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2353 どんたく滋賀弁護士会④(0)

引用元 

歯および口腔の健康づくりの施策として「フッ化物洗口」を実施することに反対する意見書
ttp://www.shigaben.or.jp/chairman_statement/20141126.html
1.滋賀県は、「滋賀県歯および口腔の健康づくりの推進に関する条例」案要綱を作成し、同条例を制定しようとしている。
同条例案要綱では、「教育関係者は、基本理念にのっとり、幼児、児童、生徒等の歯および口腔の健康状態に注意し、フッ化物洗口、歯磨きその他歯および口腔の健康づくりに資する取組の実施により、当該幼児、児童、生徒等の歯科疾患等の予防その他歯及び口腔の健康づくりに努めるもの」(第5、第3項)とし、さらに、「県は、・・・・・保育所、幼稚園、小学校、中学校等におけるフッ化物洗口および歯磨きの普及その他歯および口腔の健康づくりに関する効果的な取組の推進のために必要な措置を講ずるもの」(第14、第1項)「知事または県教育委員会は、幼稚園、小学校、中学校等においてフッ化物洗口が実施される場合には、・・・・・フッ化物洗口の円滑な実施のために必要な援助の実施に努めるもの」(第14、第2項)と規定している。
2.しかし、フッ化物洗口には、以下のような問題点が指摘されている。
第1に、フッ化物洗口には、急性中毒、過敏症状の危険性があり、幼児・低学年児童においては、誤飲の可能性も否定できず、誤飲した場合の身体影響への懸念も払拭されていない(安全性)。
なお、WHO専門委員会報告書(1994年)は、6歳未満のフッ化物洗口を禁忌としている。
第2に、フッ化物洗口の有効性は、従来考えられてきたより低い可能性があり、フッ素配合歯磨剤が普及している現状においては、フッ化物洗口による併用効果にも疑問がある(有効性)。
第3に、虫歯予防には、フッ化物洗口以外にも様々あり、虫歯が減少している現状において、学校などにおいて、集団的にフッ化物洗口を実施する必要性・相当性には重大な疑問がある(必要性・相当性)。
第4に、有効性安全性について、追加調査がなされていない。
第5に、集団によるフッ化物洗口後の廃液により、水質汚濁防止法・下水法上の排水規制違反など環境汚染のおそれがある。
3.日本弁護士連合会は、2011(平成23)年1月21日、「集団フッ素洗口・塗布の中止を求める意見書」にて、上記問題点を指摘し、厚生労働省、文部科学省等に対し、学校等で集団的に実施されているフッ素洗口・塗布を中止するよう求めた。
4.条例案が施行されれば、保護者等に安全性・有効性・必要性などに関する否定的な見解も情報提供されないまま、県による組織的な推進施策の下、学校などで集団的にフッ化物洗口が実施されることになる。
このように集団によるフッ化物洗口を行うことは、前記の問題点の情報提供がないまま保護者等が意思決定を行う結果となり、これは自己決定権が侵害されるのと同じである。
よって、当会は、「滋賀県歯及び口腔の健康づくりの促進に関する条例」案において、歯及び口腔の健康づくりの施策として「フッ化物洗口」を実施することに反対する。少なくとも、幼児・低学年児童に対し、フッ化物洗口は実施すべきではない。        以上
2014(平成26)年11月26日
滋賀弁護士会 会長 近藤公人

本件掲載行為は、審判の中で認定された詳細な事実関係が記載されている審判書の全文掲載であり、本来公開を予定していない少年のプライバシーに関わる事実が詳細かつ網羅的に公衆に晒されるものである。本件掲載行為は、少年法が少年の健全な育成のために定めたこれらの法制度の趣旨を没却し各条文に明らかに反する行為であり、かつ、少年のプライバシーを著しく侵害するものである。
特に、本事件は、事件後約18年が経過し、当時の報道の記憶も薄まりつつあるところに行われたものである。本件の審判書は結果の重大性もあり、審判書の内容は他の事件と比しても非常に詳細であって、これが公表されることによるプライバシー侵害が特に著しい。たとえ事件当時公開された事実が含まれていたとしても新たなプライバシー侵害と評価できるものであり、全体として権利侵害にあたる。
また、本件掲載行為は、少年の実名は伏せてあるものの、本事件に関するこれまでの報道及び情報と併せると、少年を本事件の本人であると容易に推知することができるものである。
(2)また、世界195か国(本年1月時点)で締結されている子どもの権利条約の第40条第2項も、上記のような観点から手続の全ての段階において少年のプライバシーを尊重しなければならないとしており、本件掲載行為は同条にも違反している。
3.被害者遺族のプライバシーを侵害する点
また、本件掲載行為は、本事件から約18年を経過した現時点においてなされたものであり、被害者遺族の心情を無視し、遺族の当時の経験や記憶を改めて想起させるものであり、事件内容が詳細に世間に知れ渡ることにより被害者遺族に苦痛を与え、平穏な生活を送ることを害し、更なる被害を生むものである。
特に、本件掲載行為に関し、株式会社文藝春秋は、被害者遺族に対し、事前に何らの掲載に関する確認も行わずに、全文掲載を行ったものであり、その被害は甚大である。
4.以上のとおりであり、当会は、本件掲載行為を行った株式会社文藝春秋に対し、強く抗議するとともに、今後同様の行為を行わないよう強く要請する。
2015(平成27)年5月19日
滋賀弁護士会 会長 中原淳一

