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2222 ら特集10仙台弁護士会③2(0)

引用元 

平成28年02月27日 地域司法の基盤整備に関する協議結果を受けて改めて司法の機能充実を求める決議
ttp://senben.org/wp-content/uploads/2016/02/tiikisihou_280227.pdf
地域司法の基盤整備に関する協議結果を受けて改めて司法の機能充実を求める決議
日本弁護士連合会(以下「日弁連」と言う)と最高裁判所(以下「最高裁」と言う)との間で、2014年(平成26年)9月から地域司法の基盤整備に関する協議が続けられてきたが、この協議を受けて、最高裁は、本年1月に、①労働審判実施支部について、これまでは全国2か所の支部のみであったものを、2017年(平成29年)4月から、さらに3か所の支部においても実施すべく準備に着手すること、②裁判官非常駐支部及び家庭裁判所出張所について、本年4月から1支部に支部長を置いて常駐化させるとともに、3支部及び2家裁出張所で裁判官のてん補回数を増加させること等の方針を表明した。このような最高裁の対応は、身近で利用しやすい司法の基盤整備を進めるものであり一定の評価に値するものである。しかし、今回拡大された労働審判実施支部と裁判官非常駐支部への常駐やてん補回数を増加する支部の数は極少数にとどまっており、全体的には不十分な結論と評価せざるを得ない。当会は、裁判所支部管内の司法基盤の整備・拡充を重要課題と位置づけ、2009年(平成21年)2月の定期総会において「司法過疎の解消に向けて裁判所・検察庁の支部機能充実を求める決議」を採択するとともに、2011年(平成23年)2月の定期総会においては「仙台地方裁判所支部管内における司法の機能充実を求める決議」を採択し、県内の全ての地方・家庭裁判所支部に裁判官を速やかに常駐させ、裁判所支部の人的・物的基盤を整備すること等を求める意見を表明してきた。このように当会が繰り返し求めてきたにも関わらず、仙台地裁管内の支部が上記①②のいずれの対象にもならなかったことは、遺憾と言わざるを得ない。そもそも、今回最高裁が示した結論では、支部管内の多くの住民は、労働紛争を迅速に解決でき市民の満足度が高い制度と評価されている労働審判の利用が大きく制約されている状態が改善されないばかりか、裁判官非常駐支部在住の住民は、裁判官による裁判手続それ自体を受ける機会が制限された状態が、何ら解消されないまま放置されてしまうことになる。また、今回の協議結果では、合議事件の取扱支部を拡大するような結論は示されておらず、当会が見直しを求めてきた裁判手続を本庁に集約する流れについても大きな前進は見られない。宮城県内においては、全ての支部において労働審判が実施されておらず、また、仙台地裁登米支部には裁判官が常駐していない。合議事件、不動産競売、債権執行事件についても仙台地裁本庁に集約されており、支部では扱われていない。このような現状の見直しが図られなければ、支部管内在住の住民の多くが、十分な司法サービスを受ける機会を奪われ、憲法が保障する裁判を受ける権利を著しく制限されることになってしまう。特に、東日本大震災で多大な被害を被った県北の沿岸地域をはじめ県内各地に、依然として震災に関連し、あるいは復興に関連する事件が相当数存在することに鑑みれば、裁判手続が本庁に集約化されることは、支部管内に所在する被災地の復旧・復興を妨げる結果となりかねない。地域司法の基盤整備は急務であり、国は、司法予算を増額したうえで、速やかに対処する必要がある。以上のような状況を踏まえ、当会は、裁判所支部管内における市民の裁判を受ける権利を実質的に保障するために、これまで採択してきた決議内容の実現を改めて要求するとともに、下記の事項を、司法予算を増額したうえで実現するよう、重ねて強く要求する。
 (1)労働審判が実施されていない仙台地裁管内各支部をはじめとする各地の裁判所支部に労働審判を導入すること
(2)仙台地裁登米支部をはじめとする各地の非常駐支部に、裁判官を速やかに常駐させ、裁判所の人的・物的基盤を整備すること
(3)仙台地裁本庁をはじめとする各地の地裁本庁に集約されている合議事件、執行事件等各裁判手続は、支部管内でも可能な限り取り扱うようにすること
