テーマ【号外853】
視聴率調査会社の独占禁止法違反状態の解消の要望
ご要望
( 問題点 )
○株式会社ビデオリサーチ一社により、視聴率調査業界が私的独占の状態にあり、狭い業界、小さな会社といえど、独占禁止法に違反している状態です。
○このビデオリサーチは、株式会社電通の持分法適用会社として、一企業の関連会社になっており、電通の天下り先にもなっています。
○またビデオリサーチの株主のほとんどは、電通他、大手広告代理店、大手テレビ放送局に限られており、広告主側の株主がほとんどいません。
○視聴率調査業界(ビデオリサーチ)と広告業界と放送業界があたかも一つの業界として、広告主と対峙しています。
○視聴率の調査方法として、地域別に3つの方法が混在しており、調査方法が3つの内で最新のピープルメータシステムに統一されていません。
○サンプリング手法では、サンプル(世帯、個人)の絶対数が少なく、統計上最低限度の必要な数はあるものの、十分な数とはいえません。競合他社があれば、少ないながらも2社間の視聴率データにより、データの散らばりを考慮した“真の値”が得られますが、市場が独占状態であるため、便宜上、唯一無二の絶対的な視聴率となっています。3つの調査手法が混在し、なおかつサンプル数も少ないため、実際には不正確な視聴率データと言わざるを得えず、この不正確なデータが、高めの視聴率を不可避的に導き出す手法にもなっています。この視聴率データを 「 神データ 」 とし、大手広告代理店、放送局が広告主に対し、極めて高額なテレビCMの広告枠を販売するという3業界(3社)が一体となった一種のビジネスモデルになっています。この割高な広告枠は、一義的には広告主が負担し、最終的には消費者の負担となっています。そして、この過分な消費者の負担額が、広告業界、放送業界に流れ、大手広告代理店や放送局の破格の高額年収の大きな要因にもなっています。
○視聴率と一言でいうものの、実際にはCMをスルーすることが多い録画視聴者(タイムシフト視聴)を除いたリアルでCMを見たと思われる視聴率、 “ CM視聴率 ” になっており、公共的な意味としての視聴率調査から逸脱しています。録画視聴者を無視したほうがもちろん高い視聴率が得られ、自宅外視聴や情報端末による視聴(オンデマンド視聴)も無視されている状態です。さらに広告主の要望の強い個人視聴率(個人ライブ視聴)ではなく、高い視聴率が得られる世帯視聴率(世帯ライブ視聴)に偏重したものになっています。
( 政府及び公正取引委員会への要望 )
○視聴率調査会社は調査機器等のコスト面や業界の狭小性により国によっては一社しかない国もあると思います。日本において調査会社が一社のみのまま継続されるのであれば、営利法人としてではなく、第三者機関として、公共性が担保されるべきだと思います。視聴率調査会社、広告代理店、放送局、広告主等による預託金方式として、おおよその均等出資により運営し、視聴率の透明性、公共性が確保されるべきだと思います。またより正確性が得られる最新の調査手法と機器を採用し、サンプル数は一社であることと標準誤差を考慮し、必要十分な数であるべきです。
○電通のビデオリサーチに対する株式の持分は20%未満にするべきと思います。20%を超え、持分法適用会社であるので、電通の支配下にあるといえます。社長、役員も一社の天下りに偏重することなく運営するべきです。
○ビデオリサーチが主にコスト面の理由により、ピープルメータシステムでの調査手法の統一やサンプル数の増加が難しい場合には、相応の利益を得てきた既存株主への増資依頼、公共性・公平性を担保する意味での広告主への出資依頼、一般株主からの投資を募る株式上場等を考えるべきだと思います。基本的には売上高の伸長を図るべきで、海外進出も一つの方法です。国内でのみ通用してきたビジネスモデルの展開が、先進的で正当なものであれば、海外進出も可能だと思います。
○競合他社の設立を促す場合、大手商社・IT企業連合、広告代理店とマスメディアを除いた経済団体連合、外国資本などが考えられます。ピープルメータシステムによらない新たな調査手法でも良いと思います。
○調査手法は、現実には米国を中心にはるかに進化しています。例えば、もっとも古い調査手法の日記式アンケート方式が今、情報端末によって簡単にビックデータ化することが出来るようになりました。昨日ライブで見た番組、昨日タイムシフトで見た番組、昨日オンデマンドで見た番組を、ほんの少額の報酬と引き換えにスマホなどで送ってもらうだけです。極めてローコストでもあります。日本においても、高い視聴率を得るという結果有りきの調査手法ではなく、公共性とともに、より正確な視聴率データが得られるよう調査手法を開発・適用していくべきです。