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2272 ら特集10仙台弁護士会⑤22(0)

引用元 

平成17年08月24日 金融庁事務ガイドライン(第三分冊:金融会社関係の改正に対する意見書
ttp://senben.org/archives/519
金融庁事務ガイドライン(第三分冊:金融会社関係)の改正に対する意見書
仙台弁護士会会長  松 坂 英 明
意見の趣旨
 今般予定されている金融庁事務ガイドライン(第三分冊:金融会社関係)の一部改正にあたっては、現在公表されている改正案について、「貸金業者に取引履歴の開示義務があり、正当な理由に基づく開示請求を拒否した場合には行政処分の対象になり得ることを明確化する」との改正の趣旨には賛成であるが、以下の点の修正を求める。
 (1)貸金業規制法第13条第2項の規定に該当する恐れが大きい行為の例示(3?2?2(6))の中に、「顧客等から貸金業者に対する過払金返還請求を目的とする取引履歴の開示請求に対し、開示を拒否しまたは虚偽の開示を行うこと」を明示すること。
 (2)本人等の「十分かつ適切」な確認方法として、本人確認法に依拠した確認方法を例示した部分を削除し、
① 本人による開示請求の場合は、氏名及び顧客会員番号又は生年月日、住所を記載した取引履歴開示請求書で本人確認は足りることを例示し、さらに、本人確認の手続きが、開示請求者の負担とならないよう貸金業者に注意を喚起すること。
② 弁護士、司法書士という資格者による開示請求の場合は、これまでの実務どおり、所属会を明記し、依頼者の氏名及び顧客会員番号又は生年月日、住所を記載した受任通知で足りるとすること。
 (3)貸金業者が開示にあたって手数料を徴収することが債務者に過重な負担を課すものであって許されないことを明確にすること。意見の理由
 1 金融庁は、本年8月12日、金融庁事務ガイドライン(第三分冊:金融会社関係)の一部改正について、別紙のとおりの改正案をまとめ、9月2日まで意見照会している。
2 取引履歴開示義務の明示には賛成である。
 本年7月19日、最高裁判所は、貸金業者が「貸金業法の適用を受ける金銭消費貸借契約の付随義務として、信義則上、保存している業務帳簿に基づいて取引履歴を開示すべき義務を負う」、との判断を示した(最高裁判所第三小法廷平成17年7月19日判決)。このたび、速やかにガイドラインを改正して貸金業者の取引履歴開示義務を明確化することは、まことに時宜に適った措置である。
 3 取引履歴開示請求の「正当事由」に「過払金の返還請求」も加えるべきである。上記の最高裁判決は、債務者が債務内容を正確に把握出来ない場合には、「弁済計画を立てることが困難になったり、過払金があるのにその返還を請求できないばかりか、更に弁済を求められてこれに応ずることを余儀なくされるなど、大きな不利益を被る」ことなどに鑑みて、取引履歴開示義務が存在するとの結論を導いている。そうである以上、一部改正(案)のうち、事務ガイドライン3?2?2にいう取引履歴開示請求の「正当な理由」として「弁済計画の策定、債務整理」だけを例示し、「過払金の返還請求」について殊更に言及を避けているのは、不適切である。「過払金の返還請求」も、取引履歴開示請求の正当理由のうちに含まれることを明記すべきである。
 4 本人確認法上の本人確認手続を取引履歴開示に持ち込むことは、債務者に過度の負担を課す重大な誤りである。今回の貸金業ガイドライン改正案は、取引履歴開示請求に際しての本人確認について、いわゆる本人確認法(金融機関等による顧客等の本人確認等及び預金口座等の不正な利用の防止に関する法律)所定の本人確認方法を「十分かつ適切」な本人確認方法として例示していることには、以下に述べるとおり重大な問題がある。
 (1)そもそも、本人確認法は、テロ及び組織犯罪等の悪質な犯罪行為に対する資金提供のために金融機関の預金口座が不正利用されることを防止するために(同法1条)、極めて厳格な本人確認の手続を定めた法律であって、上記犯罪行為とは全く無関係の取引履歴開示請求について、かような厳格な本人確認を求めることには、何らの法的根拠もない。
