岡山弁護士会
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意見表明・お知らせ
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会 長 大 土 弘
2017.12.06
【 意見表明 】最低賃金の大幅引上げを求める会長声明
2017.11.07
【 意見表明 】臨時国会の召集に関する憲法53条後段の趣旨を遵守するよう求める会長声明
2017.11.07
【 意見表明 】民法の成年年齢引下げに反対する会長声明
2017.10.16
【 意見表明 】弁護士法人アディーレ法律事務所に関する岡山弁護士会臨時電話相談窓口について
2017.08.18
【 意見表明 】日本国憲法施行70年にあたり、憲法の基本原理を再確認し、これを守り抜く決意を新たにする会長声明
2017.08.03
【 意見表明 】会員の懲戒処分の公表
2017.07.19
【 意見表明 】死刑執行に関する会長声明
2017.06.15
【 意見表明 】「共謀罪」と実質的に変わらない,いわゆる「テロ等準備罪」を創設する 組織的犯罪処罰法改正法案の採決強行に抗議し,同法の廃止を含む見直しを求める会長声明
2017.05.10
【 意見表明 】修習給付金を支給すること等を内容とする改正裁判所法の成立にあたっての会長声明
2017.04.03
【 意見表明 】大土弘会長のあいさつを掲載しました
会長 水 田 美由紀
2017.03.08
【 意見表明 】「共謀罪」と実質的に変わらない,いわゆる「テロ等準備罪」を創設する組織犯罪処罰法改正法案の国会提出に反対する会長声明
2017.03.08
【 意見表明 】改めて少年法の適用年齢引下げに反対する会長声明
2017.03.08
【 意見表明 】「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」(いわゆる「カジノ解禁推進法」)の成立に抗議し、法律の廃止を求める会長声明
2016.12.01
【 意見表明 】死刑執行に関する会長声明
2016.11.09
【 意見表明 】いわゆる共謀罪法案の提出に反対する会長声明
2016.11.09
【 意見表明 】沖縄における機動隊による地元紙記者排除に強く抗議する会長声明
2016.08.09
【 意見表明 】本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律に対する会長声明
2016.07.13
【 意見表明 】ハンセン病「特別法廷」最高裁判所調査報告に関する会長声明
2016.06.08
【 意見表明 】朝鮮学校に対する適正な補助金交付を求める会長声明
2016.04.20
【 意見表明 】消費者契約法改正についての意見書
2016.04.18
【 意見表明 】熊本地震発生にあたっての会長談話
2016.04.01
【 意見表明 】水田美由紀会長のあいさつを掲載しました
2016.04.01
【 意見表明 】死刑執行に反対する会長声明
会長 吉 岡 康 祐
2016.03.30
【 意見表明 】憲法尊重義務(憲法99条)を誠実に履行することを求める会長声明
2016.03.09
【 意見表明 】高齢者の消費者被害の予防と救済のためのネットワークづくりに関する要望書
2016.03.09
【 意見表明 】国家緊急権の創設に反対する会長声明
2016.03.09
【 意見表明 】高市早苗総務大臣をはじめとした政府並びに政権与党よる報道機関への圧力に強く抗議し、併せて高市早苗総務大臣の放送法に関する発言の撤回を求める会長声明
2016.03.09
【 意見表明 】ハンセン病を理由とした最高裁判所の「特別法廷」指定に関する会長声明
2016.02.03
【 意見表明 】消費者庁・国民生活センター・消費者委員会の地方移転に反対する会長声明
2016.01.20
【 意見表明 】司法修習生に対する給費制の実現を求める会長声明
2016.01.15
【 意見表明 】夫婦同氏制を定める民法750条の規定を合憲とする最高裁判所大法廷判決に対する会長声明
2016.01.13
【 意見表明 】共謀罪規定の新設に反対する会長声明
2016.01.13
【 意見表明 】女性の再婚禁止期間を定めた民法第733条第1項の一部について憲法違反とする最高裁判所大法廷判決に関する会長声明
2016.01.13
【 意見表明 】死刑執行に反対する会長声明
2015.09.30
【 意見表明 】面会室における写真撮影に関する東京高裁判決に対する会長声明
2015.09.24
【 意見表明 】安保法案を提出した安倍内閣、これに賛成した全ての国会議員に対する会長コメント
2015.09.24
【 意見表明 】参議院の安保法案強行採決に抗議する会長声明
2015.08.12
【 意見表明 】戦後70年を迎えるにあたっての会長談話
2015.07.22
【 意見表明 】安保法制改正法案の強行採決に抗議する岡山弁護士会歴代会長有志による声明
2015.07.16
【 意見表明 】衆議院の安保法案強行採決に反対する会長声明
2015.07.08
【 意見表明 】死刑執行に関する会長声明
2015.06.10
【 意見表明 】生活保護の住宅扶助基準、冬季加算の引下げに反対する会長声明
2015.05.13
【 意見表明 】少年法の適用年齢引下げに反対する会長声明
2015.05.13
【 意見表明 】「集団的自衛権行使容認の閣議決定」の撤回を求め、「新ガイドライン」及び「平和安全法制案」に反対する会長声明
2015.04.22
【 意見表明 】国立大学の国旗・国歌の扱いに対する不当な介入に反対する会長声明
2015.04.22
【 意見表明 】労働者派遣法改正案に三たび,反対する会長声明 2015.04.03
【 意見表明 】吉岡康祐会長のあいさつを掲載しました
会長 佐々木 浩 史
2015.03.11
【 意見表明 】労働時間規制の緩和に反対する会長声明
2015.03.11
【 意見表明 】商品先物取引法における不招請勧誘禁止を緩和する省令に抗議する会長声明
2014.11.12
【 意見表明 】「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律等の一部を改正する法律案」に反対する会長声明
2014.10.22
【 意見表明 】「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」(いわゆる「カジノ解禁推進法案」)に反対する会長声明 2014.10.22
