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2322 ら特集新潟弁護士会②(0)

引用元 

新潟県弁護士会
ttp://www.niigata-bengo.or.jp/

消費者庁・国民生活センター・消費者委員会の地方移転に反対する会長声明
~消費者行政の司令塔機能を弱めてはならない~
政府は、「まち・ひと・しごと創生本部」に「政府関係機関移転に関する有識者会議」(以下「有識者会議」という。)を設置し、政府関係機関の地方移転について検討している。その中で、消費者庁の全部(内閣府消費者委員会を含む)と国民生活センターの全部を徳島県へ移転することが審議されている。
しかし、以下の理由により、当会は、消費者庁、国民生活センター及び消費者委員会の地方移転には反対する。
1 はじめに
当会は、一般論として、政府関係機関の地方移転の取組自体について反対するものではない。
しかし、消費者庁、国民生活センター及び消費者委員会の地方移転には反対である。
すなわち、有識者会議は、道府県からの地方移転に関する提案のうち、官邸と一体となり緊急対応を行う等の政府の危機管理業務を担う機関や中央省庁と日常的に一体として業務を行う機関に係る提案、移転した場合に機能の維持が極めて困難となる提案については、移転させないとの方向性を示している。この考え方には、賛同できるが、消費者庁、国民生活センター及び消費者委員会の地方移転は、まさにそのような受け入れられない提案の典型だからである。
2 消費者庁の地方移転について
消費者庁は、中国製冷凍ギョウザ事件や相次ぐ食品表示偽装問題など重大な消費者問題の発生を受けて、従来の各省庁縦割りの仕組みを解消して消費者行政を一元化し、安全安心な市場、良質な市場の実現を図るため、平成21年9月に発足したものである。
消費者問題は、食品や製品の生産・流通・販売・安全管理、金融、教育、行政規制・刑事規制などの多くの領域に関わっている。関係する省庁も、経済産業省、金融庁、農林水産省、厚生労働省、国土交通省、文部科学省、警察庁等、多岐に渡る。そのため、消費者庁には、各省庁から情報を集約して調査・分析を行うこと、各省庁に対して措置要求等を行うこと、横断的な制度を企画立案すること等、業種横断的な司令塔の役割を担うことが求められている。これを実現するためには、関係機関(省庁、大臣、政党等)への日常的なアクセスが必要であることは言うまでもない。
また、消費者庁はこれまでも緊急時における危機管理業務を行ってきた。例えば、平成25年12月に発覚した冷凍食品からの農薬検出事件では、厚生労働省をはじめとする関係省庁と連携し、情報の共有・発信と被害の拡大防止等の対応にあたったことは記憶に新しい。こうした緊急事態においては、インターネットや電話などの遠方からの情報交換や情報発信では足りず、直ちに対面の会議を開き、官邸や省庁を回って情報収集と情報共有を行い、施策の実施やマスコミへの情報発信などを行う必要がある。消費者庁の地方移転によって、省庁をはじめとする関係機関との連携及びこれに対する働きかけの力が大幅に低下・後退することが懸念される。
3 国民生活センターの地方移転について
国民生活センターは、消費者基本法第25条に定められた消費者行政の中核的実施機関として、消費者庁と連携して関連省庁に意見を述べ、地方消費者行政を支援し、消費者・事業者・地方自治体・各省庁に情報提供を行っている。さらに、裁判外紛争解決手続(ADR)、苦情相談解決のための商品テスト、相談員等を対象にした研修等を実施している。これらの役割を十分に果たすためには、各省庁や専門家・事業者に近接する位置で密接な連携・協議を行う必要がある。
国民生活センターの地方移転によって、国民生活センターの情報発信機能や連携能力が低下することが懸念される。
4 消費者委員会の地方移転について
消費者委員会は、消費者庁等からの諮問事項を審議するほか、各種の消費者問題について、自ら調査・審議を行い、消費者庁を含む関係省庁の消費者行政全般に対して意見表明を行っている。このような監視機能を十分に実現するためには、各省庁、関連事業者、事業者団体等との間の密接なアクセスが不可欠である。消費者委員会の地方移転によって、消費者委員会の監視機能が低下することが懸念される。
5 結論
以上のとおり、消費者庁、国民生活センター及び消費者委員会が地方へ移転することで、両機関の機能が大幅に低下することが懸念される。それは消費者基本法や、消費者庁及び消費者委員会設置法の目指す消費者の権利の尊重及びその自立の支援等の基本理念に反するものであるから、消費者庁、国民生活センター及び消費者委員会の地方移転には反対する。
2016年(平成28年)1月12日
新潟県弁護士会 会長 平   哲 也

安全保障関連法案の採決強行を行わず、廃案を求める会長声明
現在、平和安全法制整備法案及び国際平和支援法案(以下「本法案」といいます。)が、参議院「我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会」(以下「特別委員会」といいます。)に係属、審議中です。
しかし、本法案について、近日中にも、特別委員会及び参議院本会議で強行採決が行われる見込みとの報道がなされています。
当会は、本法案が、憲法の基本原理である恒久平和主義や、立憲主義に反すること等を指摘し、くりかえし本法案成立に反対してきました。国会審理が進むにつれ、国民各層の本法案に対する反対、不安、疑問の声が高まってきています。圧倒的多数の憲法学者、歴代の内閣法制局長官、及び元最高裁判所長官を含む元最高裁判所判事らも憲法違反との見解を表明しています。たとえ多数決であっても、決めてはならないことを予め定めたものが憲法です。衆議院において強行採決が行われたことは極めて問題です。憲法上、参議院には「良識の府」としての役割が期待されています。今こそ、参議院が、その役割を果たすべき局面にあります。このような中で、参議院においてまで強行採決を行うことは、参議院が憲法上期待される役割を放棄するものです。そのようなことは絶対にしないでください。参議院議員御一人御一人が、参議院議員として、ご自身に期待された役割、憲法尊重擁護義務(憲法99条)に思いを致し、本法案が廃案となる状況を作り出していただきたい。
2015(平成27)年9月15日
新潟県弁護士会会長 平 哲也

