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2358 ら兵庫県弁護士会①②③ (0)

引用元 

兵庫県弁護士会
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意見表明一覧
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会 長  白 承 豪
2017.12.25 「死刑執行に関する会長声明」2017.12.20
2017.10.02 「平成29年度司法試験最終合格発表に関する会長声明」2017.9.27
2017.09.01 「地方消費者行政の一層の強化を求める意見書」2017.8.24
2017.07.28 「死刑執行に関する会長声明」2017.7.27
2017.07.28 「平成29年司法試験に厳正な合格判定を求める会長声明」2017.7.27
2017.07.28 「最低賃金の大幅な引き上げを求める会長声明」2017.7.27
2017.07.12 「いわゆる「共謀罪」の創設を含む組織的犯罪処罰法の施行にあたり改めて,「共謀罪」法に反対し,廃止を求める会長声明」2017.7.11
2017.07.10 「会長談話」2017.7.4
2017.06.15 「いわゆる「共謀罪」の創設を含む組織的犯罪処罰法改正案を参議院において強行採決したことに強く抗議する会長談話」2017.6.15
2017.05.25 「司法修習生に対し修習給付金を支給する法改正についての会長声明」2017.5.24
2017.05.25 「日本国憲法施行70年を迎えての会長声明」2017.5.24
2017.05.25 「いわゆる「共謀罪」法案の創設を含む組織的犯罪処罰法改正案の 衆議院採決に抗議する会長声明」2017.5.23

会 長  米 田 耕 士
2017.03.29 「会長談話」2017.03.28
2017.03.24 「国籍を問わず調停委員の任命を求める会長声明」2017.3.23
2017.03.22 「いわゆる『共謀罪』法案の創設を含む組織的犯罪処罰法改正案の閣議決定に反対する会長声明」2017.3.21
2017.01.27 「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」(いわゆる「カジノ解禁推進法」)の成立に抗議し,廃止を求める会長声明 2017.1.26
2016.12.27 「司法試験合格者数のさらなる減員を求める17弁護士会会長共同声明」 2017.1.26
2016.12.14 「環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の国会承認に反対する会長声明」2016.11.4
2016.12.02 「死刑執行に関する会長声明」2016.11.28
2016.10.03 「日本国憲法に国家緊急権(緊急事態条項)を創設することに反対する意見書」2016.09.28
2016.09.15 「いわゆる共謀罪法案の提出に反対する会長声明」2016.9.11
2016.07.01 「高等学校等の生徒の『政治的活動等の自由』の保障を求める会長声明」2016.6.28
2016.06.07 「少年法の適用年齢の引下げに反対する会長声明」2016.6.3
2016.06.01 「原発事故避難者への住宅支援の継続を求める会長声明」2016.5.30
2016.04.27 「死刑執行に関する会長声明」2016.4.25
2016.04.27「平成28年(2016年)熊本地震についての会長声明」2016.4.26
2016.04.27 「借上公営住宅に関する意見書」2016.4.26

会 長  幸 寺 覚
2016.03.30 「安全保障法制施行後の適用・運用に反対する会長声明」2016.3.29 29
2016.02.29 「夫婦同姓の強制及び再婚禁止期間についての最高裁判所大法廷判決を受けて民法における差別的規定の改正を求める会長声明」2016.2.29
2016.01.29 「消費者庁等の移転に反対する意見書」2016.1.28
2016.01.21 「司法修習生に対する給付型の経済的支援を求める会長声明」2016.1.20
2016.01.21 「国籍を問わず調停委員の任命を求める決議」2016.1.19
2016.01.06 「少年法の「成人」年齢を引き下げることに反対する意見書」2015.12.28
2015.12.24 「死刑執行に関する会長声明」2015.12.22
2015.10.29 「夫婦同姓の強制及び再婚禁止期間に関する民法の差別的規定の早期改正を求める会長声明」2015.10.28
2015.09.29 「消費者契約法専門調査会『中間取りまとめ』に対する意見」2015.9.29
2015.09.29 「特定商取引法専門調査会『中間整理』に対する意見」2015.9.29
2015.09.25 「『安全保障法制』の参議院における強行採決に抗議する会長声明」2015.9.24
2015.08.07 「『安全保障法制』の衆議院強行採決に抗議する会長声明」2015.8.6
2015.07.28 「民法上の成年年齢を18歳に引下げることについて慎重な検討を求める会長声明」2015.7.27
2015.07.24 「特定商取引法の見直しにあたり,不招請勧誘の禁止または規制強化を求める意見書」2015.7.22
2015.07.23「面会室内における写真撮影に関する国家賠償請求訴訟の東京高裁判決に抗議する会長声明」2015.7.22
2015.07.23 「死刑執行に関する会長声明」2015.7.22 る会長声明」2015.7.22
2015.07.23 「借上公営住宅における入居期限に関する意見書」2015.7.21
2015.06.29 「少年法の適用年齢引下げに反対する会長声明」2015.6.26 22
2015.06.29 「法曹養成制度改革推進会議決定(案)の『今後の法曹人口の在り方』に関する会長声明」2015.6.24
2015.06.08 「『平和安全法制整備法』案,『国際平和支援法』案の廃案を求める会長声
2015.05.27 「原発事故自主避難者に対する住宅等の供与期間に関する会長声明」2015.5.27
2015.05.19 「安全保障法制の閣議決定に対する会長声明」2015.5.18
2015.05.08 「戦後70年を迎える憲法記念日に当たっての会長声明」2015.5.3
2015.05.01 「少年審判決定書の全文公表に関する会長声明」2015.5.1
2015.04.15 「災害対策と『国家緊急権』に関する会長声明」2015.4.10
2015.04.07 「長時間労働を助長し過労増大につながる労働基準法等の改正(案)の閣議決定に反対する会長声明」2015.4.3

会長 武本夕香子
2015.03.25 「神戸市会『法曹人口政策の早期見直し及び法曹養成制度の抜本的見直しを求める意見書』可決を受けた会長談話」2015.3.24
2015.03.20 司法試験合格者数についての申入書 2015.3.19
2015.03.16 「通信傍受法の対象犯罪拡大に反対する18弁護士会会長共同声明」2015.3.13
2015.03.16 「法曹人口問題のアンケート結果に対する意見書」2015.3.4
2015.02.26 「災害援護資金貸付の免除要件の更なる緩和を求める会長声明」2015.2.25
2015.02.03 「商品先物取引法における不招請勧誘禁止緩和に抗議する会長声明」2015.1.30
2015.01.26 「国民的議論を経ないまま環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)を締結することに反対する会長声明」2015.1.21
2015.01.22 割賦販売小委員会「中間的な論点整理」に対する意見-パブリックコメント-2015.1.22
2014.12.10 「特定秘密保護法の施行に反対する会長声明」2014.12.10
2014.12.10 「民法改正による約款の規律についての会長声明」2014.12.9
2014.12.10 「国籍の如何を問わず調停委員の任命を求める声明」2014.12.8
2014.11.25 「裁判所関連予算の大幅増額を求める会長声明」2014.11.21
2014.11.07 「司法試験合格者数の更なる減員を求める共同申入書」2014.10.14
2014.10.27 兵庫県議会「法曹人口政策の早期見直し及び法曹養成制度の抜本的見直しを求める意見書」可決を受けた会長談話2014.10.24
2014.09.12 平成26年司法試験の結果に対する会長談話2014.9.9
2014.09.01 「死刑執行に関する会長声明」2014.8.29
2014.08.27 広島市及び丹波市の被災者支援に関する会長談話2014.8.25
2014.08.27 共謀罪の新設に改めて反対する会長声明2014.8.20
2014.08.27 「特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施に関し統一的な運用を図るための基準(仮称)(案)」、「特定秘密の保護に関する法律施行令(案)」及び「内閣府本府組織令の一部を改正する政令(案)」に対する意見2014.8.202014.08.22 「旅行産業の今後と旅行業法制度の見直しに係る方向性について」に対する意見書2014.8.20
2014.08.22 原発事故避難者への住宅等の供与に関する新たな立法措置等を求める意見書2014.8.20
2014.07.29 最低賃金の引き上げを求める会長声明2014.7.25
2014.07.29 法制審議会「新時代の刑事司法制度特別部会」がとりまとめた答申案に対する会長声明2014.7.25
2014.07.03 「金融商品取引法施行令の一部を改正する政令(案)」等(商品関連市場デリバティブ取引に係る行為規制関係)に関する意見書2014.6.27
2014.06.27 死刑執行に関する会長声明2014.6.26
2014.06.27 改めて特定秘密保護法の廃止を求める会長声明2014.6.25
2014.06.20 集団的自衛権の行使容認に改めて反対する会長声明2014.6.20
2014.06.16 憲法改正手続法「改正」に関する会長談話2014.6.13
2014.06.16 「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」に反対する会長声明 2014.6.13
2014.06.03 大飯原発差止訴訟判決についての会長声明2014.6.3
2014.05.26 法制審議会新時代の刑事司法制度特別部会「事務当局試案」のうち取調べの録音・録画に関する会長声明2014.5.23
2014.04.25 「商品先物取引法施行規則」及び「商品先物取引業者の監督の基本的な指針」改正案に対する意見書2014.4.23
2014.04.25 貸金業法「改正」に反対をする会長声明2014.4.23
2014.04.11 「『袴田事件』再審開始決定に関する会長声明」2014.4.9

会長 鈴木尉久
2014.03.25 「平成26年から直ちに司法試験合格者数の大幅減少に踏み切ることを求める申入書」2014.3.19
2014.03.17 「改正労働者派遣法案に反対する会長声明」2014.3.14
2014.02.14 「会長談話」2014.02.13
2013.12.26 「年間司法試験合格者数の大幅減員への早急な対応を求める申入書」2013.12.2
2013.12.18 「抜本的な難病患者等支援制度の構築を求める会長声明」2013.12.16
2013.12.13 「死刑執行に関する会長声明」2013.12.12
2013.12.10 「会長談話」2013.12.10
2013.12.10 「特定秘密保護法の成立にあたっての会長談話」2013.12.10
2013.12.02 「小野市福祉給付適正化条例に基づく適正化協議会及び適正化推進員の設置に反対する会長声明」2013.11.29
2013.12.02 「国籍の如何を問わず調停委員の任命を求める声明」2013.11.28
2013.11.28 「商品先物取引における不招請勧誘禁止規制の撤廃に反対する会長声明」2013.11.27
2013.11.15 「特定秘密保護法案に反対する会長声明」2013.11.15
2013.11.13 「集団的自衛権の行使容認に反対する会長声明」2013.11.13
2013.10.25 「憲法改正手続法の根本的改正を要請する会長声明」2013.10.24
2013.10.25 「平成25年司法試験の結果に対する会長声明」2013.10.24
2013.10.01 「「特定秘密の保護に関する法律案」に対する意見」2013.09.17
2013.10.01 「「被災者生活支援等施策の推進に関する基本的な方針(案)」に関する意見書」2013.09.19
2013.10.01 「死刑執行に関する会長声明」2013.09.25
2013.08.31 「法曹養成制度関係閣僚会議決定に対する会長声明」2013.8.12
2013.08.21 「最低賃金の引き上げに関する会長声明」2013.8.21
2013.07.06 「神戸地方裁判所姫路支部及び尼崎支部において速やかに労働審判の実施を求める会長声明」2013.6.19
2013.07.06 「東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う損害賠償請求権の消滅時効に関し、参議院での付帯決議の趣旨を踏まえた立法措置を求める意見書」2013.6.192013.06.20 「憲法第96条の憲法改正発議要件緩和に反対する意見書」2013.6.19 2013.06.13 「司法修習生の経済的支援に関する座長試案等に反対する会長声明」2013.6.13
2013.06.13 「パブリック・コメントの全面的公開及びパブリック・コメントを尊重した最終的なとりまとめの作成を求める会長声明」2013.6.13
2013.06.13 「「民法(債権関係)の改正に関する中間試案」についての意見書」2013.6.12
2013.06.06 会長談話2013.6.6
2013.05.27 「「生活保護法の一部を改正する法律案」に反対する会長声明」2013.5.23
2013.05.27 「消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律案」に対する会長声明」2013.5.23
2013.05.14 「法曹養成制度検討会議の中間取りまとめについて-パブリックコメント-」2013.5.9
2013.04.30 「死刑執行に関する会長声明」2013.4.26

会長 林 晃 史
2013.04.03 「小野市福祉給付適正化条例の成立にあたっての会長声明」2013.3.27 2013.03.25 「個人保証の原則廃止を求める会長声明」2013.3.25
2013.03.25 「特定商取引法施行規則の改正を求める意見書」2013.3.25
2013.03.22 「「菊池事件」について検察官による再審請求を求める会長声明」2013.3.22
2013.03.22 「東日本大震災の被災者に対する公営住宅の無償提供期間をさらに延長することを求める会長声明」2013.3.21
2013.03.11 「東日本大震災から2年を迎えての会長談話」2013.3.11
2013.03.08 「小野市福祉給付適正化条例案に反対する会長声明」2013.3.08
2013.03.05 「会長談話」2013.3.5
2013.02.22 「死刑執行に関する会長声明」2013.2.21
2013.02.22 「オスプレイ配備の中止等を求める会長声明」2013.2.21
2013.02.06 「尼崎連続変死事件元被告人自殺事件に関する会長声明」2013.2.5
2013.02.01 「原発事故子ども・被災者支援法に基づく基本方針に関する意見書」2013.1.24
2012.12.25 「司法修習生の修習費用に対する給費制復活を求める会長声明」2012.12.15
2012.12.17 「国籍の如何を問わず調停委員の任命を求める緊急声明」2012.12.13
2012.12.17 「ハンセン病問題の解決に向けた施策の充実を求める要望書」2012.12.13
2012.11.05 「生活保護基準の引き下げに強く反対する会長声明」2012.11.5
2012.10.03 「死刑執行に関する会長声明」2012.10.2
 2012.09.28 「姉刺殺事件の大阪地裁判決を受けて、発達障害がある人に対する理解と支援を求める会長声明」2012.9.20
2012.08.28 「「罹災都市借地借家臨時処理法の見直しに関する担当者素案」に関する意見」2012.8.22
2012.08.23 「死刑執行に関する会長声明」2012.8.23
2012.07.30 最低賃金の引き上げに関する会長声明」2012.7.26
2012.07.30 「関西電力大飯原子力発電所の運転停止を求める会長声明」2012.7.26
2012.07.11 「原子力損害賠償紛争解決センターによる口頭審理を被害者の住所地で開催することを求める緊急会長声明」2012.7.10
2012.06.18 「貸金業法完全施行2周年を迎えての会長声明」2012.6.18
2012.05.31 「マイナンバー法」に反対する会長声明」2012.5.25

会長 笹 野 哲 郎
2012.04.04 「死刑執行に関する会長声明」2012.3.30
2012.03.09 東日本大震災から1年を迎えるにあたって
2012.02.24 「秘密保全法制定に反対する会長声明」2012.2.23
2012.02.24 「裁判所速記官の養成再開を求める総会決議」2012.2.21
2012.02.14 「国籍を問わず調停委員の任命を求める会長声明」2012.2.10
2012.01.27 「標準旅行業約款の見直しに関する意見書」2012.1.26
2011.12.27「地方消費者行政の充実・強化に対する國の支援のあり方に関する意見書」2011.12.22
2011.11.25 「被災者支援のための「法的支援事業特別措置法」の早急な制定及びその予算措置を求める会長声明」2011.11.24
2011.11.25 「「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(仮称)」(ハーグ条約)を実施するための中央当局の在り方に関する意見書」2011.10.27
2011.11.25 「「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(仮称)」を実施するための子の返還手続等の整備に関する中間取りまとめに関する意見書」2011.10.27
2011.11.17 『「民法(債権関係)の改正に関する中間的な論点整理」についての意見』2011.10.27
2011.10.27 「原子力損害賠償紛争解決センターにおける和解仲介手続を全国各地で実施することを求める会長声明」2011.10.26
2011.10.27 「被災者本位の復興まちづくりの法整備と計画の具体化を求める意見書」2011.10.26
2011.10.27 「提携リースを規制する立法措置を求める意見書」2011.10.26
2011.10.05 「倒産手続における消費者保護を求める意見書」2011.9.29
2011.10.05 「任意整理統一基準に基づく和解に応じることを求める意見書」2011.9.29
2011.09.27 「東京電力株式会社が行う原発事故被害者への損害賠償手続に関する会長声明」2011.9.21
2011.09.12 「神戸拘置所における被収容者凍死事件についての会長声明」2011.9.12
2011.07.29 「最低賃金の引き上げに関する会長声明」
2011.07.05 「会長声明-被疑者・被告人と弁護人の秘密交通権の侵害を許さず取調べの可視化を-」2011.7.1
2011.06.27 「東日本大震災の被災者が抱える既存債務からの解放を求める会長声明」2011.6.23
2011.05.27 「災害弔慰金の支給に関する法律及び同法施行令の改正を求める意見書」2011.5.25
2011.05.27 「被災者生活再建支援法改正及び運用改善に関する意見書」2011.5.25 2011.05.27 「布川事件無罪判決を受けての会長声明」2011.5.24
2011.05.02 「災害救助制度の改正及び運用改善に関する緊急提言」2011.4.28
2011.05.02 「被災地・被災地住民本位の復旧・復興を実践するための「地域委員会」(仮称)の設置を求める提言」2011.4.28
2011.04.30 「民法改正に関するパブリックコメント手続延期を求める会長声明」2011.4.12
2011.04.11 「東日本大震災復旧・復興対策立法に関する緊急提言」2011.4.7

兵庫県弁護士会
2011.03.17 「東北地方太平洋沖地震・津波災害に関する緊急決議」2011.3.15
2011.03.17 「各人権条約に基づく個人通報制度の早期導入及びパリ原則に準拠した政府から独立した国内人権機関の設置を求める総会決議」2011.3.15
2011.03.17 「全面的な国選付添人制度の実現を求める総会決議」2011.3.15