【 意見表明 】裁判所予算の増額を求める会長声明
2014.09.17
【 意見表明 】貸金業規制緩和に反対する会長声明
2014.09.17
【 意見表明 】死刑執行に関する会長声明
2014.08.06
【 意見表明 】過疎地公共交通支援に関する意見書
2014.08.06
【 意見表明 】 「金融商品取引法施行令の一部を改正する政令(案)」等(商品関連市場デリバティブ取引に係る行為規制関係)に関する会長声明
2014.07.09
【 意見表明 】集団的自衛権行使を容認する閣議決定に強く抗議し,その撤回を求める会長声明
2014.07.09
【 意見表明 】死刑執行に関する会長声明
2014.06.11
【 意見表明 】「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」報告書を受けて発表された「基本的方向性」に対する会長声明
2014.06.11
【 意見表明 】法制審議会新時代の刑事司法制度特別部会・事務当局試案に関する会長声明
2014.05.14
【 意見表明 】集団的自衛権行使容認に反対する会長声明
2014.04.22
【 意見表明 】「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律等の一部を改正する法律案」に反対する会長声明
2014.04.22
【 意見表明 】「商品先物取引法施行規則」及び「商品先物取引業者の監督の基本的な指針」改正案に対する意見書
2014.04.09
【 意見表明 】福川律美元会員に対する刑事事件の上告取下げを受けての会長談話
2014.04.01
【 意見表明 】「生活保護法施行規則の一部を改正する省令(案)」に抜本的修正を求める会長声明
会長 近 藤 幸 夫
2014.01.29
【 意見表明 】福川律美元会員に対する控訴審判決を受けての会長談話
2014.01.15
【 意見表明 】司法修習生に対する前期(集合)修習の実施を求める会長声明
2013.12.13
【 意見表明 】死刑執行に関する会長声明
2013.12.07
【 意見表明 】特定秘密保護法案の参議院採決強行に抗議し,改めて同法の廃止を含む見直しを求める会長声明
2013.12.04
【 意見表明 】司法修習生に対する給費制の復活を求める会長声明
2013.11.26
【 意見表明 】特定秘密保護法案衆議院採決についての談話
2013.11.13
【 意見表明 】商品先物取引についての不招請勧誘禁止撤廃に反対し,改正金融商品取引法施行令に同取引に関する市場デリバティブを加えることを求める会長声明
2013.10.09
【 意見表明 】「特定秘密の保護に関する法律」制定に反対する会長声明
2013.09.17
【 意見表明 】死刑執行に関する会長声明
2013.09.10
【 意見表明 】中国地方弁護士会連合会ホームページ開設のお知らせ
2013.08.28
【 意見表明 】福川律美元会員に対する判決言渡を受けての会長談話
2013.07.01
【 意見表明 】憲法96条改正に関する会長声明
2013.06.12
【 意見表明 】橋下徹氏の「慰安婦」等に関する発言に対する会長声明
2013.06.12
【 意見表明 】小野市福祉給付制度適正化条例の廃止を求める会長声明
2013.06.12
【 意見表明 】生活保護法改正に反対する会長声明
2013.06.12
【 意見表明 】東京電力福島第一原子力発電所事故による損害賠償請求権の消滅時効につき特別の立法措置を求める会長声明
2013.05.15
【 意見表明 】死刑執行に関する会長声明
2013.05.15
【 意見表明 】「菊池事件」について検察官による再審請求を求める会長声明
2013.04.30
【 意見表明 】福川問題検証委員会からの報告書提出を受けての会長談話
2013.04.30
【 意見表明 】ホームページ復旧とサーバーへの不正アクセスのお知らせとお願い【重要】
2013.04.23
【 意見表明 】福川律美元会員の第一回公判期日を受けての会長談話
2013.04.05
【 意見表明 】福川律美会員の弁護士資格喪失についての会長談話
会 長 火 矢 悦 治
2013.03.11
【 意見表明 】当会の福川律美会員の破産手続開始決定についての会長談話
2013.03.11
【 意見表明 】裁判員制度施行3年目を迎えて 岡山弁護士会の提言
2013.02.25
【 意見表明 】死刑執行に関する会長声明
2013.02.08
【 意見表明 】当会の福川律美会員の追起訴についての会長談話 2013.01.23
【 意見表明 】地方の法科大学院の存続発展に関する会長声明
2013.01.23
【 意見表明 】司法修習生に対する給費制の復活を求める会長声明
2013.01.18
【 意見表明 】当会会員の追起訴についての会長談話
2012.12.28
【 意見表明 】当会会員の起訴についての会長談話
2012.12.10
【 意見表明 】福川弁護士問題・依頼者対応センター
2012.12.10
【 意見表明 】当会会員の逮捕についての会長談話
2012.11.21
【 意見表明 】生活保護基準の切り下げに反対する会長声明
2012.11.21
【 意見表明 】遠隔操作による脅迫メール事件等の取調べについての会長声明
2012.10.10
【 意見表明 】死刑執行に関する会長声明
2012.09.10
【 意見表明 】改正貸金業法完全施行後2年を迎えての会長声明 2012.08.08
【 意見表明 】生活保護に関する偏見や差別を助長しない報道と,生活保護制度についての慎重な議論および適切な生活保護行政の実施を求める会長声明
2012.08.08
【 意見表明 】死刑執行に関する会長声明
2012.05.10
【 意見表明 】秘密保全法制に反対する会長声明
2012.04.02
【 意見表明 】死刑執行に関する会長声明
会長 的 場 真 介
2011.12.26
【 意見表明 】外国籍会員の参与員選任を求める会長声明
2011.11.06
【 意見表明 】岡山弁護士会ハンセン病問題を考える集会における集会決議
2011.10.12
【 意見表明 】武富士の更生計画案の決議に関する会長声明
2011.10.12
【 意見表明 】国選弁護報酬基準及びその運用の抜本的見直しを求める会長声明
2011.09.12
【 意見表明 】提携リース契約を規制する法律の制定を求める意見書
2011.07.13