「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」(いわゆる「カジノ解禁推進法案」)に反対する会長声明
第1 声明の趣旨
当会は、「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」(いわゆる「カジノ解禁推進法案」、以下「本法案」という)に強く反対し、本法案の廃止を求める。
第2 声明の理由
1. はじめに
平成27年4月28日、本法案が国会に提出された。本法案は、昨年の衆議院解散によって廃案になったにもかかわらず、再提出されたものである。しかし、本法案には、以下のとおり多くの問題点がある。
2. 問題点
賭博行為は違法であることが大原則である
そもそもカジノとは賭博であり、賭博は、社会の風俗を害する行為として、刑法で処罰の対象とされているものである。
ギャンブル依存症の拡大・多重債務者の増加のおそれ
カジノを解禁した場合には、ギャンブル依存症患者数の増加、ギャンブルを原因とする多重債務問題の悪化など、国民経済、社会に深刻な悪影響を及ぼすことが大いに危惧される。
暴力団・マネーロンダリング対策上の問題点
暴力団がカジノへの関与に強い意欲を持つことは容易に想定される。暴力団が事業主体として参入しえなくとも、事業主体に対する出資、従業員の送り込み、事業主体からの委託先・下請への参入、顧客に対するヤミ金融、闇カジノの運営、その他周辺領域での資金獲得活動に参入し勢力を拡大する危険性が懸念される。また、カジノがマネーロンダリングに利用される懸念もある。
青少年の健全育成への悪影響
本法案で想定されるカジノはレクリエーション施設等と一体となった統合型リゾート方式とされているが、家族で出かける場所にカジノがあるというのは青少年の健全な育成に対する悪影響が懸念される。カジノによる経済効果への疑問本法案を推進する立場からは、カジノによる経済効果が期待されるとの声がある。
しかし、韓国、米国等ではカジノ設置自治体の人口が減少したり、多額の損失を被ったという調査結果も存在する。また、ギャンブルによる失業や財産喪失等にともなう社会保障費の増大、依存症治療等の負担増大など国民経済に対する経済的損失をもたらすことが容易に予想される。さらに、立地地域社会に対しても、カジノが存在することによる治安の悪化、その対策にかかる費用の増大、地域のイメージダウン等のマイナスの影響があることを忘れてはならない。
3 結語
当会は、長年にわたり暴力団排除、多重債務対策、自殺予防対策、青少年の健全な育成に向けて様々な活動に取り組んできたのであり、本法案については到底容認できるものではなく、本法案の廃案を求める。
2015年(平成27年)7月21日
新潟県弁護士会会長 平 哲也

憲法の恒久平和主義及び立憲主義に違反する安保法制関連法案に反対する決議
政府が国会に提出している、平和安全法制整備法案及び国際平和支援法案は、自国が攻撃されていないにもかかわらず武力行使を認める点、他国の武力行使と一体化する「後方支援」を可能にする点、及び自然的権利に基づく自己保存型の範囲を超える武器使用を認める点で、憲法が定める恒久平和主義に違反する。
また、憲法改正手続によらず、立法によって実質的に憲法を変更する点で、近代憲法の基本理念である立憲主義に反する。
よって、当会は、これらの法案の制定に強く反対する。
2015年(平成27年)5月22日
新潟県弁護士会定期総会

特定秘密の保護に関する法律」の施行に反対し、改めて同法の廃止を求める会長声明
来たる本年12月10日、特定秘密の保護に関する法律(以下「特定秘密保護法」という。)が施行される予定である。情報保全諮問会議が作成した同法施行令(案)及び運用基準(案)について実施されたパブリックコメントに全国から2万3820件もの意見が寄せられたにもかかわらず、内容はほとんど変わらないまま施行日を含む施行令、運用が閣議決定された。
当会は、昨年9月24日付けで「特定秘密の保護に関する法律案に反対する会長声明」を公表し、また、本年2月28日には、特定秘密保護法を施行することなく直ちに廃止するよう求める総会決議を行い同法の廃止を求めた。これらの中で指摘した以下の同法の問題点は、依然として何ら解消されていない。
① 別表及び運用基準を総合しても、秘密指定できる情報は極めて広範であり、恣意的な特定秘密指定の危険が解消されていない。
② 特定秘密を最終的に公開するための確実な法制度がなく、多くの特定秘密が市民の目に触れることなく廃棄されることとなる可能性がある。
③ 政府の恣意的な秘密指定を防ぐためには、すべての特定秘密にアクセスすることができ、人事、権限、財政の面で秘密指定行政機関から完全に独立した公正な第三者機関が必要であるにもかかわらず、同法が規定している独立公文書管理監等の制度にはこのような権限と独立性が欠けている。
④ 過失による秘密の漏えい行為が処罰され、取得行為では教唆、共謀、煽動が独立して処罰されるなど処罰範囲が広く、かつ、これらに対し重い罰則が科されていることから、国民の情報収集活動に過度の萎縮効果をもたらし、国民の知る権利を侵害する危険性が高い。
⑤ 適正評価制度は、情報保全のために必要やむを得ないものとしての検討が十分になされておらず、評価対象者やその家族等のプライバシーを侵害する可能性があり、また、評価対象者の事前同意が一般的抽象的であるために、実際の制度運用では、医療従事者等に守秘義務を侵させ、評価対象者との信頼関係を著しく損なうおそれがある。
⑥ 刑事裁判において、証拠開示命令がなされれば秘密指定は解除されることが明らかにされたものの、証拠開示命令は裁判所の判断に委ねられており、特定秘密を被告人、弁護人に確実に提供する仕組みとなっていない。被告人、弁護人が秘密を知ることなく公判手続が強行される可能性が大きく、適正手続が十分に保障されない可能性が大きい。
政府は、国民の不安に応え、国民の知る権利と民主主義を危機に陥れかねない秘密保護法を直ちに廃止し、国際的な水準に沿った情報公開と秘密保全のためのバランスの取れた制度構築のための国民的議論を進めるべきである。
当会は、関係団体と協力し、依然として重大な問題が存在する特定秘密保護法の廃止を引き続き求めていく決意である。
2014年(平成26年)11月25日
新潟県弁護士会 会長 小 泉 一 樹

