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2018-01-17 17:39 0 comments

2296 どんたく岐阜弁護士会④(0)

引用元 

平成24年4月27日秘密保全法制定に反対する会長声明
ttp://www.gifuben.org/oshirase/seimei/seimei120427.html
 「秘密保全のための法制の在り方に関する有識者会議」が平成23年8月8日付けで発表した「秘密保全のための法制の在り方について(報告書)」(以下、「報告書」という。)を受けて、政府は秘密保全法案の策定を進めてきた。今通常国会での同法案上程が見送られたとの報道はあるも、同法案が国会に上程されることが予想される。
 しかし、報告書の内容は、以下のように、知る権利をはじめとする基本的人権及び憲法上の諸原理と正面から衝突する多くの問題点を有しており、極めて問題である。
1.立法を必要とする理由を欠くこと
 報告書では、秘密保全法制の必要性の根拠として、情報漏洩に関する事案の存在が指摘されている。しかし、いずれの事案も、国家公務員法等の現行法制で十分に対応できるのであり、新たな法制を設ける必要はない。秘密保全法制定検討の契機となった尖閣諸島沖漁船衝突映像の流出についても、流出した映像は実質秘として保護する必要性が乏しいものである。そもそも、ネットワークを通じた情報流出の危険性に対処するには、秘密保全法制による刑事罰や人的管理よりも、物的セキュリティ対策の充実こそが重要である。
2.情報公開がいまだ不十分であること
政府情報を知る権利は、国民主権の理念に基づき、かつ民主主義の根幹を支える重要な人権である。秘密保全法制の必要性を検討するにあたっても、まず、国政の重要情報は国民に帰属すべきであることを出発点とし、これらの情報を知る権利を制限することには極めて慎重でなければならない。ところが、現行の情報公開法は、開示義務の除外事由を極めて広く認めており、政府による情報公開はいまだ不十分な状況にある。情報公開制度が不十分なまま、更に政府情報を国民の目から隠蔽する秘密保全法を制定することは、多くの情報が行政機関の恣意により秘匿されることになりかねず、国民主権原理に反し、民主主義の根幹を揺るがせる事態を生じかねない。
3.特別秘密の概念が広範かつ曖昧であること
秘密保全法制による規制の鍵となる「特別秘密」の概念は、広範かつ曖昧である。一応、「高度の秘匿の必要性が認められる情報に限定する」とはされているものの、この要件は抽象的である。また、報告書は、「特別秘密」の指定権者を当該行政機関等としており、第三者がチェックする仕組みもない。そのため、行政機関が、あらゆる情報について「高度の秘匿の必要性が認められる」と強弁し、本来国民が共有すべき情報さえも隠蔽してしまう危険性を否定できない。
4.禁止行為が曖昧かつ広範であり、罪刑法定主義に反し、また取材の自由・報道の自由に対する侵害となること
 報告書は、「特別秘密」の漏洩や取得行為を処罰の対象としている。前述のとおり、「特別秘密」の概念は極めて広範かつ曖昧であるため、処罰範囲が不明確かつ広範となり、罪刑法定主義等の刑事法上の基本原理と矛盾抵触するおそれがある。また、漏洩行為の独立教唆、煽動行為、共謀行為を処罰し、「特定取得行為」と称する秘密探知行為についても独立教唆、煽動行為、共謀行為を処罰しようとしており、禁止行為は極めて広範かつ曖昧である。この点からも罪刑法定主義等の刑事法上の基本原理と矛盾する。
このような広範かつ不明確な処罰規定は、取材及び報道に対して極めて大きな萎縮効果を及ぼすものであり、国の行政機関、独立行政法人、地方公共団体、一定の場合の民間事業者、大学等に対して取材しようとするジャーナリスト、マスコミの取材の自由・報道の自由が侵害されることになる。
5.情報管理者及びその周囲の者のプライバシーを侵害すること
 報告書では「特別秘密」の人的な管理の方法として、「特別秘密」の取扱者となり得る者を対象者とした適正評価を実施するための事前調査と評価の制度(適正評価制度)を導入しようとしている。しかし、同制度における調査事項は広範であり、対象者の思想・信条を含めたプライバシー情報が広く調査されてしまう危険性がある。
