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2337 ら特集山梨弁護士会②(0)

引用元 

山梨県弁護士会
ttp://www.yama-ben.jp/

安全保障法制改定法案に反対する会長声明
政府は、平成27年5月15日、自衛隊法、重要影響事態安全確保法、事態対処法など10本の法律の一部改正を行う、「我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律」(平和安全法制整備法)案と、「国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律」(国際平和支援法)案を、第189回国会に提出した(以下併せて「本法案」という)。
本法案は、4月27日にアメリカと合意した新たな日米防衛協力のための指針(新ガイドライン)を反映し、我が国及び国際社会の平和及び安全のための切れ目のない体制の整備を行うことを目的とする。
しかしながら、本法案は、憲法第9条に反し、違憲無効なものである。
本法案は、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされる等の要件を満たす事態を「存立危機事態」と称し、この場合に、世界のどこででも自衛隊が米国及び他国軍隊とともに武力を行使することを可能としている。これは、集団的自衛権の行使を容認するものである。
また、本法案によれば、我が国の平和と安全に重要な影響を与える「重要影響事態」や、国際社会の平和と安全を脅かす「国際平和共同対処事態」において、地理的限定なく、現に戦闘行為が行われている現場でなければ、自衛隊が戦争を行っている米国及び他国軍隊に、弾薬の提供等まで含む支援活動を行うことを可能としている。これは、従前禁止されてきた他国との武力行使の一体化をもたらすものである。
政府は、日米両政府が軍事的に協力することによって抑止力が高まり、我が国及び国際社会の平和と安全をもたらすことができるとするが、日本国憲法が目指す恒久の平和は日本国民が平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して達成されるものである(憲法前文)。
そもそも、主権者である国民は、権力者による権力濫用から、基本的人権を守るために憲法を制定した(立憲主義)。憲法は権力者を縛るものであり(憲法第99条)、憲法に反する権力行使は許されない(憲法前文、憲法第98条)。戦争は、最大の人権侵害であり、日本国民は、憲法第9条によって、政府による武力の行使を禁止し、戦力の不保持、交戦権を否認したものである。
しかし、本法案は、集団的自衛権を認め、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生した場合に、自衛隊による武力行使を認め、他国との武力行使の一体化をもたらす後方支援を地理的限定なく認める。これらの行為は、我が国に対する攻撃(本法案にいう武力攻撃事態等にほかならない)を招くものである。本法案は、これまで憲法第9条によって守られてきた我が国の平和と人権を破壊し、戦争に導くものにほかならない。
このほかにも本法案には様々な問題があるが、平成26年7月1日の集団的自衛権行使容認を行った閣議決定に基づくものにほかならず、憲法改正手続を踏むことなく憲法の実質的改正をしようとするもので立憲主義の基本理念に真っ向から反する。
よって、当会は、本法案による安全保障法制の改定に強く反対するとともに、基本的人権の擁護を使命とする法律家の団体として、本法案が成立することのないよう、その違憲性を強く訴えるものである。
2015年5月22日
山梨県弁護士会会長 關本喜文

共謀罪の新設に改めて反対する会長声明
1. 共謀罪に関する法案が(以下「法案」という。)過去3度廃案となり本年の臨時国会への提出も見送られたことが報道されているが、共謀罪の新設の検討は否定されていない。当会は2006年1月20日、共謀罪の新設が国民の基本的人権に対して重大な影響を与えることを指摘し、これに反対する会長声明を表明した。