【 意見表明 】給費制の存続を求める会長声明
2011.04.01
【 意見表明 】東日本大震災会長声明
会 長 河 村 英 紀
2011.01.12
【 意見表明 】交通基本法案意見書
2011.01.12
【 意見表明 】修習生給費制会長声明
2010.12.01
【 意見表明 】たすっぴに決まりました
2010.11.12
【 意見表明 】秋田弁護士会所属弁護士殺害に関する会長声明
2010.07.14
【 意見表明 】給費制に関する会長声明
2010.05.14
【 意見表明 】労働者派遣法抜本的修正を求める会長声明
2010.04.22
【 意見表明 】公訴時効廃止・延長に反対する会長声明
会長 東 ?司
2010.02.10
【 意見表明 】国選付添人制度の拡充を求める会長声明
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安保法制改正法案の強行採決に抗議する岡山弁護士会歴代会長有志による声明
ttp://www.okaben.or.jp/news/index.php?c=topics_view&pk=1437616236
安倍内閣は,昨年7月1日,歴代政府による従前の憲法解釈を変更し,集団的自衛権の行使を容認する閣議決定を行い,これに基づき今国会に集団的自衛権の行使を可能とする自衛隊法・武力事態対処法等の安全保障法制改正案を提出し,7月16日衆議院はこれらを全て可決する強行採決をした。
しかし,現憲法のもとで行使できるのは個別的自衛権に限られるという長年積み重ねられてきた歴代政府の憲法解釈を一内閣の判断で変更することは,憲法は国家権力を縛るという立憲主義に反し,ひいては国民の意思にも反している。
さらに,安全保障法制改正案は,「存立危機事態」という不明確な概念のもとで,自衛隊が米軍その他の外国軍隊とともに,時間的,場所的な制約なしに武力行使することに道を開くこととなり,「我が国に対する武力攻撃が発生した場合にこれを排除する必要最小限度の実力行使」(合憲とする枠組み)という範疇を踏み外し,これにより「武力の行使による国際紛争の解決」を禁じた憲法9条に違反することは明らかである。
このような理由からほとんどの憲法研究者が憲法違反と言い,数々の世論調査の結果からも多くの国民が反対していることが明らかな安全保障法制改正案の強行採決は,憲法の平和主義,立憲主義,国民主権に反する暴挙である。よって,政府に対して法案の撤回を求めるとともに,国会に対して法案を廃案とするよう求める。
平成27年7月22日
昭和52年度 会長 一井淳治 昭和57年度 会長 井藤勝義
昭和58年度 会長 陶浪保夫 昭和60年度 会長 片山邦宏
昭和61年度 会長 田淵浩介 昭和63年度 会長 奥津 亘
平成 2年度 会長 河原昭文 平成 7年度 会長 高原勝哉
平成 8年度 会長 西田秀史 平成 9年度 会長 佐々木齊
平成10年度 会長 平井昭夫 平成11年度 会長 西田三千代
平成13年度 会長 山崎博幸 平成14年度 会長 和田朝治
平成15年度 会長 水谷 賢 平成16年度 会長 河田英正
平成17年度 会長 平松敏男 平成18年度 会長 大石和昭
平成19年度 会長 中野 惇 平成20年度 会長 秋山義信
平成21年度 会長 東 隆司 平成22年度 会長 河村英紀
平成23年度 会長 的場真介 平成24年度 会長 火矢悦治
平成25年度 会長 近藤幸夫 平成26年度 会長 佐々木浩史
平成27年度 会長 吉岡康祐
朝鮮学校に対する適正な補助金交付を求める会長
声明
1 文部科学省は,2016(平成28)年3月29日,朝鮮学校が所在する28都道府県に対し,「朝鮮学校に係る補助金交付に関する留意点について(通知)」(以下,「本通知」という。)を通知した。本通知は,各都道府県知事に対して,「朝鮮学校に関しては,我が国政府としては,北朝鮮と密接な関係を有する団体である朝鮮総聯が,その教育を重要視し,教育内容,人事及び財政に影響を及ぼしているものと認識して」いるとした上で,各地方公共団体に対して,「朝鮮学校の運営に係る上記のような特性も考慮の上,朝鮮学校に通う子供に与える影響にも十分に配慮しつつ,朝鮮学校に係る補助金の公益性,教育振興上の効果等に関する十分な御検討とともに,補助金の趣旨・目的に沿った適正かつ透明性のある執行の確保」を求めている。
本通知に先立つ自由民主党の「北朝鮮による弾道ミサイル発射に対する緊急党声明」では,「対北朝鮮措置に関する要請」13項目の制裁強化策を速やかに実施するよう求めているところ,同要請第7項が「朝鮮学校へ補助金を支出している地方公共団体に対し,公益性の有無を厳しく指摘し,全面停止を強く指導・助言すること」とされていること,現に本通知を受けて補助金の交付停止を検討・決定する地方公共団体も出てきていることに鑑みれば,本通知は,政府が外交的な理由から各地方公共団体に対し,朝鮮学校に対する補助金交付を停止するよう求めたものと評価せざるを得ない。
2 そもそも,朝鮮学校に対する補助金の支給は,朝鮮学校に在籍する生徒が憲法第26条第1項,子どもの権利に関する条約第30条,国際人権規約A規約(「経済的,社会的及び文化的権利に関する国際規約(A規約)」)第13条などにより保障されている学習権を実質的に保障するために行われている措置である。大阪高判平成26年7月8日(判例時報2232号34頁等参照)では,朝鮮学校は,「民族教育を軸に据えた学校教育を実施する場として既に社会的評価が形成されている」学校であると認定しているが,それは,外国人も自らの社会的背景にある文化,歴史などを学習する権利があること及びその権利は社会的に評価されていることを認めたものに他ならない。
それにもかかわらず,朝鮮学校に在籍する生徒とは無関係な外交問題・政治問題を理由として朝鮮学校への補助金を停止することは,憲法第14条,国際人権A規約,国際人権B規約(「市民的及び政治的権利に関する国際規約(B規約)」),人種差別撤廃条約(「あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する条約」)及び子どもの権利条約が禁止する不当な差別に該当する。
また,本通知やそれに続く補助金の不交付,交付の留保は,朝鮮学校に通う子どもたちに社会からの疎外感を与えるとともに,朝鮮学校の子どもたちへの不当な差別を助長する可能性が高く,この点からも到底容認することができない。