 (2)加えて、本人確認法に基づく厳格な本人確認を要求することは、従来の取引履歴開示の実務では用いられてこなかった厳格な手続を要求するものであって、債務者に過度の負担を課すことになる。すなわち、従来の取引履歴開示の実務において、特に弁護士が代理人として関与する場合については、貸金業規制法21条1項6号所定の「債務者が債務の処理を弁護士に委託した旨の弁護士からの書面による通知」(いわゆる受任通知書)が、債務者の代理人であることの十分かつ適切な確認資料であるとされてきた。実際、多くの貸金業者は、個人情報保護法が施行された現在においても、受任通知書の送付をもって代理権確認の方法とすることを、従前通り異議なく認めているのである。こうした現状に鑑みるなら、本人確認のために免許証等本人確認書類の原本または実印を押印した委任状と印鑑証明書の「提示」を要求する今回の貸金業ガイドライン改正案の内容が、債務者に対して従来より著しく煩瑣な手続を要求するものであって、これが債務者にとって過度の負担であることは明らかである。
 (3)したがって、今回の貸金業ガイドライン改正案において、本人等の「十分かつ適切」な確認方法として、本人確認法に依拠した確認方法を例示した部分については、全面的に削除されるべきである。その上で、取引履歴の開示を求めることは顧客の権利であることをふまえ、①本人よる開示請求の場合は、現在の実務を前提に、氏名及び顧客会員番号又は生年月日、住所を記載した取引履歴開示請求書で本人確認は十分であることを例示し、かえって、本人確認手続きに伴う負担が顧客等(弁済済みの者も含む)による、開示請求権の行使を妨げることがないよう貸金業者に注意喚起すべきである。②弁護士、司法書士による場合は、現行実務で、確立している、受任通知(依頼者の氏名及び顧客会員番号又は生年月日、住所で依頼者を特定すること)で足るものとすべきである(代理人資格の確認のため、所属会の明記は必要である)。最高裁判決が出され、実体的に取引履歴の開示義務を貸金業者が負うことになった時期に、実務で形成された取引履歴開示の慣行を特段のトラブルのないのに、手続き規定を加重して最高裁で認められた開示請求権を制限することを認めることは出来ない。
5 手数料の徴収は許されないこと
 また、一部の貸金業者の中には、取引履歴の開示にあたって、個人情報保護法を根拠に、手数料を要求するものがある。しかしながら、既に述べたとおり、信義則に基づく取引履歴開示請求は個人情報保護法25条1項に基づく開示請求とは関係ないのであるから、個人情報保護法30条1項を根拠に手数料を請求する貸金業者の主張は誤りである。上記最高裁判決も認定するとおり、「貸金業者が保存している業務帳簿に基づいて債務内容を開示することは容易であり、貸金業者に特段の負担は生じない」にもかかわらず、貸金業者が手数料を要求することは、個人情報保護法を口実として取引履歴開示請求に不当な制限を加えようとするものであって、到底許される行為ではない。
 本ガイドライン改正に当たっては、このような不当な要求を拒否する条項を盛り込むべきである。
6 まとめ
 よって、当会は、金融庁の事務ガイドライン改正案が、貸金業者に取引履歴の開示義務を認めたことは十分評価するとしても、過大な本人確認書面の要求など、多重債務者救済の実務に大きな混乱を生じさせ、その救済を大きく損なうことから、適正かつ迅速な取引履歴開示が促進され、債務者の権利が確保されるよう本意見書を提出するものである。 以 上

平成17年07月20日 宮城県貸金業協会による「ヤミ金融回避特区」提案に反対する意見書
ttp://senben.org/archives/525
仙 台 弁 護 士 会
会 長  松  坂  英  明
意見の趣意
 当会は、宮城県貸金業協会による「ヤミ金融回避特区」提案に反対すると共に、政府に対し特区提案を採用しないことを求める。
意見の理由
 1 宮城県貸金業協会(以下、「協会」という)は、平成17年6月23日、内閣官房構造改革特区推進室に対し、政府が地域の特性に応じた規制緩和の特例措置を設けて経済活性化を目指す構造改革特別区域制度に基づき、「ヤミ金融回避特区」の提案(以下、「本件提案」という)を行った。
 本件提案は、上限金利規制を緩和し、資金需要者に対し健全な貸金業者による資金供給を可能とさせることでヤミ金融による被害を抑制できるとの考えに基づき、特区内においては、貸付金額と貸付期間の上限その他の制限を定めることを条件として、出資法の上限金利を緩和して年40.004%まで認めるようにする、というものである。しかしながら、本件提案は、極めて問題が多く、当会はこれに対して強く反対するものである。
