福岡県弁護士会議決書
北山
(※その1)
かなり遅くなってしまい大変恐縮ですが、福岡県弁護士会から封筒が届いていましたので書き起こしを投稿いたします。また、(※ )は私が入れた注釈です。
(1)内容物は以下となります。
『通知』1枚。(※件名に『書』は付いていませんでした。)
『決定書』1枚、『議決書』1枚(裏面あり)、『対象弁護士目録』1枚、『この謄本は決定書の原本と相違ないことを認証する』1枚。(※以上4枚はホッチキスで一まとめになっています。)
(※『議決書』の日付は平成30年4月19日、『決定書』と『この謄本は決定書の原本と相違ないことを認証する』の日付は2018年(平成30年)5月2日です。)
また勝手ながら作業の軽減のため、書き起こしは議決書と対象弁護士目録のみとさせていただきます。
(2)細かい事かもしれませんが、『議決書』の「上記当事者間の懲戒請求事件について」(『上記』が指してるのは懲戒請求された弁護士のことです。)ってどういう意味なんでしょうか?
「当事者間の懲戒請求事件」? 当事者“への”懲戒請求“事案”とかなら分かりますが。
ふと『通知』を見たら「上記懲戒請求事件について本会綱紀委員会において調査した結果、別添のとおり決定しましたから、通知します。」ってありました…。
さらには『議決書』の「本件事案の概要」によると、記載されている第○○号は“事案”番号ではなく「事件番号」みたいです…。
(3)『議決書』の第3の2の(3)には「朝鮮学校(朝鮮人学校というものは存在しない)」とありますが、公安調査庁の『内外情勢の回顧と展望(平成30年1月)』のP16の下の方には「朝鮮人学校への『高校無償化』適用を求める活動に取り組み」とあり、朝鮮“人”学校との呼称は公安でも使われている正式(?)なものです。
まあ、朝鮮人学校の個々の名称は『朝鮮大学校』とか『東京朝鮮中高級学校』とかで「人」は付かないみたいですが。
(※その1は以上となります。)(北山)
北山
(※その2)
(※以下は議決書の書き起こしです。)
福岡県弁平成29年(綱)第21~1420号、第1441~5619号、第5623~6322号、第6327~7026号、第7037~7967号、第7988~8008号(併合)
議決書
対象弁護士 別紙対象弁護士目録記載のとおり
上記当事者間の懲戒請求事件について、当委員会は調査の結果、次のとおり議決する。
主文
対象弁護士らについて、懲戒委員会に事案の審査を求めないことを相当とする。
理由
第1 本件事案の概要
本件は、福岡県弁護士会と日本弁護士連合会が、2016年朝鮮学校に対する補助金停止に反対する声明を発したことが犯罪行為であるとして、当時当会の役員と日本弁護士連合会の役員であった対象弁護士らに懲戒請求がなされたものである。
なお,本懲戒請求事件番号平成29年(綱)第756~762号は平成29年7月27日付け、平成29年(綱)第6376~6382号は平成30年4月17日付けで懲戒請求者から懲戒請求取下書が提出され,取り下げられている。
(※他では読点が使われているにも関わらず、ここだけ何故か読点ではなくカンマが2か所使われています。また「17日付けで懲戒請求者から」の「で」と「懲戒」の間に点を打たないと、何が「取り下げられている」のかはっきりしないような?)
