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2019-10-10 00:00 22 comments

0142 佐々木亮東京地裁に提訴③訴状

引用元 

悪徳弁護士トリオプラスワン」「悪徳弁護士詐欺集団」「在日コリアン弁護士プラス反日弁護士集団」「諸悪の根源日弁連」......。

 神原元、佐々木亮、北周士、嶋﨑量君、みなさん、おはよう。元気かね。

 それにしても、和解者に謝罪させ、金を取った上に提訴とは、まさに鬼畜、法匪のなせるわざである。この件、一歩間違えば、戦後最大のスキャンダル、造船疑獄レベルまで発展しかねない。安倍総理の指揮権発動が楽しみだね。


 訴訟において、原告が犯罪を犯した場合に、その代理人の責任がどこまで及ぶか非常に興味がある。訴因に関与している場合の割合である。

 今般、和解金詐欺事件が発生した。直接には「令和元年(ワ)第16126号損害賠償事件」であるが、代理人に嶋﨑量がおり、この関係には「和解のご提案」なる怪文書を送付している西川治、山岡遥平のような弁護士がいる。刑法犯であることは間違いないが罪状の特定が難しい。

 すでに、代理人弁護士を含めて、全員が告発済みである。

佐々木亮、北周士、嶋﨑量、神原元、金竜介、宋恵燕、姜文江、西川治、山岡遥平、兒玉浩生、倉重公太朗、田畑淳、向原栄大朗、山田祥也。

告発という以上、もちろん刑法犯であるが、それぞれの行為に合った罪状で告発している。

事実証拠で固めており、法のプロとはいえ、逃げるのは難しいだろう。


前稿の和解条件が守られていない件だが、以下に記述してある。

「0121 日韓断交一直線そろそろかな」


韓国軍の竹島演習は、明らかな日本領土への軍事侵略であるから、外患罪適用条件が整った。今後、在日コリアン弁護士協会と反日連合勢力との法廷闘争の関係は外患罪を背景におく戦いとなる。今回の事案は、余命プロジェクトの直轄ではないが、個人の提訴というだけで、内容はまったくの同事件である。訴状はかなり長いが、一記事にまとめた。


令和元年10月4日

              訴   状


東京地方裁判所御中


                          原告代理人

                            弁護士 江 頭  節 子

損害賠償請求事件


当事者目録 別紙当事者目録のとおり


請求の趣旨

1 被告は原告に対し、金220万円及びこれに対する令和元年7月19日から支払い済みまで年5分の割合による金員を支払え。

2 訴訟費用は被告の負担とする。

との判決ならびに仮執行宣言を求める。


請求の原因

第1 事案の概要

 本件は、いわゆる大量懲戒請求をされたとして、弁護士である被告が訴外北周士弁護士とともに記者会見を開き、懲戒請求者を全員提訴すると宣言すると同時に和解を呼び掛けたため、提訴されることを恐れた原告が、反省謝罪文と和解の申出の手紙を送り、和解契約を締結し、所定の金員を支払ったところ、和解契約書には被告が原告を提訴しない旨と原告の住所氏名を公表しない旨が約定されているにもかかわらず、被告が原告を提訴し、もって原告の住所氏名を公表し、加えて、被告がその提訴を取り下げた後も、事件記録閲覧等制限の申立てをすることもなく、59名の共同被告に対し訴状記載の原告の住所氏名を抹消するよう依頼することもなく、被告が垂れ流した原告のセンシティブな個人情報を公開状態のまま置き続けたことに対し、和解契約の債務不履行及び不当提訴とプライバシー侵害の不法行為に基づき、損害賠償を請求する事案である。


第2 和解契約までの事実経過

1 はじめに

 和解契約までの事実経過は、和解契約を破った被告の悪質性、違法性の強さに関連し、ひいては原告の慰謝料の金額に直接関わる事実であるから、以下に詳細に主張する。


2 当事者

 被告及び訴外北周士(きたかねひと。以下「訴外北」という)は、東京弁護士会所属の弁護士である。訴外嶋﨑量(しまさきちから。以下「訴外嶋﨑」という)は神奈川県弁護士会所属の弁護士である。

 原告は弁護士その他の法曹ではない一般市民である。


3 ブログ、大量弁護士会長声明問題、告発と懲戒請求運動

(1)本件ブログ

 原告は、「余命三年時事日記」という、日本の主権、安全保障、その他の重大な国家的政治問題について情報を紹介したり論評を行うブログ(以下「本件ブログ」という)を愛読していた。本件ブログは、大手マスコミが敢えて報道しない事実を、情報源を摘示して正確に紹介しており、また広告を出さずに運営していることから、利益や圧力に屈しない信頼性の高いものであると判断されたからであった。


(2)日本再生計画

本件ブログは、北朝鮮の核実験やミサイル発射や拉致、韓国による竹島の不法占拠のように、一方で、外国が武力を用いて日本の主権と日本人の人権を直接に侵害するという重大かつ深刻な事態があり、一方で、そのように反日的な外国の国民が日本に在留し日本の政治、経済、社会に強い影響力を及ぼし、さらに日本の参政権までも獲得しようと運動していることに強い危機感を表明し、日本を日本人の手に取り戻す日本再生計画を呼び掛けていた。

そのために一般の日本国民ができる適法な運動として、北朝鮮や韓国の武力行使事態に利益を与える行為を、刑法81ないし88条の外患罪で告発することを呼び掛けていた。告発対象者は、国籍を問わず(ただし大多数が日本人)、政治や経済やマスコミ等の多数の有力者であり、その中には弁護士も含まれていた。後に、弁護士については弁護士法に懲戒手続きが法定されていることから、懲戒請求も呼びかけられた。


(3)弁護士会の大量会長声明問題

弁護士について外患援助行為として問題とされたのは、“大量会長声明問題”である。

北朝鮮の核実験とミサイル発射と拉致問題を解決するために、国連安保理決議による経済制裁と日本独自の経済制裁を科しているそのさなかに、朝鮮学校に補助金を支給せよ、支給しないのは人種差別であるなどとする会長声明を、全国21もの弁護士会が世界中に向けて発信したのである。

日本はその資金が北朝鮮の核開発に流れないことを確保する国際法上の義務を負っているところ、朝鮮学校は北朝鮮と朝鮮総連の傘下にあり、補助金が確実に授業料に当てられる確証が得られなかったことから、支給対象から外された。しかし、一連の弁護士会長声明は、弁護士会として責任をもって、朝鮮総連と朝鮮学校の金の流れを調査し、補助金が確実に授業料に当てられるかどうかを確認したわけでもないのに、そのような朝鮮学校の問題を敢えて無視し、あたかも支給しない側が人種差別をしており問題であると、全世界に発信したのである。