会長 乗鞍良彦
2010.12.27「司法修習生に対する給費制を1年間延長する「裁判所法の一部を改正する法律」の成立にあたっての会長声明」2010.12.24
2010.12.27 「ハーグ条約の批准問題に対する会長声明」2010.12.22
2010.12.06 「秋田県弁護士会所属会員の殺害事件に関する会長声明」2010.12.3
2010.12.03 「外国籍弁護士の調停委員推薦が拒否された件に関する緊急声明」2010.11.30
2010.10.13 【人権侵害への警告等】2010年9月16日付神戸刑務所に対する勧告書
2010.09.21 「海外留学あっせん業者に対する適切な法的規制を求める意見書」2010.9.15
2010.09.14 「司法修習生に対する給費制の維持を求める決議」2010.9.7
2010.08.09 「全面的国選付添人制度の実現を求める会長声明」2010.8.6
2010.08.09 「最低賃金の引き上げに関する会長声明」2010.8.6
2010.08.09 「外国籍弁護士が調停委員に採用されない件に関する緊急声明」2010.8.6
2010.07.31 「死刑執行に関する会長声明」2010.7.29
2010.06.10 「司法修習生に対しての給費制維持を求める緊急声明」2010.6.10
2010.05.06「尼崎JR脱線事故における指定弁護士による公訴提起を受けた会長談話」2010.4.23
2010.04.21「明石歩道橋事故における指定弁護士による公訴提起を受けた会長談話」2010.4.20

会長 春名一典(2009.4.27(PDFファイル) 2009年5月1日まで声明)
2010.04.09「尼崎JR脱線事故における検察審査会起訴議決を受けた会長談話」2010.3.26
2010.04.05「足利事件再審無罪判決に関する会長声明」2010.3.26
2010.04.05「民法(家族法)改正の早期実現を求める会長声明」2010.3.26
2010.04.05「朝鮮学校を「高校無償化」の対象から除外しないことを求める声明」2010.3.24

兵庫県弁護士会
2010.04.05「適正な法曹人口に関する決議」2010.3.23
過去の掲載分はこちら(旧サイトのページが開きます
ttp://hyogoben.or.jp/old/topics/iken/index.html
会の決議と会長声明
「国籍の如何を問わず調停委員の採用を求める会長声明」2010.2.1(PDFファイル) 2010年2月3日
「明石歩道橋事件における検察審査会起訴議決を受けた会長談話」2010.01.27(PDFファイル) 2010年2月1日
「直ちに取調べの全過程の可視化を求める会長声明」2009.12.24(PDFファイル) 2010年1月12日
 「多重債務者の任意整理における「統一基準」の遵守を求める要請書」2009.11.25(PDFファイル) 2010年1月12日
 「改正貸金業法の早期完全施行を求める会長声明」2009.9.14(PDFファイル) 2009年9月18日
 「兵庫県における裁判員制度第1号事件の公判開始にあたっての会長声明」2009.9.7(PDFファイル) 2009年9月18日
 「修習生に対する給費制の存続を求める会長声明」2009.8.26(PDFファイル) 2009年9月18日
「死刑執行に関する会長声明」2009.7.28(PDFファイル) 2009年8月25日
 「消費者庁長官、消費者委員会委員長及び委員の適正な人選を求める会長声明」2009.7.23(PDFファイル) 2009年8月25日
「生活保護における母子加算の復活を求める会長声明」2009.6.18(PDFファイル) 2009年7月6日
「消費者庁関連3法の成立に関する会長声明」2009.6.15(PDFファイル) 2009年7月6日
「足利事件に関する会長声明」2009.6.15(PDFファイル) 2009年7月6日
 「取調べの可視化法案が参議院において再び可決されたことに関する会長声明」2009.5.25(PDFファイル) 2009年6月2日
「海賊対処法案」に反対する会長声明」2009.5.22(PDFファイル) 2009年6月2日
「住居喪失者・DV事件被害者等の定額給付金及び子育て応援特別手当の受給に関する会長声明」2009.5.22(PDFファイル) 2009年6月2日
 「裁判員制度の施行と被疑者国選弁護制度の拡大にあたっての会長声明」2009.5.21(PDFファイル) 2009年6月2日
「県下で新型インフルエンザの感染が確認されたことに関する会長声明」2009.5.18(PDFファイル) 2009年6月2日
「労働者派遣法の抜本的改正を求める会長声明」2009.4.27(PDFファイル) 2009年5月1日
「民法改正手続に関する会長声明」2009.4.27(PDFファイル) 2009年5月1日

会長  正 木 靖 子
「死刑執行に関する会長声明」2009.2.16(PDFファイル) 2009年3月10日
「兵庫県弁護士会所属会員に対する傷害事件に関する談話」2009.01.08(PDFファイル)2009年1月13日
「鹿児島接見国賠訴訟会長声明」2008.3.26(PDFファイル) 2008年11月27日
「死刑執行に関する会長声明」2008.11.7(PDFファイル) 2008年11月20日
 「大和都市管財国家賠償訴訟・控訴審判決に対する会長声明」2008.11.7(PDFファイル)2008年11月20日
 「海外留学あっせん業者に対する適切な法的規制を求める意見書」2008.11.7(PDFファイル) 2008年11月20日
 「不安定雇用をもたらす「労働者派遣法」の抜本的見直しを求める会長声明」2008.8.25(PDFファイル) 2008年9月8日
「少年法「改正」に反対する会長声明」2008.3.21(PDFファイル) 2008年8月4日
「法曹人口の急速な増大の見直しを求める緊急提言」2008.7.10(PDFファイル) 2008年7月19日
 「少年法「改正」法成立についての会長声明」20087.10(PDFファイル) 2008年7月19日
 「「真にあるべき」消費者庁設置を求める会長声明」2008.7.10(PDFファイル) 2008年7月19日
「取調べの可視化に関する法律案の参議院での可決に関する会長声明」2008.6.11(PDFファイル) 2008年6月12日
「名古屋高裁判決を踏まえて航空自衛隊のイラク早期撤退を求める会長声明」2008.5.16(PDFファイル) 2008年6月4日
「映画「靖国 YASUKUNI」上映中止問題に関する会長声明」2008.5.16(PDFファイル) 2008年6月4日

会長 道上 明
 「株式会社神戸製鋼所加古川製鉄所のばい煙・粉じん問題に関する意見書」2008.3.21(PDFファイル) 2008年4月17日
 「テロ特措法に代わる新法案の慎重審議を求める声明」2007.12.17(PDFファイル) 2008年1月28日
 「安易かつ拙速な生活保護基準の引き下げに反対する声明」2007.11.6(PDFファイル)2007年12月17日
 「氷見市における強姦・同未遂事件再審無罪判決についての会長声明」2007.10.17(PDFファイル) 2007年12月17日
 「日本国憲法の基本理念を堅持する宣言」2007.10.12(PDFファイル) 2007年12月17日
 「取調べの全過程の可視化を求める決議」2007.10.12(PDFファイル) 2007年12月17日
 少年警察活動規則におけるぐ犯調査権限の新設に反対する会長声明(PDFファイル) 2007年9月2日
受刑者の出廷権に関する意見書(PDFファイル) 2007年8月29日
刑事弁護活動に対する違法な攻撃を許さない会長声明(PDFファイル) 2007年8月22日
被災者生活再建支援制度に関する検討会中間報告に対する意見書(PDFファイル) 2007年8月22日
被害者の刑事手続参加制度新設に抗議する会長声明(PDFファイル) 2007年6月20日
被害者の刑事手続参加関連法案の衆議院可決にあたっての会長声明(PDFファイル) 2007年6月8日
割賦販売法改正意見書(PDFファイル) 2007年5月18日
少年法「改正」法案会長声明(PDFファイル) 2007年5月17日
憲法改正手続法案の慎重審議を求める緊急声明 2007年4月25日
被害者参加制度新設に関し慎重審議を求める会長声明(PDFファイル) 2007年4月10日
能登半島地震の被災者支援に関する会長声明(PDFファイル) 2007年4月5日

会長 竹本 昌弘
兵庫県弁護士会所属会員に対する業務妨害事件に関する声明 2007年3月26日
中国残留孤児兵庫訴訟判決に関する兵庫県弁護士会会長声明 2006年12月1日
共謀罪新設に改めて反対する会長声明 2006年10月12日
憲法改正国民投票法案についての意見書(PDFファイル) 2006年10月12日
憲法改正国民投票法案についての意見書要旨(PDFファイル) 2006年10月12日 教育基本法「改正」に反対する会長声明2006年 2006年9月12日
航空自衛隊のイラク早期撤退を求める2006年 2006年8月11日
「例外」なき金利引き下げ実現を求める 2006年8月11日

兵庫県弁護士会
総会決議裁判員裁判実施に関する神戸地裁への要望 2006年5月22日
総会決議弁護士から警察への依頼者密告制度 2006年5月22日

会長 竹本 昌弘
教育基本法「改正」法案の今国会成立に反対する会長声明 2006年5月15日
共謀罪の新設に反対する会長声明 2006年4月20日

会長 藤井 伊久雄
兵庫県国民保護計画案に反対する会長声明 2006年1月23日
ゲートキーパー立法に反対する会長声明 2006年1月18日
住宅の安全確保に関する会長声明 2006年1月17日
共謀罪の新設に反対する再度の声明 2005年10月3日
憲法改正国民投票法案について慎重な対応を求める意見書(PDFファイル) 2005年9月8日
兵庫県国民保護計画作成に対する意見書(PDFファイル) 2005年7月22日
共謀罪の新設に反対する会長声明 2005年7月21日

会長職務代行 副会長 藤本 尚道
人権擁護法案に対する会長声明 2005年3月29日
国民保護計画作成及び国民保護措置実施に関する意見書(PDFファイル) 2005年3月24日

会長職務代行 副会長 藤本 尚道
少年法等「改正」法案に対する反対声明 2005年3月10日

会長 滝本 雅彦
私たちは「合意による敗訴者負担制度」に反対します 2004年7月14日
近畿司法書士会連合会の計画する「対話調停センター」の設立断念を求める会長声明 2004年7月14日
国選弁護人報酬の増額等を求める会長声明 2004年7月14日
兵庫県警自動車警ら隊隊員による捜査書類ねつ造事件に関する会長声明 2004年7月2日
司法修習生の給費制堅持を求める緊急声明 2004年6月10日
有事7法案に関する会長声明 2004年4月6日

会長 麻田 光広
裁判員制度の制度設計に関する会長声明 2003年12月26日
自衛隊等のイラク派遣に反対する会長声明 2003年12月12日
司法修習生の給費制維持を求める会長声明 2003年8月27日
住基ネット第2次稼働の問題点と当会の提言 2003年8月21日
出資法の上限金利の引き下げ等を求める意見書 2003年7月4日
実効性ある「ヤミ金融対策法」の制定を求める会長談話 2003年7月1日
有事法制法案可決成立に対する会長談話 2003年6月6日

兵庫県弁護士会
刑事司法改革の推進に関する決議 2003年5月28日

兵庫県弁護士会消費者保護委員会
公益通報者保護制度についての意見書 2003年4月25日

会長 麻田 光広
個人情報保護法案等に対する会長声明 2003年4月25日
有事法制関連法案に反対する声明 2003年4月25日

会長 藤野 亮司
「裁判の迅速化に関する法律案」に反対する意見書 2003年3月3日
イラクへの武力攻撃についての会長声明 2003年3月3日
国選弁護人報酬についての要望書 2003年3月3日
ハンセン病への差別を助長するリーフレットの回収と患者であった人々への人権救済措置を求める要望書 2003年2月14日
国選弁護人の報酬について 2002年10月7日
弁護士に依頼者を密告させる「ゲートキーパー立法」に反対する会長声明 2002年10月7日
有事法制案に反対する会長声明 2002年5月16日

兵庫県弁護士会会長 藤野 亮司
財団法人法律扶助協会兵庫県支部 支部長 大塚 明
法律扶助予算の拡充を求める共同声明 2002年5月2日

会長 大塚 明
心神喪失等の状態で重大な他害行為を行なった者の医療及び観察等に関する法律(仮称)案に関する会長声明 2002年3月29日

兵庫県弁護士会 会長 大塚 明
同人権擁護委員会 委員長 高橋 敬
人権擁護法案に対する意見書 2002年3月28日

兵庫県弁護士会
司法改革の具体化についての総会決議 2002年3月14日
扶助協会の不足財源を弁護士会から補てんすることについての総会決議 2002年2月21日

会長 大塚 明
住宅品確法の住宅性能表示制度による中古住宅の性能表示の整備・促進(案)についての意見書 2001年12月11日
個人情報保護法案の継続審議に関する会長声明 2001年11月15日
司法制度改革推進法に関する会長声明 2001年11月9日
JR朝霧駅南側歩道橋での事故に関する会長談話 2001年7月23日
ハンセン病の患者であった人々の人権を回復するために(要望) 2001年7月19日大阪教育大学付属池田小学校の事件に関する会長談話 2001年6月11日

会長 模 泰吉
尼崎公害訴訟和解に関する会長談話 2000年12月8日
少年法「改正」について会長声明 2000年5月1日

会長 丹治 初彦
尼崎公害訴訟判決に関する会長談話 2000年2月1日
組織的犯罪対策立法に関する会長声明 1999年8月12日
少年法改正問題に関する会長声明 1999年5月14日

会長 小越 芳保
少年法改正問題に関する会長声明 1999年2月8日
仙台地方裁判所・寺西和史判事補に対する懲戒処分決定に関する会長声明 1998年12月18日
実効性ある消費者契約法の早期制定を求める声明 1998年12月11日
神戸空港建設の是非を問う住民投票条例に関する要望書 1998年11月13日
火災保険・火災共済の加入希望者・契約者に配布すべき書面並びに同説明内容に関する提言 1998年10月12日

会長 小越 芳保
仙台地方裁判所・寺西和史判事補に対する懲戒処分決定に関する会長声明 1998年10月12日
仙台地方裁判所・寺西和史判事補に対する懲戒処分決定に関する会長声明 1998年8月18日
被疑者国選弁護制度の早期実現を求める声明 1998年8月10日
仙台地方裁判所・寺西和史判事補に対する懲戒申立に関する会長声明 1998年5月27日
災害被災者に対する公的支援法案についての要望書 1998年5月7日
「労働法の一部を改正する法律案」に対する要望書 1998年5月7日

会長 間瀬 俊道
甲山事件に関する会長声明 1998年3月27日

神戸弁護士会
 裁判官の大幅増員に対する決議 1998年3月24日

神戸弁護士会 会長 小越 芳保
 (須磨少年事件に関連して) 株式会社講談社に対する申入書 1998年5月27日

神戸弁護士会 会長 間瀬 俊道
 (須磨少年事件に関連して) 株式会社新潮社に対する申入書 1998年3月10日
 (須磨少年事件に関連して) 株式会社新潮社に対する申入書 1998年2月20日
 (須磨少年事件に関連して) 株式会社文藝春秋に対する申入書 1998年2月12日

―――――◦―――――◦―――――

朝鮮学校を「高校無償化」の対象から除外しないことを求める声明
 今国会において公立高等学校に係る授業料の不徴収及び高等学校等就学支援金の支給に関する法律案(高校無償化法案)が審議されている。
 本法案の無償化対象校には、高等学校の課程に類する過程を置いている文部科学省省令に定める各種学校が含まれているが、朝鮮民主主義人民共和国の拉致問題に対する制裁処置の実施等を理由として、政府内で朝鮮高級学校を無償化の対象から除外すべきとの主張が出され、本法案の対象外とする動きが報道されている。朝鮮学校は、戦後、在日朝鮮人らが子弟に母国語を取り戻すため各地で始めた民族学校を起源として各地に設立され、旧植民地出身者の民族教育を担ってきた。現在は、日本で共生社会の一員として生活することを前提として在日3世・4世の教育を行っており、朝鮮史等を除き、教育課程は日本の高校に準じていることが公表されている。また、朝鮮高級学校は、財団法人全国高等学校体育連盟(高体連)等のスポーツ大会出場資格も認められており、日本社会において高等学校に準じるものとして広く認知・評価されている。それゆえ、日本のほぼ全ての国公私立大学は、「高等学校を卒業した者と同等以上の学力がある」として朝鮮高級学校の卒業生に入学試験受験資格を認めている。兵庫県では、創立60年を経た朝鮮高級学校に272名の生徒が在籍しているが、県は国の「高校無償化」に伴う方針として、朝鮮学校に対しても他の外国人学校と同様、県独自の授業料軽減補助金を新たに支給することを明らかにした。知事は、3月16日、「朝鮮学校とほかの外国人学校に差を設ける必然性はない。拉致問題の解決と引き替えにするような事柄ではない。」との見解を表明した。兵庫県以外でも、東京・大阪をはじめとする多くの地方自治体が、朝鮮学校を授業料補助の対象とし、各自治体独自の助成金を交付している。
 政治外交問題を理由に朝鮮学校のみをインターナショナルスクール・中華学校等の外国人学校・民族学校等と区別し、無償化の対象から排除することは、憲法14条、子どもの権利条約、人種差別撤廃条約、国際人権規約に抵触する不合理な差別であり、「高等学校等における教育にかかる経済的負担の軽減をはかり、もって教育の機会均等に寄与する」との同法案の立法趣旨とも整合性を欠いている。国連人種差別撤廃委員会は、日本の人権状況に関する報告書を公表しているが、無償化から朝鮮学校を排除する政治家の態度について、子どもの教育に差別的な効果をもたらす行為であると指摘し懸念を表明している。
 当会は、内閣総理大臣及び文部科学大臣に対し、高校無償化の実施にあっては朝鮮高級学校を排除することがないよう強く求めるものである。
 2010年3月24日
 兵庫県弁護士会会長春名一典

