テーマ【号外8403】
宇宙の脅威を常時監視せよ
ご要望
(2020年7月28日読売新聞朝刊日米安保60年第三部新たな戦闘領域7より引用)
――宇宙における安全保障環境の変化は。
「冷戦時代、宇宙は米ソ2極構造だった。宇宙システムを利用してお互いの核施設を監視していたので、緊張関係の中で“お互いの宇宙システムは攻撃しない”という暗黙の了解があった。今は、宇宙が多極構造に変化した。60ヵ国以上が衛星を持っており、宇宙の混雑化も加速している。そして、中国やロシアの対宇宙攻撃の脅威が顕在化した。地上からミサイルで人工衛星を破壊する実験や、同一軌道の衛星に接近して攻撃するキラー衛星の実験を繰り返している。GPSに対する電波妨害装置も既に配備している。こうした変化により、暗黙の了解は崩壊し、宇宙が戦闘領域になった。この為、衛星を識別し、脅威を判定して宇宙の状況をリアルタイムで監視していくことが重要になっている」
――日本では今年5月、航空自衛隊に宇宙作戦隊が発足した。
「日本は現在、こうした脅威に対して直接的に対処する能力を持っていない。今後、地上レーダーや宇宙設置型の光学望遠鏡の整備を進めていくが、日本単独では対処できない。アメリカとの連携を強化する必要がある。アメリカは昨年4月、ファイブアイズ(※アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド)とフランス、ドイツの7ヵ国共同で宇宙状況監視(※SSA)に取り組もうという共同声明を発表した。日本もここに参加する必要がある。アメリカ側にとって、極東地域の観測網が一番欠けており、日本の参加は歓迎される。日米では2023年にも、日本独自の測位衛星(※準天頂衛星)にアメリカのSSAセンサーを搭載する。こうした器材の相乗りも重要だ。衛星を攻撃しようとする国は複数国への影響を考慮しなければならなくなり、攻撃をし難くなる。また、軍事面だけでなく、社会システムにも大きな役割を果たしているGPSは、電波妨害の影響を受け易く、脆弱性が指摘されている。GPSが停止した時に準天頂衛星を使えるように整備していくといった具体的な対策を示すべきだ。宇宙と安全保障の両面に精通する人材の育成も課題だ。自衛隊は40年間、ほぼやっていなかった。宇宙で作戦を実行する際の自衛権や集団的自衛権をどう解釈していくのか、法的枠組みを整理する必要もあるだろう」
――宇宙開発の進展と安全保障の関係は。
「宇宙空間は主権が及ばない先着優先主義だ。アメリカ政府高官は、西部開拓時代のような“ワイルドウェスト”と指摘しており、無法状態とも言える。今は安全保障上の対象として、精々、高度約3万6000㎞の静止軌道までが活動エリアだが、アメリカのアルテミス計画が出てきた。月までの空間、月、火星と活動範囲が広がっていく。月面探査や資源探査、宇宙旅行が行なわれるようになれば、自国民の安全確保や資源確保が必要になってくる。安全保障の核心は、(作戦が必要な場所に)戦力を投射できるかどうかだ。アメリカは2060年のシナリオを見積もった長期的な戦略策定を提唱している。日本も長期的な観点で、宇宙に防衛力をどう展開するか、宇宙船や宇宙飛行士、通信系をどうするか、関心を持つことが安全保障上も重要だ」(引用ここまで)
宇宙空間を常時監視を要望する。
参考:
tskeightkun.blog.fc2.com/blog-entry-10807.html