弁護士会は、公共性が極めて強い強制加入団体であるから、このような政治的活動をすることは極めて問題であり容認できないと、多くの国民が考えていた。


(4)いわゆる大量懲戒請求運動

そこで本件ブログは、一連の外患罪告発と懲戒請求運動の中の一部として、初めは全国21の弁護士会の会長に対する懲戒請求を呼びかけた。しかし弁護士会による会長の処分が無いのはもちろん、会長声明についての何らの釈明、是正、撤回、謝罪も行われなかった。そこで次に弁護士会の役員や、影響力のある会員に対する懲戒請求が呼びかけられ、それでも効を奏さないので、最後は全弁護士に対する懲戒請求が呼びかけられた。

原告は、法律に則った方法で日本を取り戻すという本件ブログの理念に賛同し、市井の国民のボランティア活動として、一連の告発と懲戒請求に参加した。

告発状は検察庁へ、懲戒請求書は弁護士会に提出され、当該機関が法律に則って適切に処理する性質のものであり、捜査・調査の方法も、処分するしないの判断も、全面的に当該機関の裁量と権限によるものであった。


4 本件懲戒請求1

 原告は、平成29年初夏、本件ブログの呼びかけに賛同し、被告を対象弁護士とする懲戒請求書に住所と氏名を記入し押印して(日付は空欄にして)、「日本再生大和会」に送った(甲7。以下「本件懲戒請求書1」という)。「日本再生大和会」がこれを、日付空欄のまま、東京弁護士会に送付したと聞いている(以下「本件懲戒請求1」という)。

 懲戒事由は「違法である朝鮮人学校補助金支給要求声明に賛同し、その活動を推進する行為は、日弁連のみならず当会でも積極的に行われている二重の確信的犯罪行為である。」というものである。

 東京弁護士会は、個人情報保護法や同会の個人情報保護方針(甲17)に違反して、原告の承諾なしに、原告の住所氏名が記載された本件懲戒請求書1を、マスキングもせずそのまま被告に提供した。


5 本件懲戒請求2

 原告は、平成29年秋、本件ブログの呼びかけに賛同し、訴外北周士(きたかねひと。以下「訴外北」という)を対象弁護士とする懲戒請求書に住所と氏名を記入し押印して(日付は空欄にして)、運動主催者に送った(甲11。以下「本件懲戒請求書2」という)。運動主催者がこれを、日付空欄のまま、東京弁護士会に送付したと聞いている(以下「本件懲戒請求2」という)。

懲戒事由は、被告が同年9月20日に発信したツイート「本件は、“保守派”の弁護士の先生たちも、私への懲戒請求には“ひどい”とおっしゃって下さっておりますよ。」に対し、同年9月21日に訴外北が「保守派といいますかささき先生とは政治的意見を全く異にする弁護士ですが、今回のささき先生に対する根拠のない懲戒請求は本当にひどいというか頭おかしいと思いますし、ささき先生に生じている損害の賠償は当然に認められるべきだと考えています。」とツイートしたことである。

 弁護士会の会員でありながら、問題のある弁護士会長声明に言及もせず「根拠のない懲戒請求」と決めつけ、「頭おかしい」と公然と侮辱し、しかも損害賠償の提訴をもって懲戒請求者らに脅威を与えるツイートであった。多くの懲戒請求者がこのツイートを脅迫であると感じ、原告もそのように感じた一人であった。

 東京弁護士会は、個人情報保護法や同会の個人情報保護方針(甲17)に違反して、原告の承諾なしに、原告の住所氏名が記載された本件懲戒請求書2を、マスキングもせずそのまま被告に提供した。


6 提訴予告と和解呼び掛けの記者会見、提訴、報道、予告通知

 平成29年9月2日、被告はツイッター上に懲戒請求者らについて「落とし前はつけてもらうからね」(甲22)「とりあえずランダムに訴えてみようかな」(甲21)等とツイートした。それに対し訴外嶋﨑が「「良いですね。労働弁護士は、こんなお仕事が大好きな戦闘的な皆さまが多数。とりあえず何人か血祭りにあげてみましょう。」とツイートした(甲21)。

平成30年5月16日、被告は訴外北とともに記者会見を開き、要旨「被告は延べ3000件、訴外北は960件の不当な大量懲戒請求を受け、損害を被った。懲戒請求者を提訴する。謝罪と和解の申し入れがあれば応じる」旨を告知した。

同年5月19日、原告は訴外神原元、訴外宋惠燕、訴外姜文枝(いずれも懲戒請求された弁護士)から「通知書」を受け取った。内容は、合意するなら15万円支払え、和解しなければ提訴して250万円請求すると言うものであった。

同年10月29日、NHK「クローズアップ現代」が「なぜ起きた? 弁護士への大量懲戒請求」を放送した。内容は、懲戒請求を受けた弁護士と、自分が間違っていたと反省して和解した懲戒請求者のコメントが大きく取り上げられていた。

 被告は同年11月を皮切りに順次、多数の懲戒請求者らに対し、各自33万円の損害賠償を求める訴訟を提起した。

 同年12月25日、原告は訴外北、訴外嶋﨑ら計5名で記者会見を開き、期日報告をするとともに、あらためて順次、全員を訴えてサンクションをする旨宣言した。訴外嶋﨑は「和解すると名前が漏らされて、960人の中で攻撃されると恐れている人がいる。カルトそのものだ。私たち3人は誰が和解したという情報は出さない。秘匿します。それを和解の条件にしてあるので安心して下さい」「条件は真摯な謝罪をすること」と和解を呼び掛けた。

 同日、訴外嶋﨑は「不当懲戒請求に対する提訴予告通知書 兼 提訴前和解のご提案」という文書(甲18)を原告に郵送し、原告は同月27日にこれを読んだ。内容は、原告を横浜地裁に提訴する、提訴されたくなければ「真摯な謝罪」「和解契約書の締結」「5万円の支払い」をするようにとのことであった。

 提訴や、認容判決が下されたことが、その後も逐次報道されるようになった。また被告や訴外嶋﨑らは、逐次、提訴や認容判決の状況をツイッターで発信した。


7 原告の焦燥と恐怖とうつ

 原告は、本件各懲戒請求は、弁護士個人への嫌がらせ目的などではなく、日本をよくするために、本来ならば国や社会のリーダーがすべきことを彼らがやらないから、市井の民間人が、自分には1文の得にもならないが、純粋に公益目的だけで行ったものであり、方法も、弁護士法所定の手続きに則ったものであるから、何ら不法などと言われる筋合いではないという確信があった。そのため、被告その他の弁護士が提訴をすると知ってからは、提訴されたら受けて立つつもりであった。