国籍を問わず調停委員の任命を求める会長声明
 2017年(平成29年)3月23日
 兵庫県弁護士会
 会 長 米 田 耕 士
 声明の趣旨
 最高裁判所が,「弁護士となる資格を有する者,民事もしくは家事の紛争の解決に有用な専門的知識を有する者または社会生活の上で豊富な知識経験を有する者で,人格識見の高い年齢四十年以上七十年未満の者」であれば,日本国籍の有無にかかわらず,等しく民事調停委員及び家事調停委員に任命するよう,速やかに従来の扱いを改めることを求める。
 声明の理由
 当会は,神戸家庭裁判所からの2016年(平成28年)9月1日付の推薦依頼書を受けて,同年10月6日付で外国籍である当会会員2名を含む家事調停委員候補者を推薦した。これに対し,同年11月17日付で,神戸家庭裁判所から,上記外国籍の当会会員2名については,家事調停委員として任命上申しない旨の通知があった。神戸家庭裁判所の職員から,上記通知に関し,上記外国籍の当会会員2名について家事調停委員として任命上申しない理由として,口頭で調停委員は日本国籍を有する者に限るためとの説明があった。
しかしながら,民事調停法,家事事件手続法並びに民事調停委員及び家事調停委員規則には,調停委員の資格要件や欠格事由として日本国籍の有無に関する規定はなく,法令上,調停委員に関する国籍要件は存しない。外国籍であることのみを理由に調停委員の候補者としない裁判所の対応は,法令に根拠のない基準を新たに創設するものであるだけでなく,調停委員の具体的な職務内容を勘案することなく,日本国籍の有無で異なる取り扱いをするものであり,国籍を理由とする不合理な差別であって,憲法第14条に違反する。
 国際的にみても,国連人種差別撤廃委員会は,総括意見において,2010年3月と2014年8月の2度にわたり,人種差別撤廃条約第5条との関係で,外国籍者が,資質があるにもかかわらず調停委員として調停処理に参加できないという事実に懸念を表明し,能力を有する日本国籍でない者が家庭裁判所における調停委員として行動することを認めるよう,締約国である日本の立場を見直すことを勧告している。そもそも,日本には200万人以上の外国籍者が居住し,50万人以上の外国籍からの日本国籍取得者が居住していること,少子高齢化に伴う人口減少への対策や経済社会の国際化・グローバル化に伴う外国人就労の促進からすると,調停の場に外国籍者が調停委員として参画することは,多様な当事者の実情に即した紛争解決という観点において調停制度を充実させ,多民族・多文化共生社会の実現に資するものである。
そして,過去には,1974年(昭和49年)から1988年(同63年)まで中国(台湾)籍の大阪弁護士会会員が民事調停委員として任命されていた先例がある。これまでも当会は複数回にわたり外国籍の会員を調停委員に推薦したが,いずれも同様の理由により任命上申を拒絶されており,そのたび毎に抗議の会長声明を発してきた。2016年(平成28年)には,1月19日の当会臨時総会で本声明の趣旨と同一の決議をしたところであるが,その後も従前の扱いが維持されたので,改めて強く抗議するとともに重ねて声明を行うものである。以上

国籍を問わず調停委員の任命を求める決議
 1 当会は,2003年(平成15年)10月以来,神戸家庭裁判所及び神戸地方裁判所からの家事調停委員もしくは民事調停委員(以下「調停委員」という。)の推薦依頼を受けて,外国籍の会員をも含めた当会会員を調停委員候補者として推薦してきた。
しかし,外国籍の当会会員については,今日に至るも調停委員として任命されたことはなく,任命を拒否され続けている。裁判所の調停委員任命に関する上記
のような運用は,外国籍者に対する不合理な差別にほかならず,憲法14条1項の定める法の下の平等原則に違反する。
 2 最高裁判所は,外国籍の調停委員を任命しないという扱いの根拠として,「公権力の行使にあたる行為を行い,もしくは重要な施策に関する決定を行い,又はこれらに参画することを職務とする公務員には,日本国籍を有する者が就任することが想定されている」ということを挙げてきた。しかしながら,これは以下の通り,何ら合理的な説明といえるものではない。
 即ち,まず,法令上において,調停委員への就任については,民事調停法,家事事件手続法ともに,調停委員に国籍要件は存在していない。
 次に,調停委員の職務内容についてみても,調停委員は,当事者の互譲による紛争の解決に向けて,専門的又は社会生活の上で豊富な知識経験や人格識見を発揮することを任務とするものであって,最高裁判所のいう公権力の行使を任務とするものではない。加えて,国際的にみても,国連人種差別撤廃委員会は,2010年3月と2014年8月の2度にわたり,外国籍者が調停委員として活動できない状況について,懸念を表明し,状況を見直すことを勧告しているところである。これらの事実から見て,最高裁判所の上記見解は,合理性を有するとは到底解されない。
 3 そもそも,日本には200万人以上の外国籍者が居住し,50万人以上の外国籍からの日本国籍取得者が居住していることからすると,調停の場に外国籍者が調停委員として参画することは,多様な当事者の実情に即した紛争解決という点において調停制度を豊かにし,多民族・多文化共生社会の実現に資するものである。
そして,我が国においても,過去には1974年(昭和49年)から1988年(昭和63年)まで中国(台湾)籍の大阪弁護士会会員が民事調停委員として任命されていた先例もある。国籍を有しないということのみを理由として調停委員に任命しないという現在の裁判所の扱いは,憲法14条に反することは明らかであり,直ちに是正されなければならない。
 4 よって当会は,下記のとおり決議する。
 記
 最高裁判所は,「弁護士となる資格を有する者,民事もしくは家事の紛争の解決に有用な専門的知識を有する者又は社会生活の上で豊富な知識経験を有する者で,人格識見の高い年齢四十年以上七十年未満の者」であれば,日本国籍の有無にかかわらず,等しく民事調停委員及び家事調停委員に任命するよう,速やかに従来の扱いを改めることを求める。
 2016年(平成28年)1月19日
 兵庫県弁護士会
 【決議の理由】
 1 問題の背景
 2003年(平成15年)10月,当会は,神戸家庭裁判所からの家事調停委員
 推薦依頼に対して,韓国籍の会員1名を候補者として適任であるとして推薦した。
ところが,同家庭裁判所より「調停委員は,公権力の行使又は国家意思の形成への参画にたずさわる公務員に該当するため,日本国籍を必要とするものと解すべきであるので,最高裁判所には上申しないこととなった」として推薦の撤回を求められ,やむなくこれを撤回することとなった。
 当会は,その後の神戸家庭裁判所及び神戸地方裁判所からの調停委員の推薦依頼に対しては,この8年の間に延べ15名の韓国籍会員を適任として推薦しているものの,現在に至るまで外国籍会員が調停委員に任命されたことはない。
これを受けて,当会は,2010年(平成22年)2月から2014年(平成26年)12月の間に7度の会長声明を発し,裁判所のこうした対応を改めるよう求めてきた。さらに,2012年(平成24年)2月には,最高裁判所に対し,神戸地方裁判所及び神戸家庭裁判所に対する適切な司法行政上の監督権の行使を求めるため裁判所法第82条,第80条第1項に基づく不服申立てとともに会長声明を発したが,最高裁判所からは何らの理由も示さずに司法行政上の監督権を行使しないとの回答がなされたに過ぎない。
 2 憲法第14条平等原則に違反する取り扱いであること
憲法第3章に規定している基本的人権の諸規定は,権利の性質上日本国民のみを対象としていると解されるものを除き,我が国に在留する外国人に対しても等しく及ぶと解すべきである(最高裁判所昭和53年10月4日大法廷判決)。
そして,憲法14条1項が保障する法の下の平等原則も等しく外国籍の者にも及ぶ(最高裁昭和39年11月18日大法廷判決参照)。
 平等原則は,日本国憲法の人権体系の中核をなし,法的に平等に扱われる権利を保障し,不合理な差別的取扱いを禁止しているところ,国籍を有しないということのみを理由として調停委員に任命しないという裁判所の扱いは,外国籍者に対する不合理な差別にほかならないから,憲法第14条第1項の定める法の下の平等原則に違反するというべきである。
ところで,国籍については,帰化の手続きにより日本国籍を取得することが可能ではあるが,国籍が変更可能な要素であることをもって,外国籍者への差別的取扱いを正当化することができないことは言うまでもないところである。すなわち,平等原則は,個々人がそのままの状況で平等に取り扱われることにこそ,重大な意義があるのであり,区別取扱いの理由が国籍という変更可能な要素であり,差別を回避したい者は日本国籍取得によって差別を回避することが可能であるとしても,そのことを理由として差別的取扱いを正当化するような見解は,平等原則の趣旨を損ねるものであって採り得ない(ヨーロッパ人権裁判所2009年2月18日判決も同旨を述べる。)。
 3 最高裁判所の見解とその批判
 最高裁判所は,日本弁護士連合会の照会に対して,2008年(平成20年)10月14日付で「照会事項について,最高裁判所として回答することは差し控えたいが,専門部門の取り扱いは以下の通りである。」として,法令等の明文上の根拠規定はないとしながらも「公権力の行使にあたる行為を行い,もしくは重要な施策に関する決定を行い,又はこれらに参画することを職務とする公務員には,日本国籍を有する者が就任することが想定されると考えられるところ,調停委員・司法委員はこれらの公務員に該当するため,その就任のためには日本国籍が必要と考えている。」と回答した(最高裁判所事務総局人事局任用課,以下「想定の法理」という。)。
しかし,このような考え方は前述の憲法の定める平等原則に違背するものであることに加え,以下の点において正当とは解されない。
まず,民事調停法,家事事件手続法は,調停委員の任命資格に日本国籍を有することを要件としておらず,また,民事調停委員及び家事調停委員規則(以下「調停委員規則」という。)は,「民事調停委員及び家事調停委員は,弁護士となる資格を有する者,民事もしくは家事の紛争の解決に有用な専門的知識を有する者又は社会生活の上で豊富な知識経験を有する者で,人格識見の高い年齢四十年以上七十年未満の者の中から,最高裁判所が任命する。ただし特に必要がある場合においては年齢四十年以上七十年未満であることを要しない。」(同第1条)と定めるにとどまり,同第2条の欠格事由にも国籍を欠格事由とする規定はない。
 法令上,日本国籍を有することは調停委員任命の要件とされていないにもかかわらず,想定の法理といった抽象的基準により,広く外国籍者を日本国籍者と異なる区別取扱いを行うとすれば,明らかに法治主義の観点から問題があるといわざるを得ない。
 次に, 最高裁判所が外国籍の調停委員を任命しないことの根拠とする想定の法理は,調停委員の職務内容からすれば当を得ないことは次のとおりである。すなわち,調停委員は調停委員会の構成員としてその決議に参加するが,同決議は当事者の権利を公権的に制約するものではない。即ち,まず,調停調書は確定判決と同一の効力を有するものの,この拘束力は当事者の合意に由来するものであって公権的に当事者の権利を制約するものとはいえず,また,調停委員会の呼出等には過料の制裁があるものの,過料は裁判所が決定するものであって,調停委員あるいは調停委員会が決定するものではない。さらに,調停委員会は事実調査及び必要と認める証拠調べを行う権限を有しているが,事実調査は強制力を有していないし,証拠調べについても,現実には強制的な権限行使が想定されているわけではない。
このように,調停委員の職務内容は,公権力の行使であるとは解されず,むしろ,調停委員の職務は,公権力の行使という手段によることなく,専門的もしくは社会生活上の知識経験や人格識見などを発揮し,これにより当事者の互譲による合意形成を促すことにあると解される。
 4 人種差別撤廃委員会の勧告
 国連人種差別撤廃委員会は,総括所見において,2010年3月と2014年8月の2度にわたり,人種差別撤廃条約第5条との関係で,外国籍者が,資質があるにもかかわらず調停委員として調停処理に参加できないという事実に懸念を表明し,能力を有する日本国籍でない者が家庭裁判所における調停委員として行動することを認めるよう,締約国である日本の立場を見直すことを勧告している。
 5 多民族・多文化共生社会形成の視点
 日本には,在日コリアン等の,サンフランシスコ平和条約の発効に伴う通達によって日本国籍を失ったまま日本での生活を余儀なくされた旧植民地出身者及びその子孫などの特別永住者,中長期在留者をはじめとする200万人以上の外国籍者,並びに50万人以上の外国からの日本国籍取得者,国際結婚の夫婦の子どもなど,外国にルーツを持つ人々が,日本社会の構成員として多数生活している。兵庫県内でも,平成26年12月末時点で9万6530人の在留外国人の方が生活している。離婚や遺産分割等の家事事件や地代増減額事件は,調停前置が強制されており,これらの人々が日本の調停制度を利用する機会は増えている。このような調停事件の中には,当該外国独自の文化的背景について知識を有する調停委員が関与することが有益な事案も数多く存在することからすると,調停の場に外国籍の弁護士が調停委員として参画することは,多様な当事者の実情に即した解決を実現するという点において調停制度を豊かにし,多民族・多文化共生社会の実現に資するものである。
 6 先例1974年(昭和49年)から1988年(昭和63年)まで,12年間にわたって中国(台湾)籍の大阪弁護士会会員が民事調停委員として任命されていた先例もある。このように,外国籍弁護士を調停委員に任命したからといって,これにより調停制度のあり方に何ら問題が生じるわけではないことは,過去の実例からも明らかとなっている。
 7 当会のアンケート結果
 当会は,2015年(平成27年)8月から9月にかけて当会会員に対し外国籍調停委員問題についてアンケートを行った(回答数143,回答率16.8%)。
 当会会員の意識としても,調停委員に日本国籍は不要とするものが95%にのぼり,その根拠としては,①調停委員の主な職務は当事者の意見調整であり,公権力の行使とは関係しないというもの,②実定法の欠格事由に国籍条項はないこと,③多民族・多文化共生社会の実現をあげるものが多かった。
 当会内において,外国籍の調停委員を実現すべきことはほぼ一致した見解となっている。
 8 結語
 2003年(平成15年)に当会会員が任命拒否されてから12年を経過している。この間,2005年(平成17年)の近畿弁護士会連合会大会決議を皮切りに,外国籍調停委員の任命を求める動きは,京都,大阪,兵庫の近弁連管内の弁護士会のみならず,仙台,東京,第二東京弁護士会と全国各地に広がった。これらの動きにもかかわらず,最高裁判所は外国籍調停委員の任命拒否を繰り返してきた。
 日本弁護士連合会は,2009年(平成21年)と2011年(平成23年)に意見書・要望書を最高裁判所に提出し,各地の弁護士会も任命拒否に対し,会長声明,総会決議を採択し,外国籍調停委員の任命実現を求め続けている。そして,国連の人権機関である人種差別撤廃委員会も2010年と2014年の二度にわたり,懸念の表明と任命実現を求める勧告を採択している。さらに,過去には12年間にわたり外国籍調停委員を任命した先例も存在している。こうした事実からも,最高裁判所による任命拒否に何ら正当性がないことは明らかである。当会は,これまで外国籍調停委員の任命拒否に対し,その都度,会長声明を最高裁判所に送付し,当会の意思を表明してきたが,遺憾ながら,何ら事態が改善されることもないまま今日に至っている。当会は,かかる現状を憂慮し,外国籍調停委員の任命を早期に実現するよう求める当会の総意を明らかにするとともに,最高裁判所に対し,外国籍調停委員の任用に関する運用を速やかに是正するよう求め,本決議を行う。以上

国籍の如何を問わず調停委員の任命を求める緊急声明
今般、神戸家庭裁判所から、当会が家事調停委員の候補者として推薦した日本国籍を有しない会員1名について、家事調停委員として任命上申しない旨の回答がなされた。
 当会としては、推薦にあたり、上記会員が人格、識見に優れていることのみならず、公務歴一覧を掲載した推薦状も添付したにもかかわらず、神戸家庭裁判所からは、従前と全く同様、日本国籍を有しないことのみを理由に任命上申をしないとの説明がなされたに過ぎなかった。
 神戸家庭裁判所は、2003年(平成15年)以降、日本国籍を有しない会員について家事調停委員への任命上申拒否を繰り返しており、今回で実に7回目の拒否である。
 当会では、2010年(平成22年)2月から11月の間に3度の声明を発し、裁判所の対応を繰り返し非難してきた。また、2012年(平成24年)2月には、最高裁判所に対し、この問題について神戸地方裁判所及び神戸家庭裁判所に対する適切な司法行政上の監督権の行使を求めるため、裁判所法第82条、第80条第1号に基づく不服申立を行うとともに、国籍を問わず調停委員の任命を求める会長声明を発したが、最高裁判所からは、何ら理由を示さずに司法行政上の監督権を行使しないとの回答がなされたに過ぎない。
 残念ながら、この度も、裁判所から声明の趣旨を無視する任命拒否が繰り返されたため、これに対して強く抗議するため、改めて本声明を発する次第である。
そもそも調停制度の目的は、市民間の紛争を当事者間の話し合いにより裁判手続を経ずに解決することにあり、調停委員の職務は、専門的知識もしくは社会生活上の豊富な知識経験を生かし、当事者の互譲による紛争解決を支援することにあって、そこに強制的な契機はない。調停委員への就任は、その実質的な職務内容を見る限り、公権力の行使というにはほど遠く、重要な施策の決定やこれへの参画としての側面も認められない。
また「民事調停法」「家事審判法」( 平成25年1月1日より家事事件手続法)並びに「民事調停委員及び家事調停委員規則」においては、調停委員の任命資格として日本国籍を有することを要件と定めておらず、法令上、調停委員に国籍要件は存在しない。
 裁判所の対応は、法令に根拠のない基準を新たに創設し、当該公務員の具体的な職務内容を問題とすることなく日本国籍の有無で異なる取扱をするものであって、国籍を理由とする不合理な差別であり、憲法14条に違反すると言わざるを得ない。調停委員として真に必要な要件は、当事者の互譲による紛争の解決に向けて、専門的もしくは社会生活上の知識経験や人格識見などを発揮できる者ということに尽きるのであって、国籍の如何は問題とならないというべきである。
 事実、最高裁判所は、1974年(昭和49年)から1988年(昭和63年)までの間、日本国籍を有しない台湾籍の大阪弁護士会会員を西淀川簡易裁判所民事調停委員に任命し、定年退職時には大阪地方裁判所所長より表彰を受けたとの実例が存在しており、外国籍の弁護士が調停委員となっても何ら不都合がないことを如実に示している。
 当会としては、今後も、日本弁護士連合会、近畿弁護士会連合会、同様の問題を抱える他の単位弁護士会と連携しつつこの問題に取り組むとともに、調停委員の採用に国籍の如何を問わない体制の確立に向け、今後さらに働きかけを強めていく所存である。
 2012年(平成24年)12月13日
 兵庫県弁護士会会長林晃史