 2 協会による本件提案は、①平成12年の出資法改正により上限金利が引き下げられたことにより、貸金業者が貸付を抑制するようになり、資金需要者が貸金業者から貸付を受けることができなくなった結果、ヤミ金融を利用するようになった、②従って、上限金利を緩和し貸金業者が資金需要者に対して貸付を行いやすくすることがヤミ金融被害の防止につながる、との考えを根拠とするものである。しかしながら、以下のとおり、協会のこのような考えが誤りであることは明白である。
(1)①について
出資法の上限金利の引下げがヤミ金融被害の増加を招いたなどという社会的事実は存在しない。ヤミ金融は平成6年ごろにはすでに発生しており、出資法の改正がなされた平成12年に先立つ平成10年ころには、ヤミ金融の跋扈がすでに大きな社会問題となっていた。例えば、東京の有しの弁護士等のグループは、平成11年7月には、ヤミ金融245業者について警視庁に対し事実上の刑事告発を行うに至っている。また、平成12年以前にも数次にわたり出資法が改正され、上限金利の引き下げが順次行われてきているが、上限金利引き下げのたびにヤミ金融の被害が増大してきたという事実もない。さらに、平成12年の出資法改正以降も、消費者金融業者の貸付残高は年1兆円規模で増加を続けているのであり、上限金利の引き下げが貸付を抑制的にさせているという事実もない。そもそも、ヤミ金融が跋扈した大きな要因は、ヤミ金が狙う多重債務者が近年急増したことと、出資法違反に対する取り締まりが不十分なことにある。
 上限金利引き下げがヤミ金融被害の増加を招いたなどという社会的事実はなく、本件提案は、そもそもその前提に大きな誤りがある。(2)②について
 ヤミ金融がターゲットとする顧客層は、多数の貸金業者に対して多額の負債を抱え、中小の貸金業者からも貸付を拒絶されるような多重債務者である。本件提案のようにこのような多重さ武者に対して高利で新たな貸付を行うことは、多重債務者の債務をさらに増大さえることにほかならず、ひいてはその経済生活の破綻を促進させる結果につながることは明らかである。同時にそれは、ヤミ金融のターゲット層をさらに拡大させることをも意味する。このように、
 上限金利を緩和することは、ヤミ金融被害の防止策になりうるどころか、むしろ多重債務者のさらなる増加を促すものであり、ひいてはヤミ金融被害者を増加させる恐れが極めて大きいのである。 そもそも、近年における多重債務者の急増は、金利規制の甘さによる高利貸付の横行、債務者の経済力に見合わない過剰融資の横行に主要な原因が存するところであるが、本件提案は、まさにこの「高利貸付」「過剰融資」の正当化をはかろうとするものにほかならない。貸金業者のそのような姿勢こそが多重債務問題を深刻化させていることを指摘しないわけにはいかない。ヤミ金融被害の防止のために必要とされているのは、新たな高利貸付ではなく、金利規制の強化、過剰融資の抑制をはじめ、社会保障の充実や政府・自治体等による低利融資制度の充実、相談窓口の拡充等といった、多重債務者の予防・救済策なのである。
 3 協会は、上限金利の緩和が正しく運用されるように、①貸付期間の制限(貸付期間を原則3ヶ月以内として最大でも6ヶ月を越えないこととする)、②貸付金額制限(貸付金額を個人50万円以内、事業者150万円以内とする)、③担保・連帯保証人の不徴求、④協会に対する届出等、の仕組みを確保することを掲げている。しかしながら、まず①については、債務の書き換えを繰り返すことなどにより、貸付期間の制限は容易に潜脱することができるのであり、到底その実効性は期待できない。また、②についても、現在一般的に行われている無担保貸付における貸付金額とほとんど変わりはなく、何らの抑止効果も持たない。さらに③についても、債務者本人に対する過酷な取立てが行われる可能性は否定できないし、何よりも債務者本人の経済生活の破綻を招くことに対しては何らの予防措置にもなりえない。加えて、④についても、協会が実効性ある監督機能を営むことは期待しがたい。このように、①?④の措置を講じたところで、到底、本件提案が正当化されるものではない。
