米上院は7月29日の本会議で、沖縄県の尖閣諸島をめぐる中国の挑発行為などをけん制する「アジア太平洋における海洋問題の平和的解決を支持する決議案」を全会一致で可決した。決議案は2013年6月10日、民主党のメネンデス外交委員長ら超党派議員により提出されたもので、6月25日に外交委員会で、そして今回29日に本会議で、いずれも全会一致で可決された。 決議では、アジア太平洋地域の安定が、米国の国益に直結するとの立場から、すべての当事国に対し問題の平和的解決を求めている。特に念頭にあるのは中国で、尖閣諸島を含む東シナ海や南シナ海で活発な活動を繰り広げていることを指摘、また具体的な事例として、2013年に起こった海上自衛隊艦船への「レーダー照射」事件、尖閣諸島周辺での中国艦船・戦闘機による威嚇行為、このほかベトナム・フィリピンとの間の領土問題などが挙げられた。表面的には日本を含む関係各国に向けた内容だが、事実上中国を狙い撃ちにする形で自重・自制を促すものと言っていい。上院の決議は、議会としても中国の挑発行為を憂慮していると表明する狙いがある。
この決議に対し、中国では裏切り行為とか手のひらがえしとか非難ごうごうだが、それは中国の勝手な思い込みに問題がある。まさに小生の先般ブログ、韓国外交破綻へ一直線記述の中国版である。そもそもオバマは中国を相手にしていない。経済は経済だと割り切っている。中国の経済発展即大国化という意識は自己満足であって、第二次大戦の戦勝国といっても、国としては負け続け、米国の尻にくっついていただけ。戦後の経済発展にしても米欧、特に日本の援助なしでは破綻もあったという共産国家。わがまま放題を許容してやって今日があると考えている米と中国の考えには大きな乖離がある。以前、国民の民度と、国の格というテーマを考察したことがあるが、米の中国に対する国としての扱いはかなりひどいものだ。少なくとも一流国に対するものではない。オバマ個人の黒人大統領としての考えと米国大統領としての考えにどれだけの差違があるかはわからないが、訪日の際の天皇陛下との謁見の際の儀礼をみると国家の格については厳格な意識があるようだ。米韓首脳会談における送迎。米中首脳会談における送迎。これがすべてを物語る。いくら新参の周とはいえ本来であればワシントンホワイトハウスであろう。しかしわずか10年や20年の成金国家。従前ところりとはかえられない。内容は事務方でだいたいつめてある。たいした内容ではない。そこで米はワシントンを外しローカル2日の日程を組んだというわけだ。会談には周は夫人同伴。にもかかわらずオバマは夫人を呼ばなかった。失礼といえば失礼な話だ。また会談中、周の日本非難の話になると、その話はいい。日本とは同盟国だということを忘れては困ると、周の発言を遮ったという。少なくとも相手の話を全部聞いてからの発言でなければ失礼であろうが、あえて遮ったという。問題はそれが全部オープンになっているということだ。米は中国を完璧に格下扱いしたのである。中韓及び日本のマスコミも米中首脳会談大成功報道であったが、その現実たるやまことに寂しいものであった。普通ならここで米の中国に対する考え方、姿勢はわかるはず。だが中国はまさに韓国と同じくこれがわからなかったのだ。
もともとオバマは日本のマスコミがいう親中でではない。国務長官であったクリントンと中国が会談の際、尊大中国がハワイだって中国の領土だと主張できるのだと言ったとき、やれるものならやってみなと言ったとか言わなかったとか。まあこんな関係であった。ちなみにこのクリントン米国務長官のハーバード大学での演説文が広く拡散されている。実はこの演説内容ソース的に少し問題があるのだが、米国の中国人に対する標準的なみかたとしてなるほどと納得できるものがあるのでコピペしてみた。内容は実に強烈である。