原告は、いつ誰から訴状が届くかと緊張して毎日郵便受けをのぞきながら、答弁書の書き方をインターネットで調べるなど、一人で準備をした。

朝鮮学校の補助金要求声明の違法性について、自分なりに色々調べた。平成30年11月28日最高裁判決で大阪朝鮮学園の敗訴が確定し、大阪府市が補助金を支給しないことが是認された。それ以外にも、朝鮮学校側の敗訴の流れは定着していることを確認した。やはり、補助金不支給は人種差別でも民族差別でもなかったのだ。それなのに、それを差別だと声高に世界中に発信した弁護士会長声明は、やはり許し難いものであり、公的団体として許されるものではないと強く確信した。

とはいえ、本件ブログが補助金支給は憲法89条違反であると指摘していたことが頭にあり、最高裁その他の裁判例では憲法89条違反が理由とはなっていないことが気になった。これが気になりだすと、法律のプロでもない自分が、弁護士を相手に法廷論争するスキルは無いという不安が、どんどんふくらんでいった。

裁判で勝てれば良いが、本当に勝てるのか。運悪くその頃、本件ブログが強制的に閉鎖されており、裁判に勝つための情報が得られず、入ってくるのは被告らのツイッターや、マスコミが懲戒請求者らをカルト扱いしてバッシングする報道ばかりであった。原告は、闘っても敗訴する可能性が高いと思うようになり、そうなれば、自分は地域社会で笑いものになったり、白い目で見られたりする、それだけならばまだしも、親類縁者にまで迷惑がかかってしまうと思った。それを思うと原告は、日に日に憂鬱になり、抑うつ状態になり、眠れない、食べられない、意欲が出ない、判断力が薄れる、家族との会話も途切れがちになるなど、これまで人生で全く経験したことのない「鬱」に襲われた。

 原告は、この状態では、新しい天皇陛下が即位され新しい時代が始まるのに、それに相応しい心持ちで新時代を迎えられないと思った。そこで平成が終わる前にかたをつけようと決め、耐え難きを耐え忍び難きを忍んで、被告に和解を申し入れることを決意した。


第3 和解契約の締結

1 反省・謝罪を述べ、許しと和解を請う手紙

 原告は、同年3月14日付の手紙を被告に送った(甲2)。「真摯な謝罪」が和解の条件であると突き付けられていたので、真摯に、まずは冒頭にお詫びを書き、自身の過ちを書き、なぜ過ちを犯したかの原因分析を書き、それについての反省を書き、先方に与えた迷惑について言及し、あらためて謝罪を繰り返し、許しと和解を願い出る内容であった。記載した内容全文は下記のとおりである(原告の個人情報部分は伏せて記す)。


                 記

                         2019年3月14日

東京弁護士会所属 弁護士

佐々木 亮 様


不当懲戒請求事件に関する謝罪の件


                         〒○○〇―〇〇〇〇

                        (原告住所)

                        (原告氏名)

                        (原告電話番号)

謹啓


お詫び

このたびの、私の知識不足と、軽率な懲戒請求書作成によって、佐々木 亮弁護士様に対し不当な懲戒請求を行なったことで、精神的な苦痛と弁護士業務に多大な支障を与え、大変ご迷惑をおかけしてしまったことに対し、深く反省するとともに、心よりお詫びを申し上げます。(事案番号 平成30年東綱第〇〇〇〇号、その他)

入手した書類に軽率にサインをしたことを思い返すと、返す返すも痛恨の極みです。本当に申し訳ありません。


請求理由の「朝鮮学校への補助金支給と交付要件」や「朝鮮学校高校授業料無償化」に関し、それぞれ、最近の朝鮮学校への交付金の支出に関する最高裁等の判決事例、法の解釈など、自分としてできる限りの調査と再確認を行いました。その結果、補助金と無償化の交付要件などに法解釈に違いがあることを知り、今までの、憲法89条違反を根拠とする私の認識が、間違っていたことに気がつきました。

何を、今更と思われてもいたしかたなく、弁明の余地がございません。


結果として、弁護士の方々への懲戒請求が不当であったことに気がつき、自分に非があることが解りましたので、速やかに謝罪を行うべく、本、お詫びの手紙をお送りいたします。


なお、自分で調べた結果により、私として、もはや裁判で争う根拠がなくなりましたことをお知らせするとともに、佐々木 亮弁護士様には、多大なご迷惑をおかけいたしましたことを重ねてお詫びいたします。

もし可能でしたら、和解のお許しのご検討と連絡をいただけましたら幸いです。

謹白

                                以上

                               (甲2)


2 和解契約の締結

 同年4月2日、原告は、被告及び訴外北との間で和解契約を締結した。

具体的にはまず、同年3月25日、被告から、誰の押印も無い「和解契約書」2通が送られてきた。同封の「送付書」(同年3月22日付、甲3)には、“日付と署名押印をして2通とも返送して下さい”“押印のあるものを受領したら、被告の印鑑を押して1通返送します”“返送用封筒に宛名を記入し切手を貼って送って下さい”という旨が書かれていた。そこで原告が同年3月27日付で署名押印し、「被告から1通返送され次第、振り込む」旨を書いて、2通とも返送した。そうしたところ、同年4月2日に、被告の押印がなされた「和解契約書」1通が原告に到達した。被告の承諾の意思表示が到達した4月2日を契約の成立日と考える。(以下、この和解契約書を「本件和解契約書」、それによる和解契約を「本件和解契約」という)。

尚、被告は被告本人として、及び訴外北の代理人として、本件和解契約書に調印した。

 本件和解契約書は、全文を被告が作成し不動文字で印字したもので、原告はただ日付と自分の住所と氏名を記入し押印するのみであった。

 本件和解契約書の内容は、下記のとおりである。



和解契約書


 弁護士佐々木亮を甲、弁護士北周士を乙、(原告の氏名)を丙として、甲乙と丙は、丙の甲乙に対する不当な懲戒請求に対する損害賠償請求事件(以下「本事件」という。)について、以下の内容で和解した。


第1条 丙は、丙が東京弁護士会に対して行った甲及び乙の懲戒を求める旨の懲戒請求(以下、「本件懲戒請求」という。)が何ら理由のないものであったことを認める。

第2条 丙は、甲及び乙に対し、本件懲戒請求によって甲及び乙に発生した損害の賠償として各金5万円(合計金10万円)の支払い義務を負うことを認める。

第3条 丙は、本契約締結後7日以内に、前条の金員を、下記口座に振込送金する方法で支払う。振込手数料は丙の負担とする。

        

       記

    振込銀行 三菱UFJ銀行 虎ノ門中央支店 普通預金

    口座番号 0029660

    口座名義 弁護士 北 周士 預り金口

        (ベンゴシ キタカネヒト アズカリキングチ)

第3条 丙が、前条に定める期限までに第2条記載の金員の支払いを怠ったときは、本和解契約はその効力を失う。

第4条 丙が、第3条に定める期限までに第2条に定める金員を支払ったときは、甲及び乙は、丙に対し、本件懲戒請求に関する損害賠償請求訴訟、刑事告訴等の丙の民事・刑事上の責任を免除する。