特定秘密保護法案に反対する会長声明
ttp://www.shigaben.or.jp/chairman_statement/20131114.html
政府は、2013(平成25)年10月25日、「特定秘密の保護に関する法律(案)」(以下、「本件法案」という。)を国会に提出した。
当会は、本年1月17日付「秘密保全法制定に反対する会長声明」において、秘密保全法制定に強く反対する旨の意見を表明した。すなわち、①新法制定の必要性を支える立法事実がないこと、➁保護対象となる「特別秘密」の範囲が広範かつ曖昧である上、行政機関による秘密指定の適正性をチェックする仕組みが無く、(主権者たる)国民の知る権利を損なうこと、➂秘密保全法違反により起訴される被告人が、適正な手続きにより裁判を受ける権利が十分に保障されないこと、➃適正評価制度導入により、特別秘密取扱者本人のみならず、その周辺者のプライバシーや思想・信条の自由までが侵害されることの4点を指摘し、法案作成の即時中止を求めたところである。
しかるに、政府は、その後も秘密保全法制定作業を進め、9月26日、本件法案の概要を公表し、その後実施したパブリックコメントに寄せられた約9万件の意見の内、約77%がこれに反対するものであったにもかかわらず、閣議決定の上、本件法案を国会に提出した。
さて、本件法案においても、前記会長声明において指摘した問題点は全く解消されていない。
特に、「特定秘密」として指定できる事項を列挙した「別表」は概括的網羅的な記載となっており、行政機関の長らが秘密指定できる事項の範囲は広範かつ曖昧なままである。
また、秘密指定の適正性をチェックする仕組みも無い。この点、本件法案第18条第1項は、「特定秘密の指定及びその解除・・・の実施に関し、統一的な運用を図るための基準を定める」としているが、同項により定められる基準は、同条2項の有識者の意見聴取を経てもなお抽象的なものとならざるを得ず、秘密指定が可能な範囲の明確化に資する面は乏しく、行政機関の長らの指定の適正性を保障するものでもない。
また、本件法案でも、処罰対象は広範であり、故意の漏えい行為や特定秘密の取得行為(これらの未遂を含む。)に限られず、過失の漏えい行為、更には、漏えい行為や特定秘密の取得行為の共謀、教唆、扇動にまで及んでおり、共謀、教唆、扇動罪の成立には実行行為の着手すら不要となっている。このような本件法案の処罰範囲の広範さは、保護対象となっている特定秘密の範囲の広範かつ曖昧さと相まって、国民の知る権利や報道・取材の自由に対して極めて深刻な萎縮効果を及ぼすものとなっている。
なお、政府は、国会提出前に、本件法案に、この法律の拡張解釈による国民の基本的人権の「不当」な侵害を禁止し、報道等に従事する者の取材行為については、「法令違反又は著しく不当な方法によるものと認められない限り・・・正当な業務」と認めるなどとした規定を設けたが、抽象的な理念を明文化したところで、当不当の判断は、まずは行政機関たる捜査機関が行うものである以上、上記の萎縮効果が払拭されることはない。
当会も、政府には国家の安全保障上国民に秘匿すべき国家秘密があることを否定するものではない。しかし、国民は、必要な情報を得て初めて、主権者として、国の政治のあり方を決め、実行することが可能となるため、国家秘密の秘匿は、常に、国民主権ないし議会制民主主義との間で緊張をはらむことになる。従って、国家秘密の指定と解除のあり方に関する制度設計は、徹底的かつ慎重に検討されなければならない。
しかるに、本件法案には、上記のとおり、秘密指定により国民に秘匿できる事項を広範に認めるとともに、秘密指定の適正性につきチェックする仕組みを持たないため、行政機関の長らの恣意的な判断により、政府にとって国民に知られたくない情報を、「特定秘密」と偽って、国民に知らせないでおくことを可能とする欠陥を有する。しかも、特定秘密の提供は、国権の最高機関であり、国民の代表として行政を監視する立場にある国会に対してすら限定的かつ任意のものとなっている。かくては、本件法案は、国民主権ないし議会制民主主義の根幹を揺るがすものと評価せざるを得ない。
以上のとおりであるから、当会は本件法案の立法化について、断固反対する。
2013(平成25)年11月14日
滋賀弁護士会 会長 甲津貴央

4.これに対して、裁判所速記官による速記録は、尋問を実施したその日のうちに文字化された証言・供述調書を作成することが可能なまでに進歩している。文字化された逐語録調書は裁判員にも閲覧が容易であり、一覧性も高く、証言・供述調書を元に、公正・的確な心理や評議が
期待できる。
しかも、ビデオとコンピューターの音声認識では、発言が重なったり、曖昧な発音のため、証言・供述内容が確認できない場合がありうるが、裁判所速記官による速記録の場合には、裁判所速記官が立ち会って、その場で証言・供述を確認できるため、内容が確認できないことは殆どない。
よって、裁判員裁判における尋問の際には速記官を活用し、訴訟当事者が即時に速記録を閲覧等できるようにするべきである。
5.また、聴覚障がい者の、裁判を受ける権利や裁判員になる権利を保障するには、速記による情報保障が不可欠である。最高裁判所は、手話通訳者と要約筆記者とを確保するとしているが、手話のできる聴覚障がい者は全体の約2割程度であること、要約筆記では十分な情報保障にならないことなどの問題があり、聴覚障がい者の裁判を受ける権利や裁判員になる権利の保障には不十分である。
6.現在、世界の多くの国は、裁判に、機械速記によるリアルタイム速記を採用しており、アメリカでは、我が国の最高裁判所が裁判所速記官の養成を停止した当時約3万人であった速記者が現在では6万人を超える状況にあり、ハーグの国際刑事裁判所においてもリアルタイム速記が活用されている状況にある。
このように世界標準となっているリアルタイム速記は、裁判所速記官の増員や機器の確保などの態勢さえ整備されれば、日本においても十分に実現可能なものである。最高裁判所の裁判所速記官養成停止の方針は、このような世界の流れに逆行するものである。
7.よって、当会は、最高裁判所に対して、裁判員裁判の証拠調べや、聴覚障がい者の裁判を受ける権利等を保障するために必要な場合には、広く裁判所速記官を活用するとともに、速やかに裁判所速記官の養成を再開することを、強く求める。
2014(平成26)年1月27日  滋賀弁護士会
会長 甲津貴央