「 移民申請の状況から見て、中国9割の官僚家族と8割の富豪がすでに移民申請を出した。またはその意向がある。一国家の指導層と既得権益階級がなぜ自国に自信をなくすのか理解しがたい。また、中国人は社会の個体として、国家と社会に対して負うべき、責任と義務がわかっていない。国際社会に対して負うべき責任はなおさら分かっていない。受けた教育或いはメディアの宣伝はほとんどが憎しみと他人または他国を歪曲した内容で、人々の理性と公正な判断力を失わせる。さらに、中国は世界で数少ない信仰のない恐ろしい国で、全国民が崇拝するのは権力と金銭のみだ。利己的で愛心のない、同情心を失った国家が国際社会の尊重と信頼を得られると思うか?中国政府の所謂政治は人民を騙し人間性に背く以外の何物でもない。人民大衆は過去の権力の奴隷から今は金銭の奴隷に変わった。このような政権がいかに人民の尊重と信頼を得られるか。」大多数の中国人は「面目が立ち」、「尊厳のある生活」とは何か全くわかっていない。 民衆にとっては権力と金銭の獲得が生活の全てで、成功なのだ。全民腐敗、堕落といった現象は人類の歴史上でも空前絶後だ。憚ることのない環境破壊と資源の略奪、贅沢と浪費の生活方式は何個の地球だと供給できるのだろか?他国が危惧するのも当たり前だ。中国政府はいつも民衆の注意力を他国にそらし、敵を造り、自分の圧力を外部に転嫁させようとするが、時代の流れと人類文明の趨勢に従い、自ら変革を起こし、民生に関心を払い、民主を重視し、無責任な抑圧をやめるべきだ。でないと、中国はますます不安定になり、将来大きい社会動乱と人道災難が出現し、20年後 中国は世界で最も貧しい国になるだろう。これは全人類と災難であり、米国の災難でもある。
このあたりでは米中友好の雰囲気などどこにも見られない。当時は米中より日米における解決すべき問題の方が多かった関係もあって、米国は政治的に6ヶ国協議にみられるような中国とはあたらずさわらずのスタンスをとっていたのである。これが中国の「米は中国重視」との誤解をまねいた。そしてこれがずっと続くのである。中国はそのままに、朝鮮半島の整理、韓国切り捨て米軍撤退、日米安保の強化、米軍縮小が米の戦略となる。
2007年、第一次安倍内閣の時代、日米安保で極秘交渉があった。米軍再編成、沖縄問題等公になっている部分以外に、日米の超高官レベルで別途の問題のあたりと、探りがあったのである。日本側からでは、合意に至ったか、文書化されたか、記録に残されたかはまったくわからないが、米側からの情報でその交渉の中身はすべてわかっている。何十年か後に米国公文書館においてみつかる可能性がある。「我々は日本側が一切の記録を残さないことを前提に提案を行う。米国は韓国に対し、過去、現在、将来の各種分析を行った結果、同盟国としては不適格との結論に達した。よって経済的には,スワップの延長停止をはじめとして積極的に関わる援助等は行わないことを決めた。軍事に関しては、最先端軍事技術の供与停止をはじめとして、軍事訓練等もそれを考慮して対応する。来る2012年米韓指揮権委譲後は速やかに在韓米軍の撤退をすすめ、統合司令部だけを残す予定である。その後の北朝鮮侵攻のような事態については、朝鮮戦争勃発当時とは大きく周辺国の状況が変化しているので、韓国の国防力と中国非参戦を考慮すれば米国や日本が巻き込まれることはないと判断している。原則、米国は介入しない方針だ。韓国との原子力協定改定を認めることはない。陰で核開発を進める国に核開発のお墨付きを与えるようなもので論外である。米中ともに朝鮮半島非核化を望んでいる。このままの中途半端な米韓同盟は北朝鮮の核武装を進め、それはIAE脱退による韓国の核武装と必然的に日本の核武装につながる。米国が半島から手を引いて日本とともに第一列島線防衛に専念することは両国にとっても多くのメリットがあると考える。半島は中国の影響を受け韓国は半属国となるであろうが、即、侵攻、占領のパターンは考えにくい。韓国が国として存在するならば中国は北朝鮮と韓国に自国の安全保障上、絶対に核を持たせないであろうから半島は非核化されるであろう。ついては事実上、敵となる韓国と直接向き合い対峙することとなる日本に対し、米国は以下の対応をとる。まず日米安保の密接強化。軍事共同訓練の強化。日本の防衛力強化への協力。また戦後の軍事産業にかかる制限や規制を原則解除、容認、黙認することとする。米国は直接の脅威となりうる原潜と大陸間弾道弾は認めないがそれ以外は注文をつけない。日本の国内事情が許せば、中国に対する抑止力の範囲で核弾頭を売却してもよい。日本が軍備増強し、中国に対する核抑止力を持つことはアジアの平和、世界の平和につながると我々は確信している。日本はこの提案を踏まえて適切な対応をとられたく思う」まさに驚愕メッセージ。これは2007年共和党政権時と思われるが、当時はもちろんのこと、現在であってもこんなものが明るみに出れば国内大混乱となるでしょうな。さて、このメッセージは、中国の封じ込めを一緒にやろうぜといっている。