テーマ【号外8665】
海外腐敗行為防止法の強化を望む
ご要望
( business.bengo4.com/articles/47 より抜粋)
外国法の中には、米国のForeign Corrupt Practices Act 1977(米国FCPA)や英国のUK Bribery Act 2010(英国UKBA)に代表されるように、国外企業の自国外での外国公務員へ贈賄行為も域外適用により処罰する旨を明確に定めているものがあります。
実際、米国FCPAが日本企業に適用された結果、企業に対する巨額の罰金に加え、贈賄を行った個人に対して拘禁刑(実刑)が言い渡された事案も発生しています。いずれの事案も、米国外における外国公務員への贈賄行為が処罰対象となっており、その中には、一見したところ米国とは関係の薄い事案もありました。
ちなみに、英国UKBAは比較的新しい法令で、先例の集積が乏しいためか、その取締り発動のさじ加減には未知数の部分があります。米国FCPAとの主な相違点として、①公務員でない者(民間企業等)に対する贈賄も処罰対象になりうること、②贈賄防止懈怠罪(他社が自社のために贈賄を行うのを防止しなかったという不作為犯の類型)が規定されていること、③ファシリテーション・ペイメント(後述)が許容される場合についての例外がないこと、④違反者に対する罰金額の上限がないこと、等が挙げられます。しかしながら、英国UKBAといえども、企業のコンプライアンス体制という観点から求められる事項は、米国FCPAと大差ないように思われます。
当然のことながら、日本企業が外国で贈賄行為を行った場合には、上記に加え、その国の国内法により処罰されることにもなります。特に、中国では商業賄賂という独特の概念があり、民間企業に対する贈賄でも処罰される可能性があるため、注意が必要です。
(略)
日本国内の公務員に対する贈賄であれば、日本の刑法により処罰されることは周知のとおりです。他方で、外国公務員への贈賄の場合は、上記のとおり不正競争防止法にその禁止・処罰規定がおかれているのに加え、日本企業であっても外国法が域外適用される可能性があるため、注意が必要です。
また、外国公務員への贈賄は、後述のケースのように、第三者を通じて思いがけなく行われてしまう場合も多いため、日本国内での贈収賄事案とは異なる視点からコンプライアンス体制を考えていく必要があります。
(略)
日本の不正競争防止法の下では、1999年の施行以来、公表された処罰事例は数例しかなく、その宣告刑もほぼ全例が罰金または執行猶予付きの懲役刑(長くても2~3年程度)です。そのため、日本は外国公務員への贈賄に対する捜査も処罰も不十分であるという理由により、OECDをはじめ国際社会から 批判されているところです。このような国際情勢に応じて、今後は日本でも取締りや処罰事例が増加する可能性もあると考えるべきでしょう。
(抜粋終わり)
この法律は日本にもあるが、英米に比べて甘いので、強化を求める。