要保護者の保護の利用を妨げる「生活保護法の一部を改正する法律案」の廃案を求める会長声明
ttp://www.shigaben.or.jp/chairman_statement/20130611.html
1.政府は、本年5月17日、生活保護法の一部を改正する法律案(以下、「改正案」という。)を閣議決定し、国会に提出した。
2.改正案には、いわゆる「水際作戦」を合法化し、さらには、要保護者をより一層萎縮させることにより、保護申請自体を抑制する効果を与えるという看過しがたい問題がある。
3.まず、現行生活保護法(以下、「現行法」という。)は、保護の申請について書面によることを要求しておらず、申請時に要否判定に必要な書類の提出も義務付けていない(現行法第24条1項)。申請意思が客観的に明白であれば口頭による申請も有効であるとするのが確立した裁判例であり、保護の実施機関が、審査応答義務を果たす過程で、要否判定に必要な書類(通帳や賃貸契約書等)を収集することとされている。
しかし、実際には、全国の福祉事務所の窓口において、要保護者が生活保護の申請意思を表明しても申請書の書式を交付しなかったり、疎明資料の提出を求めて申請書の受理を拒否したりする事例が少なからず見受けられた。これらの行為は、申請段階、すなわち水際で保護を阻止するものとして「水際作戦」と呼ばれ、数々の裁判例において、申請権を侵害する違法な行為と評価されてきた。
改正案第24条1項は、生活保護の申請は、「要保護者の資産及び収入の状況」のほか「厚生労働省令で定める事項」を記載した申請書を提出しなければならないとし、同条2項は、申請書には保護の要否判定に必要な「厚生労働省令で定める書類を添付しなければならない」としている。
このような改正がなされると、添付書類の不備等を理由として申請を受け付けない取り扱いが合法的に行われることになり、これまで申請権侵害行為と評価されてきたいわゆる「水際作戦」が合法化されることになる。
この点、厚生労働大臣は、5月14日の閣議後記者会見において、「今まで運用でやっていたことを法律に書くというだけの話なので、それほど運用面では変わらない」と述べている。当該発言は、改正案の目的が、まさに、全国の福祉事務所の窓口においてまん延している申請権を侵害する行為を合法化することにあることを示している。
また、この点に関する国民からの批判の声を無視できなくなり、衆議院厚生労働委員会は、本年5月31日、特別な事情がある場合は口頭での申請も認めることで合意し、改正案を一部修正した上、自民、民主両党などの賛成多数で可決した。
その後、一部修正された改正案は、6月4日の衆議院本会議で賛成多数で可決され、参議院に送られた。
すなわち、改正案第24条1項及び2項につき、それぞれ、「特別の事情があるときは、この限りではない」とするただし書きを付加する内容で修正された。
しかしながら、結局のところ、「特別の事情」は福祉事務所の窓口が判断するのであり、いわゆる「水際作戦」を合法化することに変わりはない。