第5条 丙は、甲及び乙が、本事件の経緯、本事件の内容、本和解に至る経緯及び本和解の内容について、第三者に公表することを承諾する。ただし、甲及び乙は、丙に対し、丙の氏名と住所については公表しないことを約する。

第6条 甲乙と丙は、甲乙と丙との間には、本和解契約書に定めるほか、本件懲戒請求事件に関し、他に何らの債権債務のないことを相互に確認する。

本和解契約の成立を証するために、本和解契約書を2通作成し、それぞれ記名捺印の上、甲丙1通ずつを保管するものとする。

                             (以上。甲1)

(尚、第3条が2回出て来るが、原文のままである。)


3 本件和解契約2条所定の金員の支払い

 原告は、同年4月2日に本件和解契約書1通を受領し、同年4月6日に、本件和解契約書第2条記載の被告に対する損害賠償金5万円(訴外北に対する損害賠償金5万円と合わせて計10万円)を、本件和解契約書第3条記載の口座に振り込んで支払った(甲4)。

 この支払いにより、本件和解契約書第3条(2回目の)に基づき、本件和解契約は確定的に効力を有するに至った。


4 本件和解契約に基づく被告の債務

 本件和解契約が確定的に有効に成立したことにより、被告は原告に対し、本件和解契約第4条に基づき、本件懲戒請求1に関する損害賠償請求訴訟を提起してはならないという不作為義務を負った。

 あわせて被告は原告に対し、本件和解契約第5条但書きに基づき、原告の氏名と住所を公表しないという不作為義務を負った。


第4 提訴と住所氏名の公表

1 被告の提訴

 被告は、同年(令和元年)6月19日付け訴状(甲5)を、その頃、東京地方裁判所に提出し、原告に対し、本件懲戒請求1を請求原因として、金33万円の損害賠償金及びこれに対する平成29年12月31日から支払い済まで年5分の割合による遅延利息の支払いを請求する訴訟を提起した(令和元年(ワ)第16126号損害賠償請求事件。以下「別件訴訟」という)。


2 訴外北の訴訟代理人としての提訴

 被告は別件訴訟に先立ち、訴外北から、本件懲戒請求2を請求原因として原告に金33万円の損害賠償を請求する訴訟の委任を受けていた。そこで被告は、別件訴訟に訴外北の請求も併合した。つまり別件訴訟は被告と訴外北が共同原告となる主観的共同訴訟である。被告は被告の訴訟物の当事者本人であると同時に、訴外北の訴訟代理人である。

 尚、被告及び訴外北の訴訟代理人として、訴外嶋﨑をはじめとする6人の弁護士がついていた(甲5)。


3 住所氏名ほかの個人情報の公表

(1)訴状

 別件訴訟の訴状には、原告が本件懲戒請求1と2を行なった事実、原告の郵便番号、住所、氏名が記載されている(甲5)。


(2)甲号証

 被告は、別件訴訟の提起と同時に、原告作成の本件懲戒請求書1(写し)を「甲3号証の23」として証拠提出した(甲7)。「甲3号証の23」には、原告が自筆した原告の住所、氏名が記載され、原告の苗字の印鑑の印影がある(甲7)。被告は、この「甲3号証の23」を提出するにあたり、他の対象弁護士の氏名、法律事務所名、法律事務所の所在地は全て黒塗りした。しかし、原告の住所、氏名、印影は黒塗りせずにそのまま提出した(甲7)。

 被告は、別件訴訟の提起と同時に、原告作成の本件懲戒請求書2(写し)を「甲4号証の23」として証拠提出した(甲11)。「甲4号証の23」にも、原告が自筆した原告の住所、氏名が記載され、原告の苗字の印鑑の印影がある

(甲11)。


(3)訴訟記録への編綴と公開

 別件訴訟は民事第50部合は係に係属し、同係の担当書記官は、同年7月8日付の「第1回口頭弁論期日呼出状及び答弁書催告状」(甲6)を作成し、同日これを原告に特別送達で発送した(甲8、9)。したがって、遅くとも同年7月8日には、東京地方裁判所において、別件訴訟に事件番号が付され、訴訟記録が作成され、訴状(甲5)及び本件懲戒請求書1(甲7)と本件懲戒請求書2(甲11)が編綴され、何人でも閲覧できる状態におかれた。

すなわち、原告が本件懲戒請求1と2を行った事実、原告の住所、氏名、苗字の印影が公表された。


(4)59名の共同被告らへの公表

 別件訴訟で提訴された者(別件訴訟の被告)は、原告を含め60名で、北海道から九州まで散らばる(甲5)。

 原告は、別件訴訟の訴状(甲5)を同年7月9日に受領した(甲8、9)。したがって、原告が本件懲戒請求1と2を行なった事実と、原告の住所、氏名、原告の苗字の印影、原告の筆跡は、誰かが訴訟記録を閲覧せずとも、その頃、全国に散らばる59名かこれに近い多数人に公開された。


第5 提訴と公表の法的評価

1 債務不履行

  被告が、自ら当事者本人となって別件訴訟を提起したことは、本件和解契約第4条と第5条に基づく債務につき、債務不履行を犯したものである。


2 不法行為

(1)最高裁判決の規範

 別件訴訟は言うまでもなく不当訴訟である。訴訟の提起が不法行為を構成する場合につき、最高裁昭和63年1月26日判決は次のように判示する。

「法的紛争の当事者が当該紛争の終局的解決を裁判所に求めうることは、法治国家の根幹にかかわる重要な事柄であるから、裁判を受ける権利は最大限尊重されなければならず、不法行為の成否を判断するにあたっては、いやしくも裁判制度の利用を不当に制限する結果とならないよう慎重な配慮が必要とされることは当然のことである。したがつて、法的紛争の解決を求めて訴えを提起することは、原則として正当な行為であり、提訴者が敗訴の確定判決を受けたことのみによって、直ちに当該訴えの提起をもつて違法ということはできないというべきである。一方、訴えを提起された者にとつては、応訴を強いられ、そのために、弁護士に訴訟追行を委任しその費用を支払うなど、経済的、精神的負担を余儀なくされるのであるから、応訴者に不当な負担を強いる結果を招くような訴えの提起は、違法とされることのあるのもやむをえないところである。以上の観点からすると、民事訴訟を提起した者が敗訴の確定判決を受けた場合において、右訴えの提起が相手方に対する違法な行為といえるのは、当該訴訟において提訴者の主張した権利又は法律関係(以下「権利等」という。)が事実的、法律的根拠を欠くものであるうえ、提訴者が、そのことを知りながら又は通常人であれば容易にそのことを知りえたといえるのにあえて訴えを提起したなど、訴えの提起が裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くと認められるときに限られるものと解するのが相当である。」