また、調査対象者には配偶者などの家族が含まれているが、これらの者に対するプライバシー侵害の危険に対する手当てが何ら検討されていない。報告書はかかる調査を本人の同意を得て行うとするが、行政機関等の職員や民間事業者等の従業員という地位にある対象者について、任意の同意を確保しうるのかは疑問である。
さらに、このようにして収集された膨大な個人情報がどのように管理されるのかも危惧される。
6.裁判の公開原則に反し、公平な裁判を受ける権利を侵害するおそれがあること
 国家秘密を漏洩し、過去に取得し、その教唆煽動、共謀行為等を行ったとして起訴された場合、その裁判は憲法82条2項ただし書に該当し、必ず公開しなければならない。しかし、その国家秘密が法廷で公開されれば、それは秘密ではなくなってしまう。そうかといって、国家秘密を非公開として裁判が進行されるとすれば、それは公開原則に反することになる。また、国家秘密の実質秘性を争点から外して被告人の罪責を問うとすれば、被告人の防御権を著しく害し、憲法37条1項が保障する公平な裁判を受ける権利が侵害されることになる。
したがって、報告書の提案する秘密保全法制は、裁判の公開原則に反し、公平な裁判を受ける権利を侵害するおそれがある。
以上の理由から、当会は、秘密保全法制の制定に強く反対する。
2012年(平成24年)4月27日  
岐阜県弁護士会 会長 伊藤公郎
 
平成23年3月8日司法修習生に対する給費制の継続を求める会長声明
ttp://www.gifuben.org/oshirase/seimei/seimei110308.html
2010年(平成22年)11月26日、司法修習生に対する修習費用の貸与制の施行を1年間延期する「裁判所法の一部を改正する法律」が国会で可決され、成立した。これにより、新64期司法修習生に対し、従前と同様に修習費用の給費制が実施されることとなった。
 ところで、今回の法改正は、今度1年間に限り給費制を延長するというものであり、その間に、「個々の司法修習終了者の経済的な状況等を勘案した措置の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずること。」とされ、「法曹の養成に関する制度の在り方全体について速やかに検討を加え、その結果に基づいて順次必要な措置を講ずること。」とされている(衆議院法務委員会附帯決議)。
 しかしながら、これら給費制や法曹養成制度を検討するための組織は、ようやくできようとしている状況であり、今年夏頃と想定される通常国会の終了までに、新たな法改正が必要となることを考慮すると、対応が極めて遅れているものと言わざるを得ない。
 法曹(裁判官、検察官、弁護士)はいずれも、国民の権利擁護、法の支配の実現に関わり、公共的・公益的な役割を担っている。司法修習生は、これら法曹になる者であり、司法修習生に対しては、それに必要な研鑽に専念する義務が課され、アルバイト等の兼職が禁止された上で、国庫から修習費用が給費されてきたのである。従って、司法修習生の給費制の問題は、単なる個人の資格取得の問題ではなく、司法制度の人的基盤の確保と国民の権利の守り手を育てる国民的課題である。このような法曹への道が、経済的理由から断念されてはならない。
 以上の理由により、当会は、国会、政府及び最高裁判所に対し、法曹養成の在り方全体についての検討を速やかに、かつ市民目線に立って開始するとともに、司法修習費用の給費制を継続するための措置をとるよう強く求めるものである。当会は、今後とも、給費制を維持する改正裁判所法が成立するよう全力を挙げて取り組むことを表明する。
2011年(平成23年)3月8日  
岐阜県弁護士会 会長 古田修

平成23年5月19日「法曹の養成に関するフォーラム」の公開を求める会長声明
ttp://www.gifuben.org/oshirase/seimei/seimei110519.html
本年5月13日、政府は「法曹の養成に関するフォーラム」の開催を発表した。
 フォーラムにおいては、司法制度改革の理念を踏まえ、法務省及び文部科学省による「法曹養成制度に関する検討ワーキングチーム」の検討結果(平成22年7月6日)と司法修習給費制の1年間の延長を決めた裁判所法一部改正の際の衆議院法務委員会決議(同年11月24日)に基づき、[1]給費制の存廃問題を含む法曹養成課程への経済的支援の在り方、[2]法曹人口問題を含む法曹養成制度全体の在り方が検討されることとなっている。