裁判所速記官の活用及び養成再開を求める会長声明
ttp://www.shigaben.or.jp/chairman_statement/20140127.html
1.裁判所速記官制度は、裁判記録の正確さや公正さを担保するとともに、迅速な裁判の実現にも資するものであり、特に、国民の司法参加が強く求められている現在、裁判に必要不可欠な制度である。裁判所法第60条の2第1項も、「各裁判所に裁判所速記官を置く」と規定し、各裁判所に裁判所速記官を配置することを法律上義務づけている。
ところが、最高裁判所が裁判所速記官の新規養成を1998(平成10)年度から停止したことにより、最大時825名いた裁判所速記官は2013(平成25)年4月1日時点で208名にまで減少し、大津地方裁判所管内の裁判所速記官の配置は、本庁の2名のみとなっている。
2.現在、最高裁判所は、裁判所速記官による速記録に代わるものとして、民間委託による録音反訳方式を導入している。しかし、録音反訳方式には、調書の完成までに日数がかかることや、法律上の独特の言い回しなどにつき民間業者が必ずしも精通していないためか、誤字・脱字、訂正漏れ、意味不明箇所が目立つなどといった問題点が指摘され、審理に少なくない影響を与えている。また、民間業者に委託すること自体についても、情報管理の観点からの懸念がある。
3.また、2009(平成21)年5月21日から、一般市民が裁判員として刑事裁判に参加する裁判員制度が開始され、一定の重罪事件につき一般市民が職業裁判官とともに事実認定や量刑判断を行っているが、裁判員の更生・的確な判断を保障するためには、法廷でのやりとりや証言内容が即時に確認できるようにすることが不可欠である。
最高裁判所は、ビデオ録画とコンピューターの音声認識を組み合わせ、一定の単語を手掛かりに証言・供述の各場面を探索できるようにして、裁判員裁判の評議に対応しようとしているが、このシステムは、認識精度が極めて低いため、正確な記録にならず、証言・供述の目的箇所の検索も困難である。また、裁判所が正確かつ迅速に文字化された供述記録を作成しないため、裁判員は、自分の記憶と自分の作成するメモを頼るしかない状況であると推測される。このような状況では、公正・的確な審理や評議による正しい事実認定のもと、適正に裁判が進められるのか、甚だ疑問である。
4.また、安倍首相は、憲法の解釈変更が認められる法的な論拠として、砂川事件最高裁判決(昭和34年12月16日最高裁大法廷判決)を挙げている。しかし、砂川事件最高裁判決は、日本が集団的自衛権を行使できるなどという見解を何ら示していない。
砂川事件は、在日駐留米軍の管理する敷地内に立ち入ったデモ隊を、刑事特別法で処罰できるか否かが問題となった事件である。争点は、旧安保条約に基づく米軍駐留が憲法9条2項の「戦力」にあたるかどうかであった。
砂川事件の最高裁判決は、「憲法が保持を禁止した戦力とは日本の戦力を指し、外国の軍隊は、憲法が禁止する戦力にはあたらない」、「日米安全保障条約の合憲性の判断は、司法審査になじまない」旨を判示したにとどまる。すくなくとも、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止するような行為が憲法上許容されるという判断はしていない。岸信介首相(当時)は砂川判決直後の1960年(昭和35年)3月31日の参議院予算委員会において、「集団的自衛権は、日本の憲法上は、日本は、持っていない」と答弁しているのである。また砂川事件の最高裁判決は、高度の政治性を有する問題についてはお墨付きを与えないという立場であるが、その判決の一部を抜き出して、お墨付きを得たと主張するのは矛盾している。
最近明らかになったところによれば、この大法廷判決に関与した裁判長田中耕太郎は、判決直前に駐日米大使らと非公式に会談していたという。これは、司法の独立を害する重大な事実である。このような状況の下で出された砂川事件最高裁判決は、その中立性にも疑問があるといわざるを得ない。このような重大な問題を抱える砂川事件最高裁判決に依拠して、しかもその判決内容を曲解して、集団的自衛権が憲法上認められるかのような主張が行われているのである。
5.以上のとおり、限定容認であっても集団的自衛権は、憲法9条が許容するものではない。また、閣議決定の方法で憲法を実質的に変更することは立憲主義に反する行為である。さらに、砂川事件最高裁判決は、集団的自衛権を合憲とする根拠にはならない。
憲法9条の解釈をこのようなやり方で変更することは、なし崩し的に憲法違反を作出することにほかならない。
よって、当会は、集団的自衛権の行使を容認する動きに、強く反対し、ここに決議する。
2014(平成26)年5月28日  滋賀弁護士会

集団的自衛権の行使を容認する閣議決定に抗議し撤回を求める会長声明
ttp://shigaben.or.jp/chairman_statement/20140715.html
2014(平成26)年7月1日、政府は、歴代政権が憲法上禁じてきた集団的自衛権の行使を容認するための憲法解釈の変更を閣議決定した。
集団的自衛権の行使は、憲法第9条の許容するところではなく、そのことはこれまでの政府の憲法解釈においても長年にわたって繰り返し確認されてきたことである。2004(平成16)年6月18日の閣議決定においては、「政府による憲法の解釈」は「論理的な追求の結果として示されてきたもの」とし、「政府において、憲法解釈は便宜的、意図的に変更するようなことをするとすれば、政府の憲法解釈ひいては憲法規範そのものに対する国民の信頼が損なわれかねないと考えられる」と説明され、さらに当時の首相は、かかる閣議決定を踏まえ、憲法と集団的自衛権の問題について、「便宜的な解釈の変更によるものではなく、正面から憲法改正を議論することにより解決を図ろうとするのが筋」と国会で答弁しているのである。
そもそも立憲主義とは、憲法により権力を拘束するというものであり、日本国憲法も立憲主義によって立つものである。立憲主義を担保するものとして、日本国憲法は憲法を最高法規と定め(憲法第98条)、内閣総理大臣及び国務大臣には憲法を尊重し擁護する義務(憲法第99条)が課せられ、厳格な憲法改正手続(憲法第96条)が定められているのである。
権力を拘束するための法である憲法について、拘束される側の都合のよい解釈を行うことにより、その拘束を緩やかにしてしまうことは、立憲主義の否定に等しい。
集団的自衛権の行使は、歴代政府が長年にわたり認められないと解釈してきたものであること、これを容認することは国家の在り方を根本的に変えてしまうことになることから、集団的自衛権行使を容認するというのであれば、それは憲法改正の手続によらなければならない。にもかかわらず、政府に都合のよいように憲法解釈の変更を閣議決定で行うというのは、一国の首相としてあるまじき憲法尊重擁護義務(憲法第99条)に反する行為であり、立憲主義に根本から違反する行為である。そして、本閣議決定は、恒久平和主義(憲法前文・第9条)に反するので、憲法の最高法規性(憲法第98条)により、効力を有しないと断ずるべきものである。
滋賀弁護士会は、本年5月28日に「憲法第9条の解釈変更により集団的自衛権の行使を容認しようとする動きに反対する決議」をあげた。また、日本弁護士連合会も、全国の全弁護士会も、憲法解釈の変更による集団的自衛権行使容認に反対する決議又は会長声明をあげている。
当会は、集団的自衛権の行使等を容認する本閣議決定に対し、強く抗議し、その撤回を求めるとともに、今後の関係法律の改正等に反対するものである。          以上
2014(平成26)年7月15日
滋賀弁護士会