2. 共謀罪は、2人以上の者が団体の活動として犯罪を行うことを話し合って合意することを処罰対象とする犯罪である。共謀罪は犯罪実行行為や犯罪準備行為も不要とする犯罪であり、外形的行為のない意思は処罰しないとする刑事法体系の基本原則に反するだけではなく、表現行為を処罰する点で表現の自由、集会結社の自由、思想信条等の自由等の憲法上保障される基本的人権に対する侵害になりかねない。
法案で、共謀罪は対象犯罪や団体に関して何ら限定をしておらず、目的による限定もされていない。そのため、共謀罪は長期4年以上の犯罪には全て適用されることになるので、窃盗・傷害等600以上もの犯罪に共謀罪が適用されることになり、その範囲は非常に広範にわたることになる。
3. 共謀罪の新設は、「国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約」を批准するための国内法の整備のためと説明されている。しかし、現行法上、重大犯罪について予備罪、陰謀罪が存在するうえ、判例上共謀共同正犯理論により、予備罪の共謀共同正犯、他人の予備についても処罰が可能となっている。同条約を締結した諸外国で共謀罪を新設したのはノルウェーとスウェーデンがあげられるのみであり、600以上の共謀罪を新設した国は確認されていない。したがって、条約の批准に共謀罪の新設は不可欠ではなく、我が国において共謀罪を新設する必要性は存在しない。
4. 共謀罪の捜査は具体的な法益侵害行為を対象とするのではなく、会話や電話等の表現行為を対象とするものである。法制審議会新時代の刑事司法制度特別部会は、2014年7月9日、通信傍受の対象犯罪を拡大する方向で最終とりまとめを行った。
このような状況では、共謀罪摘発のために捜査機関が市民の表現行為を傍受する監視社会をもたらす危険性を孕んでいる。
5. 以上のように、共謀罪は刑事法体系の基本原則に反し、表現の自由や思想信条の自由等重要な基本的人権を侵害するものであるから、当会は共謀罪の新設に強く反対する。
2014年10月11日
山梨県弁護士会会長 小野 正毅

「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」 (いわゆる「カジノ解禁推進法案」)に反対する会長声明
第1 趣旨
当会は、「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」に強く反対し、本法案の廃案を求める。
第2 理由
1. はじめに
昨年12月、国際観光産業振興議員連盟(以下「IR議連」という。)に所属する国会議員有志よって、「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」(以下「カジノ解禁推進法案」という。)が国会に提出され、現在開催されている臨時国会で継続審議となっている。
IR議連は、カジノ施設を含む統合型リゾートを観光振興、地域振興に資する成長戦略の一つのツールとしており、このようなリゾートの設置による集客効果、雇用効果、税収効果等により地域経済が活性化することを強調している。
しかし、カジノ解禁推進法案が成立した場合、以下に述べるとおり多数の問題が生じるおそれがある。
2. ギャンブル依存症患者を増加させるおそれがある
現在の日本には、競馬等の公営ギャンブルやパチンコ産業が根付いており、ギャンブル依存症患者が増加する要因が現に存在する。さらに、厚生労働省研究班の本年8月20日発表では、日本人のギャンブル依存症有病率は推計で男性8.7%、女性1.8%であり、諸外国の推計有病率1%前後に比べて異常に高い。その一方で、ギャンブル依存症治療を専門的に行う医療機関は少なく、患者の治療・支援体制が十分に整っているとは言い難い。このような日本の現状では、カジノを解禁する以前に、ギャンブル依存症患者を増加させない対策を講じることこそが重要である。
カジノ解禁推進法案の考え方では、カジノを解禁後、カジノからの納付金を元手にギャンブル依存症対策を行うとされている。しかし、カジノを解禁してギャンブル依存症患者を増加させる明らかなおそれを生じさせつつ、ギャンブル依存症対策を行うというのは、依存症患者の増加防止策としてまったく矛盾しており、このような対策で依存症患者の増加を防止することは非常に困難である。
3. 多重債務者を再び増加させるおそれがある
