テーマ【号外464】
知的財産権制度の見直しを求める
ご要望
現在、世界的に知的財産権を強化する法改正が進み、
日本でも著作権保護を強化する法改正が議論されているが、
過剰な知的財産権の保護は格差を拡大し、国民のためにならないおそれがある。
例えば、医療の基礎研究は大部分が政府支出による支援を受けているが、
製薬会社はそれを市場に持ち込む際、一般市民の手の届かないところまで価格を引き上げ、
さらには政府が購入する際にも非常に高額な料金を請求しており、
医療費の増加と格差の拡大、医療アクセスの悪化を招いている。
これにより、価格の安い後発医薬品が作りにくくなり、
途上国の発展を妨げる可能性がある。
また、一部の企業が自国の利益を守るように法改正を要求する可能性があり、
特許・著作権料収入が、自動車、農産物を超えるアメリカは、
ミッキーマウスの著作権の保護期間が切れそうになるたびに期限を延長する法改正をし、
遺伝子組み換え食品の表示義務を撤廃させている。
これは格差の拡大につながるばかりか、日本がアメリカと同等の保護基準を採用すれば、
知財が有力な輸出産業となっているアメリカに日本の利益を奪われるおそれがあるばかりか、
医療や農産物に関して、日本の消費者の安全が脅かされる可能性がある。
また、知的財産権の過剰な保護は、技術革新と新技術の普及を妨げるおそれがある。
例えば、肖像権や特許権が極めて強く保護されている社会を想定した場合、
カメラがここまで普及する可能性は低いと思われる。
これから、AIが研究・開発に活用され、技術革新が加速することが予想されており、
過剰な知的財産権保護は技術の普及の邪魔になる可能性もある。
そこで、政府はアメリカが主導している著作権保護期間の20年延長、
著作権侵害の非親告罪化、著作権侵害に対する法定賠償金の導入を拒否したうえで、
医薬品開発に対する報奨制度など、知的財産権以外の技術開発に対するインセンティブを拡充すべきである。