 4 当会は、多重債務問題解決のため、これまでも何度も出資法の上限金利の引き下げを求めてきたところ、上限金利については、2007年1月までに必要な見直しが行われる予定となっている(出資法改正附則12条2項)。
そのような状況の下において、出資法の見直し作業を待たずして上限金利の引き上げを実現しようという本件提案は、十分な検討の上で出資法改正という形で上限金利規制のあり方を見直そうという上記出資法改正附則の趣旨を没却せしめるものであることは明らかである。
 5 出資法では、上限金利に違反する利息の受領等を刑罰の対象としているが、この罰則は、いわば金融秩序に関する基本的な刑罰法規である。従って、その適用は全国的に平等になされるべきであるのが大原則であるところ、何らの合理的理由もなく特定の地域に限定して刑罰法規の適用に差異を設けることは、地域間において極めて不平等な結果をもたらすことは明白であり、ひいては憲法の定める法の下の平等にも反することになる。
6 本件提案は、構造改革特別区域の制度趣旨にも反するものである。
 構造改革特別区域制度は、各地域の特性に応じて規制の特例措置を定め、教育、農業、社会福祉などの分野における構造改革を推進し、地域の活性化を図り、国民経済を発展させることを目的とするものである。
しかるに、本件提案は、なにゆえ特定の地域だけに高金利を認める必要があるのか、全く明らかにされておらず、単に高利貸金業者の保護を目的としていることが明らかな提案であって、構造改革特別区域を設けた趣旨に反するものであることは明白である。
 7 よって、当会は、本件提案に対して強く反対するとともに、政府に対し、本特区提案を採用しないことを求める。 以 上

平成17年07月20日 共謀罪の新設に反対する会長声明
ttp://senben.org/archives/523
「犯罪の国際化及び組織化に対処するための刑法等の一部を改正する法律案」(以下「法案」という。)が、第156通常国会に提出され、一度廃案になったものの、現在、第162通常国会において審議されている。そして、その中に、共謀罪(または謀議罪、以下「共謀罪」という。)と呼ばれる新たな犯罪類方の新設が盛り込まれている。 共謀罪とは、団体の活動として、組織により行われるものの遂行を共謀したことだけで処罰するものである。死刑又は無期若しくは長期10年を越える懲役若しくは禁錮の刑が定められている犯罪について共謀した場合には5年以下の懲役又は禁錮の刑に処するものとし、長期4年以上10年以下の懲役又は禁錮の刑が定められている犯罪について共謀した場合には2年以下の懲役又は禁錮の刑に処するものとされている。しかし、共謀罪、犯罪の実行行為の着手がないばかりでなく、予備行為さえも行っていない段階で、共謀をしたというだけで処罰するものとなっており、処罰時期を著しく前倒しにするものである。したがって、抽象的危険の存否すら不明な段階であろうとも、会話ないし通信をしたことだけで刑罰を科されることになりうる危険がある。しかも、現行刑法では、予備行為が処罰されているのは殺人ないし放火などの重大犯罪に限られているところ、この共謀罪では、長期4年以上の刑罰が科せられる犯罪について成立が認められていることから、500以上にものぼる非常に広範囲な犯罪が実行前において処罰の対象とされてしまう。また、「共謀」という不明確な概念を構成要件としているため、刑罰法規の明確性原則に反する。共謀は抽象的概念であるため、特定の行為からその認定は困難であり、行為者の会話のみならず内心にまで踏み込まなければ判断できない以上、行為者の思想、信条、主義にまで捜査機関が調査権限を及ぼすことを招き、その結果、国民の思想、信条の自由を侵害してしまうことになりかねない。そして、思想、信条を表現するための通信、出版などの情報伝達及び外部公表行為に対する萎縮的効果を極めて甚大となる。また、共謀の事実を捜査するためとして、捜査機関が、市民の一般的な会話や電話、そして電子メールのやりとりなどに対する監視ないし管理を強化していくという事態をももたらしかねない。このように、共謀罪の新設は、民主主義を支える表現の自由、そして個人として最も尊重されるべき思想信条の自由を侵害するおそれがあり、到底受け入れることができないのである。そもそもこの法案は、「国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条例」(以下「犯罪防止条約」という。)