2006年の貸金業法改正等、官民一体となって取り組んだ多重債務者対策により、多重債務者は激減し、結果として、破産者等の経済的破綻者や経済的理由によって自殺する者も減少した。
しかし、ギャンブル依存症患者の多くは、ギャンブルのために借金を重ねている。そして、カジノを解禁した場合、ギャンブル依存症患者がカジノでギャンブルを行うために借金をすることは当然に想定される。また、ギャンブル依存症患者でなくても、カジノに射幸心を煽られ、カジノで所持金を使い果たしたカジノ客が、負けた分を取り戻すために借金をしてギャンブルを続けることも想定される。そのため、カジノを解禁した場合、結果として多重債務者を再び増加させるおそれがある。
4. 青少年の健全育成に悪影響が生じるおそれがある
カジノ解禁推進法案では、カジノは、「会議場施設、レクリエーション施設、展示施設、宿泊施設その他の観光の振興に寄与すると認められる施設」と一体となって設置することを想定している。そして、青少年がカジノに入場できないとしても、カジノと一体となって設置された観光施設に青少年が出かけることは当然に想定される。そして、青少年が、カジノが身近にある環境に身を置いた場合、カジノに対する抵抗感を喪失するおそれがあり、将来的にカジノに出入りし、カジノに射幸心を煽られ、その結果、ギャンブル依存症の発症に影響を与えるおそれがある。
5. 暴力団の関与を完全に排除することは困難である
カジノ解禁推進法案では、暴力団等のカジノへの関与を排除するための規制に関して必要な措置を講ずることを政府に義務付けている。しかし、いかなる規制を設けたとしても、暴力団構成員が身分を偽り、カジノの従業員として施設に入り込むこと、あるいは暴力団が関係企業や関係者を通じて間接的にカジノへ関与することを完全に防止することは困難であり、カジノを解禁した場合には、これに暴力団が関与するおそれが十分にあると言うべきである。
6. 経済効果に対する疑問
IR議連は、カジノ解禁による地域経済の活性化を強調している。しかし、カジノ解禁により、政府のカジノ規制費用、ギャンブル依存症患者の労働力・生産性の低下、ギャンブル依存症対策費用等の社会的負担の増加が懸念されている。そのため、カジノ解禁により何らかの経済効果があるとしても、これに伴う社会的負担の増加問題を考慮すれば、最終的にどれだけの経済効果が得られるのか甚だ疑問である。
7. カジノにおけるギャンブルは刑法の禁止する「賭博」である
そもそも、カジノにおけるギャンブルは「賭博」(刑法185条、同法186条)である。刑法が「賭博」を禁止しているのは、「賭博」が「勤労その他正当な原因に因るのでなく、単なる偶然の事情に因り財物の獲得を僥倖せんと相争う」性質のものであり、これにより「国民をして怠惰浪費の弊風を生ぜしめ、健康で文化的な社会の基礎を成す勤労の美風(憲法第二七条一項参照)を害するばかりでなく、甚だしきは暴行、脅迫、殺傷、強窃盗その他の副次的犯罪を誘発し又は国民経済の機能に重大な障害を与える恐れすらある」(最高裁昭和25年11月22日大法廷判決)からである。
そして、IR議連も、カジノが現行の刑法で禁止されている賭博行為を提供する施設であることを認めている。それにも関わらず、犯罪防止策等の各種対策を行うことで、上記判例に挙げられた弊害やその他の弊害を防止できるという趣旨の主張を行っている。
しかし、各種弊害防止の具体策の構築は、カジノ解禁推進法案成立後に政府が行うことになっており、現時点でIR議連の言う対策も、何ら具体性のない抽象論でしかない。そのため、IR議連の言う弊害防止策により、実際にどの程度の弊害防止効果があるかを事前に、かつ慎重に検討する必要がある。そして、国民に対して、カジノを解禁しても各種弊害発生のおそれがないことを合理的に説明する必要がある。このような説明がない現状では、カジノ解禁により各種弊害が発生するおそれを排除することはできないのであり、カジノ解禁が「賭博」を禁止した刑法の趣旨を害するおそれがある。
8. 結語
以上より、カジノ解禁推進法案が成立した場合、ギャンブル依存症患者の増加、多重債務者の増加、青少年の健全な育成への悪影響、社会的負担の増加、暴力団のカジノへの関与といった問題が生じるおそれがあり、「賭博」を禁止した刑法の趣旨を害するおそれがある。
よって、当会は、カジノ解禁推進法案に強く反対し、本法案の廃案を求めるものである。