第2 本件懲戒請求の要旨
違法である朝鮮人学校補助金支給要求声明に賛同し、その活動を推進する行為は、日弁連のみならず福岡県弁護士会でも積極的に行なわれている二重の確信的犯罪行為である。
第3 対象弁護士らの答弁
1 申立の趣旨に対する答弁
対象弁護士らについて、懲戒委員会に事案の審査を求めないことを相当とするとの議決を求める。
2 懲戒事由に対する答弁
(1)懲戒請求者は懲戒事由として、「違法である朝鮮人学校補助金支給要求声明に賛同し、その活動を推進する行為」をあげるが、具体的には被対象者らのどの行為をさすのか特定されておらず、懲戒事由足りえない。
(2)仮に上記行為が、2016(平成28)年5月13日に「朝鮮学校に対する補助金停止に反対する会長声明」を発したことを指すのであれば、本声明は、福岡県弁護士会の正規の手続きを経て、会として発したものであって、対象弁護士らが個人として発したものではない。
したがって、請求自体失当である。
(3)ちなみに、朝鮮学校(朝鮮人学校というものは存在しない)に通う子どもたちに
-1-
(※以上が表面で、以下は裏面です。)
も学習権は保障されるべきであり、朝鮮学校にも等しく補助金を求める行為は、何ら違法ではない。したがって、仮に対象弁護士らが上記以外に何らかの行為を行っていたとしても、懲戒事由には当たらない。
第4 証拠
1 懲戒請求者の提出したもの
なし
2 対象弁護士らの提出したもの
なし
第5 当委員会の認定した事実及び判断
1 2016年(平成28年)3月29日、文部科学大臣は、朝鮮学校68校に対して補助金を支出している28都道府県に対し、朝鮮学校のみを対象として、補助金の適正かつ透明性のある執行の確保を求める通知を発出した。
2 上記通知に対して、福岡県弁護士会は2016年(平成28年)5月13日、「朝鮮学校に対する補助金停止に反対する会長声明」を出した。
3 日本弁護士連合会は、2016年(平成28年)7月29日、上記通知が朝鮮学校に通学する子どもたちの学習権を侵害することにつながり、憲法14条、教育基本法4条1項が禁止する不合理な差別的取扱にあたるものであるなどとして、政府に対して同通知の撤回を求めるとともに、地方公共団体に対して、朝鮮学校に対する補助金の支出について憲法上の権利に配慮した運用を求める会長声明を出した。
4 対象弁護士斉藤芳朗は、日弁連声明発表時の日弁連副会長であり、その他の対象弁護士らは当会会長声明発表時の役員(会長・副会長)であった。
5 本件懲戒請求は、上記声明がいずれも、朝鮮学校への補助金支出に賛同するものであり、当時の日弁連及び当会の役員であった対象弁護士らの「確信的犯罪行為」であるとしてなされたものであると認められる。
6 当会及び日弁連の上記声明は、当会及び日弁連の正規の手続を経て決定のうえ、発出されたものであって、対象弁護士らが個人として発出したものではない。上記声明の発出について、対象弁護士らが日弁連・当会の役員として一定の役割を果たしたとしても、それは役員としての職務を遂行したにすぎず、弁護士としての品位を失うべき非行に該らないことは明らかであって、対象弁護士らに懲戒事由があるとする本件懲戒請求は理由がない。
第6 結論
以上のとおり、本件懲戒請求には理由がない。
よって主文のとおり議決する。
平成30年4月19日
福岡県弁護士会 綱紀委員会第1部会
部会長 稲村晴夫
(※日付の「4」と「19」と名前の「稲村晴夫」は手書き。名前の横に『稲村』との丸印あり。またこの議決書は原本のコピーらしいので、手書き部分も印鑑も黒色です。)
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(※議決書は以上となります。)
(※以下は対象弁護士目録です。)
対象弁護士目録
対象弁護士 原 田 直 子
(登録番号 18069)
対象弁護士 冨 山 敦 (※上の棒が無い『冨』の方です。)
(登録番号 25252)
対象弁護士 迫 田 学
(登録番号 25801)
対象弁護士 井 下 顕
(登録番号 27228)
対象弁護士 千 綿 俊一郎
(登録番号 28078)
対象弁護士 松 尾 佳 子
(登録番号 29676)
対象弁護士 斉 藤 芳 朗
(登録番号 20132)
(※一応、郵便番号、住所、事務所名、電話番号は省略しました。)
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(※対象弁護士目録は以上です。「-3-」とページ番号が振られているので、もしかしたら対象弁護士目録は議決書の一部なのかもしれませんが、わかりやすさのために別の書類としてカウントしました。)
(※その2で今回の投稿は終了となります。)(北山)