 フォーラムは、次代を担う法曹をいかに養成するかという点について議論するものであり、法曹界のみならず、社会全体にとっても極めて重要な会議である。
 ところが、発表されたフォーラムの「検討の進め方」によると、「会議は非公開とする」とされ、議事内容については「原則として、会議終了後速やかに議事録を作成して公表する」とするにすぎない。議事録公表で足りるということかもしれないが、議事録は作成の仕方によっては議論の過程が全く国民に伝わらない。そもそも、このような重要な会議を非公開とする合理的理由は全く見出せない。
 昨年来、当会は、街頭宣伝活動や市民集会を通じて、司法修習生の給費制維持を訴えてきた。それは、給費制が維持されることによる真の受益者は国民である、という信念に基づく。すなわち、給費制を維持することにより、公費で育ててもらったという自覚と責任を法曹1人1人に芽生えさせ、それが、やがては基本的人権の擁護及び社会的正義の実現に結実する。このように、給費制の真の受益者は国民なのである。
 給費制の存廃に関する議論の過程を公開しないということは、受益者たる国民をないがしろにするものであって許されない。
 そもそも、国民にとっては、司法修習制度や給費制という制度になじみが薄い。そのようななじみの薄い司法修習制度や給費制について、受益者たる国民が正しく理解するためにも、議論の過程は公開されなければならない。
 平成21年5月より、裁判員裁判が実施されている。裁判員裁判については課題もあるものの、「国民に開かれた司法」を実現した意義は非常に大きい。このような、「国民に開かれた司法」という今日的潮流に対し、フォーラムの非公開は真っ向から逆らうものであり、到底容認できるものではない。法務省及び文部科学省による「法曹養成制度に関するワーキングチーム」の検討結果も、フォーラムのあり方について「関係者の間だけで検討するのではなく、国民に開かれた議論の場を設け、正確かつ十分な現状分析を行い、幅広い意見を聞いて総合的かつ多角的な検討を行えるようにする必要がある」と指摘しているところである。
 よって、当会は、フォーラムを構成する関係諸機関及び有識者に対し、会議を公開し、国民に開かれた審理を行うよう強く求めるものである。
2011年(平成23年)5月19日  
岐阜県弁護士会 会長 古田修

平成24年11月28日厚生労働省のとりまとめ案の撤回を求め、生活保護基準の引き下げに強く反対する会長声明
ttp://www.gifuben.org/oshirase/seimei/seimei121128.html
1.政府は、本年8月17日、「平成25年度予算の概算要求組替え基準について」を閣議決定した。そこでは、「特に財政に大きな負担となっている社会保障分野についても、これを聖域視することなく、生活保護の見直しをはじめとして、最大限の効率化を図る」との方針が強調されている。また、厚生労働省が公表した平成25年度の予算概算要求の主要事項では、「生活保護基準の検証・見直しの具体的内容については、予算編成過程で検討する」とされている。そして、本年10月5日に開催された社会保障審議会生活保護基準部会において、厚生労働省は、第1十分位層(全世帯を所得階級に10等分したうち下から1番目の所得が一番低い層の世帯)の消費水準と現行の生活扶助基準額とを比較するという検証方針を提案した。
 これら一連の事実から、本年末にかけての来年度予算編成過程において、厚生労働大臣が、生活保護基準の引き下げを行おうとすることは必至の情勢にある。
2.しかしながら、厚生労働省が提案した上記の「第1十分位層を基準に生活扶助基準額と消費水準を比較する」という手法については、その妥当性、合理性に極めて大きな問題がある。
 言うまでもなく、生活保護基準は、憲法25条が保障する「健康で文化的な最低限度の生活」の基準であって、わが国の生存権保障の水準を決する極めて重要な基準であるが、平成22年4月9日付けの厚生労働省の発表によっても、わが国の生活保護の「捕捉率」(制度の利用資格がある者のうち現に利用できている者が占める割合)が15.3%?