2014年10月11日
山梨県弁護士会会長 小野 正毅

集団的自衛権の行使を容認する閣議決定に抗議し撤回を求める会長声明
2014年(平成26年)7月1日,政府は,従来「自衛権発動の3要件」の第1要件とされていた「わが国に対する武力攻撃が発生した場合」に加え,「わが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し,これによりわが国の存立が脅かされ,国民の生命,自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合」にも自衛権を行使できるとし,集団的自衛権の行使を容認する閣議決定を行った。
しかし,憲法は,前文で平和的生存権を確認し,第9条で戦争放棄,戦力不保持及び交戦権否認を定め,恒久平和主義を採用している。それゆえ,これまでの政府は,集団的自衛権の行使につき,憲法第9条のもとにおいて許容される,わが国を防衛するために必要最小限度の範囲に止まる自衛権の行使を超えるものであって,憲法上許されない旨,繰り返し確認してきた。
憲法によって国家権力の行使を厳格に制約するという立憲主義のもとでは,内閣及び国会は,憲法規範の枠内で行動しなければならない(憲法尊重擁護義務,第99条)。集団的自衛権を認めることは,専守防衛に徹し,戦争,武力行使に加担してこなかったわが国のあり方を根本的に変えようとするものである。したがって,憲法改正手続を経ずに,集団的自衛権の行使を認めることは許されない。
憲法改正手続によらず,一内閣が閣議決定により,集団的自衛権の行使を容認することは,立憲主義と恒久平和主義に反し,憲法違反である。また,かかる閣議決定に基づいた自衛隊法等の法改正も許されるものではない。
当会は,基本的人権の擁護を使命とする弁護士の団体として,立憲主義堅持の立場から,集団的自衛権の行使を容認する本閣議決定に強く抗議するとともに,その撤回を求める。
2014年7月5日
山梨県弁護士会会長 小野 正毅

行政書士法改正に反対する会長声明
日本行政書士会連合会は、行政書士法を改正して、「行政書士が作成した官公署に提出した書類に係る許認可等に関する審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立てについて代理すること」を行政書士の業務範囲とすることを求め、そのための運動を推進してきた。そして、これを受け、今国会において、議員立法により、上記内容の同法改正法案が提出される可能性がある。
同連合会は、代理権の範囲を絞り込むことにより同法改正への理解を求めているが、代理権の範囲に関わらず、行政書士に行政不服申立代理権を付与することは、国民の権利利益の擁護を危うくするおそれがあり、容認できない。すでに、日本弁護士連合会が2012年(平成24年)8月10日に同法改正に反対する会長声明を発表し、その後、各地の弁護士会が会長声明にて反対の立場を表明しているように、当会も、以下の理由から、これに反対する意見を表明する。
第1に、行政書士の主たる職務は、行政に関する手続の円滑な実施に寄与することを主目的とした、行政庁に対する各種許認可関係の書類作成・提出であるところ、その職務の性質上、行政庁の違法・不当な行政処分の是正を求める行政不服申立制度とは、本質的に相容れない。
第2に、行政不服申立ての代理人を務めるにあたっては、行政訴訟の提起やその見通しをも視野に入れる必要があるなど、高度な専門性と慎重かつ適切な判断が不可欠であるところ、これらの点において、行政書士の能力担保は十分とはいえない。
第3に、行政書士について定められている倫理綱領は、その内容において、当事者の利害や利益が鋭く対立する紛争事件の取扱いを前提とする弁護士倫理と異なっており、行政書士において紛争事件を取り扱うだけの職業倫理が確立しているとはいえない。
第4に、仮に行政書士が行政不服申立ての代理権を獲得したとしても、その活動分野は限定されることが予想され、影響は小さいとの指摘があるが、国民の権利利益に影響する問題を活動分野の大小で計ること自体が大いに問題であるし、いったん国民の権利利益の擁護が全うされない事態が招来されれば、それは取り返しのつかないことである。