の批准のための国内法を整備するため上程された。それであれば、法規制は犯罪防止条約が求める範囲においてなされれば足りる。ところが、犯罪防止条約においては、その適用範囲は「性質上越境的なものであり、かつ、組織的な犯罪集団が関与するもの」に限定されているにもかかわらず、共謀罪ではこの「越境性」「組織的な犯罪集団の関与」を要件としていない。もって、条約批准に伴う国内法整備という範囲を超えて、過度にその適用範囲を拡大しているものである。このように、共謀罪の新設は、構成要件の明確性を欠き、更に処罰時期を著しく早め、処罰範囲を一気に拡大して、事実上刑法を全面改悪するに等しい。これは刑法の原則である罪刑法定主義に反し、憲法上の言論の自由、結社の自由などの基本的人権に対する重大な脅威である。よって、当会は、共謀罪の新設に反対するものである。以 上
2005年(平成17年)7月20日仙台弁護士会会長松坂英明

平成17年06月22日 少年法等「改正」法案に対する反対声明
2005年(平成17年)6月22日仙台弁護士会会長松坂英明
ttp://senben.org/archives/527
少年法等の一部改正に関する法律案(以下,「改正案」という。)が平成17年3月1日に閣議決定を経て国会に提出され,同年6月14日から衆議院において改正案の審議が開始された。この改正案は,①少年院送致年齢の下限(14歳)を撤廃すること,②保護観察中の遵守事項違反を理由として少年院等への収容を可能とすること,③触法少年及びぐ犯少年に対する警察官の調査権限を法律上明記すること,④国選付添人制度を検察官関与事件等以外にも拡充することを骨子とするものである。このうち,④については,家庭裁判所の職権で新たに国選付添人が選任されうる場合を一定の重大事件に限定している点で,未だ十分なものとは言えないが,国選付添人制度を拡充すること自体は積極的に評価できる。しかし,当会は,多くの会員が付添人活動を通じて非行少年に対する福祉的教育的対応を実践してきた実績に照らして,上記①ないし③については,以下のとおり反対の意思を強く表明するものである。
①について
現行法上,小学生など14歳未満の非行少年を少年院に送致することは認められていない。低年齢の非行少年であるほど,幼少期からの被虐待体験を含む複雑な生育歴を有していることから,家庭的雰囲気の中で子どもとしての「育ちなおし」の場を保障する必要が高く,そのような役割を担う児童福祉施設として児童自立支援施設が設けられているのである。家庭内で安定した人間関係を築く体験に欠ける小学生や低学年の中学生を「育てなおす」こと抜きに閉鎖的矯正施設たる少年院に収容しても,他者を受け容れて規範を内面化することを期待できず,再非行の防止策としては全く不適当である。今回の改正案の背景には,触法少年であっても閉鎖的施設で処遇すべき場合を認めるべきだとの考えがあると思われるが,強制的措置を付した児童自立支援施設送致によっても処遇が困難であるとの立法事実は何ら示されてはいない。ましてや,触法少年への児童福祉的対応という大原則を,報道等で煽られた社会的不安の沈静化策として短絡的に変更することは,決して許されるべきではない。従って,少年院送致年齢の下限を撤廃することには反対である。
②について
少年法の定める保護観察は,少年が自ら立ち直る力を育てるために保護司らが少年に対して粘り強く働きかけながら試行錯誤を見守ることを内容とする終局的保護処分である。しかし,改正案は,新たな非行事実もないのに遵守事項違反を理由にして,現に保護観察処分を受けている少年を新たに少年院に送致できるとするものであって,実質的に一事不再理効に抵触し,憲法39条の趣旨に反するものとして許されない。また,改正案は,保護観察の指導をいっそう効果的にするための措置であると説明されているが,実質的には少年院送致を威嚇手段として遵守事項を守らせようとするものに過ぎず,少年自らの立ち直りを見守るという保護観察制度本来の趣旨を没却する措置である。保護司が対応に苦慮するような少年に対しては保護観察官による専門的な指導援助によって対処すべきである。従って,保護観察中の遵守事項違反を理由とする施設収容を認めることには反対である。
③について