 29.6%と推計されていることからすると、生活保護基準未満の低所得世帯のうち7割以上が生活保護を利用していないことになる。
 このように生活保護基準以下の生活を余儀なくされている「漏給層(制度の利用資格のある者のうち現に利用していない者)」の人数は、捕捉率及び生活保護受給者数からすれば、数百万人規模に及ぶものと推定され、低所得世帯の中でも極めて所得の低い第1十分位層は、「漏給層」によってその多くが占められていることになる。
 「漏給層」の人たちの中には、懸命に働いても、国民健康保険料の支払いもままならず、保険証を失い体調を崩しても病院へ通う事もできない、ライフライン料金の支払いもままならず、これらが止められる危機に直面している。日々の食事も十分なものが食べられないなど、まさに生存ギリギリの生活を強いられている人々が多数存在している。まさに生存権の保障が十分に行われていない状態である。
 生存権が保障されていない漏給層を多数含む第1十分位層の消費水準との比較を根拠に、生存権保障の水準を決する生活保護基準を引き下げることは、生存権保障の水準を引き下げることにほかならず、合理性がないことは明らかである。
 また、昭和59年以降採用されてきた生活保護基準の検証方式である「消費水準均衡方式」は、中央社会福祉審議会が、生活保護受給世帯の消費水準を「一般国民の消費実態との均衡上ほぼ妥当な水準」であるとし、その均衡(格差)をそのまま維持せよと意見具申したのをうけて導入されたものである。その際、生活保護基準の妥当性検証の前提とされたのは、平均的一般世帯の消費支出、低所得世帯(ここでいう低所得世帯とは、第1十分位層(全世帯の所得を比較した場合の下位10%)よりずっと高めの第1五分位層と第2五分位層の世帯(全世帯の所得を比較した場合の下位40%)の消費支出、被保護世帯の消費支出の3つの間の格差の均衡に留意するということであり、第1十分位層の消費支出に生活扶助基準を合わせるというものではない。
 この点、平成23年2月からの生活保護基準部会においては、比較対象を第1十分位層とすることについて、委員からさまざまな疑義が示されて来た。上記の厚生労働省の取りまとめ案は、こうした議論を反映させることなく、生活保護基準の引き下げという結論が先にありきで第1十分位層との比較に誘導しようとするものであり、学識経験者らによる真摯な検討過程を冒涜するものと言わざるを得ない。
3.生活保護基準は、憲法25条が保障する「健康で文化的な最低限度の生活」の基準であって、わが国の生存権保障の水準を決する極めて重要な基準である。
 この生活保護基準の引き下げがなされれば、保護が廃止される者や、保護費が減少する者が大量に発生することになるが、影響はこれだけに留まらない。
 生活保護基準は、地方税の非課税基準、国民健康保険の保険料・一部負担金の減免基準、介護保険の利用料・保険料の減額基準、障害者自立支援法による利用料の減額基準、生活福祉資金の貸付対象基準、就学援助の給付対象基準、日本司法支援センター(法テラス)の民事法律扶助業務の援助要件など、医療・福祉・教育・税制などの多様な施策にも連動している。生活保護基準の引き下げは、これらの施策を利用している低所得層の人々にも重大な影響を与えることになる。また。生活保護基準は、最低賃金の指標ともなるため、最低賃金の引き上げ目標額が下がるなど、労働者の労働条件にも重大な影響を及ぼす虞もある。
 このように、生活保護基準は、わが国の生存権保障の基盤を支える重要な基準であり、その引き下げは、多くの国民の生活に直接的で重大な影響を及ぼすものであるから、生活保護利用当事者を含む市民各層の意見を十分に聴取したうえで、多角的かつ慎重に決せられるべきものであり、財政目的ありきで政治的に決することは到底許されない。
4.近年の社会経済情勢に伴い雇用が不安定化していることや、高齢化が急速に進んでいるのに年金制度による社会保障機能が脆弱であることなどを考えれば、生活保護の利用者が増加するのは、むしろ当然のことである。
 自由競争や自己責任が強調される一方で、貧困や格差が拡大し、本来、生活保護を利用できて然るべき人々が排除されている現状においては、むしろ、最後のセーフティーネットとされる生活保護制度の積極的な運用が期待されている。
 よって、本会は、厚生労働省の上記取りまとめ案の撤回を求めるとともに、来年度予算編成過程において生活保護基準を引き下げることに強く反対するものである。