以上の通り、決議する。2016年(平成28年)2月27日仙台弁護士会会長岩渕健彦
提案理由
1 日弁連と最高裁との協議結果の公表
 日本弁護士連合会(以下「日弁連」と言う)は、2011年(平成23年)5月27日定期総会において「民事司法改革と司法基盤整備の推進に関する決議」を可決させ、その後、民事司法改革推進本部の設置,民事司法改革グランドデザインの策定・改訂、「民事司法を利用しやすくする懇談会」の設置に向けた働きかけ等、司法基盤の整備を含む民事司法の諸課題の改革に取り組んできた。そして,2014年(平成26年)3月19日「民事司法改革に取り組む基本方針」が日弁連理事会で採択され,日弁連の意見として確定している諸課題について,①運用改善で実現を目指すもの,②従来の法改正プロセス(法制審議会等)で実現を目指すもの,③政府に新検討組織を設置して実現を目指すものに分類・整理し,適切な方法で実現を目指すこととされた。これらの日弁連の民事司法改革に向けた動きと議論に並行して、最高裁判所(以下「最高裁」と言う)からの働きかけに基づき、日弁連は、最高裁との間で、2014年(平成26年)9月から、民事司法改革に関する協議を開始し、4つの部会を設置した上で協議を行ってきた。上記4部会の中の「基盤整備」部会の協議で、日弁連は、労働審判実施支部の拡大、非常駐支部・家裁出張所の運用改善、合議事件取扱支部の拡大等についての提案を行い、その必要性を裏付ける事実関係の調査結果及び各種データ等の資料を提示する等の対応をしてきたが、本年1月15日の協議会において、最高裁から、裁判所支部に関し、以下のような回答がなされ、上記部会での協議は終了した。
① 労働審判実施支部の拡大
 平成29年4月から、静岡地裁浜松支部、長野地裁松本支部、広島地裁福山支部の3支部において、労働審判事件の取扱いを開始することができるよう準備を開始し、併せて、労働審判員候補者の推薦母体との間で調整を進めていくこととする。
② 裁判所支部の裁判官常駐化
 平成28年4月から、松江地家裁出雲支部に支部長を置いて常駐化させる。また、平成28年4月から、静岡地家裁掛川支部、神戸地家裁柏原支部、高松地家裁観音寺支部の3支部について、てん補回数を増加させる方向での準備を進める。
③ 家庭裁判所出張所の運用改善について
平成28年4月から、さいたま家裁飯能出張所、岡山家裁玉島出張所の2出張所のてん補日を増加させる方向で準備を進める。
2 協議結果の問題点
 以上の最高裁の回答は、日弁連が提示した、労働審判実施支部の拡大、非常駐支部・家裁出張所の運用改善の要請の一部を受け入れ、身近で利用しやすい司法の基盤整備を進めるものであり、一定の評価が可能な内容である。しかし、今回拡大された労働審判実施支部と裁判官非常駐支部への常駐やてん補回数を増加する支部等の数は全国の支部等のうちのごく少数にとどまっている。また、上記部会の主要なテーマの一つであった合議制事件取扱支部の拡大については、「各支部の事件処理状況、最寄りの合議制取扱庁までのアクセスを前提とした場合、現時点で合議制取扱支部を増加させなければならない事情があるとは考えていない」として運用改善が見送られた。さらに、裁判官の増員や調停室の不足解消等の人的物的体制の整備やそれに伴う司法予算の増大については、特段の前進は見られなかった。
3 当会の活動と上記協議結果に対する評価
これまで当会は、裁判所支部管内の司法基盤の整備・拡充を重要課題と位置づけ、2009年(平成21年)2月の定期総会において「司法過疎の解消に向けて裁判所・検察庁の支部機能充実を求める決議」を採択するとともに、2011年(平成23年)2月の定期総会においては「仙台地方裁判所支部管内における司法の機能充実を求める決議」を採択し、県内の全ての地方・家庭裁判所支部に裁判官を速やかに常駐させ、裁判所支部の人的・物的基盤を整備すること、仙台地裁本庁に集約されている合議事件、労働審判、執行事件等各司法手続を支部管内でも可能な限り取り扱うようにすること等を求める意見を表明してきた。さらに、これらの決議の趣旨について地域の住民や地方自治体関係者らの理解を得て、各地から司法基盤の整備を求める声が上がるのを促すために、宮城県内の栗原市、石巻市において、「地域の司法を考える」と銘打った市民集会を開催してきた。このように当会が繰り返し求めてきたにも関わらず、仙台地裁管内の支部が上記①②のいずれの対象にならず、合議制事件取扱支部が拡大されることも見送られた。このような結果は誠に遺憾と言わざるを得ない。