(2)提訴の当事者としての不法行為

 本件で被告は、原告と和解契約を締結し、和解契約書所定の金員を原告から受領し、これによりもはや原告に対し訴訟を提起することはないこと、原告の住所氏名を公表しないことを約束したにもかかわらず、別件訴訟を提起したのであるから、上記最高裁の基準に照らしても、被告が主張した権利等が事実的、法律的根拠を欠くことは明らかであり、原告がそのことを知っていたことも明らかである。

したがって、別件訴訟は違法であり、原告に対する不法行為を構成する。


(3)訴訟代理人としての不法行為

不法行為は、被告が当事者本人として提訴したことは勿論、訴外北の訴訟代理人として提訴したことについても成立するものである。

なぜなら、弁護士が委任を受けて別件訴訟を提起する以上、最も基本的な事実として、提訴する相手方が訴外北を懲戒請求をした人間であること、及び、未だ訴外北と和解していないこと、の2点を確認する義務があるからである。訴訟代理人としては、提訴する相手方との間に契約関係は無いが、提訴により相手方は応訴の負担を強いられるのであるから、相手方との間においても、上記2点を確認する義務を負う。これは、別件訴訟の提起に当たり、被告が原告に対して不法行為法上負う義務(原告の損害の予見義務、回避義務)である。被告はこれら義務に違反したのであるから、不法行為が成立する。


(4)訴訟物(不法行為)の個数

 本件懲戒請求1と本件懲戒請求2は、対象弁護士を異にし、その結果、原告は被告との和解と、訴外北との和解をし、被告への和解金の支払いと、訴外北への和解金を支払った。

 別件訴訟は、被告と訴外北の2人が当事者の主観的共同訴訟であり、訴訟物も2個である。

 したがって、別件訴訟の提起による不法行為の個数は、2つである。


第6 住所氏名の公表後の措置の懈怠

 被告は、同年7月30日、原告に対する訴えを取り下げる「訴え取下げ書」を東京地裁民事第50部に提出した(甲10)。別件訴訟は第1回口頭弁論期日が同年8月28日であり(甲6)、取下げはその前であったので、原告の同意を要せずして、訴えは取り下げられた。

 被告は、本件和解契約第5条で、原告の住所氏名を公表しないことを約束したにもかかわらず、別件訴訟の提起によってこれらを公表したのであるから、本来であれば別件訴訟の提起と同時に、どんなに遅くとも取下げと同時に、民事訴訟法92条に基づき、事件記録閲覧等制限の申立てを行い、原告の住所氏名が第三者に公開されないようにする義務を負っていた。

 被告はあわせて、原告の住所氏名が記載されている訴状と「甲3号証の23」の送達を受けた共同被告59名に連絡し、訴状記載の原告の住所氏名の抹消と、「甲3号証の23」の裁断廃棄を依頼し、その結果の確認をする義務を負っていた。

 これらの閲覧等制限申立て義務や、抹消・廃棄依頼義務は、本件和解契約書に直接記載されてはいないが、公表しないという不作為義務に違反して公表するという先行行為の結果、条理上、当然に生じる作為義務である。

 たとえば、自動車事故を起こしてはならないが、万一事故を起こしてしまった時は、ただちに救護措置を取らなければならないのと同様である。自動車事故については道路交通法上の義務として規定されているが、そのような行政法規上の義務だけでなく、被害者に対する私法上の義務としても観念される。

 今日、個人情報保護への関心は高く、情報流出事件が起きれば、企業のトップが記者会見で頭を下げて謝罪し、原因究明や被害回復に努めることを表明することが一般である。したがって、先行行為に基づく作為義務を観念することは何ら難しいことではなく、ましてや被告は弁護士であるから、容易に認識していたものである。

 しかし被告は、被害を最小限に食い止める上記措置を何ら取らず、原告のセンシティブな個人情報を公開し続けた。

 この個人情報公表後の不作為も、本件和解契約違反であり、かつ、不法行為を構成する。

不法行為は、提訴者本人としてのみならず、訴外北の訴訟代理人としても成立する。


第7 原告の損害

1 はじめに

 原告の精神的苦痛を償うのに必要な慰謝料の額は、被告が当事者本人となっての提訴について少なくとも100万円、被告が訴外北の訴訟代理人として犯した不法行為について少なくとも100万円である。

これは、被告が懲戒請求者1人1人に請求している慰謝料が30万円であることとその内容との比較からも、少なすぎるくらいの額である。以下に詳述する。


2 被侵害利益―センシティブ情報を含むプライバシー

本件は、いわゆる大量懲戒請求に端を発する事案であるところ、いわゆる大量懲戒請求は、憲法で保障された投票の秘密と軌を一にする、政治的見解・信条に基づく活動であり、このような活動を行ったという事実は、個人情報保護法2条3項に「取扱いに特に配慮を要する」とされる、要保護性の高いプライバシー(いわゆるセンシティブ情報)である。

 原告は、職業上の人間関係、近隣との人間関係、趣味や余暇活動の人間関係など、多様な局面で人間関係を取り結び社会生活を営んでいるところ、それは政治的見解・信条とそれに基づく活動について、誰に打ち明け、誰に秘匿するかを自ら選ぶことで、初めて円滑に実現されるものである。

 したがって、政治的見解・信条とそれに基づく活動についての個人情報の権利は、憲法13条の人権(幸福追求権)から導かれる人格権の内容をなすものであり、保護法益をなすものである。

 原告は被告の債務不履行と不法行為により、プライバシーを侵害されるという損害を被った。


3 精神的苦痛

(1)訴状を受け取った時の精神的苦痛

 別件訴訟の訴状の特別送達を受けた時の、原告の驚愕と精神的ショックは言葉で語り尽くせるものではない。裁判所から書留が届いたので、懲戒請求した多くの弁護士のうちの誰かが、ついに提訴してきたのかと落胆しつつ、開封したところ、提訴した者は被告と訴外北であり(さらに代理人の一人が訴外島﨑であった。訴外嶋﨑とも別途和解して和解金を支払っていた)、原告は目を疑った。

 原告は訳がわからなくなり狼狽と困惑と混乱に陥れられた。

原告は、確かに和解したはずだったが、ひょっとしてあれはうつ状態の最中に見た幻覚だったのかと、自分自身を疑った。原告は、本件和解契約書を引っ張り出してきて、存在と内容を確認した。

 原告は、ひょっとして和解金を支払ったつもりが支払えていなかったのではないかと不安になり、送金記録を確認した。確かに被告に5万円(訴外北と合わせて計10万円)支払っていた。

原告は、ひょっとして被告に対しては複数の懲戒請求書を書いていたから、和解したのはそのうち1枚だけで、残る部分については和解の効力が及ばないのかと疑問に思った。そこで本件和解契約書をもう一度見直した。しかし、懲戒請求について、どの懲戒請求とは書かれておらず包括的な記載であった。また、1枚しか懲戒請求書を書いていない訴外北も、別件訴訟を提起してきたことから、この疑いは当てはまらないことがわかった。