3 2014(平成26)年8月28日に採択された国連人種差別撤廃委員会による「日本の第7回・第8回・第9回定期報告に関する最終見解」においても,地方公共団体による朝鮮学校に対する補助金の停止あるいは継続的な縮小を含む,在日朝鮮人の子供の教育を受ける権利を妨げる政府の行動について懸念が指摘されているところである。さらに,上記最終見解でも指摘されているとおり,我が国ではとりわけ韓国・朝鮮人に対して人種的ヘイトスピーチが広がっている現状がある。このような状況下において,本通知のように差別を助長する可能性のある措置は厳に慎むべきである。
4 子どもたちは人類の未来を担う存在であり,その学習権を保障することは,子どもたちが一個の人格として成長・発達するために重要である。その対象として,朝鮮学校に通う子どもたちも例外ではない。
5 当会は,以上の理由から,文部科学省に対し,本通知を速やかに撤回することを求める。また,岡山県をはじめとする各都道府県に対し,憲法及び各種条約に違反する本通知に拘束されることなく,朝鮮学校に対する補助金について,停止または縮小することなく交付することを強く求めるものである。
2016(平成28)年6月8日
岡山弁護士会 会長 水 田 美由紀
国立大学の国旗・国歌の扱いに対する不当な介入に反対する会長声明
安倍首相は、本年4月9日、参議院予算委員会で、次世代の党の松沢成文氏の、国立大学の入学式や卒業式での国旗掲揚、国歌斉唱に関する質問に対して、国立大学が「税金によって賄われていることに鑑みれば、教育基本法にのっとって正しく実施されるべき」と答弁し、これを受けて、下村博文文部科学相が「広く国民に定着し、国旗国歌法が施行されたことを踏まえて、各大学で適切な対応が取られるよう要請したい」と述べた。
しかし、安倍首相の答弁、下村文科相の発言は、それ自体が、政府(国家権力)による大学への不当な介入行為であり、憲法23条及び教育基本法7条2項に反し許されない。
そもそも憲法23条は、憲法19条(思想良心の自由)、憲法21条(表現の自由)とは別個に「学問の自由」を保障している。これは、明治憲法下において、滝川事件や天皇機関説事件などで、「学問の自由」が国家権力によって不当に侵害された苦い経験の反省から、特に規定されたものである。そして、「学問の自由」は、沿革的には大学の学問の自由がその中心にあり、大学の人事、学問研究、教育、運営などにつき、国家権力などの外部勢力が不当に干渉するときは、学問の自由に対する侵害の危険が生ずることから、特に大学に限って学問の自由を実質的に担保するために「大学の自治」が認められているのである。また、この憲法23条の趣旨を受けて、教育基本法7条2項でも、「自主性、自立性その他大学における教育及び研究の特性が尊重されなければならない」と規定されている。
加えて、安倍首相の答弁及び下村文科相の発言は、政府の要請に従わなければ予算配分に影響を与えるという意味が含まれているとしか受け取ることができず、国立大学に対して、国旗掲揚、国歌斉唱を事実上強制することとなり、国立大学の自主性を著しく侵害する。また、国家予算が投入されているのは国立大学だけでなく、私立大学も同じであるので、安倍首相の答弁は、国立大学のみならず、私立大学を含めた全ての大学の自治を侵害する行為と言わざるを得ない。
よって、当会は、政府が国立大学に対して国旗掲揚、国歌斉唱を要請すること自体に強く反対し、安倍首相に対しては、参議院予算委員会での、国立大学に対する国旗掲揚、国歌斉唱が正しく実施されるべきとする答弁は、憲法23条、教育基本法7条2項で保障された大学の自治を侵害するので撤回するよう求めるとともに、文科省に対しても、国旗掲揚、国歌斉唱を国立大学に要請するとの方針を撤回するよう求める。
2015年(平成27年)4月22日
岡山弁護士会 会長 吉 岡 康 祐
外国籍会員の参与員選任を求める会長声明
1 当会は,2011年(平成23年)10月17日,岡山家庭裁判所からの推薦依頼を受けて,2012年(平成24年)1月1日からの任期の参与員について,2011年(平成23年)11月7日付けにて,外国籍弁護士1名を含む15名の参与員候補者を当会会員の中から推薦した。
ところが,2011年(平成23年)12月12日,岡山家庭裁判所から,日本国籍を有しない者については参与員に選任しない旨の連絡があった。その理由の概要は,参与員は,審判に立ち合って家事審判官に意見を述べ(家事審判法第3条1項),あるいは,人事訴訟において,審理又は和解の試みに立ち会って,裁判所に意見を述べる(人事訴訟法第9条1項)立場にあるため,公権力の行使または国家意思の形成への参画にたずさわる公務員に該当するというものである。
2 しかしながら,法律にも,最高裁判所規則にも,参与員について日本国籍を要求する条項は存在せず,ただ,「徳望良識のある者」(参与員規則 第1条)とされているのみである。最高裁判所のホームページにおいても,参与員については,「選任されるための特別な資格などは必要ではなく,人望があって,社会人としての健全な良識のある人から選ばれています。」と説明されているに留まる。
3 参与員の上記のような職務に鑑みれば,弁護士としての専門的知識を備え,あるいは,社会生活の上での日本の社会制度や文化,そこに住む市民の考え方に精通し,人格識見を備えた人物であれば,参与員としての資質に欠けるところはなく,日本国籍の有無を問題とすべきではない。ことに今回,参与員として選任されなかった会員は,永住資格を有し,司法修習を終え,弁護士としての経験を積み,参与員としての能力・適格性を十分に備えているものである。
また,参与員の職務の内容は,裁判所・家事審判官の補助機能しかなく,いわゆる公権力の行使に当たるものではない。破産管財人,相続財産管理人,不在者財産管理人など,公的側面も有する職務について,外国籍の弁護士等の就任が認められていることに照らしても,参与員が,審理に立ち会い,家事審判官に意見を述べる立場等にあることをもって,外国籍の者を参与員に選任しないとすることには,合理性を見出しがたく,国籍を理由とする不合理な差別というほかなく、これを是認することは到底できない。
4 よって,当会は,岡山家庭裁判所に対して,当会が推薦した外国籍の会員についても参与員に選任するよう改めて求めるものである。
2011年(平成23年)12月26日
岡山弁護士会 会長 的 場 真
<PDファイル縦書きです。>
安保法案を提出した安倍内閣、これに賛成した全ての国会議員に対する会長コメント
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憲法はあなたのためのものじゃない
まもり護って国の礎
