テーマ【号外8404】
サイバー空間の戦闘に備えよ
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(2020年7月27日読売新聞朝刊日米安保60年第三部 新たな戦闘領域6より引用)
――“新領域”として重要度が増すサイバー空間の特徴を、どう考えるか。
「陸海空と宇宙空間は自然領域だが、サイバー空間だけは人工領域で、全体を包含して其々の領域を繋ぐ“脳神経系”の役割を担っている。人工衛星はサイバー空間を利用して地上と通信しており、これがなければ戦車や艦隊、航空機の位置を把握するGPSも機能しない。サイバーシステムを使って軍事システムを動かしているものが今、非常に脆弱な状況で、ここへの攻撃が増えている」
――アメリカや中国の動向をどうみているか。
「アメリカは2016年の大統領選でロシアからのサイバー攻撃で選挙介入されたことを受け、警戒を強めている。2018年には国家サイバー戦略を纏め、ディフェンドフォワード(※前方防衛)の考えを打ち出した。平時から相手国のシステムに入り込み、監視し、サイバー攻撃が始まった途端にそれを潰してしまおうというものだ。その後の中間選挙では、大統領選で偽情報を流したロシアの企業にサイバー攻撃を仕掛け、通信を遮断したとされる。“宣戦布告なき戦闘”が水面下で行なわれており、現在は2020年大統領選でサイバー攻撃を防ぐことが最優先課題となっている。中国の転換点となったのは、2013年のスノーデン事件でアメリカの国家安全保障局(※NSA)の情報監視活動が暴露されたことだった。アメリカの圧倒的な監視能力に危機感を強め、スノーデン文書に入っていることは全部できるようにしようと、サイバー能力の強化を一気に加速させた」
――自衛隊はサイバー攻撃に対応できるか。
「自衛隊には予算も人も能力も足りない。サイバー防衛隊は現在、220人程度。アメリカや中国、北朝鮮より桁違いに少ない。態勢を充実するにも、海上・航空自衛隊は尖閣諸島への対応等で人が割けない。陸上自衛隊が思い切って、人と予算をサイバー分野に振り向けるべきだ。 日本は“積極的サイバー防御”を掲げ、2018年の防衛計画の大綱では敵のサイバー攻撃を“妨げる能力”を持つと明記された。だが、防衛出動や治安出動が発令されない限り、自衛隊は動けない。平時では憲法が保障する“通信の秘密”や電気通信事業法の制約で、攻撃元とみられるサーバーへの侵入はできない。出動命令が出てから攻撃相手を探さねばならないが、瞬間的にわかるわけがない。積極的サイバー防御の心意気は正しいが、実際には課題が多い。重要インフラがサイバー攻撃を受けても、自衛隊の出番は恐らくない。所管官庁が事業者からの報告を受け、内閣サイバーセキュリティーセンター(※NISC)が共有する仕組みだが、アメリカのように政府機関が直接監視できない。特定の重要インフラ事業者に限定し、政府と情報共有できる法整備を検討すべきだ」
――アメリカは日本に何を期待しているか。
「残念ながら、サイバー分野では能力差があまりにも大きく、日米同盟とはとても言えない状況だ。アメリカ軍はサイバー分野で日本を支援したいと言っており、日本は能力を高めることが重要だ。サイバー分野で懸念されるのは、ロシアや中国、北朝鮮、イラン等ユーラシア大陸の国々が多い。アメリカは、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドと共にファイブアイズとして情報共有する枠組みを持っており、大西洋側のパートナーにはイギリスがいる。アメリカは太平洋側のパートナーとして、日本に期待している。サイバー分野の有志連合を構成する上でも、日本の果たす役割は大きい」
(引用終わり)
サイバー空間の戦闘に備えよ。 その対策として、必要な法律を制定し、ファイブアイズの加盟を急ぐべきである。
参考:
tskeightkun.blog.fc2.com/blog-entry-10806.html