2012年(平成24年)11月28日  
岐阜県弁護士会 会長 伊藤公郎

平成25年4月15日平成25年度予算案で示された生活保護基準の大幅引下げに強く反対する会長声明
ttp://www.gifube.org/oshirase/seimei/seimei130415.html
現在衆議院に於いて審議されている平成25年度予算案(以下「本予算案」という。)は、生活保護の生活扶助基準額を平均6.5%、最大10%引き下げる内容が含まれ、これによって生活保護世帯の96%について受給額が減るという。1950年の現行生活保護法制定以来、生活保護基準が引き下げられたのは2003年度(0.9%)と2004年度(0.2%)の2回だけであり、今回の引下げは前例を見ない過去最大の規模である。
 本予算案は、生活扶助基準の見直しによって3年間で総額670億円、うち90億円は「生活保護基準部会における検証結果」を踏まえて、うち580億円は「前回見直し(平成20年)以降の物価の動向」を勘案して削減するという。この点、生活保護基準部会の検証結果の基礎となっている第1十分位層の消費水準と現行生活扶助基準との比較という方法には重大な問題があり適切でないことは、既に昨年11月27日付「厚生労働省のとりまとめ案の撤回を求め、生活保護基準の引き下げに強く反対する会長声明」において指摘したとおりであり、生活保護基準部会の検証結果を理由に生活保護基準の引下げを行うことも許されないが、それに加えて、削減額のほとんどが物価動向を理由としている点において、本予算案には看過しがたい重大な問題がある。
 すなわち、1984年から今日に至るまで採用されている生活扶助基準改定方式である「水準均衡方式」は消費支出の動向に着目する方式であって、物価の動向を勘案するものではない。物価動向の勘案という、生活扶助基準改定方式の根本的な転換を行うのであれば、社会保障審議会(少なくとも生活保護基準部会)における慎重な検討を経ることが不可欠であるが、そのような検討は一切なされていない。
 また、この間の物価下落の主因は、家具・家事用品費及び教養娯楽費として計上されるテレビ、ビデオ、パソコン、カメラなどの電気製品の大幅下落にあり、他方で食料費の大幅な下落は見られず、光熱・水道費に至っては高騰している。生活保護世帯は一般世帯に比して、食料費や光熱・水道費が家計に占める割合が大きく、教養娯楽費が占める割合は
小さいことからすると、生活保護世帯が物価下落の恩恵を受けているとは言えない。仮に、物価動向を勘案するのであれば、少なくとも、こうした生活保護世帯に特有の支出割合を考慮する必要がある。しかし、厚生労働省が今回採用した「生活扶助相当CPI(物価指数)」は、家賃、診療代、自動車、授業料等の生活扶助に該当しない品目の支出割合を除くことで、分母は3分の2以下に減らす一方で、その他の支出については、消費傾向が異なるはずの一般世帯における品目ごとの支出額の割合をそのまま使っている。そのため、例えば、教養娯楽費について、平成22年度社会保障厚生調査の結果によれば保護世帯は、一般世帯の半分以下の支出割合しかないにもかかわらず、一般世帯の1.5倍近い支出割合となっているなど、生活保護世帯と一般世帯の支出割合の乖離がむしろ増幅されることによって大幅な引下げをもたらす結果となっているのである。
 厚生労働大臣が生活保護基準を決定するにあたっての裁量判断の適否について、平成24年4月2日最高裁第二小法廷判決は、「判断の過程及び手続に過誤、欠落があるか否か等の観点から、統計等の客観的な数値等との合理的関連性や専門的知見との整合性の有無等について審査されるべき」としている。かかる判断基準に照らせば、生活保護基準部会における検討も一切経ないまま生活扶助基準改定方式を根本的に転換し、検討されている物価指数の数値にも合理性が認められない生活保護基準の引下げが行われた場合、厚生労働大臣の判断には裁量権の逸脱・濫用があり違法であるといわねばならない。
 当会は、昨年11月にも生活保護基準の引下げに反対する意見を表明したが、改めて生活保護基準の引下げに強く反対するものである。
2013年(平成25年)4月15日  
岐阜県弁護士会 会長 栗山知

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