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2018-02-01 09:18 0 comments

2344 どんたく滋賀弁護士会②(0)

引用元 

夫婦同氏の強制及び再婚禁止期間に関する最高裁判所大法廷判決についての会長声明
ttp://www.shigaben.or.jp/chairman_statement/20160114.html
1.2015(平成27)年12月16日、最高裁判所大法廷は、女性のみに離婚後6ヵ月の再婚禁止期間を定めた民法第733条について、「100日超過部分」は、合理性を欠いた過剰な制約を課すものとして、憲法第14条第1項、同第24条第2項に違反するものと判断し、他方、夫婦同氏の強制を定めた民法第750条については、憲法第13条、同第14条、同第24条のいずれにも違反しないと判断した。
2.当会は、2010(平成22)年5月11日、「民法(家族法)の早期改正を求める会長声明」において、個人の多様な生き方を認め合い、男女共同参画社会を実現する為に、選択的夫婦別姓の導入及び女性の再婚禁止期間撤廃等を内容とする民法改正を速やかに実現するよう国に求めてきた。
すなわち、民法第733条については、現在では、DNA鑑定の普及により低廉な価格で高精度に父子関係の判定ができるのであるから、再婚禁止期間というかたちで、婚姻の自由を大きく制約する必要性は失われていると指摘し、また、民法第750条については、現実には、ほとんどの場合(96%)、女性が氏を変更していること、氏を変更した者の中には、やむなく改姓し、社会生活上、職業上の不利益を被っている者も少なくないこと、夫婦同姓を強制する国は、今や先進国においては日本のみであること、氏名は人格権の一内容を構成するものとして尊重され、婚姻後も人格の象徴としての姓を継続して使用することは憲法上の要請といえることから、選択的夫婦別姓制度を導入すべきであると指摘してきた。
3.まず、民法第733条については、最高裁判決が現行規定の違憲性を明らかにしたことは評価できる。しかし、再婚禁止期間というかたちで女性の婚姻の自由を制限すること自体、合理性は失われているのであるから、100日未満の期間についても、なお問題であり、立法府において、議論を継続する必要がある。
4.次に、民法第750条については、最高裁判決が「家族の呼称を一つに定めることには合理性が認められる」「夫婦同氏制それ自体に男女間の形式的な不平等が存在するわけではなく、夫婦がいずれの氏を称するかは、夫婦となろうとする者の間の協議による自由な選択に委ねられている」「氏の変更による負担は、通称使用の拡充によって一定程度緩和される」等として、憲法に違反するものではないと判断したことは、個人の尊厳や両性の本質的平等の要請に反する上、個人の生き方の多様化、男女共同参画社会推進の流れに反するもので、極めて不当である。
この点、岡部喜代子裁判官(櫻井龍子裁判官、鬼丸かおる裁判官、山浦善樹裁判官も同意見)は、氏の変更により、個人識別機能に対する支障や自己喪失感などの負担が生じるところ、96%もの多数の女性が夫の氏を称しており、氏の変更の負担はほぼ妻に生じていること、その背景には、女性の社会的経済的な立場の弱さ、家庭生活における女性の立場の弱さ、種々の事実上の圧力など様々な要因があり、妻が夫の氏を称する意思決定の過程に現実の不平等と力関係が作用していることを指摘し、その点の配慮をしないまま夫婦同氏に例外を設けないことは、「個人の尊厳と両性の本質的平等の要請に照らして合理性を欠き、国会の立法裁量の範囲を超える状態に至っており、憲法第24条に違反するものといわざるを得ない」との意見を述べており、当会の主張と合致するものである。また、通称使用についても、便宜的なものであること、通称名と戸籍名との同一性という新たな問題を惹起すること、夫婦同氏の強制により婚姻をためらう事態が生じている現在において、不利益が若干程度緩和されるからといって、夫婦同氏に例外を認めないことの合理性が認められるものではないと指摘しており、正当である。
 選択的夫婦別姓制度の採用については、すでに1996(平成8)年の法制審議会で答申されていた。また、女性差別撤廃委員会は、国に対し、2009(平成21)年、2011(平成23)年、2013(平成25)年と、再三にわたって家族法改正を勧告しており、夫婦の氏の選択に関する差別的な法規制が含まれることに懸念が表明され、その廃止が要請されるにまで至っている。
 上記状況を踏まえ、山浦善樹裁判官の反対意見は、1996(平成8)年の法制審議会の答申以降の相当期間を経過しても国会が改廃等の立法措置を怠っていたのは、国家賠償法上も違法であると指摘している。
よって、当会は、国に対し、本判決の合憲判断を理由に議論を停滞させるのではなく、民法第733条及び同法第750条等の民法(家族法)の差別的規定を速やかに改正するよう、強く求める
2016(平成28)年1月14日  
滋賀弁護士会 会長 中原淳一