4 具体的な問題点
 労働審判の実施が一部の支部に限られていることや裁判官が常駐していない支部が存在することについては、以下のような具体的な問題点が指摘されている。まず、労働審判については、地方でも頻発する労働紛争を迅速かつ適切に解決できる点で利用者の満足度が高い制度と評価されているが、上記のような事情から、支部管内の住民の多くはこの制度を容易に利用できる状況にはない。そのため、本庁と隣接する支部以外の住民が時間と交通費等を負担してまで申立てをするケースは必ずしも多くはないのが実情であり、支部管内に居住する住民の多くは事実上この手続の利用を断念せざるを得ない状況となっている。非常駐裁判所では、ただでさえ数少ないてん補日に様々な事件を集中的に取り扱わざるを得ず、中には人証取り調べの制限が行われるなど、各事件について十分な審理がなされているとは言い難い支部も見受けられる。また、民事保全、証拠保全やDV防止法の保護命令等の迅速性が求められる事件においても、審尋期日が速やかに開廷されなかったり、裁判官の非てん補日には裁判官常駐庁に記録使送をするなどの事務対応が必要となるため、発令まで時間を要することになってしまうとの状況が見受けられる。さらに、合議事件が開廷されていない地裁支部管内の当事者、関係人、弁護士は、行政訴訟・医療過誤訴訟等の複雑な民事事件や、法定刑の重い刑事事件の際には、本庁や他の実施支部まで移動を余儀なくされている。特に、宮城県内においては、東日本大震災で多大な被害を被った県北の沿岸地域をはじめ県内各地に、依然として震災に関連し、あるいは復興に関連する事件が相当数存在することに鑑みれば、裁判手続が本庁に集約化されることは、支部管内に所在する被災地の復旧・復興を妨げる結果となりかねな
 い。5 司法基盤の偏在と裁判を受ける権利の侵害以上のように特定の地域の住民が裁判手続において不利益な扱いを受けることは、国民の裁判を受ける権利(憲法第32条)との関係で看過できない問題を生じさせている。裁判を受ける権利は、国民が司法を通じてその権利を実現するための重要な権利であり、その保障は、国民が単に裁判所で裁判を受けられることを意味するのではなく、誰もが適正・迅速な裁判が受けられるような実質的な内容を伴うものでなくてはならない。このような裁判を受ける権利の実質化の観点から、2001年(平成13年)に公表された司法制度改革審議会意見書は、「司法制度改革の3つの柱」の第1として「国民の期待に応える司法制度とするため、司法制度をより利用しやすく、分かりやすく、頼りがいのあるものとする」ことを定め、「国民の期待に応える司法制度の構築(制度的基盤の整備)」を目標として掲げている(上記審議会意見書1頁)。国民の裁判を受ける権利の保障と、国民の期待に応える司法制度構築の要請は、本庁地域と支部地域との間で何ら異なるものではなく、国民に司法サービスを提供するに当たっては、これらの地域間に格差があってはならない。
6 地方創生と司法基盤整備の国民的視点
(1)地域の司法基盤の整備・充実は、現在政府が主要なテーマとして掲げる
「地方創生」の観点からも極めて重要である。2014年(平成26年)11月に成立した「まち・ひと・しごと創生法」は、人口の東京圏への一極集中を是正するために、①豊かな生活を安心して営める地域社会をつくる、②地域社会を担う多様な人材を確保する、③地域における多様な就業を創出することを課題とし、これら三つを一体として推進することを目的として掲げているが、それぞれの地域で、生活の安全と事業の安定が確保される環境を整備するためには、市民の悩みごとや企業紛争を身近で迅速に解決してくれる裁判手続を整備することが不可欠である。そして、市民の司法アクセスを拡充するためには司法の利用者である市民が地域から声を上げ、具体的な制度の実現を提言することが重要である。