原告は、ひょっとして和解契約は、被告らの一連の提訴に乗じた、知能犯による振り込め詐欺で、和解金を騙し取られたのではないかと思った。しかしよく考えれば、和解をお願いする手紙を送ったのは原告からであり、公開されている被告の事務所に送付したので、その可能性はなさそうであった。また、本件和解契約書に押されている被告の押印と、別件訴訟の訴状に押されている被告の押印は同じであった。

原告は、ひょっとしてこの提訴は被告のミス、手違いかと思った。しかしよく考えればそれは絶対にあり得ないことがわかった。(理由は後述する)。

原告は、訴状や書証を眺め続けた。訴状には「(懲戒請求者ら)は(対象弁護士ら)の呼びかけに対しても和解に応じなかったことから、やむなく訴訟の提起に至った」と書いてある(甲5の20頁)。これは要するに、原告に対し、和解金5万円では足りないから2度目の和解金を要求しているものであると感じ、被告はカネ、カネ、カネの「法匪」であり断じて許せないと感じた。

しかも訴状や陳述書には、朝鮮学校への補助金不支給は人種差別だと全世界にアピールした会長声明について、(人種差別でないと最高裁でも認められているのに)、自らが選挙で選んだ弁護士会長の声明であるにもかかわらず、(原告ら一般市民には選挙権が無い)、「補助金云々の声明出ていたの?という程度の認識でした」と書いてあった(甲12の1頁)。そのように弁護士会の会員が会長権限の濫用を許し、政治的に偏向した会長声明を黙認していることが、正に賛同、推進していることではないか。つまり、本件懲戒請求は、間違っていなかったのである。それにも関わらず、提訴するとの脅しに屈して、耐え難きを耐え忍び難きを忍んで、謝罪し和解金を振り込んだのに、その結果がこの提訴である。原告は煮えくり返る思いをさせられ、この「法匪」を許していては他にも被害者犠牲者が続出すると思い、再び闘うことを決意するに至った。

(2)別件訴訟の提起がミスではないこと(被告の違法性の強さ、原告の慰謝料増額事由)

別件訴訟がミスであることはあり得ない。故意、悪意である。その理由は以下のとおりである。

ア 8人のプロの弁護士が同時に基本的ミスを犯すか

被告は弁護士であり、単なる誤字脱字ならともかく、訴える相手を間違えるというミスは考えられない。しかも、被告だけでなく、他に和解した訴外北も、訴外嶋﨑も、弁護士であり、弁護士3人がそろいもそろってそのような重大なミスをするとは考えられない。さらに、他に5人いる訴訟代理人は、「本件訴訟に対応するために最適と思われる先生方」(甲13の5頁)とのことであり、弁護士費用をもらって有料で引き受けているのであるから(別件訴訟で弁護士費用を請求している)、そのように受任した弁護士が、5人もそろって同じミスをする確率の低さは、天文学的レベルで、あり得ないであろう。


イ チェックする機会と手段の豊富さ

  一度のチェックミスということならあり得るかも知れない。しかし、原告は、被告に謝罪の手紙を送り、和解契約書を送り、和解金を支払っている。謝罪の手紙(甲2)は、通り一遍の没個性なものではなく、原告が自分の頭で考えた原告の個性があふれる長文の手紙である。その印象に残る手紙を、被告のみならず、訴外北にも、訴外嶋﨑にも、別々に送っている。和解契約書は被告と訴外北の分が1通、訴外嶋﨑の分が1通ある。すなわち、謝罪の手紙計3通のチェック、和解契約書計2通のチェック、入金記録計2回のチェック、これだけで、7回ものチェックの機会と手段があったはずで、その全てで、8人のプロの弁護士が同時にうっかりミスをするということは考えられない。


ウ 1人1人の懲戒請求者が交通事故以上の被害の加害者

あるいは、「大量」懲戒請求事件であり、被告に3000通、訴外北に960通懲戒請求書が送られたというから、一人一人の懲戒請求者は没個性、いわば「その他大勢」の一人に過ぎず、いちいち記憶に残らないから、それがミスを呼んだと考えられるかも知れない。

しかし、この可能性は、他でもない被告ら自身が強く否定している。

被告も訴外北も、960通とか3000通とかの懲戒請求の全体によって損害を受けたのではなく、あくまで一人一人の懲戒請求者によって傷付いたとして、1人につき33万円を請求している。被告は「私自身も、一つ一つの懲戒請求によって、傷ついています。」と述べている(甲12の5頁)。訴外北も「私としても、一つ一つの懲戒請求によって、傷ついています。」と述べている(甲13の4頁)。

33万円と言えば、サラリーマンの1ヶ月分の月給である。交通事故で1ヶ月通院した場合の慰謝料より高い。1ヶ月通院と言えば、日々ケガの痛みに耐え、仕事を休んで病院に行き、同僚や家族に迷惑をかけ、患部を風呂に入れられず、好きなスポーツも出来ない等、あらゆる苦痛と不便を忍ぶ毎日である。当然被害者は、そのような苦痛を強いた加害者の名前を忘れることは無い。原告代理人は交通事故を多数受任してきたが、加害者の名前を忘れている依頼者に会ったことが無い。被告は、交通事故で通院1ヶ月した場合以上の苦痛を、原告1人によって味わわされたというのであるから、原告の名前を忘れるはずがない。その恨めしい加害者である原告が、自分の頭で考えた個性あふれる長文の謝罪文を送ってきて、円満に示談が成立したのであるから、ますます、忘れるはずがない。そうであるから、ミスで提訴することはあり得ない。

エ ミスの後の措置をしていないこと

別件訴訟の提起がミスでないことの最も確たる証拠(間接事実)は、被告が別件訴訟を取り下げた後も、被告が公開した原告の住所氏名を、非公開の状態に戻す手続きを何ら取らなかったことである。

  もし別件訴訟の提起がミスによるもので、ミスに気付いてあわてて取り下げたのだと仮定すれば、当然、あわてて事件記録閲覧等制限の申立てをして、第三者が原告の住所氏名を見られないようにしたはずである。特に本件では、被告は原告の住所氏名を公表しないと約束したのであるから、尚更である。

  法律のしろうとの一般人でも、個人情報をファックスやメールで誤送信してしまった場合、ミスに気付いたら慌てて相手に「廃棄して下さい」と依頼する。個人情報流出のミスを犯せば、ミスに気付き次第、流出した個人情報の回収、流出の拡大防止の措置を取るのは、ほぼ反射的に行われている初歩的、常識的なことである。

  ましてや被告は弁護士であり、職業上、プライバシー保護の重い責務を負っているのであるから、尚更である。

弁護士であるから当然、事件記録閲覧等制限の申立ての手続きは知っているし、万一不勉強で知らなかったとしても、裁判所に問い合わせれば教えてもらえる。それをしなかったということは、ミスではなく初めから故意にやったとしか考えられない。