「特定複合観光施設区域の整備に関する法律案」(いわゆる「カジノ解禁推進法案」)に反対する会長声明
ttp://www.shigaben.or.jp/chairman_statement/20141009.html
1.国際観光産業振興議員連盟(通称「IR議連」)に属する国会議員らによって提出された「特定複合観光施設区域の整備に関する法律案」(以下「本法案」という。)が、先の国会にて継続審議となった。
本法案は、カジノ施設を含む特定複合観光施設が、観光及び地域経済の発展に寄与すると共に財政の改善に資することを理由に、現在、刑法上の賭博罪に該当する行為として違法とされているカジノを合法化するとともに、カジノ施設を含む特定複合観光施設設置の推進を政府の責務とすることを内容とする。
しかし、現在違法とされている賭博であるカジノを合法化するような正当な理由はなく、本法案を容認することは到底できない。
2.そもそも、カジノ施設が設置されれば、①暴力団員その他不適当な者のカジノ施設に対する関与、➁犯罪の発生、➂風俗環境の悪化、➃青少年の健全育成への悪影響、➄入場者がカジノ施設を利用したことにより受ける悪影響等の様々な弊害発生が予見されるところである(本法案10条参照)。しかるに、本法案はこれらの弊害を予見しながら、その防止及び排除の具体策を何ら検討もしていない。
そして、厚生労働省が今年発表した報告書によれば、我が国におけるギャンブル依存症の推定有病率は、男性で8.8%、女性1,8%と極めて高く、潜在的なものを含めると、さらに多くのギャンブル依存症の患者が存在することが示されている。このようにギャンブル依存症の有病率が高い状況にもかかわらず、ギャンブル依存症患者の治療施設や相談機関の設置、社会的認知への取組みなど、ギャンブル依存症に対する予防や治療体制が不十分な状況である。
さらに、社会問題となっている多重債務問題の要因の一つとして、ギャンブルがあげられる。これまで、総量規制や金利規制を定めた貸金業法改正やこれに伴う多重債務者改善プログラムなどの対策の結果、多重債務者数も大幅に減少し、改善されてきたところである。しかし、カジノが解禁されれば、多重債務問題の再燃も大いに危惧されるところである。
4.また、カジノ解禁による経済効果が喧伝されているが、この点に関する客観的な検証はされていない。むしろ、カジノでの出費により多重債務に陥ったり、老後の資金等としての貯蓄が奪われることなどによる新たな経済的弱者が発生したり、増加するギャンブル依存症患者に対する様々な対策をする必要が生じる。このような対策に多額の税金を投入され、多額の社会的コストの発生も容易に予想されるところである。かかるカジノ解禁に伴う社会的コストをも考慮すると、これを上回る経済的効果が実際に存在するのか甚だ疑問である。
たとえカジノ解禁による何らかの経済効果が認められようとも、暴力団員らの関与、犯罪の発生、風俗の悪化、青少年への悪影響、ギャンブル依存症患者の増加、多重債務問題の再燃などの様々な弊害を招来する危険に鑑みれば、そのような経済効果を追い求めるべきではない。
以上のとおり、カジノを解禁することによる経済的視点からの合理性には疑問があり、賭博罪の保護法益を上回るものとは到底いえず、賭博であるカジノを合法化するような立法事実は存在しないといわざるをえない。
5.ところで、報道等によると、滋賀県から比較的近接した大阪府内において、カジノ解禁を睨んで、カジノの誘致ないし開設が計画されているという。もし、大阪府内にカジノが開設されると、滋賀県からもカジノを契機としてギャンブル依存症に陥る者や多重債務に陥る者が出るなど、県民にも影響が及ぶことが懸念される。
6.以上のとおり、刑法により禁止された賭博であるカジノを解禁し、推進する本法案について、当会は、ここに強く反対の立場を表明すると共に、本法案の速やかな廃案を求める。
2014(平成26)年10月9日
滋賀弁護士会 会長 近藤公人

憲法改正発議要件の緩和に反対する会長声明
ttp://www.shigaben.or.jp/chairman_statement/20130708.html
およそ近代国家においては、国の最高法規であり国家権力を制限する機能を果たす憲法に人権保障規定を設け、国民の基本的人権の擁護を図っている(立憲主義)。
日本国憲法も、人権保障規定を持ち、更に、時の政権が自己に都合の良いように憲法を改正して国民の基本的人権を不当に制限することがないよう、自らの改正に発議要件として各議院の総議員の3分の2以上の賛成という特別多数決を採用している。その結果、少数者の利益・人権にも配慮した国会における慎重な審議が期待できる。
さて、近時、政権与党の側から、我が国において憲法改正が一度もなされてこなかった理由を発議要件が厳しすぎることに求め、憲法を国民の手に取り戻すために発議要件を緩和しなければならない旨の主張が繰り返されている。
しかし、国の最高法規であり人権保障機能を果たす憲法が、その改正に、より慎重さを求められるのはむしろ当然である。それゆえ、多くの国が憲法に厳格な改正要件を定めているのであり、日本国憲法が殊更に厳しい改正要件を定めているわけではない。
また、憲法を国民の手に取り戻すために発議要件を緩和するとの主張は、発議要件を緩和すれば憲法改正案が国民投票に付される機会が増えるため、国民主権ないし民主主義に適うように見える。しかし、発議要件が緩和されると、国会での熟議がそれだけ期待できなくなり、国民は少ない情報しか与えられない状況下で投票を強いられる結果となる。かくては、発議要件の緩和は、時の政権に自己に都合の良いように憲法を改正する機会を多く与えるだけの結果に終わりかねない。特に、議院内閣制をとる国家にあっては、政権の座にある者が同時に国会の多数派でもあるので、その弊害は大きい。
よって、当会は、憲法改正の発議要件の緩和に、強く反対する。
2013(平成25)年7月18日
滋賀弁護士会 会長 甲津貴央