国籍を問わず調停委員の任命を求める会長声明
 今般、神戸地方裁判所及び神戸家庭裁判所から、当会が民事調停委員及び家事調停委員の候補者として推薦した日本国籍を有しない会員各1名、計2名について、民事調停委員及び家事調停委員として任命上申しない旨の回答があった。
これに対して、当会は、本日、最高裁判所に対し、この問題について神戸地方裁判所及び神戸家庭裁判所に対する適切な司法行政上の監督権の行使を求めるため、裁判所法第82条、第80条第1号に基づく不服申立を行った。神戸家庭裁判所は、2003年(平成15年)以降、日本国籍を有しない会員について家事調停委員への任命上申拒否を繰り返してきた。今般が6回目の拒否であるところ、同裁判所からは、公権力を行使し国家意思の形成に参画する公務員である調停委員の任命には日本国籍が必要であるとして、従前と全く同様、日本国籍を有しないことのみを理由に任命上申をしないとの説明があった。また、神戸地方裁判所からも、同様に、今般の民事調停委員不採用の理由は日本国籍を有しないことにあるとの説明があった。
 当会では、2010年(平成22年)2月、「国籍の如何を問わず調停委員の採用を求める会長声明」を発し、同年8月には「外国籍弁護士が調停委員に採用されない件に関する緊急声明」を発し、更に、同年11月には「外国籍弁護士の調停委員推薦が拒否された件に関する緊急声明」を発して裁判所の対応を繰り返し非難してきたところである。にも関わらず、残念ながら、この度も、裁判所から声明の趣旨を無視する任命拒否が繰り替えされたため、これに対して強く抗議するため、改めて本声明を発する次第である。
そもそも調停制度の目的は、市民間の紛争を当事者間の話し合いにより裁判手続を経ずに解決することにあり、調停委員の職務は、専門的知識もしくは社会生活上の豊富な知識経験を生かし、当事者の互譲による紛争解決を支援することにあって、そこに強制的な契機はない。調停委員への就任は、その実質的な職務内容を見る限り、公権力の行使というにはほど遠く、重要な施策の決定やこれへの参画としての側面も認められない。
また「民事調停法「家事審判法」、 」 並びに「民事調停委員及び家事調停委員規則」は、調停委員の任命資格として日本国籍を有することを要件と定めておらず、法令上、調停委員に国籍要件は存在しない。
 裁判所の対応は、法令に根拠のない基準を新たに創設し、当該公務員の具体的な職務内容を問題とすることなく日本国籍の有無で異なる取扱をするものであって、国籍を理由とする不合理な差別であり、憲法14条に違反すると言わざるを得ない。調停委員として真に必要な要件は、当事者の互譲による紛争の解決に向けて、専門的もしくは社会生活上の知識経験や人格識見などを発揮できる者ということに尽きるのであって、国籍の如何は問題とならないというべきである。
 事実、最高裁判所は、1974年から1988年までの間、日本国籍を有しない台湾籍の大阪弁護士会会員を西淀川簡易裁判所民事調停委員に任命していた例があり、この実例の存在は、外国籍の弁護士が調停委員となっても何ら不都合がないことを如実に示している。
 当会としては、今後も、日本弁護士連合会、近畿弁護士会連合会、同様の問題を抱える他の単位弁護士会と連携しつつこの問題に取り組むとともに、不服申立手続を通じ、調停委員の採用に国籍の如何を問わない体制の確立に向け、今後さらに働きかけを強めていきたいと考えている。
2012年(平成24年)2月10日
兵庫県弁護士会会長笹野哲郎

外国籍弁護士の調停委員推薦が拒否された件に関する緊急声明
 今般,神戸家庭裁判所から当会に対し,同庁における家事調停委員(平成23年4月1日任命予定)の候補者として,人格,識見ともに優れた適任者として当会より推薦した会員を,日本国籍を有しないというだけの,これまでと同様の理由により,採用しない旨の回答がなされた。
しかし,日本国憲法が保障する法の下の平等の趣旨から,定住外国人に対しても可能な限り日本国民と同様の権利・人権が保障されるべきとする立場からすれば,日本の司法試験に合格し,日本で長年弁護士として活躍してきた者が,ただ日本国籍を有しないというだけの不合理な理由により,調停委員就任への道を閉ざされることは断じて受け入れがたい。
この問題は,当会において久しく懸案事項となっているが,今年になってからもすでに,2月1日に「国籍の如何を問わず調停委員の採用を求める会長声明」、8月6日に「外国籍弁護士が調停委員に採用されない件に関する緊急声明」を発しているにもかかわらず、裁判所から採用拒否の回答が繰り返されたためこれに対し強く抗議をするとともに,外国籍調停委員の不採用問題を広く世論に訴えるために,改めて緊急声明を発する次第である。
 外国籍の弁護士を調停委員に採用しないことが不合理であることの実質的な根拠としては,①調停委員の職務は権力的作用を及ぼしたり,国家意思形成にかかわったりするものではなく,調停委員が日本国籍を有しないからといって国民主権原理と対立するものではないこと,②(調停委員が関与した)調停調書が確定判決と同様の効力を有する点について,日本国籍を有しない破産管財人や仲裁人の判断が確定判決と同様の効力を持つ場合もあり,それとの均衡からすれば,さして重要な問題とはいえないこと,③外国人の地方参政権を認める動きもあること,④現行法上の調停委員採用の要件として,日本国籍を有することは要求されておらず,調停委員にとって真に必要な要件は,専門的・社会的知識や経験に基づく紛争解決能力であること,などが挙げられる。
 現に,大阪地方裁判所の事例であるが,外国籍の弁護士が民事調停委員に採用され、定年退職時には調停委員としての多年にわたる功績をたたえ大阪地方裁判所所長より表彰を受けたという事実も存在する。外国籍の弁護士が調停委員となっても,何ら不都合がないことの証左であろう。
 当会としては,今後も日本弁護士連合会,近畿弁護士会連合会,同様の問題を抱える他の単位弁護士会と連携しつつ,この問題に取り組み,関係諸機関に対し,調停委員の採用にあたり国籍の如何が問われない体制の確立に向けて,粘り強く働きかけていく所存である。
2010年(平成22年)11月30日
兵庫県弁護士会会 長 乗鞍良彦

外国籍弁護士が調停委員に採用されない件に関する緊急声明
 今般,神戸家庭裁判所から当会に対し,同庁が採用する家事調停委員(平成22年10月1日任命予定)の候補者として当会が同庁に推薦した,いずれも人格,識見ともに優れた当会会員2名を,同会員らが日本国籍を有しないというだけの,これまでと同様の理由により,家事調停委員として採用しない旨の回答がなされた。
しかし,日本国憲法が保障する法の下の平等の趣旨から,定住外国人に対しても可能な限り日本国民と同様の権利・人権が保障されるべきとする立場からすれば,上記のような,日本国籍を有しないという不合理な理由による調停委員不採用の回答は断じて受け入れがたく,強く抗議する次第である。
この問題については,当会においてすでに,本年2月1日,国籍の如何を問わず調停委員の採用を求める会長声明を発しているが,同声明は,外国籍であるという理由だけで調停委員に採用しないことが不合理であるとする根拠として,①調停委員の職務は権力的作用を及ぼしたり,国家意思形成にかかわったりするものではなく,調停委員が日本国籍を有しないからといって国民主権原理と対立するものではないこと,②(調停委員が関与した)調停調書が確定判決と同様の効力を有する点について,日本国籍を有しない破産管財人や仲裁人の判断が確定判決と同様の効力を持つ場合もあり,それとの均衡からすれば,さして重要な問題とはいえないこと,③外国人の地方参政権を認める動きもあること,④現行法上の調停委員採用の要件として,日本国籍を有することは要求されておらず,調停委員にとって真に必要な要件は,専門的・社会的知識や経験に基づく紛争解決能力であること,などの点を挙げ,裁判所の対応を非難したものであるが,今回,その声明の趣旨をないがしろにする採用拒否の回答が再度なされたため,これに対し強く抗議をするとともに,この不採用問題を広く世論に訴えるために,改めて緊急声明を発する次第である。
 当会としては,今後も日本弁護士連合会,近畿弁護士会連合会,同様の問題を抱える他の単位弁護士会と連携しつつ,この問題に取り組み,関係諸機関に対し,調停委員の採用にあたり国籍の如何が問われないよう,そのような体制の確立に向けて,粘り強く働きかけていく所存である。
2010年(平成22年)8月6日
兵庫県弁護士会会 長 乗 鞍 良 彦

国籍の如何を問わず調停委員の採用を求める会長声明
兵庫県弁護士会は、神戸家庭裁判所からの2010年(平成22年)4月1日から任期の始まる同裁判所家事調停委員の推薦依頼に対して、日本国籍ではない当会会員2名を推薦した。しかるところ、今般同裁判所から、最高裁判所の意見を踏まえて、同2名を家事調停委員への採用をしない旨の回答があった。
不採用とする理由は、家事調停委員は公権力の行使又は国家意思の形成に参画する国家公務員に該当するので、日本国籍を必要とするというものであり、上記2名の弁護士としての能力や人物を判断したうえでの不採用ではなく、単に日本国籍でないとの理由のみで不採用とするとの説明がなされた。
しかしながら、憲法上の基本的人権の保障は、権利の性質上日本国民のみをその対象とすると解されるものを除いて、我が国に在留する外国人に対しても等しく及ぶと解されている(最高裁昭和53年10月4日大法廷判決など)。
 要するに、権利の性質を個別、具体的に考察し、我が国に在留する外国人にも基本的人権の保障を認めるというのが、判例の立場である。
 上記不採用の理由は、国民主権原理から、調停委員はその性質上日本国籍を有する者に限定されるとの解釈を前提とするものと考えられるが、調停委員の任務役割が、国民主権原理と本質的に両立しないものであるとは認められない。なわち、調停制度の目的は、市民の間の個別的な紛争を当事者の話し合い及び合意に基づき裁判手続きに至る前に解決することにあり、調停委員の本質的役割は、上記の目的を実現するため、専門的知識もしくは社会生活の上での豊富な知識経験を活かして、当事者の互譲による紛争解決を支援するにある。
したがって、調停委員への就任が性質上我が国の権力的作用をはらんだり、国家の意思形成に結び付くものであるとは、にわかに認められない。この点、神戸家庭裁判所は今般の不採用に当たって、調停調書が確定判決と同一の効力を有することや、調停委員会の呼出等にはそれに反した場合過料の制裁があることから、公権力の行使に参画するものとの認識を示しているが、日本国籍以外の弁護士も多数担当している破産管財人については、破産管財人が認め、届け出債権者が異議を述べず、確定した事項について裁判所書記官がなした破産債権者表への記載が確定判決と同一の効力があるとされていること(破産法124条)や、日本国籍を有しない仲裁人が日本で下した一定の仲裁判断も、日本の裁判所が全く関与することなく確定判決と同一の効力を認められていること(仲裁法45条1項)との均衡に照らしても、上記認識は適切であるとは言い難い。また調停委員会の呼出違反に関する過料の点は、調停制度による紛争解決の実効性を高めるための付随的処分に過ぎず、過料の制裁規定があることをもって、日本国籍以外の者の調停委員の就任が国民主権原理に反すると解するのは、過ぎたる理解というべきである。
 日本弁護士連合会もすでに2009年(平成21年)3月18日に「外国籍調停委員・司法委員の採用を求める意見書」を公表しているところであるし、近年においては、司法修習生についての国籍条項が撤廃され、さらに政府与党内においても、定住外国人に地方参政権を認める立法の検討をなしている状況にある。地方議員は地方自治体の議会を構成する者であり、地方政治(地方自治)における意思決定にまさに参画するのであるが、これとの均衡からしても、調停委員に日本国籍以外の者が就任することに格段の問題があると考えられない。
そもそも我が国における調停委員についての現行法規上の要件は、「紛争の解決に必要な専門的知識経験を有する者又は社会生活の上で豊富な知識経験を有する者で、人格識見の高い・・・者」(民事調停委員及び家事調停委員規則1条)ということに止まるのであり、調停委員として真に必要な要件は、当事者の互譲による紛争の解決に向けて、専門的もしくは社会生活上の知識経験や人格識見などを発揮できる者ということに尽きるのであって、国籍の如何は問わないというべきである。
 調停委員が日本の社会制度や風土、文化さらに地域住民の考え方などに精通していることは一般論としてこれが必要であるとしても、少なくとも上記2名の会員は、15年以上という相当年数にわたって当会において弁護士としての経験を有する者であり、日本の社会制度や文化等にも精通していると認められ、人格円満な弁護士であるから、調停委員を務めることについて何ら問題は存在しない。
 以上により、当会は、国籍の如何を問わず、当該人物の知識経験、人格識見等に照らして、調停委員の採用を行うことを、強く求めるものである。
2010年(平成22年)2月1日
兵庫県弁護士会会長春名一典

平成29年度司法試験最終合格発表に関する会長声明
2017年(平成29年)9月27日
兵庫県弁護士会
会長 白 承 豪
<声明の趣旨>
当会は,
 1.政府に対し,司法試験の合否判定の重大性を正しく認識し,合格者の人数確保を優先して司法試験の合格水準を下げるような事態が生じないよう,関係省庁と政策を調整し,司法試験委員会が来年に向け少なくとも昨年以上の厳正な合否の判定を行うことができるよう政策を整えることを求める。
 2.法務省に対し,司法試験の合否のボーダーラインにあるいくつかの答案を公表する等,司法試験の最終合格者の合否水準の妥当性について外部から検証が可能となるような措置を採ることを求める。
<声明の理由>
 1.本年9月12日,平成29年度の司法試験の合格発表があり,最終合格者は1543人となった。
 昨年の最終合格者は,受験者6899人に対し1583人であったところ,本年は,受験者が5967人と大幅に減少(932人減)しているにもかかわらず,合格者はわずか40人減の1543人になっている。この結果,最終合格率は,昨年度の22.9%に比べて25.9%に上がっている。本年の受験者が昨年の受験者と比べて試験の正答能力が急に上がったものとは考えにくいから,本年,司法試験委員会は,合格者数1500人程度を確保するために,昨年よりも合格水準を下げたものと疑わざるを得ない。現に昨年は受験生平均点約830点に対し,合格水準点は880点であったが,本年は受験生平均点約780点に対し,合格水準点は800点であり,受験生平均点と合格水準点との差が30点も縮まっている。
 2.当会は,本年7月27日付会長声明において,司法試験委員会の合否判定がこのような結果にならないよう,合格者数にこだわることなく厳正な合否の判定を行うことを求めた。すなわち,政府の法曹養成制度改革推進会議の平成27年6月決定は,合格者数が1500人程度輩出されることを目標としているが,同時にその目標は「法曹の質の確保を考慮せずに達成されるべきものではない」としていること,近年の法曹の需給の状況は,司法試験の合格水準を下げてまで人為的に供給を増やすべき状況にはなく,むしろ,有資格者の過剰供給に伴う新規法曹の質の低下への懸念や弁護士の就職難等の弊害が深刻化していることから,司法試験委員会に対し,本年の司法試験の合否判定においては,1500人程度の合格者輩出にこだわるのではなく,法曹の質確保を実現するべく,少なくとも昨年以上の合格水準を維持・確保するよう,厳正な合否の判定を求めた。しかるに,本年の合格発表の結果が,上述の通り,司法試験委員会が,昨年より合格水準を下げて合格者数1500人程度を確保したものと疑われてもやむを得ない結果となったことは,まことに遺憾である。
 3.法曹は司法の担い手として国民の権利義務に直接関わり,人権擁護や社会正義を担っている。法曹の質の確保は,国民に対する国家の責務である。司法試験合格者は,現行制度上1年の司法修習を経たのち法曹として実務に就くことが予定されているのであって,司法試験の合格水準の設定は,国民が法曹に対して求める質に直結する。現在,法務省では,合否のボーダーラインにあるいくつかの答案を公表する等,合否水準の妥当性について外部から検証が可能となるような措置が取られていないが,合格水準の適切さについての外部的な検証が可能になるよう必要な情報開示は不可欠である。この情報開示については,2009年10月20日付「新司法試験の合否判定に関する要望書」において日本弁護士連合会からも要望されたものである。
 4.そこで,当会は,政府に対し,司法試験の合否判定の重大性を正しく認識し,合格者の人数確保を優先して司法試験の合格水準を下げるような事態が生じないよう,関係省庁と政策を調整し,司法試験委員会が来年に向け少なくとも昨年以上の厳正な合否の判定を行うことができるよう政策を整えることを求めるとともに,法務省に対し,合否のボーダーラインにあるいくつかの答案を公表する等,司法試験の最終合格者の合否水準の妥当性について外部から検証が可能となるような措置を採ることを求める。

死刑執行に関する会長声明
2017年(平成29年)7月27日
兵庫県弁護士会
会 長 白 承 豪

当会は,7月13日に2名の死刑囚に行われた死刑執行に対し強く抗議し,死刑制度の存廃を含む刑罰制度全体の見直しについて,速やかな検討と議論を始めるととともに,その議論が尽くされるまで,死刑の執行停止を求める。