オ 8人のプロの弁護士が同時にミス後の措置を怠るか

取下げ後も原告の住所氏名を公開し続けたのが、仮に1人の弁護士であったならば、たまたま例外的に、個人情報保護の意識の無い悪質・不良・不勉強・怠慢な弁護士であったと考える余地がないではない。しかし1人ではなく、被告とその代理人合わせて8人の弁護士が、誰一人、原告の住所氏名の秘匿措置を取らなかったのである。1人ではなく2人でも3人でもなく、8人である。これは、ミスでは絶対にあり得ないことである。


カ 「お詫び」と題する紙による愚弄

 別件提訴がミスではない証拠(間接証拠)として、「お詫び」と題する紙がある。

 同年7月31日付の「お詫び」と題する紙が、別件訴訟の取り下げ書の写しとともに、原告に郵送されてきた。全文は以下のとおりである。(個人情報は伏せる)。


お 詫 び

〒(原告の郵便番号)

(原告の住所)

(原告の氏名)様


 この度は当方のミスにより、既に和解済みの貴殿を、不当懲戒請求に対する損害賠償請求事件における被告に選定してしまいました。

 大変ご迷惑をおかけいたしました。本書面にて謹んでお詫び申し上げます。

 なお、貴殿に対する訴えは速やかに取り下げましたので、今後のご対応は必要ありません。

                           令和元年7月31日

                               佐々木 亮

                               北  周士


(以上。甲19)


記名は「佐々木亮」「北周士」とあるが、押印もなく、署名もない。本当にミスであったなら、当然「真摯な謝罪」をするはずで、署名か押印くらいするはずである。

内容も、タイトルこそ「お詫び」であるが、真摯な謝罪であれば必ず盛り込まれるはずの、ミスの経緯の説明、原因の分析、再発防止策などが、全く記載されていない。被告は文章を書くことを仕事にしているプロであるのに、本文の文字数はわずか135文字である。原告はしろうとであるが、一生懸命考えて、本文625文字の謝罪文(甲2)を送ったのに、である。この差は歴然であり、被告が真摯な謝罪をしていないことは明らかである。

被告自身、懲戒請求者についてツイッターで「それ相応の責任を取ってもらいますよ。当たり前じゃないですか。大人なんですから。」「謝罪は受け入れますが、大人のしたことなので、一定の償いはしてもらいます」とツイートし、訴外北も「全く何の責任も取らないで許すと言う事はありません」「単に懲戒請求を取り下げると言うだけのご連絡では和解をすることはできません」とツイートしているのである(甲22)。ましてや、自ら契約した和解契約を破ったのであるから、それがミスであるなら、当然、「それ相応の責任」を取って、受け取った和解金の全額返金の申し出と、慰謝料支払いの申し出をして、許しを請うするはずである。ところが、そのようなことは何も書かれていないのである。

したがって、ミスではなく原告に対する嫌がらせでやったということである。この紙自体が、原告に対する愚弄である。


キ 「お詫び」と題する紙による欺罔

「お詫び」と題する紙(甲19)は、さらに悪質なことに、「今後のご対応は必要ありません。」と真っ赤な嘘を書いて原告を欺罔している。

前述のとおり、被告はその垂れ流した原告の個人情報を、秘匿する措置を一切取らず、垂れ流しするままに任せていた。人が好い原告は「ご対応は必要ありません」とあるのを鵜呑みにしてしまい、何の対応もしなかった(そもそも閲覧制限ができることを知らなかった)。

本件提訴を受任した原告代理人(当職)も、うっかりこれを鵜呑みにして、当然被告が閲覧等制限をしていると思い込み、受任後も「ご対応」をしなかった。本件提訴直前の9月30日に、損害の主張のため、どのくらいの期間原告の個人情報が公開されていたかを書記官に問い合わせ、閲覧等制限などされてないと聞き、あわてて自ら「ご対応」した次第である(甲20)。

このように「ご対応は必要ありません」と虚偽まで書いて、原告の個人情報を保護する措置を取らせず、原告の住所氏名を晒し続けた紙の存在こそが、別件提訴がミスではなく嫌がらせであったことの何よりの証拠である。


ク 小結

 以上のように、別件提訴がミスということは考えられない。懲戒請求者らに対する「落とし前」「血祭り」(甲21、22)として、故意以上の悪意をもって行われたものであり、その違法性は非常に強い。

 したがって、これによる原告の精神的苦痛も極めて大きい。


(3)応訴の負担

 被告は、懲戒請求のせいで弁明の負担という被害を被ったという主張立証活動を展開し(甲5、12、13)、既に何件も一人33万円の認容判決を得ているようである。

 弁明の負担は、懲戒請求よりも不当提訴の方がはるかに大きい。

 本件懲戒請求は、多数人の請求にかかるものであっても、懲戒請求書は同一のひな型によるものであるから、懲戒事由は一つである。したがって、一人一人の懲戒請求書に対して個別に弁明書を提出する必要はなく、その一つの懲戒事由について1回弁明すれば足りる(場合により、弁明が全く不要なこともあろう)。

 懲戒請求制度は、個々の懲戒請求者の損害の救済を図る制度ではなく、弁護士会が職権で行う調査の端緒に過ぎないものであるから、個々の懲戒請求者に対し個別に弁明をしなかったからと言って、“欠席判決”のように不利益な結果になるわけではない。

 一方、民事訴訟は当事者主義が貫く手続きであり、請求原因が共通でも、当事者が異なれば全く別の事件である。他の共同被告がいくら防御活動をしても、自ら防御活動を何も行わない当事者は、争わないとみなされて、欠席判決が下される。したがって、ひとたび提訴されれば、平日の昼間に、自ら裁判所に出頭するか、または代理人弁護士を有償で雇うか、または無償で戦ってくれる選定当事者を探さなければならない。それも第一回口頭弁論期日までの短い期間にその準備をしなければならない。実際、原告は、第一回期日までに誰か代わりに出頭してくれる人を頼む段取りや、訴状に対してどのように反論するか考え研究するなど、その準備に追われ、取下げ通知が来るまで、毎日そのことにかかりきりであったと言っても過言ではない。原告は弁護士ではなく、応訴の負担は極めて大きい。