憲法9条の解釈変更により集団的自衛権の行使を容認しようとする動きに反対する決議
ttp://www.shigaben.or.jp/chairman_statement/20140528.html
1.安倍晋三首相は、本年2月の衆議院予算委員会で、日本国憲法9条に関する政府解釈を閣議決定の方法で変更する方針を示した。これに呼応して、「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(以下「安保法制懇」という。)は、5月15日、集団的自衛権の行使を容認すべきであるとの答申を出した。
同首相は、同日、集団的自衛権行使の限定容認に向け、憲法解釈変更の基本的方向性を表明した。
2.憲法9条2項は、「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」と定めて、日本が戦力を持つことができないこと、他国と交戦できないことを明記した。したがって、自衛隊そのものについても、それが戦力にあたる憲法違反の存在ではないかという議論が存在するのである。
この点についての政府見解は、「自衛隊は、我が国を防衛するための必要最小限度の実力組織であるから憲法に違反するものではない」(昭和55年12月5日)、「自衛のため必要最小限度の防衛力を保持することは9条の禁止するところではない」(昭和57年3月10日)というものである。政府自身も自国の防衛に必要な最小限度を超えていないとして、自衛隊が合憲だと主張してきたのである。
この論理によるならば、自国の防衛のために必要かつ最小の限度を超える実力の行使は、憲法違反ということになる。政府も、集団的自衛権を「自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利」と定義した上で、「憲法第九条の下において許容されている自衛権の行使は、我が国を防衛するため必要最小限度の範囲にとどまるべきものであると解しており、集団的自衛権を行使することは、その範囲を超えるものであって、憲法上許されない」と説明してきた(政府答弁書昭和56年5月29日)。
政府自身が認めてきたように、自国が攻撃を受けていないにもかかわらず、自衛の名の下に実力を行使することは、憲法が許容するところではない。自国が攻撃を受けていないのに実力を行使することは、明白な憲法違反である。
3.ところが、政府は、この問題について、安保法制懇という私的な諮問機関の報告書をもとに、解釈変更のための閣議決定をしようとしている。
そもそも、憲法の基本理念である立憲主義は、憲法で国家権力を制限することにより国民の権利・自由の保障を図るものである。憲法改正の手続を経ずに、政府自身が解釈により憲法の内容を実質的に変更することは立憲主義に反し、許されない。
憲法が予定する手続によらずに、憲法の制約を免れようとすることは、もはや憲法解釈の変更ではなく、憲法違反の状態を作り出す行為にほかならない。