司法予算の大幅増額を求める会長声明
1 2001年に出された司法制度改革審議会意見書(以下「意見書」という。)は、裁判所等の人的物的体制の充実を含む司法制度改革を実現するため、司法に対して財政面から十分な手当をすべく、政府に対して、必要な財政上の措置について特段の配慮を求めた。
ところが、その後の司法予算は、裁判員裁判対策の点を除けば年々減少を続け、国家予算に占める割合は概ね0.3%台で推移している。平成26年度予算は約122億円の増額となっているが、給与特例法の失効に基づく人件費の増額分約171億円の含んだものであるから、実質的には約49億円の減額である。
このような政府の措置は、意見書が求めた財政上の特段の配慮を、政府が怠ってきたことの表れであり、国民の裁判を受ける権利(憲法32条)を実質化する責務を果たしてこなかったと評されるものである。政府が、「安心安全な社会」を目指すのであれば、国民の身近にあって、利用しやすく、頼もしい司法を全国各地で実現すべく司法予算の増大を図らなければならない。
2 近年、家事事件は一貫して増加し、調停事件は多様化、複雑化が進み、面会交流事件でも困難な事件が増加している。また、成年後見事件の激増は誰の目にも明らかである。
裁判官や書記官は、本来行うべき申立内容の確認や後見業務の打合せなどを参与員に依頼するなど、多忙を極めている。裁判官、書記官及び職員の増員や家庭裁判所調査官の活用などの人的側面、調停室・待ち合わせ室等の増設や裁判所支部、家庭裁判所出張所の新設及び復活、家庭裁判所出張所の機能拡充など物的側面について抜本的強化が必要である。特に、家庭裁判所関連の予算については、飛躍的な拡充が必要不可欠である。
3 一方で、家庭裁判所以外の司法予算が減少に転じていることも問題である。なるほど、消費者金融事件・破産事件の減少等によって、地方裁判所などの取扱事件数は減少している。しかしながら、元々裁判官の勤務の過酷さは異常な状態であり、事件数の減少があったとしても、その異常さが解消されるまでには至っていない。そのために、過払金返還請求事件など定型の訴訟を除き、審理時間が逆に長期化しているものもある。
また、書記官やその他裁判所職員への権限の大幅委譲がなされているため、書記官らの繁忙さは激化の一途を辿っている。地方裁判所等の予算について現在も大幅な増加が必要な状態は変わっていないのである。
さらに、各地で強い要望が上がっている労働審判や裁判員裁判を実施できる支部の拡大や廃止された支部の復活、裁判官の常駐など、国民の強い要望のある基盤の整備を必要とする点からも、司法予算の増大は大きな課題である。
4 国家財政が悪化している現状においては、司法予算を大幅に増加することは難しいとの意見がある。しかし、もともと司法予算があまりにも小さかったため、司法の使い勝手が悪く、その改善を図るべく、小さな司法から大きな司法を目指し、司法制度改革審議会意見書の提言がなされたのである。国民の裁判を受ける権利の実質化・充実化のためには、国家財政の増減にかかわらず司法予算の増加を図らなければならない。最高裁判所においても、限られた予算の範囲でやりくりするのではなく、今よりはるかに多い司法予算が必要であることを社会に向かって大きく訴えるべきである。
5 新潟県に限ってみても、南北に長い海岸線を有する広大な県であり、かつ、全国有数の豪雪地帯を抱えているという地域の特性に見合った裁判所の人的物的施設の整備は図られてこなかった。
まず、裁判を受ける権利の実質的保障に悖るものとして、昭和63年には巻簡易裁判所・小千谷簡易裁判所が廃止され、平成2年5月には新潟地方・家庭裁判所村上支部、六日町支部、柏崎支部、糸魚川支部の4支部が廃止された。それに伴い、家庭裁判所出張所が新設され、家庭裁判所支部廃止の代替措置として出張事件処理を行うこととなったが、事件処理は全く行われず受付業務のみである。その他の事務は、村上出張所については新発田支部で、南魚沼出張所及び柏崎出張所については長岡支部で、糸魚川出張所については高田支部で行われている。かかる取扱いが地域住民の司法アクセスへの物理的・心理的障がいとなっている事実はいうまでもない。一方、従来から存在する新潟家庭裁判所十日町出張所では、調停、審判、少年事件等の取扱いが実施されている。同じ出張所でありながら、その取扱いの差異についての根拠や理由が示されていない。
さらに、県内の裁判員裁判、労働審判手続、行政訴訟事件については、新潟地方裁判所本庁のみの扱いであり、かつ、簡易裁判所の刑事を除く判決に対する控訴事件は、全て新潟地方裁判所本庁でしか扱われていない。合議事件についても、新発田支部、佐渡支部、三条支部の合議事件は、本庁で扱うこととされている。そこで、当会は、平成23年2月の臨時総会にて「裁判所支部の充実を求める決議」を採択し、同25年2月の臨時総会では「新潟地方裁判所、家庭裁判所の村上支部、柏崎支部、南魚沼支部、糸魚川支部、十日町支部の設置の実現に向けた決議」を採択した。続けて、同年11月には、地元国会議員、市長、村長、地方議員や多数の地域住民等が参加した「日弁連地域司法キャラバンin柏崎」を実施するなど、活発な運動を展開してきた。こうした運動によって、県内の裁判所体制の実情に対する地域住民の理解を深めることができただけでなく、現実に地域司法の充実を望む地元住民の声が数多く寄せられた。このような地域司法の充実を望む地域住民の声を十分に反映させ、人的物的施設の拡充を実現していくためにも、司法予算の大幅増額が必要不可欠である。
以上から、最高裁判所においては、まず平成27年度から大幅な司法予算の増額を要求すべきであり、財務省あるいは政府においては、それを受けて大幅な司法予算の増加を認めるべきである。
2014年(平成26年)10月7日
新潟県弁護士会 会 長  小 泉 一 樹

「特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施に関し統一的な運用を図るための基準(仮称)(案)」に対する意見書
2014年(平成26年)8月24日 内閣官房特定秘密保護法施行準備室「意見募集」係 御中 新潟県弁護士会 会長 小 泉 一 樹 〒951-8126 新潟市中央区学校町通1番町1番地 電話(代表) 025-222-5533 FAX  025-223-2269 「特定秘密の指定及び… 続きを読む ?