2015年(平成年27年)9月24日
岡山弁護士会 会長 吉 岡 康 祐
臨時国会の召集に関する憲法53条後段の趣旨を遵守するよう求める会長声明
2017(平成29)年6月22日,野党所属議員らは森友学園及び加計学園と安倍晋三内閣総理大臣の関係についての疑惑解明を目的とした臨時国会の召集を求める要求書を内閣に提出した。
ところが,安倍内閣は3か月余りこれを放置してきた。そのうえ,2017(平成29)年9月28日,臨時国会を召集したその冒頭に衆議院を解散した。
憲法53条後段は,臨時国会の召集に関し,「いづれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があれば,内閣は,その召集を決定しなければならない。」と定めている。この規定の趣旨は,議院内閣制のもとで,国会内の少数派が内閣に対して臨時国会の召集を義務付けることにより,少数派の提起する案件について国会で議論する機会を保障し,民主主義を徹底しようとする点にある。
したがって,国会法には召集要求があった際の召集期間に関する規定が存在していないところであるが,臨時国会召集のための事務手続に要する期間を考慮しても,内閣は速やかに臨時国会を召集し,要求のあった案件について国会審議がなされるべきである。
今回,「総議員の4分の1」という要件を満たした召集要求があったにもかかわらず,安倍内閣が3か月以上これを放置したあげく,臨時国会を召集したその冒頭に衆議院を解散したことは,議院内閣制のもとで少数派に保障された臨時国会召集要求権をないがしろにし,少数派の提起する案件について国会で議論する機会を奪うものであるから,憲法53条後段の趣旨を実質的に没却することは明らかである。
安倍内閣は,2015(平成27)年にも,野党所属議員らからの臨時国会の召集要求に応じなかった。以上のような安倍内閣の態度は,国会において多種多様な観点から議論を行うという民主主義の根本原理に反し,許されない。
したがって,当会は,内閣に対し,臨時国会の召集に関する憲法53条後段の趣旨を遵守するよう求めるとともに,国会に対し,憲法53条後段に基づく召集要求があった場合の召集手続に関する国会法の整備を行うよう求める。
2017(平成29)年11月7日
岡山弁護士会 会長 大 土 弘
民法の成年年齢引下げに反対する会長声明
第1 はじめに
現在,民法の成年年齢を20歳から18歳に引き下げる民法改正法案の立案作業が進められている。
しかし,次の理由から,民法の成年年齢を引き下げることに反対する。
第2 成年年齢引下げによる弊害は大きい
1.未成年者取消権の喪失による消費者被害の拡大
(1)民法は,未成年者が,親権者の同意なく単独で行った法律行為につき,取消権を認めている(民法第5条
第2項)。この未成年者取消権が認められた趣旨は,社会経験が乏しく判断能力が未熟な未成年者を保護する
ためである。
若年者は,社会経験の乏しさや判断能力の未熟さから,違法・不当な契約の勧誘に脆弱な面があること
から,様々な消費者被害が発生している。
また,若年者は,学校等における先輩後輩関係や友人関係等の影響を受けやすく,そういった人間関係から被害が拡大しやすい。さらに,被害に遭ったときに適切な対応ができないため問題を抱え込んでしまうことも少なくない。
そのため,未成年者取消権は,未成年者保護のために重要である。(2)未成年者取消権は,未成年者に対する違法・不当な契約の締結を勧誘する悪質な事業者に対する抑止力としての機能も有している。
未成年者取消権が抑止力として機能していることは,全国の消費生活センター等に寄せられる相談件数が,18歳から19歳までの平均値と20歳から22歳までの平均値を比較すると,20歳から22歳までの平均値が18歳から19歳までの平均値の約1.55倍と増えていること(平成27年度)からも推認できる。
すなわち,悪質な業者は,未成年者取消権を失った直後の若者を狙って勧誘をしているために,20歳を境に相談件数が増加していると考えられる。そのため,未成年者が18歳に引き下げられれば,18歳を境に消費者被害が増加すると考えられる。
さらに,18歳及び19歳の若年者は,20歳を超えた若年者と比較して,より社会経験に乏しく判断能力が未熟であるため,消費者被害が拡大することが容易に予想できる。
(3)このように,成年年齢の引下げにより,18歳及び19歳の若年者が未成年者取消権を行使できなくなる結果,消費者被害が拡大することが懸念される。
2.労働契約の解除権の喪失に伴う労働者被害の拡大
労働基準法第58条2項は,「親権者若しくは後見人又は行政官庁は,労働契約が未成年者に不利であると認める場合においては,将来に向ってこれを解除することができる」と規定し,未成年者の労働契約について,未成年者にとって不利な労働契約の解除権を認めている。
民法の成年年齢を引き下げた場合,18歳及び19歳の若年者は,民法の未成年者取消権による保護だけではなく,労働基準法第58条第2項の解除権による保護も受けられなくなる可能性が高く,解除権による抑止力が働かなくなる結果,労働条件の劣悪ないわゆるブラック企業等による労働者被害が18歳及び19歳の若年者の間で一気に拡大する可能性がある。
3.若年者の消費者被害拡大のおそれに対する対策が不十分である(1)法制審議会「民法の成年年齢引下げについての最終報告書」(以下「最終報告書」という。)は民法の成年年齢を18歳に引き下げるのが適当であるとの結論を出している。ただし,最終報告書も,成年年齢の引下げのためには,消費者被害の拡大のおそれ等の問題点の解決に資する施策が実現される必要があるとの留保をつけている。
しかし,次のとおり,消費者被害の拡大のおそれ等の問題点の解決に資する施策は実現していないことからも,成年年齢を引き下げるべきではない。
(2)最終報告書においても,若年者の社会的経験の乏しさによる判断力の不足に乗じて取引が行われた場合(以下「『つけ込み型』勧誘の類型」という。)に,契約を取り消すことができるようにする等の施策の充実を図る必要があるとされた。
また,平成29年8月8日付の「消費者委員会答申書」においても,「つけ込み型」勧誘の類型についての消費者の取消権につき,早急に検討し明らかにすべき喫緊の課題とされている。
しかし,平成29年8月21日,消費者庁により,消費者契約法の見直しに関する意見公募手続が実施されたが,その意見募集対象である消費者契約法の改正に関する規定案には,「つけ込み型」勧誘の類型について,取消権を認める等の規定案は含まれていない。そのため,次回の消費者契約法改正において,「つけ込み型」勧誘の類型について,消費者の保護の規定が追加される可能性は低い。
