テーマ【号外360】
著作権法の創作者主義の徹底を求める
ご要望
日本にはゲーム・漫画・アニメ・映画などさまざまな優れたコンテンツがあり、政府もクールジャパンなどの政策を通してそれらのコンテンツの輸出を試みている。
しかし、これらの産業は不況の影響を受け停滞しているとともに、日本の著作権法における創作者主義の例外である職務著作や映画著作物の規定により
個人のクリエーターが冷遇されている。
例えば、アニメ産業は低賃金・長時間労働の典型であり、世界的に有名なスタジオジブリの求人でさえ国際水準の待遇をはるかに下回っていた。
このような状態では、日本ではクリエーターを志す者は少なくなることは確実であり、海外にコンテンツを発信するどころか、
新たに優れたコンテンツを生み出すことは不可能となる。まず、著作権は財産権であるとともに、自然人に帰属することを原則としており、
雇用関係の下で作られた著作物の著作権と人格権である著作者人格権が法人に帰属することを定める職務著作の規定は不自然であるだけでなく、憲法違反の疑いさえある。
著作権も著作者人格権も法人に帰属するなどという規定を置いているのは、世界では日本と日本を参考にして著作権法を作った韓国だけであり、
国際標準からはかなり逸脱した規定である。
職務著作に関して、世界では、イギリスなどで採用されている著作権は使用者に帰属するが著作者人格権は著作者に帰属する使用者帰属か、
ドイツやフランスで採用されている著作権も著作者人格権も著作者に帰属するが使用者に自動的に利用の許可を与えたことにする法定利用許諾か、
そもそも職務著作の規定が置かれていないかのどれかである。
また映画著作物に関して、映画は多額の投資と多数の人が関わることを正当化根拠として、使用者帰属を採用しているが、
ネットストリーミング事業者の登場などに見られるように、映画はより低コストで質の高い作品を作ることが可能になりつつあるだけでなく、
何よりも実際に制作に関わった人々や原作者、作曲家などに正当な報酬が支払われず、クリエイターへの搾取や下請けいじめが起こっている。
これでは、日本の文化は衰退してしまうし、死後50年という極めて長く保障される権利である著作権収入が減ってしまい、経済にも悪影響となってしまう。
したがって、政府は著作権法の創作者主義の例外である職務著作および映画著作物の規定について、少なくとも使用者帰属か法廷利用許諾に修正し、
創作者主義を国際標準まで徹底すべきである。