去る7月13日,大阪拘置所と広島拘置所において,各1名の死刑囚に対する死刑が執行された。昨年11月11日にも福岡拘置所において1名に対する死刑が執行されており,金田勝年法務大臣が就任してから,合計3人の死刑囚に対する死刑が執行された。
 死刑制度については,その存置に賛成する立場,反対する立場の双方から,様々な論拠が示されてきたが,死刑が人間存在の根元である生命そのものを奪い去る最も厳しい刑罰であることに異論はないと思われる。
ところが,1980年代に4名の死刑確定者に対する再審無罪判決がなされたほか,2014年3月には,いわゆる袴田事件について,静岡地方裁判所において再審の開始と死刑及び拘置の執行を停止する決定がなされるなど,戦後の日本刑事裁判における死刑判決の誤判のおそれは完全には払拭されていない。
 国際社会では,第二次世界大戦後,死刑の廃止や執行停止を行う国が増加し,既に世界の3分の2以上の国々が死刑を廃止ないし停止している。昨年12月には国連総会において加盟国193カ国中117カ国の賛成により,死刑存置国に対する死刑執行停止を求める決議が採択されている。また,日本弁護士連合会においても,同年10月7日に開催された第59回人権擁護大会において,2020年までに死刑制度の廃止を目指し,凶悪犯罪に対しては死刑に代わる代替刑を検討すべきとする宣言が採択されている。
 確かに,国と社会は,犯罪被害者及びその家族の精神的・経済的な支援に取り組むべき責任があることは言うまでもない。しかしながら,この責任を根拠に死刑制度の存置並びに死刑執行を直ちに肯定することはできない。死刑制度が犯罪の一般予防になるという科学的根拠はあるのか,死刑執行により犯罪被害の真の救済となるのかについて,改めて議論し,検証がなされなければならない。
 基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とする当会は,これまで,死刑制度の存置に関する国民的議論が十分尽くされるまでは死刑の執行を停止すべきであることを繰り返し求めてきたにも関わらず,今回,再び2名に対する死刑の執行が行われたことは極めて遺憾であり,強く抗議せざるを得ない。当会は,重ねて,死刑制度の存廃を含む刑罰制度全体の見直しについて,速やかに検討と議論を始めることを求め,その議論が尽くされるまで,死刑の執行停止を求める。以上

いわゆる「共謀罪」の創設を含む組織的犯罪処罰法の施行にあたり改めて,「共謀罪」法に反対し,廃止を求める会長声明
2017年(平成29年)7月11日
兵庫県弁護士会会長白承豪
〈声明の趣旨〉
 当会は,参議院での強行裁決により成立したいわゆる「共謀罪」の創設を含む組織的犯罪処罰改正法の施行に強く抗議するとともに,改めて,「共謀罪」を創設する同改正法に反対し,同法の「共謀罪」に関する部分の廃止を求める。
〈声明の理由〉
 当会は,これまでに「いわゆる「共謀罪」法案の創設を含む組織的犯罪処罰法改正案の閣議決定に反対する会長声明」(本年3月21日付),「いわゆる「共謀罪」法案の創設を含む組織的犯罪処罰法改正案の衆議院採決に抗議する会長声明」(本年5月23日付)を発出して,いわゆる「共謀罪」法案の廃案を再三強く求めてきたが,中間報告という異常な手法を用いて参議院法務委員会の審理・採決を省略して,6月15日に参議院本会議において,強行採決により,「共謀罪」法が可決,成立した。
そこで,「いわゆる「共謀罪」の創設を含む組織的犯罪処罰法改正案を参議院において強行採決したことに強く抗議する会長談話」(本年6月15日付)を発出したところであるが,本日,「共謀罪」法が施行された。
わが国の刑法は,法益侵害を発生させる犯罪行為の既遂処罰を原則とし,未遂処罰を例外と位置づけ,予備・準備行為の処罰は重大な犯罪に限るという形で更なる例外と位置づけてきた。そして,これまで「共犯」関係にある場合でも,具体的に危険な行為とされる実行行為の着手に至る前の予備・準備行為の処罰を原則として不要としてきた現行刑法等に基づく多数の犯罪規定に関し,いわゆる「共謀罪」法は,予備・準備行為の処罰規定を置くこともしないまま,さらにその前段階に過ぎない「計画」または「実行準備行為」自体を処罰の対象としようとするものであり,わが国の刑事法の体系を根底から揺るがすものである。
 政府は,「共謀罪」法の運用に関し,「一般市民」は捜査の対象外であると繰り返して説明してきたが,結局,国会での答弁においては,「組織的犯罪集団」を事前に限定できず,「組織的犯罪集団」の「周辺者」と判断された場合には捜査対象になることが明言され,「一般市民」であっても,「組織的犯罪集団」への所属の有無にかかわらず,捜査機関の恣意的判断により,何ら違法性のない段階から,「一般市民」が「共謀」の「嫌疑」を理由に日常的な行動等に対する監視の対象となることが明らかになっている。
このように,いわゆる「共謀罪」法は,日本国憲法が保障している個人としての「思想・良心の自由」,「表現の自由」,「集会・結社の自由」,「プライバシー権」などの基本的人権が侵害されるおそれのある極めて危険な法律である。特に,GPS(グローバルポジショニングシステム),通信傍受(盗聴)や司法取引制度についても「共謀罪」の捜査への導入が危惧されており,各法整備について注視が必要な状況となっているほか,インターネット上のメール,SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)等,本人の承諾なくプロバイダーから取得する情報,街頭の監視カメラの映像や音声やいわゆる「マイナンバー」制度で収集した個人情報など,現代情報化社会におけるプライバシー関連情報が,「共謀罪」の捜査によって不当に収集されることで,市民が享受するの表現の自由やプライバシー権が不当に制約されるおそれがあるという問題点もある。
また,政府は,テロ対策のため,国連越境組織犯罪防止条約(略称「パレルモ条約」)の締結に必要であると説明してきた。これに対し,同条約の立法ガイドを執筆した刑事司法学者であるニコス・パッサス氏は,同条約の対象は,金銭的な不正利益を目的とした国際犯罪集団が対象であり,同条約はテロ防止を目的としたものではないことを強調した上で,同条約はプライバシー侵害につながるような捜査手法の導入を求めるものではないことを明確に指摘している。また,プライバシー権に関する国連の特別報告者であるジョセフ・ケナタッチ氏においても,政府は,国民のプライバシー権や表現の自由を保護する義務を怠り,テロ対策が目的でない国際条約への加盟を理由にいわゆる「共謀罪」を成立させるものであると強く非難している。
 以上のとおり,いわゆる「共謀罪」法は,わが国の刑事法体系の根幹を崩し,国民が有する憲法上の権利を侵害するおそれがあるにもかかわらず,処罰対象や立法事実といった基本的な問題が明らかにされないまま強行採決に至ったものであり,「共謀罪」創設ありきで拙速に成立された刑罰法規である。
よって,当会は,いわゆる「共謀罪」法の拙速な審議過程,並びに,わが国の刑事法体系の根幹に与える深刻な影響に鑑み,改めて,同法の成立に反対するとともに,今後も,基本的人権の擁護のため,いわゆる「共謀罪」の創設を含む改正組織的犯罪処罰法の施行に強く抗議するとともに,同法の「共謀罪」に関する部分の廃止を求めるとともに,「共謀罪」の捜査の問題など関連する問題にも対応するべく,継続して活動を続けていく所存である。以上

会 長 談 話
 本日,神戸地方裁判所において,当会会員である堀江幸弘会員につき,有印公文書偽造・同行使の罪により懲役1年6月,執行猶予4年の有罪判決が宣告されました。
 改めまして,当会会員の重大な犯罪行為によって上記会員の依頼者はもちろんのこと,司法関係者に多大なご迷惑をお掛けしたことをお詫び申し上げます。また,裁判制度において高度の信頼性が求められる判決書が偽造されたことによって,判決書に対する信頼が損なわれたばかりか,司法制度の根幹を揺るがす結果となってしまったことについて,遺憾の意を表明いたします。
 当会としては,上記有罪判決が宣告されたことを真摯に受け止め,当会の全会員に向けて,基本的人権擁護と社会正義の実現を使命とする弁護士として高度な職業倫理意識が求められていることを発信し,再発防止に向けて取り組んでいく所存です。
2017年(平成29年)7月4日
兵庫県弁護士会会 長 白 承 豪

いわゆる「共謀罪」の創設を含む組織的犯罪処罰法改正案を参議院において強行採決したことに強く抗議する会長談話
2017年(平成29年)6月15日
兵庫県弁護士会 会長 白 承 豪
 本日,いわゆる「共謀罪」の創設を含む組織的犯罪処罰法改正案が参議院法務委員会での採決を省略したうえで,参議院本会議において強行採決された(以下,成立した法を「改正法」という)。
 改正法にて創設された「共謀罪」については,捜査機関の判断だけで,何ら違法性のない段階から,「一般市民」であっても,「共謀」の「嫌疑」を理由とした監視を招くおそれが払拭されていない状況にあり,「一般市民」のプライバシーや表現の自由が不当に制約されることが強く懸念されることなどを理由に,当会は,法案成立に反対する5回に及ぶ反対パレードを行うともに,抗議声明の発出や反対運動を繰り返しており,「共謀罪」の創設に反対する一般市民の声も広がり続けている。
このような状況において,十分な議論がなされず,しかも参議院法務委員会の採決も経ることなく,採決が強行されたことは,国民主権・民主主義に著しく違反するものであるといわざるを得ない。
 従って,今後も,改正法にて創設された「共謀罪」の廃止を求めていく所存であり,「共謀罪」の創設を含む改正法案に対する参議院での強行採決に強く抗議する次第である。以上

日本国憲法施行70年を迎えての会長声明
 2017年5月3日、日本国憲法施行70年を迎えた。日本国憲法は、第二次世界大戦の反省に基づき、国民主権原理に立脚しつつ、他の世界のいずれの国にも類のない徹底した恒久平和主義を採用して、全世界の国民が平和のうちに生存する権利を有することを確認し、すべての国民に基本的人権を保障した。
そして、日本国憲法第13条は、「すべて国民は、個人として尊重される」ものとし、個人の生命・自由及び幸福追求権は「立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」と明記して、「個人の尊厳」こそが、日本国憲法の国の根本原理であることを高らかに宣言している。
このような日本国憲法は、歴史的に人類が獲得した叡智に基づくものであるとともに、第二次世界大戦下のわが国において、全体主義がとられ、国民の自由な言論や思想が徹底的に統制され、多数の国民が戦争に動員されたうえで、破局的な結末を招いたことへの深い反省に立つものである。
 戦後の日本社会においては、このような根本原理が国民の意識や社会へと浸透して定着した結果、再び戦争の惨禍に見舞われることもなく、平和のうちに繁栄を謳歌することとなり、国民一人一人の努力と創意工夫によって新たな産業が次々と生み出されて経済発展を遂げ、学問、科学技術、芸術やスポーツなどの分野においても、輝かしい発展を成し遂げることとなった。
このような日本国憲法が施行されて70年を迎え、わが国が平和で実り豊かな国家へと変貌を遂げた背景には、日本国憲法が果たしてきた役割が極めて大きいものであることを改めて確認しなければならない。
ところが、政府は、近年、国民の知る権利やプライバシー権という基本的人権を制限する特定秘密保護法を成立させ、また、歴代内閣が憲法9条の解釈からは認められないとしてきた集団的自衛権を閣議決定という密室の判断で一部容認し、さらには、容認された集団的自衛権を実行させるいわゆる新安保法制までを制定するなど、日本国憲法の根本原理である恒久平和主義に抵触するような立法を進めており、現在では、思想良心の自由や表現の自由などの基本的人権を制約するおそれの極めて強い、テロ等準備罪法案(いわゆる共謀罪法案)の制定を急速に進めている。
 今こそ、「基本的人権の擁護と社会正義の実現」を社会的使命として担うわれわれ弁護士・弁護士会は、改めて日本国憲法が果たしてきた重要な役割を再確認するとともに、主権者たる国民の自由な表現が保障され、戦争のない平和な社会を維持・発展させるべく、より一層の努力を続けていく所存である。
2017年(平成29年)5月24日
兵庫県弁護士会会長 白 承 豪

いわゆる「共謀罪」法案の創設を含む組織的犯罪処罰法改正案の衆議院採決に抗議する会長声明
2017年(平成29年)5月23日
兵庫県弁護士会
会長 白 承 豪
〈声明の趣旨〉
 当会は,「いわゆる「共謀罪」法案の創設を含む組織的犯罪処罰法改正案」について,衆議院において採決したことに抗議し,参議院に対し否決することを求める。
〈声明の理由〉
 当会は,本年3月21日付「いわゆる「共謀罪」法案の創設を含む組織的犯罪処罰法改正案の閣議決定に反対する会長声明」において,いわゆる「共謀罪」の廃案を求めていたが,同法案は,5月19日に衆議院法務委員会にて,5月23日には衆議院本会議にて,それぞれ採決された。
 政府は,テロ対策のため,国連越境組織犯罪防止条約(略称「パレルモ条約」)の締結に必要であると説明するが,同条約は複数の国々を越境して行われる経済的な組織犯罪を対象としており,そもそも政治的目的で行われるテロ対策とは無関係である。多数の学者も,同条約の締結に「共謀罪」の立法は不要であると評価した声明を発表している。
また,政府は,「一般市民」は対象外であると説明しているが,そもそも「一般市民」が,どの者を指すのか不明であるし,共謀罪の捜査対象と説明される「組織的犯罪集団」に関する国会答弁からも,「組織的犯罪集団」なる団体が,予め,客観的に特定・限定できないために,結局,「一般市民」が捜査対象になるのかについても,答弁が変遷するなど,不明のままである。さらに,構成要件であると説明される「準備行為」と日常行為との区別に関する国会答弁からも,どの行為のどの段階から捜査が開始されるのかも不明のままである。現在,「組織的犯罪集団」や「準備行為」という構成要件によって従前の共謀罪法案を厳格化したとは到底いえない状況にあり,捜査機関の恣意的判断により,何ら違法性のない段階から,「共謀」の「嫌疑」を理由に,市民の日常的な行動等の監視を招くおそれが払拭されていないといわざるを得ない。
 当会が昨年11月,12月,本年2月,4月にそれぞれ開催した「共謀罪法案に反対するパレード」には,参加者が回を重ねるごとに増え,これまで,のべ1000人を超える市民が集まっており,兵庫県内においても,いわゆる「共謀罪」法案に不安を覚える市民の声が,格段に強まっていることが分かる。
よって,当会は,このたび,「共謀罪法案」について,衆議院において採決したことに抗議し,参議院に対し否決することを求める。

いわゆる「共謀罪」法案の創設を含む組織的犯罪処罰法改正案の閣議決定に反対する会長声明
2017年(平成29年)3月21日
兵庫県弁護士会会長米田耕士
〈声明の趣旨〉
当会は,いわゆる「共謀罪」法案(組織的犯罪処罰法改正案)の閣議決定に反対する。
〈声明の理由〉
1 いわゆる「共謀罪」法案の閣議決定
 政府は,国内外のテロ対策の見地から,国連越境組織犯罪防止条約(略称「パレルモ条約」)の締結をするために必要であるとして,いわゆる「共謀罪」の創設を含む組織的犯罪処罰法改正案(以下「本法案」という。)について,本日,閣議決定を行った。当会は,過去6度にわたり,いわゆる「共謀罪」新設について反対する会長声明を発出しているが,本法案は,2003年から2005年にかけて3回にわたり国会に提出しながらも廃案となったいわゆる「共謀罪」法
案と同様の危険があるため,本法案の閣議決定に強く反対する。
2 277もの「共謀罪」規定の創設を行う必要性がない
国連越境組織犯罪防止条約(略称「パレルモ条約」)は,複数の国々を越境して行われる経済的な組織犯罪を対象としており,そもそも政治的目的で行われるテロ対策とは無関係である。また,同条約の締結に関し,政府は,「すべての重大犯罪の共謀と準備の行為を犯罪化することは我々の法原則と両立しない。」と述べており,同条約34条も,「自国の国内法の基本原則に従って必要な措置をとる」ことを求めており,わが国が同条約を締結するために,277もの「共謀罪」規定の創設を行う必要がない。
なお,国内のテロ対策については,我が国は,テロ関連主要条約の全てを批准しており,条約上の行為を国内法で犯罪と規定している。また,未遂に至らない段階からの処罰規定である多くの予備罪に加え,銃刀法・ピッキング防止法などテロ準備段階に対処可能な犯罪規定が既に多数設けられており,新たな立法を待つまでもなく未然防止が可能である。
 3 本法案は「共謀罪」法案を厳格化していないこれまで当会が反対してきた,いわゆる「共謀罪」法案は,対象犯罪にあたる行為で,「団体」の活動として,当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を「共謀」した場合に処罰すると規定され,①「団体」に限定がなく,②「共謀」という概念自体が曖昧であることから,憲法上の根幹的な基本的人権に対する重大な脅威となるものであった。本法案では,①処罰対象を,「目的が4年以上の懲役・禁錮の罪を実行することにある団体」(略称「組織的犯罪集団」)に変更し,②犯罪の構成要件として,犯罪の「遂行を2人以上で計画した者」によって「犯罪の実行のための資金又は物品の取得その他の準備行為」という要件を付している。しかし,①「組織的犯罪集団」は,「目的が4年以上の懲役・禁錮の罪を実行することにある団体」と定義されているため,捜査機関が団体の「目的」を確認して「集団」の認定を行うことから,「組織的犯罪集団」なる団体を予め,客観的に特定・限定できず,捜査機関の濫用規制を図ることは困難である(なお,本法案は,「テロリズム集団」を「組織的犯罪集団」の例示とするが,本法案に「テロリズム」の定義自体がなく,客観的に特定・限定は困難である。)。また,団体の「目的」が「4年以上の懲役・禁錮の罪を実行することにある」と捜査機関が判断した場合には捜査の対象とされ,捜査機関の判断と運用に委ねられる点で従前の「共謀罪」法案の危険性は払拭されていない。また,②犯罪の構成要件とされる「準備行為」も,未遂より前の段階を処罰する規定である「予備罪」における予備行為とは異なり,その行為自体の危険性を要するものではない。また,「準備行為」の例示に「その他」と規定されていることから,例えばATMからの預金引き出し行為など,一般市民の日常的な活動を広く含んでおり,客観的に,個人的な活動と区別することは困難であり,捜査機関の濫用規制を図ることはできない。また,捜査機関が個人の日常的な活動を「準備行為」を行ったと判断した場合には処罰対象とされるため,捜査機関の判断と運用に委ねられる点で従前の「共謀罪」法案の危険性は払拭されていない。なお,1回の合意では処罰対象としない運用を行うといった指摘もあるが,そもそも刑罰法規において,条文上明示されない運用などで一般市民の自由を確保することはできないことはいうまでもない。
したがって,本法案は,従前の「共謀罪」法案に比して厳格化されたと評価することはできない。
 4 本法案は一般市民の自由な活動を萎縮させる以上のとおり,本法案は,「2人以上の者らの合意した内容」を犯罪とするものであり,政府が,2人以上の者らで構成される「団体」の「目的」が一変したと捜査機関が判断した場合は処罰対象となると指摘するように,外部から覚知することが困難な人の「意思」を推知するために,合意成立前からの捜査が想定される。そのため,昨年5月に,対象犯罪が拡大され,通信事業者の職員立会要件が緩和された通信傍受法の対象犯罪に「共謀罪」が加えられる可能性は極めて高く,277もの「共謀罪」の創設は,2人以上の者らで構成される「集団」の「目的」の変化を確認する捜査を誘発し,却って,何ら違法性のない段階から,一般市民の日常的な行動等の監視を招くことになる。その結果,市民の日常の会話のみならず,電話・メール・インターネット・SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)・GPS(グローバルポジショニングシステム)などの通信情報が傍受されることによって,プライバシー権や通信の秘密といった基本的人権が損なわれ,一般市民が享受してきた自由な交流活動が萎縮するなどの従前の「共謀罪」法案と同様の懸念が否定できない。
5 結論
 以上のとおり,本法案は,「2人以上の者らが話し合った内容を犯罪とする」という点で,いわゆる「共謀罪」が有する危険性が払拭されておらず,結局,従前の「共謀罪」法案と同じく,憲法が保障する基本的人権が保障する一般市民の自由な生活に対する脅威になる。
したがって,当会は,声明の趣旨のとおり,277もの「共謀罪」を創設する組織的犯罪処罰法改正案の閣議決定に反対するとともに,今後も市民に対して本法案の危険性を訴え,廃案になるように全力で取り組む次第である。