(3)このように,若年者の消費者被害拡大のおそれを防ぐための施策がなされているとはいえない状況である。
第3 まとめ
以上のとおり,民法の成年年齢の引下げにより,18歳及び19歳の若年者への消費者被害を拡大させ,また,労働者として搾取される等の被害を増加させるおそれが高いことから,当会は,民法の成年年齢の引下げに反対する。
2017(平成29)年11月7日
岡山弁護士会 会長 大 土 弘
日本国憲法施行70年にあたり、憲法の基本原理を再確認し、
これを守り抜く決意を新たにする会長声明
日本国憲法が1947(昭和22)年5月3日に施行され、今年で70年を迎えた。
この70年間、日本国民は、基本的人権の尊重、国民主権、恒久平和主義という憲法の基本原理や、憲法が最高法規として国家権力の濫用から国民の人権を保障するという立憲主義の理念を不断の努力によって守り抜いてきた。
憲法9条については、1960年代の憲法調査会の設置など、何度も改変の危機があったにもかかわらず、第二次世界大戦で膨大な犠牲を払うことを強いられた国民の、戦争を二度と起こしてはならないという強い決意と行動の結果、明文による憲法改正を許さず、今日に至っている。
また、憲法25条の生存権についていえば、ここ岡山において、国立岡山療養所に入所していた朝日茂さんが立ち上がった、いわゆる朝日訴訟が「健康で文化的な最低限度の生活」の実質的な保障につながる第一歩となった。
しかし、いま、日本国憲法は最大の危機に瀕している。
2014(平成26)年7月の閣議決定で、従来の政府の憲法解釈が変更されて、集団的自衛権の行使が容認された。これに対しては、当会を含む全国各地の弁護士会や圧倒的多数の憲法学者が憲法違反であるとの声明を出していたにもかかわらず、2015(平成27)年9月には新たな安全保障法制が成立した。こうして、憲法の基本原理である平和主義にかかわる重大な解釈を、憲法改正手続を経ずに変更した。 そして、新たな安全保障法制のもとで、早速、南スーダンに派遣されている陸上自衛隊の部隊に「駆けつけ警護」の新任務が付与された。その上、米国と北朝鮮の緊張関係の高まりを契機として、国民に対する十分な説明がなされないまま、2017(平成29)年5月に米国の艦船を自衛隊の艦船が守る「武器等防護」が、日本近海において初めて実施された。
さらに、2017(平成29)年6月に委員会採決を省略するという異例の強行採決によって成立した、いわゆる共謀罪法(組織犯罪処罰法改正法)によって、プライバシー権(憲法13条)、表現の自由(憲法21条)、ひいては思想・良心の自由(憲法19条)すら脅かされようとしている。277もの広範囲な罪について、「準備行為」を要件としているものの、その適用範囲が限定されたものとは言えず、事実上、共謀のみをもって犯罪とする共謀罪法は、刑罰権の発動は実行行為をまって行われるという刑法の基本原則に反するものである。それにもかかわらず、日本における共謀罪法の必要性、犯罪主体等の構成要件について十分な審理を行わずに成立した共謀罪法は、罪刑法定主義(憲法31条)に反するのみならず、表現の自由(憲法21条)等の精神的自由に対する萎縮効果は大きく、基本的人権尊重の基本原理に反する。
このような憲法の基本原理にとって重大な脅威となる法律が続々と成立する中で、明文の憲法改正を目指す動きも活発になってきている。安倍晋三内閣総理大臣は、今年5月3日、憲法改正を推進する集会の場に、自ら、「2020年までに新憲法を施行したい」、「憲法9条を改正し、自衛隊の存在を明記する」と発言したビデオメッセージを寄せた。憲法改正に関する国民的議論が進んでいない状況において、憲法改正を発議する立法府の頭ごしに、憲法尊重擁護義務(憲法99条)を負っている内閣総理大臣が憲法改正を主張することは、立憲主義を軽視するものといわざるを得ない。
このように、この70年間、国民が守り抜いてきた憲法の基本原理を一気に破壊しようとする動きが着々と進行している。
われわれ弁護士、弁護士会は、あらためて、日本国民がこの70年間守り抜いてきた憲法の基本原理を再確認するとともに、憲法の基本原理を破壊するいかなる企てに対しても、国民と共に抵抗し、不断の努力によって、憲法の基本原理を守り抜く決意を、ここに新たにするものである。
2017(平成29)年8月18日
岡山弁護士会 会長 大 土 弘
会員の懲戒処分の公表 ←下記?は最初から
平成29年8月3日
岡山弁護士会
会長 大 土 弘
会員の懲戒処分の公表
本会は、懲戒委員会の議決に基づき、下記のとおり会員を懲戒したので、お知らせします。
記
1.対象弁護士の氏名、登録番号及び事務所
(氏 名) 櫻 井 幸 一
(登録番号) 第18623号
(事 務 所) 岡山市中区下54?15
さくらい法律事務所
2.懲戒の処分の内容
退会命令
3.懲戒の処分が効力を生じた年月日
平成29年8月3日
4.懲戒の処分の理由の要旨
第1
1 対象弁護士は,平成27年11月から平成28年6月までの本会会費合計16万円及び同期間中の日本弁護士
連合会会費合計10万7200円並びにその他同連合会の特別会費を滞納した。
これは,本会会則第108条第1項(本会会費納付義務)及び同第111条第1項(同連合会会費納付義務)に
違反する。
2 また,対象弁護士は,次のとおり紛議調停の期日に出頭せず,答弁書を提出しない等の行為を行った。
(1)平成26年7月10日付けで申し立てられた紛議調停事件について,正当な理由なく期日に出頭しなかった。
(2)平成27年2月12日付けで申し立てられた紛議調停事件について,答弁書を提出期限までに提出せず,再度指定された提出期限までにも提出しなかった上,申立人に対し12万円支払う旨調停外で申立人と合意しながら履行せず,弁済計画の提出要請にも応じず,6万円しか支払わなかった。
(3)同年6月19日付けで申し立てられた紛議調停事件について,(1)正当な理由なく期日に出頭しなかった上,
?答弁書を提出期限までに提出せず,再 度指定された提出期限までにも提出しなかった
(4)同年11月17日付けで申し立てられた紛議調停事件について,答弁書を提出期限までに提出せず,期日で合意した提出期限までにも提出しなかった上,弁護士賠償保険金請求の進捗状況を説明することを約束したにもかかわらず,申立てが取り下げられるまで説明しなかった。