集団的自衛権の行使等を容認する閣議決定に抗議し撤回を求める会長声明
本年7月1日、政府は、集団的自衛権の行使等を容認する閣議決定を行った。
集団的自衛権の行使は、日本が武力攻撃をされていないにもかかわらず、他国のために戦争をすることを意味し、戦争をしない平和国家としての日本の国の在り方を根本から変えるものである。
日本が集団的自衛権を行使すれば、日本は中立国から交戦国となる。日本国内の全ての基地や軍事施設が攻撃目標となりうるが、軍事施設に限定して攻撃することは現実的には困難であるから、広く民間にも被害が及ぶこととなる。さらには全面的な戦争へと発展し、被害が日本全土に及ぶことも危惧される。
集団的自衛権の行使は、本来、憲法第9条の下で容認される余地は全くない。それ故に、集団的自衛権を行使することは憲法上許されないということが長年にわたって繰り返し確認され、政府の憲法解釈として確立されてきたのである。
このような憲法の基本原則に関わる重大な変更を、国会においても、国民の間でも十分に議論されることのないまま、一内閣の閣議決定という政府の判断で行うということは、憲法により国家権力を制限することで人権保障を図るという立憲主義に根本から違反し、憲法の存在意義を失わせるものであり、断じて許されない。
歴代の政府は、「我が国に対する武力攻撃の発生」を自衛権行使の1要件として位置づけてきたが、本閣議決定はこれを、「我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること」という文言に置き換えている。これは極めて幅の広い不確定概念である上、その判断を政府に委ねているのであるから、時々の政府によって恣意的な解釈がされる危険性が極めて大きく、限定や歯止めとして機能することは期待しえない。
さらに、本閣議決定は、集団的自衛権の行使を容認するにとどまらず、国際平和協力活動の名の下に自衛隊の武器使用と後方支援の権限拡大を図ろうとしている点も看過できない。
日本が過去の侵略戦争への反省の下に徹底した恒久平和主義を堅持することは、日本の侵略により悲惨な体験を強いられたアジア諸国の人々との信頼関係を構築し、武力によらずに紛争を解決し、平和な国際社会を創り上げる礎になるものである。
集団的自衛権の行使等を容認する本閣議決定は、立憲主義と恒久平和主義に反し、違憲であり無効である。この閣議決定に基づく自衛隊法、いわゆる周辺事態法やPKO協力法等の法改正も当然に許されない。
当会は、本閣議決定に対し強く抗議し、その撤回を求めるとともに、本閣議決定に基づく今後の関係法律の改正等が憲法に違反し許されないことを明らかにし、これを阻止するために全力を尽くす決意を表明するものである。
2014年(平成26年)7月2日
新潟県弁護士会会長 小泉一樹

行政書士法改正に反対する会長声明
日本行政書士会連合会は、行政書士法を改正して、「行政書士が作成することのできる官公署に提出する書類に係る許認可等に関する審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立てについて代理すること」を行政書士の業務範囲とすることを求め、そのための運動を推進している。その結果、行政書士法の一部を改正する法律案が本年6月13日衆議院本会議において可決され、今後参議院での審議が予定されている。
しかし、以下に述べるとおり、上記業務を行政書士の業務範囲に加えることは国民の権利利益の擁護を危うくするおそれがある。既に、日本弁護士連合会が2012年(平成24年)8月10日に会長声明で反対の立場を表明したのを始め、複数の単位弁護士会が会長声明で反対の立場を表明しているところであるが、当会もここに反対の意見を表明する。反対の理由は、以下のとおりである。
第1に、行政書士の主たる業務は、行政手続の円滑な実施に寄与することを主たる目的とした、行政庁に対する各種許認可関係の書類を作成して提出するというものである。他方、行政不服申立制度は、行政庁の行った違法又は不当な処分を是正し、国民の権利利益を擁護することを目的とする。行政手続の円滑な実施に寄与することを目的とする行政書士が、行政処分について是正を求めるということは、職務の性質上、本質的に相容れない。
第2に、行政不服申立ての代理人を務めるに当たっては、行政訴訟の提起を十二分に視野に入れる必要があるため、行政訴訟を含めた高度な専門性と慎重かつ適切な判断が不可欠であるところ、この点において行政書士の能力担保は十分とはいえない。法的紛争の初期段階において最終的な訴訟段階での結論まで見据えた対応を行わなければ、国民の権利利益を害するおそれが強い。
第3に、行政書士については倫理綱領が定められているものの、その内容は当事者の利害や利益が鋭く対立する紛争事件の取扱いは前提となっていない。行政不服申立ては、国民と行政庁が鋭く対立するのであるが、行政書士においてこのような紛争事件を取り扱うだけの職業倫理が確立しているとはいえない。
第4に、行政書士は都道府県による監督を受けるのであり、この点でも、国民と行政庁が鋭く対立する行政不服申立の代理をすることは相当でない。
第5に、仮に行政書士の業務範囲に行政不服申立ての代理権を含めたとしても、その活動分野は限定されることが予想され、影響は小さいとの指摘がある。しかし、国民の権利利益自体に関する問題を活動分野の大小で計ること自体が相当でない。
第6に、弁護士は、出入国管理及び難民認定法、生活保護法、精神保健及び精神障がい者福祉法に基づく行政手続等において、実際に、行政による違法・不当な処分から国民を救済する実績を上げている。国民の権利利益の擁護を危うくするおそれがあるにもかかわらず、あえて行政書士法を改正して行政書士の業務範囲を拡大するべき必要性はない。
以上のとおり、当会は、行政書士法の改正による行政不服申立代理権の付与に強く反対するものである。
2014年(平成26年)6月17日
新潟県弁護士会  会長 小泉 一樹

憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認に反対する総会決議
政府はこれまで、憲法第9条の下における自衛権の行使について、我が国に対する急迫不正の侵害が存在し、これを排除するために他の適当な手段がない場合において、必要最小限度の実力行使に限って許容されるものであって、いわゆる集団的自衛権(自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利)の行使は、その範囲を超えるものとして憲法上許されないとする解釈を一貫して維持してきた。
ところが、今般政府は、安倍晋三首相の私的懇談会である「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」の報告を受け、閣議決定により従来の政府解釈を変更し、集団的自衛権の行使を容認する方針を打ち出している。集団的自衛権の行使を容認するということは、日本が直接攻撃されていない状況の下で自衛隊が外国に対する攻撃を行うことを認めるということを意味する。
現憲法は、かつて戦争と軍事力により多大な国民的犠牲が払われたことに対する深い反省を基に、徹底した平和主義を基本原則とし、その前文で全世界の人々が平和的生存権を有することを確認し、第9条で戦争放棄、戦力不保持及び交戦権否認を定めている。現憲法第9条の下で、日本が集団的自衛権を行使することが許されると解釈することができないことは明らかであり、だからこそ、前記のような政府解釈が確立されてきたのである。
現憲法は、憲法を国の最高法規と定め、憲法に違反する法律や政府の行為を無効とし(第98条)、国務大臣等の公務員に憲法尊重擁護義務を課している(第99条)。これらの規定は、憲法によって権力に縛りをかける立憲主義の原理に根ざすものである。集団的自衛権行使の可否の問題は、平和主義という憲法の基本原則の変更に関わる問題であり、その決定を、国民的議論に基づく憲法改正手続さえ経ることなく、時の政府の一存で行うことは、立憲主義を真っ向から否定するものであって、到底許されないものである。
よって、当会は、政府が閣議決定により憲法解釈を変更し、集団的自衛権の行使を容認しようとすることに対し、日本国憲法が立脚する恒久平和主義、立憲主義に明らかに反するものとして、断固反対する。
2014年(平成26年)5月23日
新潟県弁護士会定期総会

憲法記念日を迎えるに当たり集団的自衛権の行使容認に反対する会長声明
本日は、日本国憲法施行から67年目の憲法記念日である。
今、戦後のわが国の平和を支えてきた憲法第9条が、重大な岐路に立たされている。
政府は、安倍晋三首相の私的懇談会である「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)が本年5月の提出を予定している報告書を受け、憲法解釈を変更して集団的自衛権の行使を容認する閣議決定を行おうとしている。
集団的自衛権とは、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利を指す(1981年(昭和56年)5月29日政府答弁書)。集団的自衛権の行使を容認するということは、日本が直接攻撃されていない状況の下で自衛隊が外国に対する攻撃を行うことを認めるということを意味する。
憲法は、前文で平和的生存権の保障を謳い、同第9条において一切の武力の行使・武力による威嚇の放棄、戦力の不保持、交戦権の否認を規定し、徹底した恒久平和主義の基本原理を表明している。憲法第9条の下で、わが国が集団的自衛権を行使することが許されると解釈することができないことは明らかであり、だからこそ、「憲法は集団的自衛権の行使を禁止している」という政府解釈が長年の国会審議を経て確立されてきたのである。
安保法制懇は、憲法解釈の変更の必要性について個別事例を想定して議論しているが、想定される事例に現実味があるのか、現行法や警察権、個別的自衛権で対処できる事例もあるのではないか、といった点に疑問をなしとしない。安保法制懇の座長代理は、新聞紙上のインタビューで、「憲法は最高規範ではなく、上に道徳律や自然法がある。(中略)(憲法などを)重視しすぎてやるべきことが達成できなくては困る」と発言しており(本年4月21日付け東京新聞、同日付け中日新聞)、立憲主義への不十分な理解や、国家権力の濫用への無警戒を背景に議論が進められているのではないかという点においても、危惧を感じざるをえない。
最高法規たる憲法によって国家権力を制限しその濫用を防止することで人権を保障するのが立憲主義である。憲法改正によることなく、時の権力者の解釈変更により憲法の基本原則を変容させることは、立憲主義を真っ向から否定し、人権侵害の危険性を高める暴挙であって、到底許されない(当会の2014年(平成26年)3月11日付け「立憲主義を真っ向から否定する内閣総理大臣の発言に抗議する声明」)。
また、近時の政府与党幹部の発言には、集団的自衛権の行使が認められるとする根拠として、砂川事件最高裁判決(最大判1959年(昭和34年)12月16日)を挙げるものもある。しかし、同判決は、旧日米安全保障条約の合憲性が争われた事案において、「憲法9条は、わが国がその平和と安全を維持するために他国に安全保障を求めることを、何ら禁ずるものではない」との結論を採用することの理由を述べる際に、「わが国が主権国として持つ固有の自衛権」に触れたにすぎず、同判決は、集団的自衛権については何も述べてはいない。したがって、同判決を集団的自衛権の行使容認の根拠とするのは無理である。何より、同判決以降も、集団的自衛権の行使は禁止されているという政府解釈が確立されてきたのは前述のとおりである。
憲法前文及び第9条の徹底した恒久平和主義の下では、軍事力によらない平和的方法による安全保障政策がどこまでも追求されるべきである。 集団的自衛権の行使容認は、政府がいかに、「必要最小限度」の実力行使にとどめるとか、行使の場面を「放置すれば日本の安全に重大な影響が出る場合」などに限るといった「限定的容認論」を標榜したとしても、他国の戦争のためにわが国の自衛隊を地球の裏側にまで派遣する途を切り拓くものにほかならない。
当会は、立憲主義に反し、将来、前途ある若者を世界各地の戦場に送り出す事態を引き起こしかねない、憲法解釈変更の閣議決定による集団的自衛権の行使容認には、断固反対する。
2014年(平成26年)5月3日
新潟県弁護士会 会長 小 泉 一 樹