 (2)裁判所法によれば、地方裁判所の支部や出張所の配置を決めることや支部に勤務する裁判官を定めることができるのは最高裁であるが(同法31条等)、最高裁は、司法基盤整備の具体化について意見を求められると、限られた予算と人的体制の中でしか考えられないという回答を繰り返してきた。しかし、司法を利用する市民にとってみれば、司法基盤の偏在は、前述したように切実な問題であり、国民の裁判を受ける権利に関わる重要な人権課題である。上記審議会意見書においては、司法の国民的基盤の確立が、1つ大きな課題とされているが、この視点は、裁判員裁判への国民の参加のような場面だけではなく司法基盤の整備を検討するにあたっても基本に置く必要があり、最高裁は、司法基盤整備について、より積極的に「国民の期待と信頼に応える司法制度」を実現(上記審議会意見書1頁)するための責務を果たすべきである。
7 司法予算増額の必要性
 最高裁が上記の責務を果たすためには、その実施に要する司法予算が確保される必要がある。上記の司法制度改革審議会意見書は、裁判所等の人的物的体制の充実を含む司法制度改革を実現するため、司法に対して財政面から十分な手当をすべく、政府に対して、必要な財政以上の措置について特段の配慮を求めている。ところが、裁判所関連予算は、裁判員裁判対策の点を除けば年々減少を続け、上記審議会意見書が出された以降も、国家予算に占める割合は約0.3%台で推移しているのが実情である。このような政府の措置は、審議会意見書が求めた司法に対する財政上の特段の配慮を政府が怠ってきたことの現れに他ならず、国民の裁判を受ける権利を充実させるべき責務を果たしていないと評価されてもやむを得ないものである。「ただ一人の声であっても、真摯に語られる正義の言葉には、真剣に耳が傾けられなければならず、そのことは、われわれ国民一人ひとりにとって、かけがえのない人生を懸命に生きる一個の人間としての尊厳と誇りに関わる問題である」(上記審議会意見書5頁)という司法に期待される役割の根本に立ち返り、国は市民の身近にあって、利用しやすく頼もしい司法を実現するために真摯な対応をすべきである。
8 むすび
以上のような理由により、当会は、裁判所支部管内における市民の裁判を受ける権利を実質的に保障するために、これまで採択してきた決議内容の実現を改めて要求するとともに、今般最高裁から示された協議結果に対応する、労働審判実施支部の拡充、非常駐支部の解消、裁判手続の本庁集約化傾向の見直しを、司法予算を増額したうえで実現することを求め、本決議に及ぶもである。以上

平成28年01月08日 消費者庁・消費者委員会・国民生活センターの地方移転に反対する会長声明
ttp://senben.org/archives/6099
平成28(2016)年1月8日仙台弁護士会 会長 岩 渕 健 彦
平成28年01月08日 夫婦同氏の強制及び再婚禁止期間についての最高裁判所大法廷判決を受けて民法における差別的規定の改正を求める会長声明
ttp://senben.org/archives/6096
平成28(2016)年1月8日 仙台弁護士会会長 岩 渕 健 彦
平成27年12月22日 死刑執行に断固抗議し,死刑執行を停止するとともに,死刑に関する情報を広く公開し,死刑制度の存廃に関する国民的議論を求める会長声明
平成27(2015)年12月22日仙台弁護士会 会長 岩 渕 健 彦
ttp://senben.org/archives/6054
平成27年09月19日 安全保障関連法案の参議院採決の強行に強く抗議し, 同法の廃止を求める会長声明
ttp://senben.org/archives/5965
本日,参議院本会議において,いわゆる平和安全法制整備法案及び国際平和支援法案の採決が強行され,同法律が成立した。本法律は,我が国に対する武力攻撃が発生していないにもかかわらず,他国間の戦争に加わっていくことを意味する集団的自衛権の行使を可能にするとともに,自衛隊の武器使用権限及び他国軍隊に対する支援活動を大幅に拡大するものである。当会はこれまで,本法案が,憲法第9条に違反し,また,憲法改正手続(憲法第96条)を潜脱して実質的に憲法第9条を改変する点で立憲主義及び国民主権にも反することを指摘して,その成立に反対し,廃案を求める意見を繰り返し表明してきた。