 したがって、原告が負わされた応訴の負担は、被告の弁明の負担よりはるかに重い。


(4)社会的名誉や信用を害するおそれ

 原告は、「懲戒請求の申立ては、対象弁護士の社会的名誉や信用を害するおそれのあるものである」と主張立証活動をしている(甲5の13頁、甲12の3頁、甲13の3頁)。

 しかし、東京弁護士会の綱紀委員会の会規によれば、綱紀委員会の委員と担当職員には守秘義務が課せられている(第35条。甲14)。また調査も会議も非公開であり、記録も非公開である(第8条、36条)。したがって、原告が懲戒請求をしたというだけで、被告の社会的名誉や信用を害するおそれはない。実際、原告代理人が受任している別の訴訟で、東京弁護士会に対し、被告にかかる懲戒請求手続きの中身について調査嘱託申立てをし、裁判所が調査嘱託をしたが、東京弁護士会からの回答は、「個別事案については綱紀委員会会規8条及び36条2項により回答できない」というもので、守秘義務は固く守られていた(甲15)。

 一方、民事訴訟は、公開の法廷で裁判を受ける権利が憲法で保障されているため、手続きは公開され、不特定多数が傍聴できる。のみならず訴訟記録を何人でも閲覧することができる(民事訴訟法91条1項)。このため、提訴されれば直ちに、訴えられた側の社会的名誉や信用が害される。特に、提訴して訴状が一般に公開されてから、答弁書や反論書が出されるまでの間は、一方的に提訴者の言い分だけが裁判所で公開され続けることになる。

 したがって、申し立てられただけで社会的名誉や信用が害されるというのであれば、懲戒請求より民事訴訟の方がはるかにその害が大きい。

 実際本件でも、別件訴訟の記録を第三者が閲覧していた(証拠は追って提出する)。

訴訟記録では、原告を実名で名指しして、「被告」とあたかも刑事被告人のような呼称で呼んでいる。多くの一般人は民事の被告と刑事の被告の区別を知らない。「被告」というだけで罪人と思われるのが実情である。さらに、「不法行為」「不当」「違法」「数の暴力」「懲戒制度を悪用した業務妨害」「頭おかしい」「荒唐無稽で無根拠」など、ありとあらゆる非難罵倒が記載された訴状(甲5)や陳述書(甲12、13)が、全く知らない第三者に閲覧されていた。

 したがって、社会的名誉や信用が害される被害は、被告より原告の方がはるかに大きい。


(5)プライバシーや家族の安全

 被告は、大量懲戒請求の被害として、家族にも害が及ぶのではないかという恐怖心を訴えている(甲12の5頁、甲13の4頁)。

 しかし、原告は被告の家族など全く知らないし、本件懲戒請求書にも、被告の家族も自宅も一切書かれていない。書かれているのは被告の事務所で、それは被告がもともと公開しているものである。

 一方、被告は、原告の住所と氏名と筆跡と印影を不特定多数人に公開した。住所とはすなわち自宅の住所である。原告は自宅を不特定多数に公開したことなどない。自宅を知られる恐怖の方が、事務所を知られる恐怖よりはるかに大きいのは論を待たない。

 現に別件提訴後、原告の自宅に、全然知らない人から、弁護士委任の勧誘の手紙が送られてきた。その不気味さは言葉で言えないほどである。その差出人が、原告のプライバシーをさらに他人に流出させる恐れも大きい。

 一連の懲戒請求にかかる損害賠償請求訴訟は、これに関心を持つ人々が傍聴することが多く、中には毎回傍聴したり記録を閲覧したりして、その得た情報をインターネットに流している人もいる。本件ブログのブログ主を非難する立場の人物が、そのようなウェブサイトを開いており、そこでは、選定当事者は全員実名、選定者も氏名の一部、郵便番号、都道府県、生まれ年、靖国神社にいくら奉納したか等の極めてセンシティブなプライバシーを、赤裸々に掲載している。

(甲16)

 したがって、プライバシーや家族の安全に対する不安、恐怖は、原告が受けたものの方がはるかに大きい。


(6)ファイル保管の場所と手間

 被告は、大量懲戒請求の被害として、懲戒請求書のファイルが事務所のスペースを取るとか、ファイルの手間が負担であるなどと訴えている(甲12の3頁、甲13の3頁)。

 しかし被告は、個々の懲戒請求は別個の不法行為であり、共同不法行為ではなく、損害も懲戒請求者毎に別個だと主張立証している。それであるならば、原告が送った懲戒請求書は紙1枚である。被告に対して複数回懲戒請求したかも知れないが、それでも2,3枚である。厚さにして1ミリにもならない。

これに対し、被告が原告に送り付けた訴状、証拠説明書、甲号証写し、期日呼出し状、答弁書の書き方等の書類一式は、分厚い封筒であり、原告が送った懲戒請求書の何十倍もの厚さがある。

しかも、原告の懲戒請求書が送られた先は、あくまでも東京弁護士会であって、被告事務所ではない。東京弁護士会が懲戒請求書を(懲戒請求者の住所氏名も記載されているのに)そのまま被告に送り付けるなどということは、誰も夢にも思わなかった。そのような取り扱いは一切公表されておらず、懲戒請求者は誰も知らなかった。今日でも、東京弁護士会のウェブサイトを具さに見ても、懲戒請求の手続きについて何の説明も無いのであるから(甲17)、知らなかったことについて故意も過失も無い。

一方、被告は民事訴訟を提起したのであるから、訴状、証拠説明書、甲号証写し、期日呼出し状、答弁書の書き方等の書類一式が、分厚い封筒に入れられて原告の自宅に送り付けられることは、百も承知であった。つまり、直接発送したのは裁判所かも知れないが、被告が送り付けたのと同じである。

このように、ファイルの場所と手間に関して、原告が被告に与えた被害は、2,3枚の紙、厚さにして1ミリ以下、しかも原告の意思によらずして(東京弁護士会によって)被告事務所に送られたものである。それで慰謝料30万円だというのである。一方、被告はその何十倍もの厚さの書類を、故意に、原告の自宅に送り付けたのである。原告が被った損害の方がはるかに大きい。


4 損害と請求のまとめ

(1)慰謝料

以上のとおり、被告が本件懲戒請求1に基づき30万円を、訴外北が本件懲戒請求2に基づき30万円を請求し、同種訴訟で認容判決が出ていることを考慮すれば、これよりはるかに被害の大きい原告の慰謝料は、被告が当事者本人となっての提訴につき100万円、訴外北の訴訟代理人としての提訴につき100万円、合計200万円を下回ることはない。


(2)弁護士費用

 本件は、(債務不履行と)不法行為に基づく損害賠償請求であり、原告は弁護士委任を余儀なくされた。そこで相当因果関係のある損害として、請求する各慰謝料の1割の額の弁護士費用を請求する。すなわち、被告が当事者本人となっての提訴につき10万円、訴外北の訴訟代理人としての提訴につき10万円、合計20万円の弁護士費用である。


(3)遅延損害金

 不法行為の後である本年7月19日からの遅延損害金も求める。


第8 結語

 上記の請求原因により、請求の趣旨記載の判決並びに仮執行宣言を求めて、本件提訴に及ぶ。


証拠方法 別紙証拠説明書のとおり


添付書類

委任状、訴状副本1通、甲号証写し各2通



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