袴田事件再審開始決定に対する検察官の即時抗告に抗議する会長声明
1966年(昭和41年)6月、静岡県清水市(現静岡市清水区)の味噌製造会社専務宅で一家4名が殺害された強盗殺人・放火事件(いわゆる袴田事件)の第二次再審請求審で、静岡地方裁判所は、2014年(平成26年)3月27日、再審を開始し、死刑及び拘置の執行を停止する決定をした。
ところが、静岡地方検察庁の検察官は、同年3月31日、再審開始決定を不服として東京高等裁判所に即時抗告した。
再審開始決定は、弁護人が提出したDNA鑑定関係の証拠について、確定判決が有罪認定の最有力証拠とした5点の衣類が、袴田氏のものでもなく、犯行着衣でもなく、捜査機関によってねつ造されたものであったとの疑いを生じさせるものであると指摘し、「国家機関が無実の個人を陥れ、45年以上にわたり身体を拘束し続けたことになり、刑事司法の理念からは到底耐え難いことといわなければならない」、「無罪の蓋然性が相当程度あることが明らかになった現在、これ以上、袴田(氏)に対する拘置を続けることは、耐え難いほど正義に反する状況にある」として、再審の開始のみならず、拘置の執行を停止するという画期的判断を行った。
これにより、袴田氏は1966年(昭和41年)8月の逮捕以来約47年ぶりに釈放されたが、半世紀近くにもわたり死刑執行の淵に立たされて続けてきたその心情は想像を絶するものであり、筆舌に尽くし難い。
わが国は、1980年代に免田事件、財田川事件、松山事件、島田事件といった死刑確定判決に対する再審無罪事件を経験した。このとき平野龍一博士は、「わが国の刑事裁判はかなり絶望的である」と断じ、このような痛切な経験が今日の刑事司法改革につながっているはずであった。
また、2009年(平成21年)から発生したいわゆる厚労省元局長無罪事件、同事件の主任検察官による証拠隠滅事件、その上司であった元大阪地検特捜部長及び元同部副部長による犯人隠避事件を受けて当時の法務大臣が設置した「検察の在り方検討会議」では、検察官の基本的使命・役割として、「検察官は『公益の代表者』として、有罪判決の獲得のみを目的とすることなく、公正な裁判の実現に努めなければならない」旨が提言された。さらには、同会議の提言を受けて最高検察庁が策定した「検察の理念」においても、「刑罰権の適正な行使を実現するためには、・・・あくまで真実を希求し、知力を尽くして真相解明に当たらなければならない。」とし、「無実の者を罰し、あるいは、真犯人を逃して処罰を免れさせることにならないよう、知力を尽くして、事案の真相に取り組(み)」「被疑者・被告人等の主張に耳を傾け、積極・消極を問わず十分な証拠の収集・把握に努め、冷静かつ多角的にその評価を行う」という姿勢が求められたはずである。
しかるに、今回の検察官の即時抗告は、検察が「公益の代表者」としての立場を依然として全く自覚していないことを如実に示すものである。 今、袴田事件で、検察官がなすべきは、裁判を引き延ばすことではなく、再審公判で全ての証拠を開示して事件の真相を明らかにすることであり、それこそが国民から付託された「公益の代表者」としての責務である。
当会は、静岡地方検察庁の検察官が行った今回の即時抗告に強く抗議するとともに、検察官に対し、即時抗告を直ちに取り下げ、一刻も早い再審の審理開始に協力するよう強く求めるものである。
また、当会は、袴田氏が早期に無罪となることを強く願うとともに、このような悲劇が二度と繰り返されることのないよう、取調べ全過程の可視化や全面的証拠開示をはじめとするえん罪防止のための制度改革の実現を目指して、今後も全力を尽くす決意である。
2014年(平成26年)4月8日
新潟県弁護士会 会 長 小 泉 一 樹

新潟大学法科大学院の募集停止に関する会長談話
会 長 談 話
新潟大学大学院実務法学研究科(以下、新潟大学法科大学院という)は、本年3月17日、平成27年度からの入学者の募集停止を発表した。
新潟県弁護士会は、平成13年4月1日、新潟大学との間で新潟大学法科大学院における連携・協力に関する協定書及び覚書を取り交わし、平成15年3月1日には、法科大学院特別委員会を設置するなどして、新潟大学法科大学院への実務家教員の派遣、臨床法学科目リーガル・クリニックの実施の支援を行い、法科大学院生に対する独自の奨学金制度の創設と運営にも協力してきた。
新潟大学法科大学院は、「地域住民のニーズに即したリーガルサービスを着実に提供できる、地域住民の信頼と期待に応え得る法曹を養成すること」を教育理念としており、設立後10年が経過した今日まで合格した者の多くが当会に入会して弁護士となり、新潟県民の法的ニーズに応えるために様々な分野の活動に積極的に参加し、人権擁護の分野でも活躍している。たとえば、当会は司法過疎解消のため、ひまわり基金法律事務所を開設し、法律事務所新設等の活動を行ってきたが、新潟大学法科大学院を卒業生した若手弁護士はその先頭にたってきた。新潟大学法科大学院が地域司法の拡充に果たしてきた役割を考えると、このたびの募集停止は残念と言わざるをえない。
新潟大学法科大学院がやむなく募集停止に至った背景には法曹志願者の激減がある。その原因として、法科大学院構想が立ち上がった時、国は法科大学院の設置数・配置・定員等について適正な制度設計を描けず、地域適正配置の理念も無いまま、あまりにも多くの法科大学院の設立と定員を認めたことにある。それとあいまって、国は国民の法的需要に見合わない急激な弁護士増加政策をとったことにより、司法試験に合格しても就職できない者が急増している。また、法曹になるまでの経済的負担とリスクがあまりにも大きく、そのことも法曹を魅力のないものとしている。司法試験に合格しても就職先が無く、また司法修習生の給費制が廃止されたことにより、大学卒業後の法科大学院及び司法修習における学費や生活費を奨学金(借金)により賄わざるを得ないことから、一人当たりの経済的負担は数百万円から一千万円にのぼっているのが実情である。
このままでは、司法を担う有能な人材の養成が困難となり、ひいては社会の法的ニーズに応え国民の人権擁護という司法の使命を十分に果たせなくなる可能性がある。特に、法科大学院は地方都市や司法過疎地で働く人材を養成することも重要な目的の一つとして設置されたものである。弁護士も医者と同様に都市部に集中し、地方や過疎地域では不足しているのが現実であるが、この現実を打破して司法過疎地に定着して過疎解消の役割を担う弁護士を養成し排出してきたのが新潟大学法科大学院のような地方法科大学院である。このままでは新潟大学法科大学院のような地方法科大学院の募集停止が続くことは必至であり、そうならば地方で働く有能な弁護士を確保できなくなり、都市部と地方の司法サービスを受ける格差は広がるばかりである。司法の恩恵を国の隅々に行き渡らすためにも、地方の活性化のためにも、法科大学院の地域適正配置は絶対に必要である。
新潟大学法科大学院のこれまでに果たしてきた役割を考えるならば、国は募集を再開しうるような対策をとるべきである。すなわち、第一に弁護士人口の急激な増加政策をやめて法曹需要にみあった増加政策をとり、当面は司法試験合格者数を2000人から1500人程度に減少すべきである。第二に法曹希望者の経済的負担を減少させるために少なくとも司法修習生の給費制を復活させ、法科大学院生の奨学金の一部返還免除制度等の経済的支援の政策を実施すべきである。第三に司法過疎解消や地方の活性化をはかるため、中央の私立法科大学院等の定員を大幅に削減する等して、法科大学院の適正配置の具体的な施策を実施し、地方旧国立大学法科大学院の存続を図るべきである。
2014年(平成26年)3月31日
新潟県弁護士会 会 長 味 岡 申 宰