現行法上,触法少年や14歳未満のぐ犯少年に関しては,警察官には捜査権はもちろん,調査権限も認められていない。これは,低年齢の少年については,①で述べた特性に加えて,被暗示性・迎合性がとりわけ強いことから,子どもの特性に関する専門的知識と経験をもつ児童相談所が主導権をもって調査を行うことが,事実解明及び処遇選択に資するという考えに基づく。改正案のとおりに警察官が中心となって触法少年等の取調べを行えば,誤った供述が引き出されて冤罪を生む危険性が高く,専門性の不足から当該少年を心理的に傷付けるおそれもある。この点,触法事件における児童相談所の調査能力が不十分ではないかとの指摘もあるが,実際には,児童相談所による調査及び家庭裁判所の補充調査によっても事実解明に支障をきたした事例はまったく報告されていない。仮にこうした問題があるとすれば,児童相談所の人的物的資源を強化拡充することによって対処すべきであり,警察官の権限を強化することで解決しようとする改正案には賛成できない。また,改正案は,ぐ犯少年である「疑いのある者」をも調査の対象としているが,そもそもぐ犯自体が将来罪を犯すおそれのあることを要件とする非行類型であることに照らせば,かかる調査対象の設定は事実上限定を欠き,警察による過度の干渉によってぐ犯少年に対する児童福祉的対応が後退させられる危険がある。従って,警察官に触法事件等の調査権限を付与することにも反対である。 以 上2005年(平成17年)6月22日仙台弁護士会会長松坂英明

平成17年02月26日 債権管理回収業に関する特別措置法の改正に反対する決議
ttp://senben.org/archives/532
2004年(平成16年)8月、全国サービサー協会(以下「協会」という。)から、「債権管理回収業に関する特別措置法改正に関する要望書」(以下「要望書」という。)が法務大臣宛に提出され、この度の通常国会において、この要望書の内容を盛り込んだ同法(以下「サービサー法」という。)の改正法案が、議員立法として上程されることが予定されている。協会からこのような要望書が出されたのは、同法の施行から5年(同法付則で定められた見直し検討のための経過期間)以上が経過した今日、協会が、債権管理回収会社(以下「サービサー」という。)の取り扱い業務の拡大やその業務遂行の利便性実現を目指して行動を起こしたことによるものである。そのため、要望書の内容は、(1)サービサーが取り扱い可能とされる特定金銭債権の範囲の拡大、(2)兼業の承認制の緩和(承認制からから届出制へ)、(3)「債権回収」の商号強制の廃止、(4)利息制限法超過利息の請求の認容、(5)身分証明書携帯と債権譲渡要件の緩和、(6)戸籍、住民票、外国人登録原簿に対する調査権限の付与、(7)競売での現況調査及び評価の特例のように、サービサーに対する規制を大幅に緩和することを求めるものとなっている。しかし、もともと債権回収を業とすることは、弁護士以外には禁じられており(弁護士法72条)、債権回収のために他人の権利を譲り受けることは許されないのが原則である(同法73条)。このような規定は、債権回収等の法律問題に適正に対処するためには、専門知識と経験、さらには厳格な倫理規制に服している弁護士でなくてはならないという趣旨に基づいている。これに対し、サービサー法は、「(不良債権と化した)特定金銭債権の処理が喫緊の課題となっている状況に鑑み」「弁護士法の特例」(サービサー法第1条)として成立したものである。このように、その立法目的は、特定金銭債権の処理に限定されるべきものであり、取り扱い可能な債権の範囲を広げることは、当初の立法目的を大きく逸脱するとともに、上記のような弁護士法の趣旨に反することは明らかである。実際上も、金銭債権の中には、債務者からその不存在が主張されたり相殺や時効の抗弁が主張されるなど紛争性を帯びるものも数多く存在するところ、こうした紛争性のある権利を、法的な専門知識及び倫理規制が必ずしも担保されていないサービサーの業務の対象と認めるときは、紛争の適正な解決がないがしろにされるおそれは否定できない。さらに、それ以外のサービサーの業務遂行の規制緩和に関する改正条項についても、これらが可決されるときは、利息制限法を超過する利息の支払を求めることによる債務者の経済的更生の阻害や、債務者とされる市民の個人情報(本籍・住所地など)を収集することによるプライバシーの侵害など、サービサーの業務が、市民の生活に対し深刻な脅威を及ぼす結果となることは明らかである。このように、今国会に上程される予定のサービサー法改正法案は、サービサー及びその業界に利便性をもたらすことを重視する反面、その相手方である債務者に及ぶ不利益や様々な社会的弊害を全く顧みないものであって、このような法案が国会において可決されることは決して許されるべきではない。以上の理由により、当会は、このようなサービサー法改正法案に強く反対し、今国会において同法案が上程された場合、この法案が廃案となるよう強く求めるものである。以上、決議する。