本法案は本年5月26日に衆議院で審議入りしたが,この間,衆議院憲法審査会に参考人として出席した3名の憲法学者全員が,集団的自衛権行使を可能にすることは憲法違反であると言明し,また,衆参両議院の特別委員会の参考人質疑でも,元内閣法制局長官が,集団的自衛権の行使容認は憲法違反であると述べるなど,本法案の違憲性は審議が進むにつれて解消されるどころか,むしろより一層明らかとなっていた。加えて,元最高裁判所長官を含む最高裁判事経験者や圧倒的多数の憲法学者,文化人らも,本法案は憲法に違反するとして反対の意見を相次いで表明しており,このような状況の下,各種世論調査においても,本法案に関する政府の説明は不十分であるとの声が8割に達し,今国会での成立に反対との声は6割を占める状態が続いていた。当会は,憲法解釈変更による集団的自衛権行使容認の動きが明らかになって以降,様々な集会やシンポジウムを開催してきたが,本年9月6日には,本法案に反対する大規模野外集会を開催した。この野外集会には,当会の企画としては過去に例のない約3500名もの市民が結集し,憲法で権力を縛るという立憲主義を確認し,憲法違反の本法案を廃案にするまで闘い抜くとのアピールを採択した。また,この間,学生や子を持つ母親を含む様々な人々がデモや集会に参加し,本法案に反対する動きは全国各地に広がっている。ところが,与党は,本法案について,参議院の我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会での採決を強行したうえ,参議院本会議において本法案を可決し成立させた。多くの法律家,学者,文化人らによる憲法違反との指摘や,多数の国民の反対・懸念の声を無視して,本法案の採決を強行し,本法律を成立させたことは,立憲主義と民主主義を踏みにじる暴挙というほかなく,絶対に認めることができない。本法律は,集団的自衛権の行使を容認するという法案の根幹部分において憲法第9条に違反するうえ,「存立危機事態」の概念の不明確性から,時の政府・与党の判断により歯止めのない集団的自衛権行使が行われる危険性も高い。その他,本法律が予定する他国軍隊への支援活動は,他国の武力行使との一体化が避けられないなど,本法律は多くの基本的な部分で憲法に違反しており,このような違憲性を取り除くためには,本法律を廃止するほかない。よって,当会は,憲法違反の本法律の参議院採決の強行に強く抗議し,本法律の廃止を求めるとともに,本法律の廃止に向けて市民と一丸となり最後まで全力で取り組む決意であることをここに表明する。
平成27(2015)年9月19日仙台弁護士会会長 岩 渕 健 彦

平成27年09月17日 「宮城県薬物の濫用の防止に関する条例」の警察職員による立入調査等の規定に強く反対する会長声明
ttp://senben.org/archives/5959
現在開会中の宮城県議会において,「宮城県薬物の濫用の防止に関する条例案」(以下,「本条例案」という)が議員提案され,9月定例会での成立に向けて議論されている。 本条例案は,公安委員会の指示により警察職員が令状(事前審査)なしに「知事指定薬物等を業務上取り扱う場所その他必要な場所」への立入調査をする権限,また関係者に質問する権限を認めており(第16条第3項),さらに立入調査を拒む等した者や,質問に対する答弁をしなかった者に対しては20万円以下の罰金に処するとしている(第32条第3号)。しかし,これらの規定は,以下に述べるとおり重大な問題がある。まず,本条例案が定める立入調査は,警察職員がこれを行うことからすれば,直ちに違法薬物の摘発及び薬物の所持者・管理者の逮捕等に繋がる可能性が高く,実質的には刑事手続である捜索に該当しうる。捜索は,憲法35条により,裁判所が発付する令状に拠らねばならないと定められているが,本条例案の立入調査は無令状での捜索を実質的に認める内容となっており,憲法に違反するおそれが強い。また,本条例案が定める質問権は,警察職員の質問に答弁しなかった者に対して罰金を科するとして,対象者の答弁を強制するものである。しかし,かかる質問権は,警察職員により行われる点,対象者の答弁内容によっては立入調査と同じく即時の逮捕等に繋がることからすれば,実質的には刑事手続における取調べに該当しうるものである。憲法38条は,何人も自己に不利益な供述を強制されないとして黙秘権を保障しているところ,罰金により答弁を強制する本条例案は,この点でも憲法に違反するおそれが強いと言わざるを得ない。 