(5)同月26日付けで申し立てられた紛議調停事件について,答弁書を提出期限までに提出せず,再度指定された提出期限までにも提出しなかった上, 自ら申し出た提出期限にも提出しなかった。(6)対象弁護士の(1)及び(3)?の各行為は,本会紛議調停に関する会規第14条(紛議調停への出頭義務)及び弁護士職務基本規程第26条(紛議が生じたときは紛議調停で解決するよう務める義務)にそれぞれ違反し,(2),(3)?,(4)及び(5)の各行為は弁護士職務基本規程第26条に違反する。
3 以上の対象弁護士の各行為は,弁護士法第56条第1項に定める「品位を失うべき非行」に該当する。
第2
1 対象弁護士は,懲戒請求者から,医療過誤が問題となった件を受任し,平成26年11月11日,懲戒請求者の家で打合せをした。しかし,その後,対象弁護士から懲戒請求者に対し,事件の経過を報告したり,協議したりすることは一度もなく,対象弁護士は懲戒請求者からの苦情を受けて平成27年3月5日付けで懲戒請求者に手紙を出しただけであった。その後も対象弁護士は懲戒請求者に連絡を取らず,同年7月3日,懲戒請求者は対象弁護士を解任するに至った。
2 対象弁護士において懲戒請求者からの連絡に十分対応できなかった期間は少なくとも7か月に及んでおり,職務基本規程第36条(依頼者への報告義務)に違反する。また,平成27年3月5日以降4か月にわたって
事件処理を放置しており,同規程第35条(事件の処理義務)にも違反する。
3 以上の対象弁護士の行為は弁護士法第56条第1項に定める「品位を失うべき非行」に該当する。
なお、櫻井幸一(さくらい こういち)氏は、退会命令を受けたため,現在では,岡山弁護士会会員ではなく,弁護士ではありません。したがいまして,櫻井幸一弁護士またはさくらい法律事務所の名で法律相談を行ったり、事件を引き受けることはできません。依頼した方にも、被害が及ぶことがありますので、ご注意ください。
法律問題に関する相談などは、このウェブサイト内でご案内している法律相談センターでご相談ください(有料のものもあります。また電話相談はいずれも通信料ご利用者負担となります)。
死刑執行に関する会長声明
2017年(平成29年)7月13日、大阪拘置所及び広島拘置所において、それぞれ1名の死刑確定者に対して、死刑が執行された。
当会は、死刑制度の存廃を含む抜本的な検討及び見直しを行うまでの一定期間、死刑の執行を停止するよう、再三政府に対し要請してきた。
にもかかわらず、またしても死刑の執行がなされたことに対し、深い憂慮の念を示すとともに、強く抗議する。
国際社会においては、死刑廃止が趨勢となっている。最近では、死刑廃止又は事実上停止している国が141か国に上っているのに対し、死刑存置国は57か国に過ぎない。我が国は、国連関係機関からも、死刑の執行を停止し、死刑制度の廃止に向けた措置をとるよう繰り返し勧告を受けている。
日本弁護士連合会は、2015年(平成27年)12月9日には法務大臣に対し、「死刑制度の廃止について全社会的議論を開始し、死刑の執行を停止するとともに、死刑えん罪事件を未然に防ぐ措置を緊急に講じることを求める要請書」を提出し、死刑及びその運用についての情報公開及び全社会的議論が尽くされるまで全ての死刑の執行を停止することなどを求めた。
また、2016年(平成28年)10月7日に福井市で開催された第59回人権擁護大会で、「死刑制度の廃止を含む刑罰制度全体の改革を求める宣言」を採択し、日本において国連犯罪防止刑事司法会議が開催される2020年までに死刑制度の廃止を目指すべきであること、死刑を廃止するに際して死刑が科されてきたような凶悪犯罪に対する代替刑を検討すること等を国に対して求めた。
なお、同宣言では、我が国が、国連自由権規約委員会や国連拷問禁止委員会等の国際機関から、これまでに死刑判決の全員一致制、死刑判決に対する自動上訴制、死刑判決を求める検察官上訴の禁止等の慎重な司法手続が保障されていないことについて幾度となく改善を勧告されているにもかかわらず、今日まで見るべき改善がなされていないことも指摘されているが、今回、広島拘置所において死刑が執行された者は、2013年(平成25年)2月に岡山地方裁判所における裁判員裁判で死刑判決を受け、その後、控訴したが、同人が控訴を取り下げたことにより上訴審において量刑に関して十分な審理がなされないまま死刑判決が確定した者であり、今回の死刑執行はかかる国際機関による勧告も考慮することなく行われたと言わざるを得ない。
当会においても昨年9月にシンポジウムを開催し、死刑制度についての議論を深める企画を行ったところである。
このような国際社会の潮流に反し、また、当会や日本弁護士連合会の要請等に反し死刑の執行が続いていることは極めて遺憾である。そこで、当会は、今回の死刑執行に対し強く抗議するとともに、死刑の執行を停止し、2020年までに死刑制度の廃止を目指すべきことを要請するものである。
2017年(平成29年)7月19日
岡山弁護士会 会長 大 土 弘
「共謀罪」と実質的に変わらない,いわゆる「テロ等準備罪」を創設する組織的犯罪処罰法改正法案の採決強行に抗議し,同法の廃止を含む見直しを求める会長声明
当会では,今国会において審理されていた組織的犯罪処罰法改正案について,市民の思想・信条の自由はもちろん,表現の自由,集会・結社の自由等の憲法上保障された基本的人権を侵害する危険性を有し,我が国の刑法の基本原則に反するものであるから成立に強く反対するとの立場から,昨年1月,11月,本年3月と,三度にわたり,いわゆる「共謀罪」を内容とする法案の国会提出に反対する声明を発表し,街頭宣伝活動や市民集会を開催するなど,同法案の危険性について訴えてきた。
同法案の対象となる277の罪の中には,著作権法違反等およそテロ犯罪とは無関係な犯罪が含まれており,対象範囲が広範に過ぎる。また,「組織的犯罪集団」がテロ組織や暴力団等に限定されず,これまで繰り返し述べてきたように市民団体や労働組合等も対象となり得ることから,ひいては一般市民も捜査の対象となり得るという懸念は払拭できない。加えて,同法案に係る衆議院法務委員会での審議において,計画(共謀)よりも前の段階から尾行や監視が可能となることが明らかになるなど,問題点は解消されるに至っていない。
また,同法案が既遂処罰という我が国の刑法の基本原則に反することはこれまでにも繰り返し述べてきたことであるが,既に予備罪が規定されている強盗罪等について,同法案に基づく共謀罪の方がその予備罪よりも法定刑が重いという不均衡が生じる点についてもなんら合理的な説明がない。
