働の抑止策は喫緊の課題であるが、本法案ではこれに対する実効的な制度が定められていないことは大きな問題である。
(4)以上のように、この労働時間法制改正法案は、企業の人件費の大幅な削減と引き換えに長時間労働を拡大し、労働者の命と健康、健全な社会生活や家庭生活を破壊するものである。
よって、当会は、この労働時間法制改正法案も到底容認できず、改正には強く反対するものであり、本法案の廃案を求める。
2015年(平成27年)5月18日
岐阜県弁護士会 会長 森裕之

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