第5に、弁護士は、出入国管理及び難民認定法、生活保護法、精神保健及び精神障害者福祉法に基づく行政手続等について、行政による違法・不当な処分から社会的弱者を救済する実績を上げており、ことさら行政書士に代理権を付与しなければならないという社会的必要性も存在しない。
以上のとおり、当会は、行政書士法を改正して行政書士に行政不服申立代理権を付与することに強く反対するものである。
2014年6月9日
山梨県弁護士会会長 小野 正毅

集団的自衛権の行使を容認する解釈改憲に反対する総会決議
1. 政府は、「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(安保法制懇)」の報告書が提出されたことを受け、日本国憲法第9条に関するこれまでの政府見解・憲法解釈を閣議決定により変更し、集団的自衛権の行使を容認しようとしている。また、これを前提に、関連する自衛隊法等の法改正を先行して行うとしている。
2. しかし、憲法第9条のもとでは、集団的自衛権の行使は否定される。これは、幾多の政府答弁で繰り返され、法(PKO協力法、周辺事態法)制定にあたって参照されてきた確立した憲法解釈である。
集団的自衛権行使の否定こそが、憲法第9条解釈の核心であり、憲法第9条による制約として、その規範的意義は強固に承認されてきた。いわゆる砂川事件最高裁判決が肯定した「我が国が主権国として持つ固有の自衛権」は、「自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な」限りでの個別的自衛権のみであり、この判決によって集団的自衛権の行使を正当化する余地はあり得ない。
3. 憲法によって国家権力が制限されなければならないとする立憲主義のもとでは、内閣及び国会は、憲法規範の枠内で行動しなければならない。この法理は、我が国のような民主制国家でも例外ではなく、国民から選ばれた民主的基盤を有する者に対しても当然、その拘束力が及ぶ。そして、確立した憲法解釈は、現にある憲法規範として、時の内閣及び国会を拘束する。
ある政策を実現しようとするとき、それが憲法で禁じられているのであれば、その政策を断念するか、憲法を改正するかのいずれかしかない。特に、集団的自衛権の行使容認に道を開くのであれば、それは、国のあり方の基本を転換する重大事なのであるから、国民的議論を経た上で、正式に憲法改正の手続きを踏む必要がある。正面から、各議院の総議員の3分の2以上の賛成を得るべく、理を尽くし、世論の支持を得る努力をするべきである。
集団的自衛権の行使を容認するとなれば、同盟国のために自衛隊員を犠牲にして他国とともに戦うことになるし、相手国兵力の殺傷や破壊も現実のものとなる。現行憲法施行以来、堅持してきた恒久平和主義の転換であり、この点について覚悟を持たねばならないのは、国民自身である。その国民に向けた説明と説得も十分に行わず、国民的議論を尽くす機会も与えず、与党内の議論だけで、現行憲法上許されないものを許されると解釈変更することは、解釈による憲法改正であって、立憲主義に明らかに反する。
4. 当会は、2013年11月9日憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認と国家安全保障基本法案の国会提出に反対する会長声明を発出した。
今般の情勢を踏まえ、当会は、更に、政府が憲法解釈の変更によって集団的自衛権の行使を容認しようとすることに対し、立憲主義に反するものとして、強く反対し、ここに決議する。
2014年5月26日
山梨県弁護士会

司法試験合格者数の大幅な減少を求める総会決議
第1 決議の趣旨
当会は、政府に対し、年間司法試験合格者数の大幅な減少を平成26年度から実施することを求める。
第2 決議の理由
1. 政府は、平成25年7月16日付け法曹養成制度関係閣僚会議決定「法曹養成制度改革の推進について」において、今後の法曹人口の在り方について、「閣僚会議の下で、法曹人口についての必要な調査を行い、その結果を2年以内に公表する。また、その後も継続的に調査を実施する」ことを明らかにした。そして、平成25年度の司法試験合格者数は、昨年度と変わりがなく、2000人を超えた。
しかし、以下の状況に鑑みれば、法曹人口の在り方に関する結論を2年間も先送りすることは、司法制度そのものの崩壊を招来することになりかねない。