「平和安全法制」関連法案に反対する会長声明
ttp://www.shigaben.or.jp/chairman_statement/20150714_1.html
「国際平和支援法案」及び自衛隊法や周辺事態安全確保法の改正案等の一連の「平和安全法制」関連法案が、現在、国会で審議されている。これらの法案は、以下に指摘するとおり、日本国憲法の立憲主義の基本理念及び憲法9条に違反する重大な問題を抱えている。当会は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする弁護士の団体として、この法案に反対する。
1.立憲主義及び憲法9条に反すること
一連の「平和安全法制」関連法案(以下「本法案」という。)は、昨年7月1日の集団的自衛権の行使を容認する閣議決定を法制化しようとするものである。
集団的自衛権は、日本が攻撃されていないにもかかわらず、他国に対して自衛隊が武力を行使するというものであって、武力の行使を放棄した憲法9条1項に違反する。これまで、自衛隊は、日本が攻撃を受けたときに、これを排除するために必要最小限度の実力を行使するにとどまることを理由に、憲法9条2項の戦力にあたらないと説明されてきた。ところが、集団的自衛権の行使を容認することになれば、もはやこの論理は維持できなくなり、自衛隊は憲法9条2項が禁じている「戦力」であることを否定できず、その武力の行使は同項が否認している「交戦権」の行使となることから、憲法9条2項にも違反する。
集団的自衛権の行使が憲法上認められないことは、60年以上にわたって政府自身が繰り返し確認してきた、確立された憲法解釈である。にもかかわらず、こうした解釈を閣議決定で変更し、これを立法化することは、憲法改正手続によらずに実質的に憲法を改変するに等しい。これは、憲法によって権力に縛りをかけることで国民の自由・権利及び平和を守るという立憲主義に反するものである。
憲法学者の多くは、昨年の閣議決定や本法案が憲法違反である旨の意見を表明している。
加えて、衆議院の憲法審査会では、自民党が推薦した参考人を含め3人の憲法学者全員が「法案は違憲である。」旨を述べている。
また、昨年来、全国のすべての弁護士会が集団的自衛権の行使は憲法違反であることを指摘している。当会も、昨年5月28日には「憲法9条の解釈変更により集団的自衛権の行使を容認しようとする動きに反対する決議」を、同年7月15日には「集団的自衛権の行使を容認する閣議決定に抗議し撤回を求める会長声明」を発表したところである。
政府は、砂川事件の最高裁判決を根拠に、集団的自衛権の行使が合憲であると主張している。しかし、砂川事件最高裁判決は、憲法上、日本が集団的自衛権を行使できるなどとは全く述べていない。この判決は「在日米軍は外国の軍隊であって、日本が主体となって指揮・管理できない。だから在日米軍は憲法9条2項が保有を禁止している戦力にはあたらない」と判断したにとどまる。日本が攻撃を受けていない状況下で、自衛隊が実力を行使することを憲法が認めているなどと判示したものではないのである。砂川事件最高裁判決は、集団的自衛権の行使が合憲であることの理由にはならない。
以上のとおり、本法案は憲法9条に反するものであり、憲法改正手続によらず、違憲の法律を制定することは、立憲主義に反するものである。
2.「存立危機事態」概念の問題性
自衛隊法76条の改正案では、いわゆる「存立危機事態」にも、」内閣総理大臣が自衛隊の出動を命じることができることとされている。そうなれば、同法88条によって自衛隊が武力を行使できることになる。
しかし、武力の行使を可能とする「存立危機事態」とはどのようなものであるかが、一連の法案でも、政府の説明でも、なんら具体的に示されていない。自国が攻撃されていないのに、他国が攻撃されて日本の存立が脅かされる状況とはどのようなものか不明である。しかも、武力行使の地理的な限定もない。これでは、自衛隊の武力行使を有効に制約することができず、恣意的に適用される危険がある。
憲法9条1項は、日本が攻撃されていないにもかかわらず、他国に対して自衛隊が武力を行使することを認めていないのであり、自衛隊法76条の改正案は、憲法9条1項に違反するものである。
3.「重要影響事態」概念の問題性
本法案の一つである「重要影響事態に際しての我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律」は「我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態」を「重要影響事態」と定義し、重要影響事態に該当するときは、地理的な制約なく、船舶検査活動、後方支援活動、捜索救助活動を可能にするとしている。
我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態という文言はあまりに漠然としており、恣意的に適用される危険がある。
また後方支援活動には、他国軍に対する兵站活動も含まれている。兵站活動は他国の武力行使と一体化した活動であるし、相手国からの攻撃を招く危険性が高い活動である。いまだ日本が直接に武力攻撃を受けていない状態で、他国軍と一体化してこのような活動を行うことは、自衛隊への武力攻撃を招来し、これに対する反撃を余儀なくされる結果、自衛隊の海外での武力行使へ道を開くものとして、憲法9条1項に違反するものである。
4.国際平和支援法案による自衛隊海外派遣法制の恒久法化の問題性
国際平和支援法案は、「国際社会の平和及び安全を脅かす事態であって、その脅威を除去するために国際社会が国際連合憲章の目的に従い共同して対処する活動を行い、かつ、我が国が国際社会の一員としてこれに主体的かつ積極的に寄与する必要があるもの」を「国際平和共同対処事態」と定義し、国際平和共同対処事態に該当するときは、自衛隊が諸外国の軍隊等に対して協力支援活動等を行うことができるようにするものである。
これまでのように個別法を作らずに、自衛隊の海外派遣を広範に認めるようにすることは、世界各地で日常的に自衛隊が武器の使用の危険性に直面することを意味する。
憲法は、あくまでも武力を背景としない国際関係を希求するものであって、武器を携えた自衛隊が、日常的に世界各地で活動するようなことを想定していない。
以上のとおり、本法案は、日本国憲法の立憲主義の基本理念及び憲法9条に違反する。当会は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする弁護士の団体として、この本法案に反対する。
2015(平成27)年7月14日
滋賀弁護士会 会長 中原淳一

「平和安全法制」関連法案の強行採決に抗議する会長声明
ttp://www.shigaben.or.jp/chairman_statement/20150919.html
本日、いわゆる平和安全法制関連法案が、参議院で強行採決され、可決成立した。これらの法案が憲法に違反するものであることは、当会だけでなく、全国の弁護士会、日本弁護士連合会がそろって訴えてきたところである。また、多くの憲法学者や、元最高裁判所長官、元内閣法制局長官からも、憲法違反の指摘がなされてきた。国民の反対の声を押し切り、国会での説明・審議も十分に尽くさないまま採決に踏み切ったことに対し、当会は、強い抗議の意思を表明するものである。
とりわけ、憲法9条のもとでは集団的自衛権の行使は許されないという、これまで政府自身がとってきた立場を、一内閣の解釈変更で反故にしたこと、そのための論拠として砂川事件の最高裁判決に無理な解釈を加えて法案を正当化したことは、立憲主義を踏みにじる暴挙であって、断じて許すことはできない。砂川事件最高裁判決が集団的自衛権の行使を容認したなどという解釈は、法律家からみればあり得ない誤った見解である。
当会は、集団的自衛権の問題について、昨年9月と今年6月の2回、市民向けの講演会を実施し、今年7月20日には約1300人を集めて新安保法制を許さない県民集会とデモを、8月21日には約500人が参加する緊急集会とデモを行い、さらに9月9日には、県内9か所で全県一斉街頭宣伝活動を行った。加えて、これらの準備中に20回を超える街頭宣伝活動を行った。そうした活動を通じて、多くの市民に法案の問題性への理解を深めていただくとともに、多くの市民と協同することができた。当会は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする弁護士の団体として、憲法違反のこの法律の廃止を目指す取組みを行うこととする。
2015(平成27)年9月19日
滋賀弁護士会 会長 中原淳一