司法修習生に対する給付型の経済的支援を求める会長声明
ttp://www.shigaben.or.jp/chairman_statement/20160120.html
司法修習生への給付型の経済的支援(修習手当の創設)については、日本弁護士連合会・各弁護士会に対して、多くの国会議員から賛同のメッセージが寄せられているところ、先日、同賛同メッセージの総数が、衆参両院の合計議員数717名の過半数である359名を超えた。
まずはメッセージをお寄せいただいた国会議員の皆様に対し感謝の意と敬意を表するものである。
メッセージを寄せられた国会議員は、与野党を問わず広がりを見せており、司法修習生への経済的支援の必要性についての理解が得られつつあるものと考えられる。
そもそも、司法制度は、社会に法の支配を行き渡らせ、市民の権利を実現するための社会的インフラであり、国はかかる公共的価値を実現する司法制度を担う法曹になる司法修習生を、公費をもって養成すべきである。このような理念のもとに、我が国では、終戦直後から司法修習生に対し給与が支払われてきた。しかし、2011年11月から、修習期間中に費用が必要な修習生に対しては、修習資金を貸与する制度(貸与制)に変更された。この修習資金の負債に加え、大学や法科大学院における奨学金の債務を負っている修習生も多く、その合計額が極めて多額に上る者も少なくない。法曹を目指す者は、年々減少の一途をたどっているが、こうした重い経済的負担が法曹志望者の激減の一因となっていることが指摘されているところである。
こうした事態を重く受け止め、法曹に広く有為の人材を募り、法曹志望者が経済的理由によって法曹への道を断念する事態が生ずることのないよう、また、司法修習生が安心して修習に専念できる環境を整えるため、司法修習生に対する給付型の経済的支援(修習手当の創設)が早急に実施されるべきである。
昨年6月30日、政府の法曹養成制度改革推進会議が決定した「法曹養成制度改革の更なる推進について」において、「法務省は、最高裁判所等との連携・協力の下、司法修習の実態、司法修習終了後相当期間を経た法曹の収入等の経済状況、司法制度全体に対する合理的な財政負担の在り方等を踏まえ、司法修習生に対する経済的支援の在り方を検討するものとする。」との一節が盛り込まれた。
これは、司法修習生に対する経済的支援の実現に向けた大きな一歩と評価することができる。法務省、最高裁判所等の関係各機関は、有為の人材が安心して法曹を目指せるような希望の持てる制度とするという観点から、司法修習生に対する経済的支援の実現について、直ちに前向きかつ具体的な検討を開始すべきである。
 当会は、司法修習生への給付型の経済的支援(修習手当の創設)に対し、国会議員の過半数が賛同のメッセージを寄せていること、及び、政府においても上記のような決定がなされたことを踏まえて、国会に対して、給付型の経済的支援(修習手当の創設)を内容とする裁判所法の改正を求めるものである。
2016(平成28)年1月20日  
滋賀弁護士会 会長 中原淳一

消費者庁・国民生活センター・内閣府消費者委員会の地方移転に反対する会長声明
ttp://www.shigaben.or.jp/chairman_statement/20160614.html
政府は、「まち・ひと・しごと創生本部」に「政府関係機関移転に関する有識者会議」を設置し、政府関係機関の地方移転を審議している。そして、同会議において、消費者庁・国民生活センター・内閣府消費者委員会(以下「消費者庁等」という。)の地方への移転に向けた検証が行われている。
しかし、当会は、以下の理由により、消費者庁等を地方へ移転することに反対する。
 消費者庁等がその機能を果たすためには、各省庁及び国会と同一地域に存在すること等が必要であり、地方移転は大幅な機能低下をもたらすおそれが大きい。すなわち、①消費者庁が特命担当大臣の下で政府全体の消費者保護政策を推進する司令塔機能を果たすとともに消費者被害事故などの緊急事態に対処し所管する法制度について適切な企画・立案・実施を行う機能を果たすためには、各省庁及び国会と同一地域に存在することが必要である。また、➁国民生活センターが全国の消費生活相談情報の分析を踏まえて消費者保護関連法制度・政策の改善に向けた問題提起及び情報提供を行うためには、消費者庁及び内閣府消費者委員会と密接に連携して分析及び情報交換を行うべく同庁等と同一地域に存在することが必須であるし、同センターが全国にある消費生活相談窓口等支援の中核機関としての機能を果たすためにも、各省庁のほか神奈川県にある同センターのテスト・研修部門と近接した場所に存在することが重要である。さらに、➂内閣府消費者委員会が他省庁への建議等の監視機能を果たすためには、他省庁・関連行政機関・事業者との間で相互の意見交換及び協議を十分に行える環境が重要であるし、同委員会が消費者庁を含む関係省庁からの諮問に対する調査・審議を迅速かつ円滑に行うためには、関係各省庁と同一地域に存在することが必要である。加えて、➃消費者庁等の機能は、消費者問題について専門的知識と豊富な経験を有する多数の任期付き公務員、職員、専門委員等により支えられている。このような必要な専門家を地方で確保することは困難が予想され、専門家確保の面からも地方移転による弊害は否定できない。
 現に、消費者庁が本年3月に実施したICTを活用したテレビ会議・テレワークによる業務の執行に関する検証について、坂東久美子消費者庁長官は、一定の評価をしつつも、他省庁との連携の困難性や緊急事態への対処困難性をはじめとする地方移転に伴う様々な問題点を指摘しているが、現時点において、これら問題点の改善策は示されていない。
なお、本年5月25日に成立した消費者契約法の一部を改正する法律に関し、参議院特別委員会において「消費者庁、消費者委員会及び国民生活センターの徳島県への移転については、本法等消費者庁所管の法令の運用に重大な影響を与えかねないため、慎重に検討すること。」との付帯決議がなされている。同決議のとおり消費者庁等の地方移転は、法令の運用の観点からも慎重に判断すべき事項である。
 以上により、消費者庁・国民生活センター・内閣府消費者委員会の地方への移転は、消費者庁等が果たす機能を低下させ、消費者行政の推進を阻害しかねないので、当会は、消費者庁等を地方へ移転することに反対する。
2016(平成28)年6月14日  
滋賀弁護士会 会長 野嶋直

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