2. 法曹人口は、司法制度改革審議会意見書(平成13年6月12日)において提言されていた裁判官、検察官の大幅な増員が、もっぱら予算上の理由で抑制されている中、弁護士人口のみが急増している。すなわち、弁護士全登録者数は、平成14年度の1万9508人から平成24年度には3万3624人へと1万4000人以上増加し、山梨県弁護士会の会員数も、平成14年度の58人から平成24年度には107人へとほぼ倍増している(各年度3月31日現在)。
他方で、弁護士需要の主たる指針となる裁判所の事件数は、弁護士数の急増にもかかわらず減少の一途である。すなわち、最高裁判所の司法統計によれば、平成14年度の民事・行政事件の全裁判所新受件数と平成24年度のそれを比較すると、実に51.7%に減少し(329万8354件から170万7568件)、甲府地方裁判所および同管区内の簡易裁判所の民事・行政事件の新受件数も、49.6%にまで減少している(1万6154件から8015件)。
司法制度改革審議会が予想した弁護士に対する需要拡大が現実化していない状況が長期間続く中で、現状の2000人強の合格者数では弁護士がますます供給過多となり、次項に述べるように就職難が発生し、OJT不足による質の低下が懸念される。
3. すなわち、いわゆる二回試験合格発表後の一括登録時における未登録者数は、年々増加し、平成25年度(新66期・平成25年12月19日一括登録日現在)は、570人(ただし平成26年1月14日現在の未登録者数は351人)に達し、新規登録弁護士の就職難が社会問題化していることは、周知の事実である。既存の法律事務所における研鑽の機会すらない新人弁護士が急増すると、国民の基本的人権を擁護し、社会正義の実現を使命とする弁護士の職責を充分に果たすことができない者が生ずることを否定できないところ、その不利益を被るのは弁護士ではなく、当該弁護士を依頼した市民自体である。
4. さらに、法科大学院入学志望者数は、創設時の2割以下にまで激減している。これは、法科大学院を法曹養成制度の中核とする制度の趣旨からすれば、一刻の猶予も許されない極めて深刻な事態である。法科大学院入学志望者激減の理由は、法曹資格取得後の就職や開業に十分な見通しを立てることができない実情が明らかになったためであるが、このような状況が今後も続く限り、将来法曹を担うべき有為な人材が集まらなくなり、司法が機能しなくなる可能性も否定できない。
5. よって、当会は、政府に対し、年間司法試験合格者数の大幅な減少を平成26年度から実施することを求める。
2014年2月28日
山梨県弁護士会

特定秘密保護法案の参議院での慎重審議及び全面的白紙撤回を求める会長声明
1. 2013年(平成25年)11月26日、特定秘密保護法案(以下「本法案」という。)が衆議院で強行採決され、現在、本法案は参議院で審議されている。
2. いうまでもなく国会は、国権の最高機関であり、唯一の立法機関であるが(憲法41条)、その正当性の源泉は、主権者である国民によって直接選挙された代表者により、国民の意思が適切に反映される場であることに求められる。したがって、国会議員の選挙において、各選挙区の議員定数の配分に不均衡があり、そのため選挙人の投票価値に不平等が存在することは、憲法第14条第1項の平等原則に違反するばかりか、国会の唯一の立法機関性の正当化根拠に疑念を生じさせる事態となる。
今般、最高裁判所は、昨年12月の衆議院議員総選挙時における選挙区割りは、投票価値の平等に反する状況にあったとの判断を示した(本年11月20日大法廷判決)。今回の判決は、2011年(平成23年)の大法廷判決に引き続き、衆議院議員総選挙について「違憲状態」と判断したものである。この判決により、現在の衆議院は、憲法違反状態の公職選挙法により選出された議員から構成されたものとなり、「正当に選挙された国会における代表者」(憲法前文)とは言い難く、立憲主義の観点からも極めて異常な事態である。
他方、本法案は、国民主権、国民の知る権利、取材・報道の自由、適性評価制度導入に伴う関係者のプライバシー・思想信条の自由、三権分立等を侵害する危険性を有しており、当会をはじめとする各弁護士会、日本弁護士連合会等は、強く反対意見を表明してきたところである。