少年法の適用年齢引下げに反対する会長声明
ttp://www.shigaben.or.jp/chairman_statement/20150714_2.html
選挙権年齢を20歳以上から18歳以上に引き下げる公職選挙法の改正案が可決、成立した。同法の附則では「少年法その他の法令の規定について検討を加え、必要な法制上の措置を講ずる」と規定されており、自由民主党は「成年年齢に関する特命委員会」を設置し、現行20歳未満とされている少年法の適用年齢の引下げについて検討を始めている。
しかし、国や社会の在り方について考え、投票行動により自分の意見を表明できる者は何歳以上であるかという公職選挙法の選挙権年齢の問題と、非行を行った者に対し健全な大人になるための手立てを講じる時期をどこまでに設定するかという少年法の適用年齢の問題は全く別であり、これらを連動させる理由はない。過去を見ても、選挙権年齢は戦後に現行の公職選挙法が制定・施行されるまでは25歳以上の男子とされていたが、旧少年法(1922(大正11)年制定)の適用年齢は18歳未満とされており、一致していなかった。また、1896(明治29)年制定の民法は成年年齢を20歳と規定しており、選挙権年齢とも旧少年法の適用年齢とも一致していなかった。法律の適用年齢はそれぞれの法律の立法趣旨に照らして慎重かつ具体的に検討すべきであり、少年法についても同様である。
この点、旧少年法で18歳未満とされていた適用年齢を現行の20歳未満に引き上げたのは、20歳くらいまでの者は未だ心身の発達が十分でなく環境その他外部的条件の影響を受けやすく、犯罪が深い悪性に根ざしたものではないため、刑罰を科すよりは保護処分によってその教化を図る方が適切である場合が極めて多いという立法趣旨に基づく。若年者の犯罪・非行がその資質と生まれ育った環境に大きく起因していることは、非行少年と接し、その立ち直りの支援に当たっている者が日々体感していることであり、この立法趣旨は現在にも当てはまる。
現行の少年法制の下においては、少年事件は全件家庭裁判所に送致され、家庭裁判所調査官による社会調査、少年鑑別所における資質鑑別、付添人等による更生のための援助、審判廷での質問、訓戒など様々な教育的な働きかけにより、少年の更生・成長・発達を図っている。少年法の適用年齢を18歳未満に引き下げると、18歳、19歳の少年被疑者は刑事裁判手続で扱われることになり、比較的軽微な犯罪の場合、専門的な調査や審判時や審判後の教育的な働きかけなど、これまで練り上げられてきた処遇が全くなされないまま、起訴猶予処分により社会に復帰することになる。これは、少年の更生の機会を奪い、再犯のリスクを高めることになりかねない。2013(平成25)年に検察庁が新しく受理した18歳、19歳の少年被疑者数は4万8642人(検察統計年報)であり、その影響は大きい。
少年法の適用年齢を引き下げるべきであるとの意見の中には、少年非行や少年による凶悪犯罪の増加を根拠にするものがある。しかし、刑法犯少年の検挙者数は年々減少しており、少年10万人あたりの検挙人員も2013(平成25)年は763.8人となり、ピークであった1981(昭和56)年の1721.7人の半分以下となっている。また、殺人・強盗・放火・強姦といった凶悪犯罪と呼ばれる事件は昭和30年代のピーク時の12%以下まで減少しているのであって、少年非行や少年による凶悪犯罪が増加しているとはいえない。
よって、当会は、少年法の適用年齢の引下げに強く反対する。
2015(平成27)年7月14日
滋賀弁護士会 会長 中原淳一

少年審判書の全文掲載に対する会長声明
ttp://www.shigaben.or.jp/chairman_statement/20150519.html
1.本年4月10日に発売された「文藝春秋」5月号(株式会社文藝春秋発行)において、いわゆる「神戸連続児童殺傷事件(以下「本事件」という)」の少年審判における審判書の全文が、同紙に掲載された(以下「本件掲載行為」という)。
この点、本件掲載行為に対しては、既に神戸家庭裁判所が、記事を寄稿した記者、審判書を提供した元裁判官である弁護士と株式会社文藝春秋に対し、裁判官が退官後も負う守秘義務に違反する行為などにあたるとして抗議文を送付したところである。
本件掲載行為については、元裁判官による守秘義務違反という司法制度の根幹を揺るがす重大な問題があることは当然であるのに加えて、以下の点においても極めて問題がある。
2.少年法の制度趣旨を没却し、少年のプライバシーを侵害する点
(1)少年法は、少年の健全な育成(少年法第1条)のため、未成熟な少年を保護し、将来における更生を可能とすることを目的として制定されているところ、本件掲載行為は、成人の刑事裁判とは異なる制度設計のもと、少年審判制度が作られた法の趣旨に反する行為である。
すなわち、少年法は、更生した少年が社会に戻る際の妨げとならないように、非行したこと自体を秘密とする必要があること、また、少年の抱えている問題点・矯正教育の方法を踏まえ、処分を審判するために、少年の性格、全生活史、その家族のプライバシーに関わる事項、事件に至った経緯・内容等のプライバシーの多岐にわたる事実を少年や家族、関係者等から聴取する必要があることから、少年法では成年とは異なる特別の規定が設けられている。少年審判の非公開(同法第22条第2項)、推知報道すなわち少年を特定する事項の報道の禁止(同法第61条)、記録の閲覧制限(少年審判規則第7条)等がこれにあたる。

 

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