手段として、韓国切り捨てといっている。こんなメッセージが実際にあったのなら、無謀とも思えた安倍の中国に対する毅然たる対決姿勢と、韓国無視の対応は確信であって100%理解できるし、オバマの米韓会談、米中会談も単なるセレモニーだったことになる。約5年の間、このメッセージに対応しているような動きがあったのかを検証してみよう。2012年米軍の指揮権委譲の予定が3年延長され2015年となった。当初は韓国の都合と報道されていたが、実は米の都合であった。2012年には自民党が政権奪還確実と予測されていたので待ったのだ。米軍韓国撤退時、日本の政権が自民党でなければなにかと具合が悪かったのがその理由だ。
艦船の巨大化も目につく。2007年以前はトン数にもヘリ搭載にも制限があり、全通甲板護衛艦など考えられなかったが今や22DDH、24DDHとひゅうがなど約2万トンの実質空母が建造され配備されている。公表されてはいないが26DDHでは3万トンクラスの固定翼戦闘機を艦載する空母になるらしい。だが呼称は護衛艦。潜水艦は原潜は米から不可とのこと。位置を常に明らかにすることを条件にそうりゅう型を容認。基準水中排水量4200トン。世界最大のAIPディーゼル潜水艦である。近海運用であるので、8本のミサイル搭載が可能だ。米の位置確認条件は核搭載時を恐れてと思われる。ロケットをみてみよう。日本は伝統的に開発当初から固体燃料にこだわってきた。世界が液体燃料に切り替えた時代にも巨大なMVロケットを打ち上げていたのである。ところが固体燃料ロケットは実質ミサイルであるので、まさに大陸間弾道ミサイルもどきのMVロケットは製造も研究も、組織もろとも米につぶされてしまったのである。ところがだ。現在はいつの間にか固体燃料ロケットの開発が復活し、まさに仕様は完璧に弾道ミサイルなのだが米はまったくしらんふり。これは前回ブログに書いた。日本人は目的を持たせて自由にやらせるとすさまじい成果を出す。10式戦車もそうであったがこのロケットもそうだ。理論上一人の人間と一台のパソコンで、点検、制御、打ち上げ全部をこなしてしまう。パソコンがもう一台あるのは予備チェック用にすぎない。普通発射台は一回打ち上げると次の打ち上げに一ヶ月はかかる。ところがこのイプシロンロケットはたったの一週間だ。製造組み立ても、共通部品の使用とモジュール化で速い速い。好みの軌道に安い打ち上げ料金ということで、かなりの需要が見込めるという。数字だけのお話だが、一カ所の発射場で月4発打ち上げ、工場で月4発製造組み立て。年間48発。2年間で96発。搭載するのは人工衛星、気象衛星、GPS...核弾頭。あれれ、つくっているロケット本体は何を乗せるかで...。そうです。核弾頭を乗せれば核ミサイルだ。知らんふりは不思議だなあ。全く同じ事象が、見方、とらえ方、背景によって、大変変わるものだ言う観点から、前回記述したブログといくつかダブった事象を取り上げてみた。ところで核弾頭売却なんて話は当時であっても,現在であっても、まさに荒唐無稽と思われるかもしれないが、これは日本の国内事情、つまり憲法改正等で、日本が核武装を決断したときとの条件付きである。また核弾頭売却の根拠は、数年後に米国の約1000発の核弾頭ミサイルが徐々に耐用年数に達する。耐用年数の問題は、ミサイル本体と固体燃料の問題で、核弾頭はそのまま使えるのである。ミサイル解体には金がかかる。核弾頭を新規ミサイルに使えばいいだけの話なのだが新規の予算がない。核弾頭の解体は本体以上に危険で手間と時間と金がかかるので放置せざるを得ないという状況があるのである。売れれば一番いい。売ってもいい国で、買う可能性があるのは日本だけだ。これは共和党政権時の提案だった。だがいくら引き継ぎ条項、また財政難と言っても核拡散防止の音頭取りで核でノーベル平和賞をもらったオバマが間違ってもそんなことはできない。だから今はこっそりこちらを見てるというわけだ。ちなみに、最近、米はロシアに対して1000発核ミサイル廃棄の提案をしたが、ロシアは米の都合かってと怒っているそうだ。
このような流れを中国はまったく理解していない。自分たちは平気で事実を捏造し、騙し、貶めるのにもかかわらず、相手がそうすると、気が狂ったように非難し、許さない。今回の米上院決議は別に中国を騙したわけでも何でもない。中国外交の稚拙さにあきれるばかりである。