以上の状況を踏まえたとき、正当性に極めて疑問のある衆議院において憲法上疑義のある本法案を強行採決したことの問題性は根深い。
3. また、本法案は、上述の憲法上の問題点に加え、国際原則に照らしても、問題が多い。すなわち、「国家安全保障と情報への権利に関する国際原則」(以下「ツワネ原則」という。)は、自由権規約第19条等をふまえ、国家安全保障分野において立法を行う者に対して、国家安全保障のための情報管理と知る権利の保障との調整のために、実務的ガイドラインとして作成されたものであり、国会での本法案の審議においても、同原則に照らして、本法案が自由権規約第19条に適合するといえるか否かが、徹底して審議されなければならない。
ツワネ原則の策定には、アムネスティインターナショナルやアーティクル19のような著名な国際人権団体だけでなく、国際法律家連盟のような法曹団体、安全保障に関する国際団体など22の団体や学術機関が名前を連ねている。この原則には、ヨーロッパ人権裁判所やアメリカ合衆国など、最も真剣な論争が行われている地域における努力が反映されている。起草後、欧州評議会の議員会議において、国家安全保障と情報アクセスに関するレポートにも引用されるなど、国際的にも重要なガイドラインといえる。
しかるに、本法案には、ツワネ原則に反する多数の問題点があり、自由権規約第19条の知る権利を侵害するものというほかないから、廃案にするほかない。
以下、ツワネ原則に則して、本法案の問題点を指摘する。 (1) ツワネ原則1、4は、国家秘密の存在を前提にしているものの、誰もが公的機関の情報にアクセスする権利を有しており、その権利を制限する正当性を証明するのは政府の責務であるとしている。
しかし、本法案には、この原則が明示されていない。(2) ツワネ原則10は、政府の人権法・人道法違反の事実や大量破壊兵器の保有、環境破壊など、政府が秘密にしてはならない情報が列挙されている。国民の知る権利を保障する観点からこのような規定は必要不可欠である。
しかし、本法案には、このような規定がない。(3) ツワネ原則16は、情報は、必要な期間にのみ限定して秘密指定されるべきであり、政府が秘密指定を許される最長期間を法律で定めるべきであるとしている。
しかし、本法案には、最長期間について60年という規定があるも、例外にあたる場合には、最長期間の定めはなく、30年経過時のチェックにしても、行政機関である内閣が判断する手続になっており、第三者によるチェックになっていない。(4) ツワネ原則17は、市民が秘密解除を請求するための手続が明確に定められるべきであるとしている。これは恣意的な秘密指定を無効にする上で、有意義である。
しかし、本法案には、このような手続規定がない。(5) ツワネ原則6、31、32、33は、安全保障部門には独立した監視機関が設けられるべきであり、この機関は、実効的な監視を行うために必要な全ての情報に対してアクセスできるようにすべきであるとしている。(6) ツワネ原則43、46は、内部告発者は、明らかにされた情報による公益が、秘密保持による公益を上回る場合には、報復を受けるべきでなく、情報漏えい者に対する訴追は、情報を明らかにしたことの公益と比べ、現実的で確認可能な重大な損害を引き起こす場合に限って許されるとしている。
しかし、本法案では、この点に関する利益衡量規定がなく、公益通報者が漏えい罪によって処罰される危険が極めて高い。(7) ツワネ原則47、48は、公務員でない者は、秘密情報の受取、保持若しくは公衆への公開により、又は秘密情報の探索、アクセスに関する共謀その他の罪により訴追されるべきではないとし、また、情報流出の調査において、秘密の情報源やその他の非公開情報を明らかすることを強制されるべきではないとしている。
しかし、本法案には、このような規定がないどころか、第23条ないし第27条の規定によって広く処罰できるようにしている。
4. 自由民主党の石破茂幹事長は、11月29日の自身のブログに、「今も議員会館の外では「特定機(ママ)密保護法絶対阻止!」を叫ぶ大音量が鳴り響いています」、「主義主張を実現したければ、民主主義に従って理解者を一人でも増やし、支持の輪を広げるべきなのであって、単なる絶叫戦術はテロ行為とその本質においてあまり変わらないように思われます。」との意見を掲載している。