「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」(いわゆる「カジノ解禁推進法」)の成立に抗議し,廃止を求める会長声明
2017年(平成29年)1月26日
兵庫県弁護士会
会 長 米 田 耕 士
 2016年12月15日,「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」(以下「本法」という。)が,成立した。
 当会は,2014年6月13日,当時提出されていた同旨の法案について,カジノが合法化されれば,風俗環境の悪化は避けられず,ギャンブル依存症の患者の増加や犯罪が増加するおそれが高いこと,青少年の健全育成への悪影響や多重債務対策に水を差す可能性等の弊害があること,さらには,暴力団の新たな資金源確保の機会を与え,マネーロンダリングに利用される可能性があること等を指摘し,一方で,本法案が,弊害除去のための具体的な対策を示すことさえしないまま,カジノを合法化するという結論を先決めしてしまっていることは,賭博罪の立法趣旨を大きく損なうなどとして,法案の廃案を求める会長声明を発していた。
その後の各種世論調査でも,カジノ合法化に反対,あるいは,慎重との意見が,賛成意見を圧倒しているし,また,新聞各紙も,社説で世論に沿った意見表明を繰返し行なっている。一貫してこうした大きな世論があったからこそ,再度提出された本法案についても,審議入りできないまま,約1年半が経過しようとしていた。
ところが,2016年11月30日,従前と状況は変わらないにもかかわらず,突如として審議入りし,十分な審議がなされないまま,可決され成立してしまった。
 本法は,我が国では,近代法制定以前から厳禁され,刑罰の対象とされてきた賭博行為を一部非犯罪化するものであり,また,民間賭博を公認するものでもあり,我が国の刑事司法政策に極めて重大な変更をもたらすものである。この点からすれば,慎重に慎重を重ねた審議が必要であったが,本法案の審議過程は,あまりに短時間で,拙速にすぎ,十分に検討されたとは言えないものであった。
 本法は,その成立にあたってわずかな修正が施され,また,附帯決議も行われたが,それによっても,当会がかねてから指摘していた弊害についてそれを解消するものとはなっておらず,その審議経過も拙速といわざるをえない。
よって,当会は,本法の成立に強く抗議し,その廃止を求めるものである。以 上

死刑執行に関する会長声明
2016年(平成28年)11月28日
兵庫県弁護士会
会 長 米 田 耕 士

当会は,11月11日に行われた死刑執行に対し強く抗議し,死刑執行の完全な停止を求めると共に,刑罰制度全体の見直しと死刑制度について速やかに検討を始めることを求める。
去る11月11日,金田勝年法務大臣は,男性1名に対する死刑が福岡拘置所において執行されたことを発表した。本年3月25日に2名に死刑が執行されて以来,約8ヶ月ぶりの執行であり,同法務大臣が就任してからは初めての執行である。また,第2次安倍内閣が成立したとき(2012年12月26日)以降で数えると10回目で,合計17名に死刑が執行されたことになる。
 日本弁護士連合会では,本年10月7日に第59回人権擁護大会にて,「死刑制度の廃止を含む刑罰制度全体の改革を求める宣言」を採択し,①日本において国連犯罪防止刑事司法会議が開催される2020年までに死刑制度の廃止を目指すべきこと,②死刑を廃止するに際して,死刑が課されてきたような凶悪犯罪に対する終身刑,重無期刑などの代替刑を検討すること等を政府に求めたばかりである。
 死刑制度については,その存置に賛成する立場,反対する立場の双方から,様々な論拠が示されてきたが,死刑が,人間存在の根元である生命そのものを奪い去る厳しい刑罰であることは疑いのない事実である。
しかるに,死刑を決する刑事裁判は誤判のおそれを完全には払拭することができない。現に,戦後の日本では,1980年代に4名の死刑確定者に対する再審無罪判決がなされたほか,近年に至っても2014年3月には,袴田事件について,静岡地方裁判所にて再審の開始と死刑及び拘置の執行を停止する決定がなされ,改めてえん罪による誤った死刑執行のおそれが現実にあったことが示された。万一,無実の人に死刑を執行してしまえば,国家による取返しのつかない人権侵害となる。
また,国際社会に目を向けると,第二次世界大戦後,死刑の廃止や執行停止を行う国が増加し,既に,世界の3分の2以上の国々が,死刑を既に廃止ないし停止している。隣国である韓国においても1998年以降死刑の執行を停止しており,事実上の廃止国とされている。そして,国連総会は,2014年12月,「死刑の廃止を視野に入れた死刑執行の停止」を求める決議を採択した。
かかる流れからするならば,死刑執行を直ちに停止し,被害者の立場、国民世論も踏まえて,死刑制度についての議論を早急に開始すべきである。
 国と社会が,犯罪被害者ご遺族の精神的,経済的な支援に真摯に取り組むべきことは言うまでもないが,そのことと死刑制度,死刑執行を対置させてはならない。罪刑の均衡については,刑罰制度の見直しを行うことが可能であり,一般予防の考え方には本当に科学的根拠があるのか,改めて検討すべきである。
 当会は,国民的議論が十分尽くされるまで死刑の執行を停止することを求める旨の声明を,過去繰り返し公表してきたところ,現政権が再び死刑の執行を行ったことは極めて遺憾であり,強く抗議する。当会は,重ねて,死刑執行の完全な停止を求めるとともに,刑罰制度全体の見直しと死刑制度について速やかに検討を始めることを求めるものである。以 上

日本国憲法に国家緊急権(緊急事態条項)を創設することに反対する意見書2016年(平成28年)9月28日
兵庫県弁護士会
会 長 米 田 耕 士
意見の趣旨
 当会は,日本国憲法に国家緊急権(緊急事態条項)を創設することに反対する。意見の理由
第1 はじめに
国家緊急権とは,戦争,内乱,恐慌,大規模自然災害など,平時の統治機構をもってしては対処できない非常事態(以下「緊急事態」という。)において,国家の存立を維持するため,立憲的な秩序を一時停止して,非常措置をとる権限のことをいう。国家緊急権(緊急事態条項)は,立憲秩序を停止し,政府に権限を集中し,人権保障を停止させるものであることから,ひとたび濫用されると,人権への悪影響は計り知れないものとなる。
 実際,ワイマール憲法下のドイツにおいては,ナチスドイツによる独裁のきっかけを与え,またわが国においても,関東大震災時に戒厳令が発令された際,朝鮮人が多数殺害されるといった悲劇を招いた。日本国憲法は以上のような国家緊急権(緊急事態条項)の危険性を認識し,あえてこれらの規定を設けなかったことが帝国憲法改正委員会議事録にて明らかとなっている。
 近時,国会の憲法審査会などにおいて,日本国憲法に緊急事態条項を創設し,国家緊急権を認めるべきではないかとの議論がある。
しかし,国家緊急権(緊急事態条項)は,歴史的事実からも,濫用の危険があり,国家緊急権(緊急事態条項)を創設することは,立憲主義の根幹に関わる重大な問題といえる。
 国家緊急権(緊急事態条項)の創設については,日本国憲法が国家緊急権(緊急事態条項)をあえて設けなかった趣旨を踏まえてもなお,現在の情勢において,国家緊急権(緊急事態条項)の創設を支えるだけの具体的な立法事実が存在するのか否かという観点から議論されなければならない。
 以下では,このような観点から,国家緊急権(緊急事態条項)必要論の理由とされる①~③について,具体的に検証することにする。
① 不測の災害が発生した場合の政府の対応不備を理由とする点
② テロ防止対策に資するという点
③ 選挙が実施できない場合に国会議員が不在となるという点なお,現在議論されている国家緊急権(緊急事態条項)の中には,必ずしも冒頭の定義には当てはまらない内容のもの,例えば東日本大震災時のように統治機構が健全に機能している場面でも国家緊急権(緊急事態条項)の発動を認めるかのような見解もある。しかしながら,統治機構が機能している状況にあるにもかかわらず,立憲的な秩序を一時停止して,非常措置をとることを認めるとすれば,余りにも広範に立憲秩序が停止されることとなりかねない。緊急事態の名の下に,安易に憲法秩序が停止されるという事態は,避けなければならないことはいうまでもない。
第2 国家緊急権(緊急事態条項)必要論の検証
1 災害対策を理由とする見解について
不測の大災害が生じた場合に,政府に権限を集中させて対策をとる必要があるとして,国家緊急権(緊急事態条項)を創設すべきであるとの見解がある。
 当会は,2015年(平成27年)4月10日,災害対策を理由にした国家緊急権の創設は不要であるとの会長声明を発出しているが,改めて検討する。まず,現行法制をみると,災害対策基本法では,原則として災害の応急対応の一次的責任は基礎自治体(市町村)が負い,市町村長は被災者に対する救助や応急措置を行う(62条1項)。市町村は災害現場に最も近く正確な情報が入り,地域や住民に精通しているので,迅速で柔軟な対応ができるからである。これに対して,二次的責任を都道府県が担い(4条),三次的責任を国が行うと位置付ける(3条)。国には個々の災害現場の正確な情報が入りにくく,また,特定の地域や住民の実情に精通せず,対応も画一的となりがちであり,迅速柔軟な対応ができないことによる。そもそも,災害対策の原則は「準備していないことはできない」という点にある。災害対策は過去の災害を検証して,これに基づいて将来の災害を予測し,その効果的な対策を準備することに尽きる。災害対策は,①事前の予防対策,②災害直後の応急対策,③事後の復旧対策に分かれており(災害対策基本法1条,2条の2参照),このうち国家緊急権(緊急事態条項)が問題になるのは災害直後の応急対策であるところ,この災害直後の応急対策は,被災者からのヒアリングを行い,被災地の状態を調査し,将来の災害を予測して策定されるべきものであるため,正確な事実の検証とこれを前提とした合理的な判断が必要である。こうした検証と判断は,現場に最も近い基礎自治体こそが最もよくなし得るところであり,これに反し,国家緊急権(緊急事態条項)による国からの発令を行ったのでは,被災地の状態の把握も不十分なまま対策を立てることになりがちであり,却って,現場に混乱を招き,被災者救済を阻害するおそれもある。したがって,災害対策という目的に照らしてみたとき,国家権力への権限集中を目的として国家緊急権(緊急事態条項)を創設することは,現実には,個々の現場のニーズに応じた迅速柔軟な支援を困難にし,市町村の活動と抵触して現場での混乱を招き,被災者支援を阻害するおそれがある。そして,前記の災害対策基本法を基本とする現行の災害法制は,既に,現時点において想定される限りの「備え」をとっており,あとは事前の準備を尽くすことに尽きるのであって,これを超えて,災害対策を理由とした国家緊急権(緊急事態条項)の創設は不要であると考える。
2 テロ対策を理由とする見解について
世界各地でのテロの頻発及び邦人犠牲者の増加といった情勢をふまえ,日本国内においてもテロリズムの危険が高まっており,その対処のために国家緊急権(緊急事態条項)を創設すべきであるとの見解がある。
しかし,そもそもテロは,あくまで政治目的をもった特定の犯罪であることから,警察機構による対処が原則でなければならない。実際,わが国では,1995年(平成7年)3月20日,地下鉄サリン事件(死亡被害者13人,傷害被害者数千人)が発生しているが,当時存在した法令の範囲内(破壊活動防止法の適用すら行われていない。)の警察活動で対応することができた。
また,地下鉄サリン事件の後,わが国では大規模テロに対処するための法整備もなされた。いわゆる有事法制の中に「緊急対処事態」を組み込み,大規模テロに対する十分な対処が可能となった。具体的には,武力攻撃事態等及び存立危機事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律(以下「武力攻撃事態法」という。)における「緊急対処事態」(同法22条「武力攻撃の手段に準ずる手段を用いて多数の人を殺傷する行為」)の類型として,政府は,①原子力事業所施設の破壊,石油コンビナート,都市ガス貯蔵施設等の爆破,②大規模集客施設,ターミナル駅等の爆破,新幹線等の爆破,③放射性物質を混入させた爆弾(ダーティボム)等の爆発による放射能の拡散,炭疽菌等の生物剤の航空機等による大量散布,市街地等におけるサリン等化学剤の大量散布,水源地に対する毒素等の混入,④航空機等による多数の死傷者を伴う自爆テロを想定しているとしており(礒崎陽輔著「武力攻撃事態対処法の読み方」112頁以降参照),同法はテロ対策基本法としての性格をあわせ持っている。そして武力攻撃事態法では,内閣総理大臣は閣議で「緊急対処事態」を認定したうえで,対処方針を決定し(同法22条1項,2項,4項),緊急対処事態対策本部を設置すると規定している(同法23条1項)。
また,武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律(以下「国民保護法」という。)では,各自治体からの武力攻撃災害による被害情報は知事,総務大臣を経由して内閣総理大臣に集中し(同法127条,183条),内閣総理大臣は必要があれば,自衛隊の派遣を求めることもできる(同法15条2項,183条)。さらに,国民保護法は,公安委員会による車両の道路通行禁止(同法155条,183条),警察等による避難住民への警告,指示(同法66条1項,183条),危険な場所への立ち入り禁止等(同条2項,183条),知事等による運送事業者への避難住民の運送指示(同法71条1項,183条),必要な物資(医薬品,食料)の業者からの収用(同法81条2項,183条),収容・医療施設のための土地家屋の同意なき使用(同法82条2項,183条),医師・看護師の医療の実施の指示(同法85条2項,183条)など,国民の権利のための措置を実施するに当たって,国民の自由と権利を制限が加えられることが予定されている。この武力攻撃事態法については「緊急対処事態」の定義及び範囲が曖昧であるなどの問題があり,国民保護法については報道の自由や市民の知る権利に対して不当な制約が課される危険性が高いなどの問題のあることは当会においても指摘してきたところではあるものの,これらの法律を慎重に運用することを通じて,大規模テロに対する十分な対処が可能である。
よって,テロ対策としても現在の法整備で対処可能であり,国家緊急権(緊急事態条項)を創設する根拠とはならない。
3 選挙時期徒過・国会議員不在事態の発生を理由とする見解について
(1)選挙時期の経過の問題
憲法54条には,衆議院が解散された場合,40日以内に選挙をしなければならないと規定されており,たとえば大震災が発生し,解散後40日以内に選挙ができない場合,憲法違反となるとして,かかる事態に対応する国家緊急権(緊急事態条項)を創設すべきであるとの見解がある。
しかしながら,大震災等で一部の選挙区が選挙不能となった場合であれば,繰り下げ投票制度(公職選挙法57条)が用意されており,選挙不能事態が解消した段階で,選挙を実施し,議員を補充すれば足りる。実際,過去にも繰り下げ投票制度は実施されているのであって(1965年参院選 熊本県・坂本村の一部,五木村,1974年参院選 三重県・伊勢市の一部,御薗村),あえて国家緊急権(緊急事態条項)を創設する理由にはならない。
(2)国会議員不在の問題
憲法上,衆議院議員の任期は4年であり(憲法45条),参議院議員の任期は6年であるが(憲法46条),任期に関する例外規定は設けられていない。したがって,衆議院解散後総選挙前や任期満了直前に緊急事態が発生して選挙が不能となり,国会議員不在の期間が生ずると,国会が機能せず,緊急事態への迅速かつ適切な対応ができないため,国家緊急権(緊急事態条項)を創設すべきであるとの主張がなされている。そこで,国家緊急権(緊急事態条項)の創設が必要とされる根拠となる「国会議員不在」の事態について,場合を分けて検討する。
ア 衆議院を解散したが,総選挙前に総選挙が実施できない事態が発生した場合憲法54条2項但書に規定される「国に緊急の必要があるとき」に当たり,参議院議員によって参議院の緊急集会の請求,開催が可能であり,必要な法案等の審議・議決は可能である。
イ 参議院の通常選挙の直前に選挙が実施できない事態が発生した場合衆議院議員及び非改選の参議院議員が存在する。両議院の定足数は3分の1で足り(憲法56条),必要な法案等の審議・議決は可能である。
ウ 衆議院総選挙と参議院通常選挙のいわゆる衆参同日選挙(ダブル選挙)の公示直前に選挙が実施できない事態が発生した場合憲法第54条2項但書に規定される「国に緊急の必要があるとき」に当たり,非改選の参議院議員によって参議院の緊急集会の請求,開催が可能であり,必要な法案等の審議・議決は可能である。
エ 衆議院議員の任期満了による選挙の直前に選挙が実施できない事態が発生した場合この点,公職選挙法31条1項において,衆議院議員の任期満了に因る総選挙は,議員の任期が終る日の前30日以内に行うと規定されており,仮に,同条項による手当が不十分というのであれば,任期満了日と新議員の就任の日の間に空白期間が生じないように同条項の改正を行い,さらに早期に選挙を実施し,任期満了前に新議員の選出を行えば,議員不在の状態が生じることはない。
また,前述のとおり,公職選挙法では繰り下げ投票制度(公職選挙法57条)がすでに用意されており,一定の地域で災害などの事態が発生することによって選挙不能となった場合,当該地域についてのみ,投票日を繰り下げて選挙を実施すれば足りる。
さらに言えば,憲法の条文上,参議院の緊急集会は衆議院を解散した場合に適用される形になってはいるが,衆議院が機能しない場合に参議院が国会に代わって活動するという緊急集会の趣旨からすれば,衆議院の任期満了の場合も緊急集会を求められるとも解し得るし,現にこのような解釈をとる学説もある。
そもそも,衆議院議員の任期満了による選挙は日本国憲法制定後68年間で1回しかないきわめて稀なケースであり,さらにそのタイミングで選挙が実施できない事態が発生することは重ねて稀なケースである(もっとも,衆議院議員の任期満了による選挙が原則であるところ,実際には,憲法7条に基づく衆議院解散による選挙が常態化していることについては問題がないわけではない)。したがって,現状では憲法に国家緊急権(緊急事態条項)を創設する前提となる立法事実があるとは言い難い。
 (3)以上のように,いずれの場面も,日本国憲法の範囲内で対処可能であって,選挙時期徒過・国会議員不在などの事態の発生を理由として,日本国憲法に国家緊急権(緊急事態条項)を創設する必要性は乏しいと言わざるを得ない。
 (4)最後に,国家緊急権(緊急事態条項)により,国会議員の任期を延長するということは,弊害も存する。即ち,緊急事態の名の下に,国会議員の任期が延長されることにより,国会議員は,国民による選挙を経ずに議員の地位にとどまることとなる。その場合,仮に国政において誤った決定が下された場合においても,国民が選挙を通じてこれを是正するということができなくなってしまい,民主制の根幹を損なうこととなる。
このような点に鑑みれば,議員の任期を一律に延長するなどという国家緊急権(緊急事態条項)を認めることは手段として不相当であり,選挙の実施ができない場所に限って繰り下げ投票制度を実施するということが,民主主義のあるべき姿であるというべきである。
4 小括
 以上のとおり,①不測の災害が発生した場合の法令の欠缺を理由とする国家緊急権(緊急事態条項)の創設は,既に相応の法整備がなされており,事後的に国家に権限を集中させて対応策を検討することは却って災害対策につながらないこと,②テロ防止対策に資することを理由とする国家緊急権(緊急事態条項)の創設も,現行法制で対応できること,③選挙が実施できない場合の国会議員が不在となることを理由とする国家緊急権(緊急事態条項)の創設は,現行の憲法の下で,公職選挙法などの運用・改正によって対応できるので,必要がない上に,民主制の根幹を損なうおそれもあることは明らかである。
 日本国憲法施行後の約70年にわたるわが国の法整備の状況及び緊急事態への対応の蓄積などを考えた場合に,国家緊急権(緊急事態条項)の創設を支えるだけの具体的な立法事実は存在しない。
第3 自由民主党の憲法改正草案の検証
 憲法改正の発議については,衆議院においては議員100名以上,参議院においては議員50名以上の賛成により原案の発議がなされるところ(国会法68条の2),現状では具体的な内容を伴った国家緊急権(緊急事態条項)案は,自由民主党(以下「自民党」という。)が2012年(平成24年)に発表した憲法改正草案(以下「自民党憲法改正草案」という。)のそれのみである。
そして,自民党は平成28年9月1日現在両議院において,上記原案発議の要件を遥かに超える議員を擁している。したがって,自民党憲法改正草案の内容が,そのまま憲法改正の発議の原案となる可能性が否定できない。そこで,以下,同草案の内容についても検証することとする。
1 自民党憲法改正草案における緊急事態条項
 自民党憲法改正草案では,「第9章 緊急事態」において国家緊急権(緊急事態条項)が設けられている。以下,抜粋する。
 第98条 内閣総理大臣は,我が国に対する外部からの武力攻撃,内乱等による社会秩序の混乱,地震等による大規模な自然災害その他の法律で定める緊急事態において,特に必要があると認めるときは,法律の定めるところにより,閣議にかけて,緊急事態の宣言を発することができる。
2 緊急事態の宣言は,法律の定めるところにより,事前又は事後に国会の承認を得なければならない。
3 内閣総理大臣は,前項の場合において不承認の議決があったとき,国会が緊急事態の宣言を解除すべき旨を議決したとき,又は事態の推移により当該宣言を継続する必要がないと認めるときは,法律の定めるところにより,閣議にかけて,当該宣言を速やかに解除しなければならない。また,百日を超えて緊急事態の宣言を継続しようとするときは,百日を超えるごとに,事前に国会の承認を得なければならない。
4 (略)
第99条 緊急事態の宣言が発せられたときは,法律の定めるところにより,内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができるほか,内閣総理大臣は財政上必要な支出その他の処分を行い,地方自治体の長に対して必要な指示をすることができる。
2 前項の政令の制定及び処分については,法律の定めるところにより,事後に国会の承認を得なければならない。
3 緊急事態の宣言が発せられた場合には,何人も,法律の定めるところにより,当該宣言に係る事態において国民の生命,身体及び財産を守るために行われる措置に関して発せられる国その他公の機関の指示に従わなければならない。この場合においても,第十四条,第十八条,第十九条,第二十一条その他の基本的人権に関する規定は,最大限に尊重されなければならない。4 緊急事態の宣言が発せられた場合においては,法律の定めるところにより,その宣言が効力を有する期間,衆議院は解散されないものとし,両議院の議員の任期及びその選挙期日の特例を設けることができる。
2 自民党憲法改正草案における国家緊急権(緊急事態条項)の問題点前項に掲げた自民党憲法改正草案における国家緊急権(緊急事態条項)は,以下で述べるとおり,大日本帝国憲法の緊急勅令よりも強大な権限を政府に与えるともいえるものであるうえ,数々の不備が存する。
 (1)「緊急事態」の内容について,憲法に限定列挙されるのではなく,法律でも定めることができるとされる(98条1項)。これにより,様々な場合を「緊急事態」に付け加えることも可能となり,将来,国家緊急権(緊急事態条項)が不当な目的で濫用されるおそれすらも否定できない。
 (2)緊急事態の宣言について,98条2項で「事前又は事後に国会の承認を得なければならない」とし,同条3項で「国会で不承認の議決があったとき,または,国会が緊急事態の宣言を解除すべき旨を議決したときは,閣議にかけて宣言を速やかに解除しなければならない」とされているが,国会の承認について期限が定められていない。そのため,緊急事態宣言がなされても,国会の承認を得ないまま長期間放置されるという事態も想定され,国会の統制が及ばなくなるという懸念がある。
 (3)緊急事態の期間について,98条3項により,百日を超えるごとに事前に国会の承認を必要としているが,立憲秩序を停止する例外措置であるにもかかわらず,百日という期間は長すぎる。また,同項により,国会の承認が得られれば,更新を重ねていつまでも期間を延長できることになっており,この点でも濫用の危険が大きい。
 (4)99条1項により,内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定できるとされるが,災害対策基本法のように,「国会閉会中,衆議院解散中,臨時会の招集及び参議院の緊急集会を求めるいとまがない場合」という限定がなく,国会開会中ですら内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定できる。大日本帝国憲法でさえ緊急勅令を発することができるのは議会閉会の場合としていたところ(大日本帝国憲法8条1項),自民党憲法改正草案はこれよりも内閣に強大な権限を与えるものであり,濫用の危険が大きいと言わざるをえない。
 (5)99条2項において,同条1項の政令の制定及び処分については事前又は事後に国会の承認が必要とされているが,承認が得られない場合に効力を失う旨の規定がなく,それらに国会の統制が全く及ばないおそれがある。大日本帝国憲法でさえ,緊急勅令が事後に議会の承認を得られない場合は将来に向かって効力を失う旨の規定があったものであり(大日本帝国憲法8条2項),自民党憲法改正草案はそれよりも濫用の危険の大きいものとなっている。
 (6)99条1項により「法律の定めるところにより」となっているものの,政令で制定できる対象について憲法上の制限がなく,全ての人権を制限できる可能性があり,また,全ての事項について政令の制定ができる可能性がある。これは,国会の立法権が完全に内閣に移転する可能性がある内容であり,政府の独裁をもたらしかねず,将来,濫用される危険が極めて大きいものと言わざるを得ない。
第4 結論
 以上のとおり,国家緊急権(緊急事態条項)は,そもそも立憲主義を停止するもので濫用の危険があり,実際に濫用され,悲劇を招いた歴史的事実もあるところ,日本国憲法が,国家緊急権(緊急事態条項)を設けなかった趣旨を踏まえてもなお,現在の情勢において,国家緊急権(緊急事態条項)の創設を支えるだけの具体的な立法事実は存在しない。そして,自民党憲法改正草案における国家緊急権(緊急事態条項)も,濫用を防ぐことはできず,かえって,濫用の危険が大きい内容となっている。
よって,当会は,日本国憲法に国家緊急権(緊急事態条項)を創設することに反対する。以上