生活保護法施行規則の一部を改正する省令(案)の全面的見直しを求める会長声明
厚生労働省は、「生活保護法施行規則の一部を改正する省令(案)」を発表し、現在、パブリックコメントを募っている(3月28日締切り)。しかし、この省令案は、第183回及び第185回国会における政府答弁および参議院厚生労働委員会附帯決議を含む国会審議の内容を無視するという、一省庁として許されない内容を含んでいる。それは、これまでも問題となっている違法な水際作戦を助長誘発し、餓死者を生じさせるという重大な影響を及ぼすおそれの大きなものである。その問題点は、下記に述べる通りである。
すなわち、 国会において、政府は、改正生活保護法24条1項について、申請書の提出は従来どおり申請の要件ではないことを法文上も明確にするために、本文の表現を修正するとともに、ただし書を設けるという法文修正を行った旨答弁している。
また、参議院厚生労働委員会附帯決議は、政府に対し、「申請行為は非要式行為であり、…口頭で申請することも認められるというこれまでの取扱い…に今後とも変更がないことについて、省令、通達等に明記の上、周知する」ことを求めている。
ところが、省令案では、「保護の開始の申請等は、申請書を…保護の実施機関に提出して行うものとする」として、申請書の提出が申請の要件であり、口頭申請は原則として認められないとの誤解を招く内容となっており、上記政府答弁や同附帯決議に明らかに反している。
さらに、省令案は、「ただし、身体上の障がいがあるために当該申請書に必要な事項を記載できない場合その他保護の実施機関が当該申請書を作成することができない特別の事情があると認める場合は、この限りではない」として、口頭申請が認められる場合が身体障がい等の特別の事情のある場合に限定され、かつ、その有無の判断が保護の実施機関に委ねられるかのような内容となっており、そのような限定を加えていない、生活保護手帳別冊問答集2013(問9-1)に示された現在の運用よりも後退した内容であることが明らかである。
また、国会においては、改正生活保護法24条2項には、保護の要否判定に必要な書類の提出について、これまでの取扱いに変更がないことを明確にするためにただし書を設けるという法文修正が行われるとともに、「要否判定に必要な資料の提出は可能な範囲で保護決定までの間に行うというこれまでの取扱いに今後とも変更がないことについて、省令、通達等に明記の上、周知する」との前記附帯決議がなされた。にもかかわらず、省令案には、この点に関する記述が一切存在せず、法文修正の趣旨に関する政府答弁や同附帯決議に反している。
さらに、政府は、改正生活保護法24条8項、28条、29条について、福祉事務所が家庭裁判所を活用した費用徴収を行うこととなる蓋然性が高いと判断するなど、明らかに扶養が可能と思われるにもかかわらず扶養を履行していないと認められる極めて限定的な場合に限ることにし、その旨厚生労働省令で明記する予定である旨、繰り返し答弁を行っていた。にもかかわらず、省令案では、原則として通知や報告要求を行い、「保護の実施機関が、当該扶養義務者に対して法第77条第1 項の規定による費用の徴収を行う蓋然性が高くないと認めた場合」等に例外的に通知等を行わないものとしている。これは、原則と例外を完全に逆転させるものであって、上記政府答弁に全く反している。
当会は、2013年(平成25年)5月29日付「生活保護法の一部を改正する法律案」の廃案を求める会長声明」、同年10月24日付「改めて生活保護法改正案の廃案を求める会長声明」を公表し、繰り返し改正生活保護法の問題点を指摘してきた。 国会においても、同様の問題点が指摘され審議された結果、上記の答弁及び附帯決議がなされたものであって、今回の省令案は、国会審議を無視するものである。
よって、今回の省令案を政府答弁や附帯決議に即した内容にするよう直ちに修正することをつよく求めるものである。
2014年(平成26年)3月25日
新潟県弁護士会 会長 味 岡 申 宰

立憲主義を真っ向から否定する内閣総理大臣の発言に抗議する声明
1 安倍内閣総理大臣の発言 安倍晋三内閣総理大臣は、2月5日の参議院予算委員会において、憲法改正の手続きによらず解釈の変更によって集団的自衛権の行使を容認することが可能であるかとの質問に対し、「政府が適切な形で新しい解釈を明らかにすることによって可能であり、憲法改正が必要だという指摘は、これは必ず… 続きを読む ?
「特定秘密の保護に関する法律」の廃止を求める決議
1 去る2013年(平成25年)12月6日、「特定秘密の保護に関する法律」が成立し、成立後1年以内に政令等を整備した上で施行することとなった。
2 しかし、同法に対しては、法案審議前より、報道の自由や国民の知る権利を始めとする基本的人権を侵害し、民主主義・国民主権を著しく形骸化させる危険があると、多方面から指摘されていた。成立した法律に基づき指摘すれば、以下のとおりである。
① 秘密の範囲が広範かつ不明確に過ぎること(第3条1項、別表)
② 秘密の指定、指定の期間、指定の解除の適正さを担保する第三者機関によるチェックの機会がないこと(第3条、第4条)
③ 秘密の漏えい行為及び取得行為に対し重い罰則を課すことで(第23条、第24条)、情報収集活動に過度の萎縮効果をもたらし、国政に関する「国民の知る権利」を侵害する危険性が高いこと
④ 秘密取扱者に対する「適性評価制度」の導入により、プライバシー侵害や思想信条による差別の危険性が生ずること(第12条、15条)
まさに、「役所が秘密と決めたら、国民には見せない聞かせない触れさせない」という法律と言わざるを得ない。
3 このように、「特定秘密の保護に関する法律」はその運用によっては、国民にとって重要な情報を半永久的に隠蔽してしまう危険が高い。またそれだけでなく、この法律が国会議員の活動や刑事裁判手続にも適用されることから、行政権による特定秘密の独占が立法権や司法権の活動をも侵害し、もって三権分立を脅かす危険が大きいと言わざるを得ない。
そもそも、過去15年間に発生した5件の公務員による主要な情報漏えい事件はいずれも既存の法律で対処してきたことは政府も認めてきたところであり、あえて新しい法律を作るべき立法事実があるのか、強い疑問が出されていた。
また、政府による秘密の指定と人権保障とのバランスに関する国際基準として、「国家安全保障と情報への権利に関する国際原則」(いわゆるツワネ原則)がある。「国民には政府の情報を知る権利がある」ことを原則に「防衛計画や兵器開発、諜報機関など限定した情報のみ非公開とすることができる」というこの原則に照らせば、「特定秘密の保護に関する法律」は、国際水準を大きく逸脱したものと言わなければならない。
4 なお現在、政府は、秘密の範囲が広範囲かつ不明確でチェック機能もないとの批判に応える形で、政令等により、「保全監視委員会」「情報保全監察室」「独立公文書管理監」「情報保全諮問会議」などをつくりその批判を払拭したいとしている。
しかし、「保全監視委員会」「情報保全監察室」「独立公文書管理監」については、いずれも行政から独立した公正中立な第三者機関とは言い難く、また、「情報保全諮問会議」については、指定された秘密の内容を検証できないなど十分な権限を有しておらず、その実効性は強く疑われるところである。
5 以上のとおり、「特定秘密の保護に関する法律」の根本的な問題点は下位法である政令等で改善されることは期待できない。
よって、総会決議や会長声明の発出、地元国会議員への働きかけ、緊急市民集会の開催、新潟市内での連日の街頭宣伝など、これまで「特定秘密の保護に関する法律」の問題点を広くアピールする活動を積み重ねてきた当会としては、「特定秘密の保護に関する法律」については、施行することなく直ちに廃止するよう求めるものである。 右決議する。
2014年(平成26年)2月28日
新潟県弁護士会臨時総会