同法案については,日本弁護士連合会及び全国52の弁護士会全て並びに刑事法学者ら等からも続々と反対の表明がなされ,国連特別報告者からも「プライバシーや表現の自由を制約するおそれがある」として懸念を表明する書簡が内閣総理大臣宛てに送付された。本年6月10日に当会が開催した市民集会及びパレードには約600名の市民が参加し,多くの市民が同法案の内容に疑問を抱いていることが明らかになった。
それにもかかわらず,上述のように十分な議論を経ぬまま衆議院において強行採決し,良識の府であるはずの参議院においても委員会採決を省略した上で採決が強行され,同法案が可決,成立したことは極めて遺憾であり,強く抗議する。
当会は,政府および国会に対し,改めて,同法が国民の重要な権利を侵害し,我が国の刑法の基本原則に反するものであることから,今後,廃止を含めた抜本的見直しを行うよう強く求めるものである。
2017年(平成29年)6月15日
岡山弁護士会 会長 大 土 弘
修習給付金を支給すること等を内容とする改正裁判所法の成立にあたっての会長声明
1 はじめに
本年4月19日、司法修習生に対して修習給付金を支給すること等を内容とする改正裁判所法(以下、「本法」という。)が成立した。本法の施行日である本年11月1日以降の司法修習生に対しては本法67条の2に基づき、基本給付金として一律月額13万5000円、さらに必要に応じて住居給付金(上限3万5000円)及び移転給付金が支給される見込みとなった。
給費制の実現に向けては、日本弁護士連合会及び各弁護士会が、法曹志望者・法科大学院生・若手弁護士らを中心とするビギナーズ・ネットや市民の皆様とともに、7年余にわたって活動してきたものであるが、本改正が実現したのは、多くの市民の皆様、国会議員の皆様、法務省をはじめとする関係各省庁及び最高裁判所、マスコミ関係者の方々など、多くの方のご理解とご協力があったからであり、当会として、心から感謝申し上げる。
2 従前の制度
この修習給付金をめぐっては、2011年(平成23年)の裁判所法改正により、司法修習生に対する給費が廃止され、同年採用の司法修習生以降、司法修習生に対し、月額23万円を標準とする修習資金相当額を貸与する制度(貸与制)が導入された。しかし、貸与金はあくまで司法修習生にとって借入金(債務)にすぎず、2011年(平成23年)から2016年(平成28年)の間に採用された司法修習生は、無給での司法修習を強いられてきた。
3 司法修習生の経済状況
司法修習生は、本法67条2項により修習専念義務が課されたうえ、原則として副業が禁止されていることから、無給となった司法修習生は経済的に非常に困窮し、多くの司法修習生は、国からの修習資金の貸与を受け、司法修習に要する経費及び生活費等を賄ってきた。もっとも、修習資金の貸与を受けるためには年収150万円以上の保証人2人を付けるか、機関保証(有利子)を申し込む必要があったため、保証人を付けられず、かつ、機関保証を申し込んで更に債務が増大することを恐れた司法修習生は、貸与金の申請が行えないといった事態も生じた。加えて、貸与制の下の司法修習生は、司法修習生に採用される以前の法科大学院や大学の奨学金返還債務を抱えていることが多く、約300万円の貸与金返還債務は経済的に非常に重い負担となった。このような経済的負担は、近年の法曹志望者激減の一因ともなった。
4 司法修習の意義
そもそも、法曹(裁判官・検察官・弁護士)になるには、司法試合格後、1年間の司法修習を経て、考試(本法67条1項)に合格することが必要である。司法修習は、法曹として実務に必要な能力や高い見識・倫理観等を習得するために必要不可欠なものであり、法曹志願者としては必ず経なければならない制度である。国は、法律上、法曹志願者に対し、1年間の司法修習制度を定め、かつ、司法修習期間においては修習に専念する義務を課しているから、司法修習生の生活を賄うべく公費を投じることは、国の当然の責務といえる。
5 当会の活動
貸与制は、こうした国の責務を放棄するものであり、当会では、これまで、日本弁護士連合会やビギナーズ・ネットなどとともに、貸与制を廃止し、かつての給費制を実現すべく、地元選出の国会議員との面談、市民集会の開催、司法修習生給費制実現PTの立ち上げ、地元紙における意見広告、マスコミの皆様との意見交換、院内集会への委員の派遣等の活動に取り組んできた。
この活動が、司法修習生に対する経済的支援の必要性を広く認識していただく一助となり、本法が成立した。
6 法改正の評価
本法は、司法修習生に対する一律での給付が実現したという点において、これまでの貸与制が誤りであったことを認めたものであり、また、司法修習生の経済的困窮を幾分か和らげるものではある。したがって、当会としても、本法の成立自体について司法修習生に対する経済的支援の前進と評価する。
7 残された課題
しかしながら、本法は以下の2つの課題を残したといえる。
第一に、給付金額13万5000円という金額は、経済的不安なく司法修習を行うための費用としては必ずしも十分ではない。本法に基づく給付金額については、司法修習の意義及び今後の司法修習の実態も踏まえて、その適正額について引き続き検討が続けられるべきである。
第二に、本法の成立により、貸与制の下で司法修習を行った2011年(平成23年)から2016年(平成28年)の間に採用された司法修習生のみが、無給での司法修習を強いられ、給費制のもとで修習した2010年(平成22年)以前の司法修習生及び修習給付金の支給を受ける本年以降の司法修習生と比較して著しい不公平が生じることとなる。そこで、2011年(平成23年)から2016年(平成28年)の間に採用された貸与世代の司法修習生に生じる著しい不公平を解消するための措置をとることが必要不可欠である。本法案の審議の過程においても、与野党を問わず国会議員の皆様から同様の指摘がなされ、何らかの措置を講ずべきであるとの意見もあったにもかかわらず、本法にはこの点につき何らの言及もない。
貸与世代の第1期生である2011年(平成23年)に採用された司法修習生であった者に対する貸与金の返還開始時期である2018年(平成30年)7月が迫ろうとしている。一度貸与金の返還が開始されてしまうと、貸与世代の司法修習生に生じる著しい不公平を解消するために必要な措置をとるに当たり、制度設計上困難な事態が新たに生じてしまうことは明らかであり、上記第二の課題は喫緊の対応が必要である。
8 おわりに
当会としては、本法の成立をひとまず前進と受け止めるとともに、今後も、上記2つの課題を解決すべく、引き続き活動を続けていく所存である。
2017年(平成29年)5月10日
岡山弁護士会 会長 大 土 弘