いわゆる共謀罪法案の提出に反対する会長声明
2016年(平成28年)9月11日
兵庫県弁護士会
会 長 米 田 耕 士
声明の趣旨
 当会は,政府が新たに提出する予定とされる法案における「テロ等組織犯罪準備罪」の規定は,いわゆる「共謀罪」と同様の危険性があるため,同法案の提出に反対する。
声明の理由
1 政府は,2003年から2005年にかけて3回に渡り国会に提出しながらも廃案となったいわゆる「共謀罪」法案に関し,今般,これまでの「共謀罪」規定を「テロ等組織犯罪準備罪」規定へと改め,臨時国会に提出を検討している旨報じられた。
 当会は,過去5度に渡り,「共謀罪」新設について反対する会長声明を発出しているところ,政府が新たに提出する予定とされる法案(以下「提出予定法案」という。)についても,いわゆる「共謀罪」法案と同様の危険があるため,同法案の提出に強く反対するものである。
2 いわゆる「共謀罪」の2003年の政府法案(以下「2003年の政府法案」という。)では,「団体の活動として,当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を共謀した者」を処罰すると規定されていたところ,「団体」に限定がなく,「共謀」という概念自体が曖昧なものであることから,思想信条の自由,表現の自由,集会・結社の自由などの憲法上の根幹的な基本的人権に対する重大な脅威となる点が指摘されてきた。今回,提出予定法案は,2003年の政府法案から,以下の点について変更が加えられている。
(1)「共謀罪」を「組織犯罪集団に係る実行準備行為を伴う犯罪遂行の計画
罪」(略称「テロ等組織犯罪準備罪」)とした。
(2)「団体」から「目的が4年以上の懲役・禁錮の罪を実行することにある
団体」(略称「組織的犯罪集団」)とした。
(3)犯罪の「遂行を2人以上で計画した者」を処罰する場合に,計画をした
者によって,「犯罪の実行のための資金又は物品の取得その他の準備行為が行われたとき」という要件を付した。
 3 しかし,提出予定法案も,以下のとおり,処罰範囲を限定することはできておらず,思想信条の自由,表現の自由,集会・結社の自由などの憲法上の根幹的な基本的人権に対する重大な脅威となる。
 (1)「組織的犯罪集団」の定義に「目的」という主観的事情が含まれるため,「組織的犯罪集団」なる団体を客観的に特定・限定し,捜査機関の濫用規制を図ることは困難であり,結局,「目的」の存否は捜査機関の判断と運用に委ねられることとなる。
 (2)また,「共謀」を「計画」に変更しているが,そもそも「計画」という刑法上の概念が不明確である上,犯罪の遂行に関する「共謀」も「計画」も,「犯罪の合意」であることに変わるところはない。
 (3)さらに,「犯罪の合意」後に「準備行為」をもって処罰すると規定しているが,「準備行為」は,いわゆる予備罪・準備罪における予備・準備行為とは異なり,当該行為自体の危険性を要さないため,例えばATMからの預金引き出し行為など,市民の日常的活動を広く含むとされている。
したがって,提出予定法案においても,処罰範囲の限定は,結局,「団体」の「目的」の存否を判断する捜査機関の運用に委ねられることとなり,2003年の政府法案に比し,処罰範囲が大きく限定されると断ずることはできない。
 4 2007年にまとめられた自由民主党の小委員会案では,いわゆる「共謀罪」の対象犯罪は約140から約200にまで絞り込まれていたが,提出予定法案は,2003年の政府法案と同様に実に600以上の犯罪を対象にした。窃盗・詐欺や公職選挙法違反などの犯罪まで対象犯罪とされれば,今春に,対象犯罪を拡大し,通信事業者の職員立会要件を緩和した通信傍受法等により,市民の日常の会話や通信が傍受される可能性は格段に高まり,プライバシー権や通信の秘密といった基本的人権の保障との関係で深刻な対立を引き起こしかねない。
 5 提出予定法案には,新たに「テロ対策」という目的が追加されているが,これまで「共謀罪」導入の根拠とされていた,国連越境組織犯罪防止条約(略称「パレルモ条約」)は,経済的な組織犯罪を対象としており,テロ対策とは本来無関係である。テロ対策について,我が国は,テロ関連条約のうち,「核によるテロリズムの行為の防止に関する国際条約」を除く全てを批准しており,条約上の行為を国内法で犯罪と規定しており,未遂に至らない段階からの処罰規定も整えているところである。この点,現行法上,内乱・外患に関する予備・陰謀罪,殺人・強盗・放火・身代金目的誘拐に関する予備罪,凶器準備集合罪,化学兵器禁止法・サリン防止法・航空機強取等処罰法・銃砲刀剣類所持等取締法・資金提供処罰法・放射線発散処罰法等,多くの特別法において予備罪が既に設けられ,このような犯罪については新たな立法を待つまでもなく未然防止が可能である。
 6 以上のとおり,提出予定法案の「テロ等組織犯罪準備罪」の規定では2003年の政府法案に比し,処罰範囲は十分に限定されておらず,却って,広範な対象犯罪の捜査のために,市民の多くの日常の会話や通信が傍受される危険性を否定できないなど,いわゆる「共謀罪」と同様の危険性がある。
よって,当会は,声明の趣旨のとおり,政府が新たに提出する予定とされる法案について,その提出そのものに反対する。以 上