本条例案は,立入調査や質問の権限について「犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない」という規定を設けている(第16条第5項)。しかし,刑事責任の追及を直接的な目的としない手続においても令状主義の保障は及びうるし,刑事責任追及のための資料の取得収集に直接結びつく作用を有する行政手続においては黙秘権が保障される(最高裁昭和47年11月22日大法廷判決を参照)。したがって,上記の規定は本条例案の憲法違反のおそれを払拭するものではない。 本条例案は,形式的には行政手続によって,刑事責任追及のための資料の取得収集を可能とするものであり,憲法及び刑事訴訟法の規制を潜脱するものであり,憲法違反の疑いがきわめて強い。なお,警察職員による立入調査等を認めた規定については,仙台地方検察庁も,憲法違反の可能性に言及している。 以上の理由により,当会は,「宮城県薬物の濫用の防止に関する条例」の,警察職員による立入調査等の規定に強く反対する。
2015(平成27)年9月17日仙台弁護士会会長  岩渕 健彦

平成27年08月27日 「刑事訴訟法等の一部を改正する法律案」の衆議院通過に抗議し,同法案に反対する会長声明
ttp://senben.org/archives/5917
「刑事訴訟法等の一部を改正する法律案」(以下,「本法案」という)が,2015(平成27)年8月7日,衆議院にて可決された。しかし,本法案には,当会が従前指摘してきた通り,以下のような重大な問題点がある。まず,通信傍受について,対象犯罪の拡大と手続簡略化を認めている点である。通信傍受(盗聴)は,憲法の定める令状主義に違反するおそれが強い上,通信の秘密やプライバシー権を侵害する捜査手法であることから,組織的な重大犯罪のみを対象とし,かつ通信事業者の立会が要件とされているものである。ところが,本法案は,通信傍受の対象を,傷害・窃盗・詐欺・恐喝等の一般的な犯罪にまで拡大することとし,さらに通信傍受を行う際の通信事業者による立会を不要とする手続簡略化を行うこととしている。これは,憲法に違反する疑いが極めて強い法改正であり許されない。いわゆる組織性の要件も抽象的であり,暴力団等の犯罪的組織に限られず通信傍受がなされる可能性がある。また,通信傍受の際に捜査に関わらない警察官を立ち会わせる運用が検討されているようであるが,通信事業者の立会と比較するとその公正さの担保は著しく欠けていると言わざるを得ない。本法案は,捜査機関が不当に広く一般市民の通信を傍受しうる内容となっている。次の問題点は,本法案がいわゆる司法取引(捜査・公判協力型協議・合意制度)の導入を認めている点である。本法案にいう司法取引は自らの罪を認めることで罰を軽減するものではなく,他人の罪を捜査機関に告げることで自己の罰を軽減しうるというものである。このような制度は「引っ張り込み(自己に有利な結果を得るために他人の罪をねつ造し,無実の他人を陥れること)」の危険を大幅に高め,それによる誤判・えん罪を増加させるものであり,そもそも導入されるべきではない。本法案は,司法取引の協議については弁護人の関与を義務付けることとしているが,司法取引によってえん罪の被害を受ける危険性があるのは取引に使われる(犯人として告げられる)側の者である。取引をする側の者に弁護人を付けたとしても,かえって弁護人を被疑者・被告人の権利擁護と社会正義(えん罪防止)の板挟みに陥らせるだけであり,根本的な解決になっていない。なお,本法案の中には,刑事事件全体でみればほんの一部とはいえ取調べの可視化を明文で認め,附帯決議において可視化の義務がない場合でも可視化の努力を求めている点や,国選弁護制度を拡充している点など,被疑者・被告人の権利擁護について,一定程度前進している部分も見受けられる。しかし,全体として見た時には上記のような大きな問題が残っており,かえって被疑者・被告人その他一般国民に対し重大な人権侵害をもたらすおそれのある法案となっている。当会は,衆議院が本法案の問題点を看過し,本法案を可決したことに対して強く抗議し,本法案の廃案を求める。
2015(平成27)年8月27日仙 台 弁 護 士 会会長  岩渕 健彦

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