しかし、このように政治的主張を訴える市民の行動は憲法21条の表現の自由により保護される典型的場面である。それをもって「テロ行為とその本質においてあまり変わらない」と評価するのは、表現の自由に対する無理解に基づくものと言わなくてはならない。
本法案においては、別表4号において、「テロリズムの防止に関する事項」が掲げられている。本法案の第12条2項における「テロリズム」の定義によれば、「政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要」することとある。本法案を推進する自由民主党の幹事長であり、元防衛大臣である石破茂氏が特定秘密保護法阻止の宣伝行動をもテロと同視したことは、本法案成立後において、市民が政府を批判する活動が広く「テロリズム」に含まれ得る危険性を示している。
5. さらに、本法案は、違法な「特定秘密」を保護の対象から除外していない。この点、平成25年11月19日に開催された衆院国家安全保障に関する特別委員会では、森雅子担当大臣が、違法行為の秘密指定はない、違法行為の秘密指定は無効である旨述べている。しかし、条文上、違法行為を秘密指定から除外する旨の規定は存在せず、時の内閣の考えによって解釈は変わりうる。さらに違法か否かの限界もあいまいな部分もあり、違法行為であっても、一旦秘密指定されてしまえば検証のしようがない。したがって、仮に、多数の国民に対して盗聴行為が行われても、これらの盗聴行為が行政機関の長により「テロリズムによる被害の防止」のための措置に該当するとして、特定秘密として指定できうることになる。すなわち、盗聴行為を特定秘密として指定することにより、国民に秘密にされたまま、同様な監視活動が行われることになる。
この点、法制審議会新時代の刑事司法制度特別分科会では、本年1月29日には、「時代に即した新たな刑事司法制度の基本構想」を取りまとめ、上記基本構想及び同分科会での最近の検討状況によれば、通信傍受の対象犯罪を、通常の殺人、逮捕・監禁等、窃盗・強盗等、さらには「その他、重大な犯罪であって、通信傍受が捜査手法として必要かつ有用であると認められるもの」にまで広げることが検討されている。このような通信傍受法が成立すれば、裁判官による令状審査が行われるにしても、特定秘密保護法違反を「重大な犯罪」とし、テロリズムの防止と称して、通信傍受を行うことが横行する可能性もなしとしない。
6. 衆議院強行採決の前日である11月25日に福島県で開かれた公聴会では、与党推薦者を含め、出席者全員が本法案の内容に反対ないし懸念を示した。しかし、翌日の衆議院では十分な審議が行われず、公聴会での意見が一顧だにされないまま、採決が強行されたのであり、この公聴会もアリバイ作りに過ぎなかったことが白日の下に晒されたのである。原発の被害に現在でも苛まれている福島の窮状をまったく理解しようとしないこの採決は、極めて遺憾であり、法案のもたらしかねない重大な影響に鑑みると、到底是認できない。
本法案は、そもそも憲法の諸原理にことごとく抵触する法案であるにもかかわらず、本年9月3日に概要のみしか公表されない段階で、9月17日までという極めて短期間を設定して、国民に意見照会を求めた。そして、現在までに福島県1箇所で公聴会を行ったのみで、また4党修正案の審議は2時間しか行わないという状況下で強行採決が行われた。まさしく拙速の極みといわなければならない。
こうした本法案の国会審議の状況について、報道によれば、米国の核戦略の専門家で国防総省や国家安全保障会議(NSC)の高官を務めたモートン・ハルペリン氏(75)も、「スピードを懸念する。南アフリカで同種の動きがあるが、既に数年かけている。南ア政府は最初2カ月で法案を通そうとしたが、反対運動が起き、3、4度修正された。ツワネ原則に完全合致はしないが、時間をかけ大いに改善された」としているところである。
7. 参議院の存在意義は、衆議院の軽率な行為・過誤の回避、民意の忠実な反映という点に求められる。
当会は、本法案の拙速な採決に強く抗議し、良識の府である参議院において十分な審議を尽くすよう要請するとともに、本法案の全面的白紙撤回を求めるものである。
2013年12月3日
山梨県弁護士会会長 東條 正人

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