特定秘密保護法案の参議院での強行採決に抗議する会長声明
政府は、昨日、参議院において特定秘密保護法案の強行採決を行った。本法案は、衆議院で修正されたものの、その本質は全く変わっておらず、秘密保護の名の下に、国民の知る権利や報道の自由を侵害し、わが国の自由と民主主義を否定するものである。さらには憲法で定められている両議院の国政調査権さえも制限するなど、行政に対する国会の民主的なコントロールを骨抜きにしかねない。
そもそも本法案は、その作成の時から秘密裏に行われてきたものであり、国民だけでなく国会議員さえも法案の内容を知らされてこなかった経緯がある。そして、本法案の内容とその問題点が広く国民に報道されるようになったのはごく最近になってからのことである。国民のなかで法案の内容と問題点を知る人たちが増加するにつれ、アンケート調査でも国民の多くが反対し、多数の著明な法学者、科学者、作家、映画人、ジャーナリスト、弁護士やそれらの団体、労働組合、市民団体等、国民の各界各層から反対意見が続々と出され、また、圧倒的多数の国民が国会における慎重審議を求めていた。
新潟県弁護士会も、平成24年5月に本法案の前身である秘密保全法制定に反対する総会決議を行い、2回にわたり法案に反対する会長声明を発し、市民集会、メディアとの懇談会、街頭宣伝、国会議員要請等を行ってきた。
しかし、政府は、衆議院と同様に参議院においても数を頼んで強行採決を行った。国民は、与党に全てを白紙委任したものではない。多くの反対意見が出されており、圧倒的多数の慎重審議を求める国民の声を無視し、国会の多数を頼んで強行採決を行ったのは、許しがたい暴挙と言わなければならない。
新潟県弁護士会は、ここに会長声明を発し、本法案の強行採決に強く抗議するものである。
2013年(平成25年)12月7日
新潟県弁護士会 会長  味 岡 申 宰

参議院での徹底審議を求める緊急談話
政府は、12月5日、福島瑞穂議員に対し、「特別秘密の保護に関する法律案[逐条解説]」(以下、「逐条解説」という)なる文書を開示した。
同文書は、政府部内で秘密保護法案を検討している際にその逐条解説として作成されたものと思われ、そこに記載されている法案は国会に提出された法案とは異なる点も多いが、共通する部分も少なくない。
例えば、別表第2号について、「我が国の安全保障等に係る重要施策の方針」については、「我が国の安全保障等にとって望ましい同盟国等との関係構築に向けた外交戦略等が挙げられる」との記載がある。これは現法案別表2号「外国の政府又は国際機関との交渉又は協力の方針又は内容のうち国民の生命及び身体の保護、領域の保全その他の安全保障に関する重要なもの」と酷似したものである。
ところで、政府はTPP交渉に関する情報については2号該当性がないとの答弁も行っている。しかし、逐条解説を前提とすると、例えばTPP交渉に関する情報も、安全保障等にとって望ましい同盟国等との関係構築に向けた外交戦略として2号該当性が認められかねない。
つまり、重要な点において逐条解説と政府答弁との間に矛盾があるということであり、その他の項目においても逐条解説と政府答弁との間に齟齬が生ずる可能性は否定できない。
このように政府部内において作成された文書と政府答弁との間に明らかな齟齬が見つかった以上、参議院において、それらの齟齬が生じた経過などについてさらなる審議を尽くす必要があることは明白である。
また、政府は、逐条解説という極めて基本的かつ重要な資料を採決間際まで公開せずに、国会で審議を進めてきたのであり、国会軽視も甚だしい。逐条解説を公開して審議していれば、法案の問題点はもっと深く審議できたはずである。
少なくともこのような重要な文書の存在が明らかになった以上、さらに審議を尽くすことが必要であり、参議院での強行採決を行うなど言語同断である。
参議院での強行採決をしないよう強く求める。
2013年(平成25年)12月6日
新潟県弁護士会 会長  味 岡 申 宰

改めて生活保護法改正案の廃案を求める会長声明
本年10月15日、臨時国会の開催に伴い、「生活保護法の一部を改正する法律案」(以下「新改正案」という。)が閣議決定された。
当会は、本年5月29日、「生活保護法の一部を改正する法律案」(以下「旧改正案」という。)について、「「生活保護法の一部を改正する法律案」の廃案を求める会長声明」を公表し、①違法な「水際作戦」を合法化し、②保護申請に対する一層の萎縮的効果を及ぼすなど看過しがたい重大な問題があることから、その廃案を求めた。旧改正案については、批判の高まりの中、与野党協議により一部修正されたものが衆議院で可決されたが、本年6月26日の第183回通常国会の閉会に伴い廃案となった。

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