高等学校等の生徒の「政治的活動等の自由」の保障を求め
る会長声明
2016年(平成28年)6月28日
兵庫県弁護士会
会 長 米 田 耕 士
第1 声明の趣旨
 1 当会は,文部科学省に対し,2015年(平成27年)10月29日付「高等学校等における政治的教養の教育と高等学校等の生徒による政治的活動等について(通知)」及び2016年(平成28年)1月29日付「『高等学校等における政治的教養の教育と高等学校等の生徒による政治的活動等について』Q&A」を撤回したうえで,あらためて18歳以上か否かにかかわらず高等学校等の生徒の政治的活動等の自由を原則として認める旨の通知を全国の教育委員会及び高等学校等に出すことを求める。
 2 当会は,兵庫県内の各教育委員会及び各公立高等学校等に対し,生徒に対して学校外における政治的活動等の届出の義務付けをしないことを求める。
 3 当会は,兵庫県内の各私立高等学校に対し,生徒の政治的活動等の自由及び選挙権の行使について,十分に配慮することを求める。
第2 声明の理由
 1 2016年(平成28年)6月19日,公職選挙法等の一部を改正する法律(平成27年法律第43号)が施行され,選挙権を有する者の年齢が18歳に引き下げられることとなり,施行日後初めて行われる第24回参議院議員通常選挙の公示日(同年6月22日)以後にその期日を公示され又は告示される選挙から,高等学校等の生徒の一部も選挙権を有することとなった。
この点,文部科学省は,2015年(平成27年)10月29日,「高等学校等における政治的教養の教育と高等学校等の生徒による政治的活動等について(通知)」(以下「新通知」という。)を,各都道府県教育委員会及び各都道府県知事等宛に発出した。また,同省は,新通知の運用につき,平成28年(2016年)1月29日,「『高等学校等における政治的教養の教育と高等学校等の生徒による政治的活動等について』Q&A」と題する書面(以下「Q&A」という。)を配布した。
しかしながら,新通知及びQ&Aは,これらに基づく施策によって高等学校等の生徒の選挙運動や政治的活動(以下「政治的活動等」という。)の自由が不当に制限されたり,または制限される危険性があることから,撤回されるべきである。
 2(1)憲法21条1項は,主権者である国民に表現の自由としての政治的活動等の自由を保障している。政治的活動等の自由は,民主主義社会の根幹をなす極めて重要な基本的人権であり,選挙権の有無にかかわりなく,何人にあっても保障されるものである。
そして,我が国が批准し国内法的効力を有する「児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)」は,子ども(同条約では18歳未満の子どもを対象としている)に対し,意見表明権(12条1項),政治的活動の自由を含めた表現の自由(13条1項),結社・集会の自由(15条1項)を認めている。
なお,高等学校等が,未成熟な高等学校等の生徒に対し,パターナリスティックな観点による制約(例えば暴力主義的な団体への加入をしないように指導すること等)をすることが必要であるとの意見も存在する。
しかしながら,かかる問題は,一次的には家庭教育,二次的には学内での主権者教育によって対処すべき問題であり,高等学校は各生徒の政治的活動等の内容についてまで、極力踏み込むべきではない。
 以上のとおり,今般の公職選挙法の改正により選挙権者となった18歳の生徒は当然のこと,選挙権行使の準備段階にある18歳未満の生徒についても,政治的活動等の自由は,当然に認められる。ところが,新通知及びQ&Aは,18歳以上の生徒に関する政治的活動等について言及するのみであり,18歳未満の生徒の政治的活動等についての言及が全くない。新通知及びQ&Aは,18歳未満の生徒の政治的活動等の自由に言及しない不完全なものである。
 (2)Q&A(Q9)は,放課後,休日等に学校の構外で行われる政治的活動等の参加を届出制とすることについて,必要的かつ合理的な範囲内での制約であれば許されるとしている。
しかし,高等学校等の生徒の学校外での政治的活動等について,届出を義務づけることは,政治的活動等の自由を公権力が規制するものに他ならず,憲法19条,同21条1項,子どもの権利条約14条1項,同12条,同13条1項に違反する人権侵害行為として,許されない。すなわち,学校外での政治的活動等を届出制とすることは,現在,高等学校等で採用されているアルバイトや自動二輪車の使用の届出制に比し,政治的活動等の自由という民主主義社会の根幹をなす極めて重要な基本的人権を侵害する点で決定的な違いがある。
 高等学校等の生徒は,18歳以上か否かにかかわらず政治的活動等を行う権利を有しているのであり,高等学校等の他の生徒の「教育を受ける権利」を保障する見地から,学校内における相互の調整を図るなど,施設内における秩序を維持する目的で,必要最小限度の制約を行う場合などの公共の福祉による制約を除き,単に高等学校等の生徒であることを理由とした政治的活動等の制約は許されない。
また,高等学校等が,生徒の学校外での全ての政治的活動等について,高等学校等への届出を義務付ければ,事実上,生徒は,届出を通じ,自らの政治に関する関心や政治的志向を明らかにせざるを得ない。これは,生徒の思想・良心の自由(自らの内心を明らかにしない自由)を侵害するものである。さらに,政治的活動等の届出を義務付けた場合,生徒は,届出を原因とする内申等の評価への影響,教師による偏見などといった事実上の不利益が生じることを危惧し,届出を避けることになり,学校外での政治的活動等を萎縮させる結果となる。
 (3)よって,当会は,文部科学省に対し,高等学校等の生徒の政治的活動等の自由が不当に制限されたり,または制限される危険性がある新通知及びQ&Aを撤回したうえで,あらためて18歳以上か否かにかかわらず高等学校等の生徒の政治的活動等の自由を原則として認める旨の通知を全国の教育委員会及び高等学校等に出すことを求める。
 3 近時の報道によれば,新通知及びQ&Aを受け,兵庫県教育委員会及び神戸市教育委員会は,満18歳以上の高等学校等の生徒の学内外での選挙運動や政治的活動への指導について,各校の状況や実態に応じて校長が判断すべきとの見解を示した結果,2016年(平成28年)5月の時点で,39の県立高校及び全ての市立高校が,高校生が学校外のデモや集会などの政治的活動等に参加する際の学校への届出制を不要と判断したようであるが,対応を検討中の公立高等学校等もあるとのことである。
しかし,高等学校等の生徒の学校外での政治的活動等について,届出を義務づけることは,上記のとおり,生徒の政治的活動等の自由を不当に制限するものであり,憲法,子どもの権利条約上,許容されるものでない。
よって,当会は,兵庫県内の各教育委員会及び各公立高等学校等に対し,生徒に対して学校外における政治的活動等の届出の義務付けをしないことを求める。
 4 私立高等学校等においても,公立高等学校等の生徒と同様,生徒が有する政治的活動等の自由及び選挙権は,いずれも,憲法,子どもの権利条約上,極めて重要な権利であることに変わりはない。したがって,生徒の政治的活動等の制限は,行政権による規制・侵害の問題ではないが,学校が独自に掲げる建学の精神に基づく校風,または,教育目的などを理由に,生徒の学校外での政治的活動等の学校への届出を実施し,または,生徒の思想信条や所属政党を調査することは,生徒の思想・良心の自由,政治的活動等の自由を不当に制限することになる点,十分に留意されなければならない。
よって,当会は,兵庫県内の各私立高等学校に対し,生徒の政治的活動等の自由及び選挙権の行使について,十分に配慮することを求める。以上

少年法の適用年齢の引下げに反対する会長声明
2016年(平成28年)6月3日
兵庫県弁護士会
会 長 米 田 耕 士
第1 声明の趣旨
当会は,少年法の適用年齢を18歳未満まで引き下げることに反対する。
第2 声明の理由
 1 当会は,この問題に関し,すでに2015年(平成27年)6月26日付け 「少年法の適用年齢の引下げに反対する会長声明」及び同年12月28日付け「少年法の「成人」年齢を引き下げることに反対する意見書」を発出している。
 当会は,去る2016年(平成28年)5月21日に,「少年法を考えるシンポジウム~適用年齢を本当に引き下げるべきか?!~」を主催した。
その中で,現行少年法は,少年の健全育成を目的に,家庭裁判所調査官や少年鑑別所による科学的な調査と鑑別を踏まえ,少年に相応しい処遇を決する手続を採用し,少年の可塑性を踏まえた少年院などにおける個別的な指導と教育の処遇と相まって,少年の立ち直りと再犯の防止に有効に機能してきたことが改めて確認された。
そして,次の4つの理由からも,少年法の適用年齢を18歳未満まで引き下げることに合理的な理由がないことが改めて浮き彫りになったことから,当会は,少年法の適用年齢を18歳未満まで引き下げることに改めて反対する。
 2 1つ目の理由は,少年法の適用年齢を18歳未満に引き下げた場合,非行少 年の多くが立ち直りに向けた十分な指導と処遇を受けられないまま放置されることになる点である。すなわち,少年事件の約5割が,18歳・19歳の少年で占められており,その多くは初犯であるため,少年法の対象外となった場合には,不起訴処分,略式命令による罰金刑,起訴されたとしても,そのほとんどが執行猶予付き判決を受けることになる。
 現行少年法の下で,少年が少年院に送られた場合,少年院で受ける処遇は一人ひとりの少年の状態,問題点を踏まえて行われており,少年院内で改善すべき点が改善されているかどうか,少年院の教官による厳格な評価の下で,少年院からの仮退院なども決まっている。
ところが,少年法の適用年齢が18歳未満に引下げられると,非行をした若年者の多くが,立ち直りに向けた十分な指導と処遇を受けられないまま,社会内に戻ることになり,再犯に及ぶリスクを増加させ,新たな犯罪被害者を生み出すおそれも否定できない。
 2つ目の理由は,少年犯罪の全体的な傾向は,そもそも増加も凶悪化もしていない点である。実際に,少年犯罪の検挙者数は,ピーク時(昭和58年)に比べて75.4%も減少している。また,殺人(未遂を含む)と傷害致死という重大・凶悪な事件に絞ってみれば,ピーク時(昭和36年)に比べると89.2%も減少している。少年犯罪は,増加も,凶悪化もしていないことは客観的データに照らして明らかである。
 3つ目の理由は,殺人・強盗・放火などの重大犯罪をした少年に対する処遇は,現行少年法で,すでに対応している点である。16歳以上の少年が重大な罪を犯して被害者を死亡させた場合は,原則として,成年と同じように地方裁判所での刑事裁判で刑罰を科すことになる。
 4つ目の理由は,18歳以上の非行少年の多くは,大人と同様に考えにくいという点である。確かに,18歳でも十分な判断力を持つ人もいることは事実であるが,非行を犯している少年の多くは,その発育過程で大きな問題を抱えており,成長発達権を保障されなかった子どもたちである。かかる非行少年にこそ,
 少年の可塑性を踏まえた少年院などにおける個別的な指導と教育の処遇が効力を発揮するのであり,その結果,多くの非行少年の立ち直りと再犯の防止につながる。
 3 以上のように,少年法の適用年齢を18歳未満に引き下げるという議論は,再犯率をかえって高める懸念があるなど,想定される現実を無視する議論である。
また,少年法の適用年齢の引き下げの問題は,少年の人権のみならず犯罪被害者の権利擁護の視点からも検討しなければならない問題であるが,直接,犯罪被害者の権利擁護につながるわけではない。
以上から,当会は,少年法の適用年齢を18歳未満まで引き下げることに反対することを改めて強く訴えるものである。以上

安全保障法制施行後の適用・運用に反対する会長声明
2016年(平成28年)3月29日
兵庫県弁護士会
会 長 幸 寺 覚
第1 声明の趣旨
安全保障法制の施行に対して抗議するとともに,あらためて安全保障法制
のすみやかなる廃止を求める。
第2 声明の理由
1 昨年9月30日に公布された平和安全整備法及び国際平和支援法(以下「安
全保障法制」と言う。)が本日,施行された。
しかしながら,安全保障法制は,日本弁護士連合会及び全国の弁護士会が憲法9条に違反すると述べてきたのみならず,大多数の学者や元内閣法制局長官,元最高裁判所長官などが憲法違反ないしその疑いがあると指摘するところである。
 憲法は国の最高法規であり,憲法に反する法律は,その効力を有しないのであるから(憲法98条1項),当会は,安全保障法制施行後の適用・運用に反対する。
 2 もとより安全保障法制は,現に戦闘が行われていない地域であれば,国が,自衛隊員に対し,他国の軍隊などに,弾薬などの提供(いわゆる後方支援(兵站)活動)を命じることや,PKO等で派遣された自衛隊員に対し,PKO等の活動を行う国内外の職員や外国の部隊のために,威嚇射撃などの武器使用(いわゆるかけつけ警護)を命じることも可能とされているため,自衛隊員の生命・身体の危険を高める内容となっている。仮に内閣が安全保障法制に基づき,自衛隊を海外に派遣した結果,自衛隊員の生命・身体に被害が及べば,憲法違反の無効な処分によって国民の生命・身体に対する重大な人権侵害となり,影響は甚大である。
 3 したがって,当会としては,安全保障法制の施行に対し抗議するとともに,あらためて安全保障法制のすみやかなる廃止を求めるものである。以 上

少年法の「成人」年齢を引き下げることに反対する意見書
2015年(平成27年)12月28日
兵庫県弁護士会
会長 幸 寺 覚
第1 意見の趣旨
当会は,公職選挙法の選挙年齢引き下げに連動させて,少年法の「成人」年齢を引き下げることに反対する。
第2 意見の理由
1 はじめに
法務省では,公職選挙法の改正により選挙権年齢が20歳以上から18歳以上に引き下げられたことを受け,「若年者に対する刑事法制の在り方に関する勉強会」を立ち上げ,少年法の適用対象年齢についても,20歳から18歳に引き下げるべきか否か等を検討している。
 当会は,この問題に関し,すでに2015年6月26日付け「少年法の適用年齢の引下げに反対する会長声明」を発出したところであるが,今般,法務省がこの問題について意見募集をしていることを受け,改めて,適用対象年齢引き下げに反対の立場から,以下のとおり,意見を述べる。
2 少年事件が増加し凶悪化しているという言説は誤りであること
わが国における少年非行件数を概観するに,刑法犯少年の検挙人員は,昭和50年代後半の約20万人をピークとし,平成16年以降は11年連続で減少して,平成26年には5万人を割るに至っている。また,殺人,強盗,放火,強姦等といった犯罪についても,ピーク時の昭和30年代半ばには約8000人が検挙されていたところ,その後大幅な減少に転じ,近時の10年に限っても,平成17年の検挙人員が1441人であったのに対し,平成26年にはその約2分の1である703人にまで減少している。
このような客観的データに鑑みれば,凶悪事件はむしろ減少傾向にあるのであり,少年事件が増加し凶悪化しているという言説は,統計上根拠付けられたものではなく誤りであることが分かる。
3 国法上の統一性や分かりやすさといった観点は合理性がないこと
自由民主党の政務調査会が本年9月17日に取りまとめた「成人年齢に関する提言」は,「国法上の統一性や分かりやすさといった観点から,少年法の適用対象年齢についても,満18歳未満に引き下げるのが適当である」とする。
しかし,法律には,それぞれ異なった趣旨・目的があり,適用年齢を何歳にするかは一律ではありえない。たとえば,民法の中でも,親権者の同意なく契約ができる年齢は20歳からであるが,遺言をすることができる年齢は15歳からである。また,上記提言も,国民年金の支払義務や児童福祉法に定める児童自立生活援助事業における対象年齢等の諸法令については適用年齢引下げの対象外とし,飲酒・喫煙や公営ギャンブルについては適用年齢引下げの是非を引き続き検討するとしているように,やはり,法律の適用年齢は,各法律ごとに個別具体的に検討すべきものである。
 公職選挙法において,選挙権の年齢の引き下げをした目的は,政治への参加の機会を拡大して若者の関心を高め,政治に多様な意見を反映させるというものである。しかも,選挙権は,その行使が何らかの義務の負担や不利益に直結していないから,民法上の未成年者であっても選挙権を付与することは特段問題がないといえる。
しかし,少年法の適用年齢は,少年の成長支援の観点と再発防止という刑事政策上の観点から定められるべきであって,このような観点を無視して,「国法上の統一性や分かりやすさ」という観点から少年法の「成人」年齢を引き下げるべきとの議論には合理性がないことは明白である。
4 18,19歳の非行少年の更生には少年法の保護処分が有効であること
(1)18歳・19歳の年代は,いまだ心身の発達が未成熟で可塑性に富んでおり,教育・指導と環境の調整によって大きく変化する可能性がある。近時の18,19歳の状況は,少子化と高学歴化により,高卒で就職する人の占める割合は減少し,多くは親に扶養されているなど,真に自立した社会人になっている者は多くないと思料される。中でも,非行に走る少年の多くは,資質や生育環境に大きなハンディを抱えている。すなわち,非行に走る少年は,家庭,学校,地域などから適切な成長支援を受けられず,年齢相応の社会適応能力が身についていない者が多い。このような少年に,刑罰による威嚇で犯罪を思いとどまらせるというのでは足りない。非行を防止するには,まず少年の心情を受け止め,教育・指導・援助をすることである。少年は,自らを受容されることで,他人を受容することができるようになる。そして,自らが傷つけた被害者の痛みや心情に正面から向き合うことができるようになり,真の謝罪と償いの精神が育まれるのである。
 (2)現行少年法は,非行の背景・要因を分析して非行性を除去するための処分を決定するために,旧少年法の検察官先議を廃止して,全ての少年事件を家庭裁判所に送致することとした。そして,少年鑑別所による資質鑑別と家裁調査官による社会調査という人間行動科学の手法を採用した。
 少年鑑別所では,専門の技官が少年の心身の状況や行動を観察し,さらに,知能検査や性格検査,面接調査,医師の診察などを行い,少年の問題点を分析する。また,家裁調査官は,少年や保護者との面会,関係先への照会などにより少年の生育歴や交友関係,生活状況などを把握して,非行の原因を分析し,少年に対する処分の必要性や程度を調査する。
 審判では,このような科学的な調査・鑑別の結果を踏まえ,裁判官が少年に対する処分を決定する。家庭裁判所で決定される処分は,少年の未成熟性に着目した教育的な働きかけによって少年に自らの行為の意味を理解させ,社会的不適応の原因を除くことを処遇の基本に置いている。
また,最終的な処分を決めるまでに,少年を社会内で生活させ,家庭裁判所調査官がその状況を調査する中間処分として「試験観察」がある。これは,最終処分が留保された状況で少年の自律的な更生を可能とする点で,極めて重要な機能を有している。最終処分には,「保護観察」や「少年院送致」などがあるが,「保護観察」では,専門家の保護監察官と保護司による指導・援助が行われている。他方で,「少年院送致」については,刑務所では,昼は刑務作業に充てられ,夕食後は独居房で過ごすのに対し,少年院では,教官が24時間体勢で就寝時間の直前まで少年を指導監督し,少年の内面にまで踏み込んだ教育により,自己変革を要求している。その意味では,少年院での処遇は少年にとって刑務所より「厳しい」ともいえる。
 (3)このように,少年法は,当該少年の非行性のみならず,その生育歴・背景事情等を十二分に吟味し,少年の健全な成長発達のために適切な処分をなしうる法制度である。このような法制度は,未成熟な18歳・19歳の少年の再犯防止に極めて有効であり,上述した,凶悪事件が減少傾向にあるという統計データは,その有効性を裏付けている,というべきである。
 5 少年法の成人年齢引き下げは,18歳・19歳の非行少年の立ち直りを却って妨げるリスクを増加させる懸念があること少年法の適用年齢が18歳に引き下げられた場合,却って,以下に述べる,重大な影響が生じる懸念がある。
まず,家庭裁判所で手当を受ける少年が激減し,再犯リスクが高まることが予測される。2014年に検察庁が取り扱った道路交通事件を含む少年被疑者のうち47%が18,19歳だった。このため,少年法の適用年齢が18歳未満に引き下げられると,検察庁に送致された少年被疑者の約半分が家庭裁判所の手続から排除され,刑事事件手続で処理されることになる。刑事事件手続では,主として非行の結果の重大性で処分が決められる。2014年の検察統計年報によると,検察庁が「嫌疑がある」とした被疑者に対する処分の内訳は次のとおりである。起訴猶予 65%罰金・科料(略式命令請求) 27%公判請求(正式裁判) 8%この統計データからすると,少年法の適用年齢が18歳に引き下げられると,18,19歳の被疑者のほとんどが,起訴猶予か罰金を払うことで手続終了となる。つまり,保護観察や少年院が行っている教育的指導,または少年鑑別所や家裁調査官が行っている教育・指導を受けることなく,事件は終了となる。これでは,若者の立ち直りの機会は大きく減少し,再犯のリスクが高まることが懸念される。
 次に,早期に対処すれば犯罪に関わることを防止できる18,19歳の「ぐ犯少年」を,法の手続から放擲することになる,という問題がある。2014年にも,18,19歳の「ぐ犯少年」として,少年院送致になった者,保護観察となった者,教育的措置を受けた者がおり,これらに対する指導・支援の制度がなくなれば,18,19歳の「ぐ犯若年者」の多くが犯罪に走ることになることも懸念される。
6 結論
 以上,少年法の「成人」年齢を満18歳に引き下げたとすれば,これまで有効に機能してきた少年法の役割は弱体化し,却って,再犯防止の指導・支援を受けられない18歳・19歳の若年者が増加する懸念がある。
よって,意見の趣旨記載の意見を述べるものである。以 上

 

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