2005年(平成17年)2月26日仙台弁護士会会長 鹿 野 哲 義

平成16年11月17日 自衛隊のイラク派遣延長反対・即時撤退並びに「イラク特別措置法」の廃止を求める会長声明
ttp://senben.org/archives/534
小泉首相は、人道復興支援という名目のもと、本年12月14日に期限を迎える自衛隊派遣期間を延長しようとしている。しかし、現在イラクでは、米軍が1万5000人もの兵力でファルージャに対する攻撃を行い、市内中心部の医療施設までが爆撃を受け、民間人を含む多数の死傷者が出ている。他方「武装勢力」側もこれに徹底的に交戦する意向を示し、日夜戦闘行為が続いている。また、11月7日には暫定政府のアラウイ首相が全土に非常事態宣言を発するなどイラク全土が戦闘状態にあり、既に自衛隊宿営地内にもロケット弾が打ち込まれる事件が発生していることもあわせると、自衛隊が派遣されているサマワも「非戦闘地域」でないことは一層明らかとなっている。そして、11月17日には、イラクの反米武装勢力の幹部が、「自衛隊は占領軍」と規定することと決めた、「われわれは占領者と戦っており、日本もその戦いの(相手の)一部になった」と言明した、と報道されるに至っている。このような状況下で自衛隊の派遣期間を延長すれば、自衛隊が攻撃を受けて武力行使に及び死傷者を発生させる危険性や隊員に被害が出る危険性は一層高くなっている。世論調査の結果をみても63%の国民が派遣延長に反対しており(賛成25%。朝日新聞10月26日付)、また、政権党である自民党の中からも派遣延長に反対の声があがっている。11月11日には野党3党が共同で「イラク特別措置法」廃止法案を衆議院に提出した。そして、今会期中の早急な審議入りを要望している。そもそも米英軍によるイラク攻撃は、国連憲章に反する違法行為であり、また、アメリカが戦争の大義とした大量破壊兵器が存在しないこと、フセイン政権とアルカイダとの関係についても何ら証明されていないことは、本年9月にパウエル国務長官自身が認めている。国連のアナン事務総長も、米英軍によるイラク攻撃は国連憲章に反することを名言しており、イラク戦争の正当性は全く否定されている。当会は、2003年3月24日付け「アメリカとイギリスによるイラクへの武力攻撃に反対する会長声明」で、大規模爆撃を含む武力攻撃は、多数の市民の声明を奪う最大の人権侵害であり真の平和と安全をもたらさないことを指摘した。更に、本年4月12日付け「自衛隊のイラク即時撤退を求める会長声明」で、自衛隊派遣の根拠となる「イラク特別措置法」は、イラクにおける自衛隊の武力行使を事実上容認するもので、国際紛争を解決する手段として武力による威嚇又は武力の行使を禁じた日本国憲法に違反するおそれが極めて高いものであること、イラクへの自衛隊派遣は、国連憲章に違反する米英軍の武力行使と一体化するものと評価されることが明らかであって憲法に反すること、自衛隊の派遣されているサマワも迫撃砲が撃ち込まれるなど「非戦闘地域」とはいえないことが明らかになってきたこと、従って「自衛隊等の対応措置は非戦闘地域において実施」するとのイラク特別措置法の規程自体にも違反することなどを指摘した。前述したイラクの悲惨かつ憂うべき現状等は、これまで当会が指摘してきた憲法上、法律上の問題点や危惧を裏付けるものとなっている。よって、当会は、以上に述べたイラクの実情に鑑み、改めて日本政府に対し、自衛隊の派遣期間を延長することなく即時撤退させること、国会に対し、憲法に違反する恐れの極めて高い「イラク特別措置法」を廃止することを求めるものである。
2004年11月17日仙台弁護士会会長鹿野哲義

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